俺はお前のラブドール2
そのラブドールは恋をする。
そのラブドールは愛を囁く。
ラブドールであった浮竹は、魂を宿して浮竹となり、地獄の底から蘇ってきた。
食事もするし睡眠もとるし、生きているラブドールだった。京楽と20年ぶりに睦みあい、浮竹は満足げに眠り、起きた京楽は静かに浮竹の長い白髪を撫でていた。
護廷十三隊の間中に、浮竹が蘇ったと知らせた。
予想通り、12番隊の隊長である涅マユリが実験サンプルとして欲しいとごねてきたが、却下した。
ただ、異常はないのか12番隊で調べてもらったが、病んでいた肺の部分は失われていたが、あとはいたって健康で、肉体の細胞に至るまで死神のもので、もっている霊圧も浮竹のもので、間違いなく生前の浮竹と何一つ‥‥肺が片方かけている以外は一緒だった。
「浮竹、ずっと部屋に閉じ込めていてごめんね。12番隊の涅隊長怖くなかった?」
京楽は、12番隊への浮竹の検査についていっていた。血液を抜かれたり、何かを投与されたりする浮竹をよく見て、涅マユリがおかしなことをしないかと監視していたのだ。
「問題ない。でも、全隊に俺の復活を告げたということは、外を歩いてもいいんだな?」
「ボクと一緒にいる時はね。とりあえず、ボクと一緒にいる時は外出しよう。一人での外出はなるべく避けて?涅隊長のこともあるし、君が蘇った謎を解き明かしたいと思っている人物は他にもいるかもしれないからね?」
「分かった」
季節は、春になっていた。
「重箱のお弁当を作ってもらったんだ。花見にでも、行こうか」
「じゃあ、昔みたいに山に行くか?それとも、学院の桜の大樹の下でするか?」
当時、浮竹と京楽が通っていた学院は死神統学院といった。設立当初は死神統学院という名称だったが、死神以外の鬼道衆・隠密機動も輩出していることから、今は真央霊術院という名に変わっていた。
「近くだし、学院の桜にしようか。明日も仕事だし、浮竹はまだ登山とか慣れてないでしょ。瞬歩も使えないようだし」
浮竹は、霊圧こそ昔のままであったが、瞬歩と鬼道が使えなかった。
あと、斬魄刀である双魚理は、浮竹の遺体と共に墓の下に埋葬されて、今はなくなった雨乾堂のところに浮竹の墓石があった。
「ああ、分かった。じゃあ、学院に行こうか」
二人は手を繋いで歩いた。
総隊長だ、浮竹さんだと通りすがりの隊士などに声をかけられるが、ひらひらと二人は手を振って適当に挨拶する。
「はぁ。学院も大分変わったな」
「そりゃ、卒業して数百年は経ってるからね。建て直しもしたし、綺麗になったよ。新しい建物も増えてるしね。寮も、新しくなってるよ」
昔の、学院生時代のことを思い出して、浮竹も京楽も感傷に浸る。
「まぁ、昔のことは仕方ない。今は、花見しよう」
学院には大きさな桜の大樹があって、樹齢千年を超えていた。
その桜の根元にシートをしき、まだ寒いので浮竹には薄い毛布をかぶらせて、浮竹と京楽は花見をした。
ちらちらと、風がさぁぁと吹けば花びらが雨のように降ってくる。
桜は満開で、遠くに見える山も薄くピンク色に染まっていた。
「お、この卵焼きおいしいな」
「おいしいね。でも、ボクとしてはこの前君が作ってくれた朝食の出汁巻き卵のほうがおいしかったかな」
「あんな手料理でいいなら、いつでも作ってやるぞ?」
「うん。まぁ、ボクの食事を作る担当の家人がいるから、その人から仕事を奪うわけにもいかないから、たまにね?」
「ああ。桜、綺麗だな」
「うん。綺麗だね」
京楽は、重箱のお弁当を食べながら、ずっと浮竹を見ていた。
「そんなに俺ばかり見ていても何も起きないぞ?」
「ふふ、君の緑の瞳に映る桜を見ていたんだよ」
「普通に桜を見ろ」
「あ、お酒もってきてるんだけど、飲む?」
「飲む」
実に飲むのは20年ぶりになる酒を、浮竹は少しだけ飲んだ。
浮竹はおちょこに、果実酒を入れて飲んだ。ちらりと桜が、おちょこの上に舞い降りる。
「風流だな」
それを、酒と一緒に飲み干した。
「桜の枝、少しもらって帰るか」
よっと、と身軽に桜の気によじ登り、浮竹は細い沢山桜を咲かせている枝を一本手折って、シートの上に置く。
「桜神にたたられるよ?」
「桜神なぁ。ほんとにいたら面白いんだが」
少しだけのつもりが、重箱の中身を食べていくうちに喉が渇き、つい深酒にになってしまった。
浮竹は頬を染めて、昔を思い出す。
「思い出すなぁ。お前に始めて告白された時のこと」
「ふふ、今みたいに桜が満開の季節だったね」
学院4回生の頃、京楽は浮竹に告白した。答えはイエスでもノーでもなく。
しばらく考える時間をくれとの答えだった。それから浮竹は悩みに悩んで、親友以上恋人未満から始めようと言った。
その2カ月後には、もう京楽に食われて処女を失ったのだが。
「考えてみれば、前のがこの体の処女だったんだな」
ぶーーーっと、京楽が酒を吹き出す。
「しょ、処女!?」
「ああ。この体は、正確にはラブドールのものだ。俺が宿り生きているが、ラブドールが見えないけど、芯として存在している。死んでしまった俺の体とはまた別の体だ」
「へぇ。はい、あーん」
「あーん」
京楽は、浮竹の口の中にちくわを入れる。おでんが三段目に入っていた。
「うん、うまいな。味がしみ込んでいる」
「ふふ、ボクの家の料理人はそれなりの腕もってるよ。料亭の調理人だった者をスカウトしたからね」
「贅沢な奴め」
「その贅沢を、君も味わっているんだよ」
浮竹は、お返しとばかりにおでんのはんぺんを、京楽の口元にさしだす。
「あーん」
「恥ずかしいから、言うな」
はんぺんを京楽の口に入れて、京楽はおいしそうに食べる。
「いやぁ、君に食べさせてもらえるなんてねぇ。生きててよかった」
「すまん。俺は、お前の想いを知っていながら散った。護廷十三隊のために死なば本望。お前のことだけが気になっていた。確かに他にもたくさん気になることはあったが、死ぬ時お前と出会ってからあったことが走馬灯としてよぎり、俺は神掛をした」
「うん」
「俺には死神としての矜持があった。死んだことを後悔はしていないが、お前を一人残すのが心残りだった。こうして、元気に生きててくれて‥‥‥ラブドールを俺を愛するほど病んでいたとはいえ、まぁ体は元気でよかった。心の方は、俺が生き返ったことで満たされたようだし」
桜の木の下で、京楽は浮竹を押し倒していた。
「愛してるよ、浮竹」
「俺も愛してる、京楽」
二人は、桜の雨の降る中で、口づけしあった。
それから、昔浮竹に渡した結婚指輪を、浮竹の指にはめた。
「これ、俺の遺品の中にあったのか?」
「そうだよ。君の荷物は全部、屋敷の奥のほうの部屋に置いて管理してる。君に送った手紙とかまで大切にしてくれてて、ボクは君を失ってそれを見て泣いたよ。あと、遺書もあったね?」
「ああ。神掛イコール死だと分かっていたからな。俺の遺品は処理してくれって書いてたのに、お前は持っててくれたんだな」
「君との思い出の品ばかりだったよ。誕生日プレゼントにあげたもの何一つ欠けずにもっていてくれた」
京楽は、浮竹の白い髪を手ですいていく。
「子供の頃あげた、アイスの当たりくじとか、肩たたき券まであったのには驚いたね」
浮竹は、京楽にキスをする。
「はぁ‥‥‥なんか、すごいしたくなってきた」
「わお。言っとくけど、媚薬は入れてないよ?あと、ここではできないからね?」
「早く帰ろう。お前に、抱かれたい」
「急にどうしたの」
それはラブドールを基礎としてるが故の性(さが)。
持ち主の、主の愛を受けないと、ラブドールは生きていけない。
「一回、ここで出していいか」
熱い浮竹の吐息が耳にかかり、京楽が囁く。
「下着、汚れちゃうよ?」
「かまわない」
浮竹は、京楽に耳朶を噛まれて、抱き寄せられる。
お互いの性器をぐちゃぐちゃといじって、桜の木の下でいってしまった。
「んあああん」
「しーー」
精液にまみれた手をタオルで拭って、二人は熱を孕んだままゆっくりと京楽の屋敷に戻った。
京楽の屋敷の奥の、浮竹に与えられた30畳という広い部屋で、布団をしいて二人はもつれ合うように、布団の上に倒れこむ。
はぁはぁと、お互い荒い息をしながら口づけをかわしあいながら、お互いに衣服を脱いだ。
それぞれのものは、一度抜いたのにギンギンに勃っていた。
浮竹が悪戯心をもって、京楽のものを指で弾く。
「んっ。だめだよ、刺激だけでいっちゃいそう」
「俺もだ。先にいっとくか」
「そうだね」
お互いの性器をぴたりと擦り付けて、二人でぐちゅぐちゅとしごく。
限界はあっという間に訪れて、浮竹も京楽もいっていた。
「ひあああ」
「んんっ」
「君の中に挿入れるよ?」
「早く来い、春水」
浮竹は自分から足を開き、秘所を指でくぱぁと開いて、内部の桃色の内臓を見せる。
「エロい‥‥‥」
京楽はごくりと唾を飲み込んで、浮竹の中に侵入する。
「ん、力抜いて?いきそう」
「んああ‥‥あ、あ」
内部を押し広げていく熱の圧量に、浮竹は軽くオーガズムでいっていた。
「ひあん!」
ぱちゅんと音を立てて、奥まで入ってこられて、浮竹は頭が一瞬真っ白になって、快感以外何も感じれなくなった。
「はぁ、はぁ‥‥もっと奥にきてぇ、春水」
「うん。愛してるよ、十四郎」
「やあああ」
最奥を抉られて、精液を注ぎ込まれる。
「んあ、いい。いいよお」
「もっと欲しいよね?」
「んあ、もっとおおお」
浮竹は身をくねらせて、京楽の首の後ろに手をまわして、京楽の腰を足で挟み込む。
「子種、びゅるびゅる俺の中に出して?」
「ああ、君って清楚な美人系なのになんでこんなにエロいんだろう」
「それはぁ、お前の、お前に抱かれ続けて、お前のせいだからぁ」
「はいはい」
浮竹にディープキスを繰り返して、パンパンと腰をぶつけあいながら、高みにのぼっていく。
「あ、あーーーーー」
「気持ちいい?」
「あ、気持ちいい♡もっと俺を犯してぇ♡」
「こうかな?」
「あああ”---」
浮竹はドライのオーガズムでいきまくる。
「まだ欲しい?」
「まだまだ欲しいのぉ♡」
「ボクは次で最後だから‥‥‥一緒にいこうね?」
京楽が、ぐちゅぐちゅと音を立てて内部を抉り、揺さぶる。
最奥にくちゅりと音を立てて、ゆっくり侵入した。
「あ、あ”あ”----いく、い”っちゃうううう♡」
浮竹はたらたらと少量の精液を出してから、盛大に潮を吹く。
「んあ”あ”あ”。い”くの、とまんない♡」
京楽もびゅるびゅると浮竹の中に精子を出して、どさりと浮竹の隣に寝転ぶ。
「はぁ‥‥‥‥‥もう、出ない」
「あああーーー、まだ、いってるううう。い”ぐううう♡」
浮竹は終わった後も、びくんびくんと体を痙攣させてしばらくの間いき続けた。
「ん‥‥‥‥」
朝になり、昨日の痴態を思い出して、浮竹は赤くなる。
「ん、起きた?」
「あ、ああ‥‥‥」
「腰、大丈夫?」
「あんまり大丈夫じゃないけど、動ける」
京楽は、浮竹に上着を羽織らせた。
「今日は仕事だから。君も一緒に出勤してほしい。ボクの書類仕事手伝ってほしいんだ」
「分かった」
浮竹は、風呂に入って身支度をすると、京楽と並んで1番隊の隊舎に出かける。
「浮竹隊長‥‥‥ではなかった、浮竹さん、どうか今日からお願いします。このあほ隊長のせいで、書類仕事が滞りがちで‥‥‥‥」
「ちょ、七緒ちゃん、アホって何さ!」
「あなたがサボるからでしょうが!総隊長になりながら、仕事をさぼるなんて許されませんよ!」
「伊勢もまぁまぁ落ち着いて。俺が京楽の書類仕事の補佐に入るから、じゃんじゃんもってきてくれ」
浮竹の仕事の処理能力は高く、かつて臥せっていたのに副隊長がいない身分で13番隊が成り立っていたのには、病状が改善するとたまった仕事を一気に片付けるという、その能力ゆえだった。
「浮竹さんが補佐に入っていただけるなんて!京楽総隊長、今日こそたまりにたまりまくった仕事、終わるまで帰しませんからね!」
「ひええええ」
情けない京楽の悲鳴に、浮竹は笑う。
そのラブドールは、愛し愛され、主を思う。
そのラブドールは、抱かれて喘ぐ。
そのラブドールは、愛した人を決して裏切らない。
そのラブドールは愛を囁く。
ラブドールであった浮竹は、魂を宿して浮竹となり、地獄の底から蘇ってきた。
食事もするし睡眠もとるし、生きているラブドールだった。京楽と20年ぶりに睦みあい、浮竹は満足げに眠り、起きた京楽は静かに浮竹の長い白髪を撫でていた。
護廷十三隊の間中に、浮竹が蘇ったと知らせた。
予想通り、12番隊の隊長である涅マユリが実験サンプルとして欲しいとごねてきたが、却下した。
ただ、異常はないのか12番隊で調べてもらったが、病んでいた肺の部分は失われていたが、あとはいたって健康で、肉体の細胞に至るまで死神のもので、もっている霊圧も浮竹のもので、間違いなく生前の浮竹と何一つ‥‥肺が片方かけている以外は一緒だった。
「浮竹、ずっと部屋に閉じ込めていてごめんね。12番隊の涅隊長怖くなかった?」
京楽は、12番隊への浮竹の検査についていっていた。血液を抜かれたり、何かを投与されたりする浮竹をよく見て、涅マユリがおかしなことをしないかと監視していたのだ。
「問題ない。でも、全隊に俺の復活を告げたということは、外を歩いてもいいんだな?」
「ボクと一緒にいる時はね。とりあえず、ボクと一緒にいる時は外出しよう。一人での外出はなるべく避けて?涅隊長のこともあるし、君が蘇った謎を解き明かしたいと思っている人物は他にもいるかもしれないからね?」
「分かった」
季節は、春になっていた。
「重箱のお弁当を作ってもらったんだ。花見にでも、行こうか」
「じゃあ、昔みたいに山に行くか?それとも、学院の桜の大樹の下でするか?」
当時、浮竹と京楽が通っていた学院は死神統学院といった。設立当初は死神統学院という名称だったが、死神以外の鬼道衆・隠密機動も輩出していることから、今は真央霊術院という名に変わっていた。
「近くだし、学院の桜にしようか。明日も仕事だし、浮竹はまだ登山とか慣れてないでしょ。瞬歩も使えないようだし」
浮竹は、霊圧こそ昔のままであったが、瞬歩と鬼道が使えなかった。
あと、斬魄刀である双魚理は、浮竹の遺体と共に墓の下に埋葬されて、今はなくなった雨乾堂のところに浮竹の墓石があった。
「ああ、分かった。じゃあ、学院に行こうか」
二人は手を繋いで歩いた。
総隊長だ、浮竹さんだと通りすがりの隊士などに声をかけられるが、ひらひらと二人は手を振って適当に挨拶する。
「はぁ。学院も大分変わったな」
「そりゃ、卒業して数百年は経ってるからね。建て直しもしたし、綺麗になったよ。新しい建物も増えてるしね。寮も、新しくなってるよ」
昔の、学院生時代のことを思い出して、浮竹も京楽も感傷に浸る。
「まぁ、昔のことは仕方ない。今は、花見しよう」
学院には大きさな桜の大樹があって、樹齢千年を超えていた。
その桜の根元にシートをしき、まだ寒いので浮竹には薄い毛布をかぶらせて、浮竹と京楽は花見をした。
ちらちらと、風がさぁぁと吹けば花びらが雨のように降ってくる。
桜は満開で、遠くに見える山も薄くピンク色に染まっていた。
「お、この卵焼きおいしいな」
「おいしいね。でも、ボクとしてはこの前君が作ってくれた朝食の出汁巻き卵のほうがおいしかったかな」
「あんな手料理でいいなら、いつでも作ってやるぞ?」
「うん。まぁ、ボクの食事を作る担当の家人がいるから、その人から仕事を奪うわけにもいかないから、たまにね?」
「ああ。桜、綺麗だな」
「うん。綺麗だね」
京楽は、重箱のお弁当を食べながら、ずっと浮竹を見ていた。
「そんなに俺ばかり見ていても何も起きないぞ?」
「ふふ、君の緑の瞳に映る桜を見ていたんだよ」
「普通に桜を見ろ」
「あ、お酒もってきてるんだけど、飲む?」
「飲む」
実に飲むのは20年ぶりになる酒を、浮竹は少しだけ飲んだ。
浮竹はおちょこに、果実酒を入れて飲んだ。ちらりと桜が、おちょこの上に舞い降りる。
「風流だな」
それを、酒と一緒に飲み干した。
「桜の枝、少しもらって帰るか」
よっと、と身軽に桜の気によじ登り、浮竹は細い沢山桜を咲かせている枝を一本手折って、シートの上に置く。
「桜神にたたられるよ?」
「桜神なぁ。ほんとにいたら面白いんだが」
少しだけのつもりが、重箱の中身を食べていくうちに喉が渇き、つい深酒にになってしまった。
浮竹は頬を染めて、昔を思い出す。
「思い出すなぁ。お前に始めて告白された時のこと」
「ふふ、今みたいに桜が満開の季節だったね」
学院4回生の頃、京楽は浮竹に告白した。答えはイエスでもノーでもなく。
しばらく考える時間をくれとの答えだった。それから浮竹は悩みに悩んで、親友以上恋人未満から始めようと言った。
その2カ月後には、もう京楽に食われて処女を失ったのだが。
「考えてみれば、前のがこの体の処女だったんだな」
ぶーーーっと、京楽が酒を吹き出す。
「しょ、処女!?」
「ああ。この体は、正確にはラブドールのものだ。俺が宿り生きているが、ラブドールが見えないけど、芯として存在している。死んでしまった俺の体とはまた別の体だ」
「へぇ。はい、あーん」
「あーん」
京楽は、浮竹の口の中にちくわを入れる。おでんが三段目に入っていた。
「うん、うまいな。味がしみ込んでいる」
「ふふ、ボクの家の料理人はそれなりの腕もってるよ。料亭の調理人だった者をスカウトしたからね」
「贅沢な奴め」
「その贅沢を、君も味わっているんだよ」
浮竹は、お返しとばかりにおでんのはんぺんを、京楽の口元にさしだす。
「あーん」
「恥ずかしいから、言うな」
はんぺんを京楽の口に入れて、京楽はおいしそうに食べる。
「いやぁ、君に食べさせてもらえるなんてねぇ。生きててよかった」
「すまん。俺は、お前の想いを知っていながら散った。護廷十三隊のために死なば本望。お前のことだけが気になっていた。確かに他にもたくさん気になることはあったが、死ぬ時お前と出会ってからあったことが走馬灯としてよぎり、俺は神掛をした」
「うん」
「俺には死神としての矜持があった。死んだことを後悔はしていないが、お前を一人残すのが心残りだった。こうして、元気に生きててくれて‥‥‥ラブドールを俺を愛するほど病んでいたとはいえ、まぁ体は元気でよかった。心の方は、俺が生き返ったことで満たされたようだし」
桜の木の下で、京楽は浮竹を押し倒していた。
「愛してるよ、浮竹」
「俺も愛してる、京楽」
二人は、桜の雨の降る中で、口づけしあった。
それから、昔浮竹に渡した結婚指輪を、浮竹の指にはめた。
「これ、俺の遺品の中にあったのか?」
「そうだよ。君の荷物は全部、屋敷の奥のほうの部屋に置いて管理してる。君に送った手紙とかまで大切にしてくれてて、ボクは君を失ってそれを見て泣いたよ。あと、遺書もあったね?」
「ああ。神掛イコール死だと分かっていたからな。俺の遺品は処理してくれって書いてたのに、お前は持っててくれたんだな」
「君との思い出の品ばかりだったよ。誕生日プレゼントにあげたもの何一つ欠けずにもっていてくれた」
京楽は、浮竹の白い髪を手ですいていく。
「子供の頃あげた、アイスの当たりくじとか、肩たたき券まであったのには驚いたね」
浮竹は、京楽にキスをする。
「はぁ‥‥‥なんか、すごいしたくなってきた」
「わお。言っとくけど、媚薬は入れてないよ?あと、ここではできないからね?」
「早く帰ろう。お前に、抱かれたい」
「急にどうしたの」
それはラブドールを基礎としてるが故の性(さが)。
持ち主の、主の愛を受けないと、ラブドールは生きていけない。
「一回、ここで出していいか」
熱い浮竹の吐息が耳にかかり、京楽が囁く。
「下着、汚れちゃうよ?」
「かまわない」
浮竹は、京楽に耳朶を噛まれて、抱き寄せられる。
お互いの性器をぐちゃぐちゃといじって、桜の木の下でいってしまった。
「んあああん」
「しーー」
精液にまみれた手をタオルで拭って、二人は熱を孕んだままゆっくりと京楽の屋敷に戻った。
京楽の屋敷の奥の、浮竹に与えられた30畳という広い部屋で、布団をしいて二人はもつれ合うように、布団の上に倒れこむ。
はぁはぁと、お互い荒い息をしながら口づけをかわしあいながら、お互いに衣服を脱いだ。
それぞれのものは、一度抜いたのにギンギンに勃っていた。
浮竹が悪戯心をもって、京楽のものを指で弾く。
「んっ。だめだよ、刺激だけでいっちゃいそう」
「俺もだ。先にいっとくか」
「そうだね」
お互いの性器をぴたりと擦り付けて、二人でぐちゅぐちゅとしごく。
限界はあっという間に訪れて、浮竹も京楽もいっていた。
「ひあああ」
「んんっ」
「君の中に挿入れるよ?」
「早く来い、春水」
浮竹は自分から足を開き、秘所を指でくぱぁと開いて、内部の桃色の内臓を見せる。
「エロい‥‥‥」
京楽はごくりと唾を飲み込んで、浮竹の中に侵入する。
「ん、力抜いて?いきそう」
「んああ‥‥あ、あ」
内部を押し広げていく熱の圧量に、浮竹は軽くオーガズムでいっていた。
「ひあん!」
ぱちゅんと音を立てて、奥まで入ってこられて、浮竹は頭が一瞬真っ白になって、快感以外何も感じれなくなった。
「はぁ、はぁ‥‥もっと奥にきてぇ、春水」
「うん。愛してるよ、十四郎」
「やあああ」
最奥を抉られて、精液を注ぎ込まれる。
「んあ、いい。いいよお」
「もっと欲しいよね?」
「んあ、もっとおおお」
浮竹は身をくねらせて、京楽の首の後ろに手をまわして、京楽の腰を足で挟み込む。
「子種、びゅるびゅる俺の中に出して?」
「ああ、君って清楚な美人系なのになんでこんなにエロいんだろう」
「それはぁ、お前の、お前に抱かれ続けて、お前のせいだからぁ」
「はいはい」
浮竹にディープキスを繰り返して、パンパンと腰をぶつけあいながら、高みにのぼっていく。
「あ、あーーーーー」
「気持ちいい?」
「あ、気持ちいい♡もっと俺を犯してぇ♡」
「こうかな?」
「あああ”---」
浮竹はドライのオーガズムでいきまくる。
「まだ欲しい?」
「まだまだ欲しいのぉ♡」
「ボクは次で最後だから‥‥‥一緒にいこうね?」
京楽が、ぐちゅぐちゅと音を立てて内部を抉り、揺さぶる。
最奥にくちゅりと音を立てて、ゆっくり侵入した。
「あ、あ”あ”----いく、い”っちゃうううう♡」
浮竹はたらたらと少量の精液を出してから、盛大に潮を吹く。
「んあ”あ”あ”。い”くの、とまんない♡」
京楽もびゅるびゅると浮竹の中に精子を出して、どさりと浮竹の隣に寝転ぶ。
「はぁ‥‥‥‥‥もう、出ない」
「あああーーー、まだ、いってるううう。い”ぐううう♡」
浮竹は終わった後も、びくんびくんと体を痙攣させてしばらくの間いき続けた。
「ん‥‥‥‥」
朝になり、昨日の痴態を思い出して、浮竹は赤くなる。
「ん、起きた?」
「あ、ああ‥‥‥」
「腰、大丈夫?」
「あんまり大丈夫じゃないけど、動ける」
京楽は、浮竹に上着を羽織らせた。
「今日は仕事だから。君も一緒に出勤してほしい。ボクの書類仕事手伝ってほしいんだ」
「分かった」
浮竹は、風呂に入って身支度をすると、京楽と並んで1番隊の隊舎に出かける。
「浮竹隊長‥‥‥ではなかった、浮竹さん、どうか今日からお願いします。このあほ隊長のせいで、書類仕事が滞りがちで‥‥‥‥」
「ちょ、七緒ちゃん、アホって何さ!」
「あなたがサボるからでしょうが!総隊長になりながら、仕事をさぼるなんて許されませんよ!」
「伊勢もまぁまぁ落ち着いて。俺が京楽の書類仕事の補佐に入るから、じゃんじゃんもってきてくれ」
浮竹の仕事の処理能力は高く、かつて臥せっていたのに副隊長がいない身分で13番隊が成り立っていたのには、病状が改善するとたまった仕事を一気に片付けるという、その能力ゆえだった。
「浮竹さんが補佐に入っていただけるなんて!京楽総隊長、今日こそたまりにたまりまくった仕事、終わるまで帰しませんからね!」
「ひええええ」
情けない京楽の悲鳴に、浮竹は笑う。
そのラブドールは、愛し愛され、主を思う。
そのラブドールは、抱かれて喘ぐ。
そのラブドールは、愛した人を決して裏切らない。
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