黒猫と白猫の亜人62
「にゃおおおおおおん」
サタンが悲痛な鳴き方をする。
なんだと、気になって浮竹と京楽が見ているところで、猫専用の獣医の手でワクチンを打たれていた。
「なんだ、ワクチンか」
「サタン君、まだワクチン接種してなかったんだね」
サタンは悪魔王猫であり、今までワクチン接種を何度も逃げてきたが、ついに最後の時。
エサに眠り薬を混ぜられて、意識が朦朧とする中、ワクチンを打たれて、怒ってサタンは獣医の腕を噛んだ。
「我はサタン。悪魔王猫ぞ!注射なぞいらぬ!」
「そうはいっても、最近の兄は外に出ているであろう。病気をもらってから治療では遅くなることもある。混合ワクチンだ。あとは年に1回ずつのワクチンで済む」
「ぬおおおおお、年に1回のワクチン接種だと!けしからん!我には無用だ」
「去勢を‥‥‥‥‥」
「うぬん、悪くない。ワクチンでもなんでもするがよい」
白哉が去勢を仄めかしたとたん、態度を裏返すサタンに、浮竹も京楽も笑う。
「サタン君、よっぽど去勢がいやなんだね」
「まぁ、年中発情期だしな。去勢されると夫人としっぽりできないし」
「京楽、兄を去勢しろと前に怒った浮竹が言っていたぞ」
白哉の言葉に、京楽が驚く。
「ええええ!酷い、浮竹!」
「雌猫としっぽりしまくっていた時の話だ」
「じゃあ。もう去勢はいいんだね?」
「お前としっぽりできなくなるのは‥‥」
猫の姿だからわかりにくかったが、浮竹は赤くなっていた。
「なんでもない!白哉、チュールくれ」
浮竹は、白哉の手からチュールをもらう。京楽ももらい、眠り薬がすっかり抜けてワクチン接種も終わらせたサタンも一緒に食べた。
浮竹と京楽は、日常の半分以上を猫の姿で過ごしている。
食事の時とお風呂は人の姿でいることが多い。
睦みあうときも人の姿だが、情事のない日には猫の姿で寝ている時もけっこうあった。
猫の睡眠時間は、長い時だと17時間に及ぶ。
猫の亜人であるが、浮竹も京楽もよく寝た。
平均して1日15時間は寝ている。夜に寝るが、昼寝も多かった。
「んー、眠くなってきた。白哉の膝の上で寝たい」
「かまわぬぞ。1時間ほど休憩をとろうとしていたところだ」
「じゃあボクも」
「仕方ない、我も」
白哉はいつも、もてもてだ。
白哉がソファーに座ると、まず浮竹がその膝の上に乗ってきて、隣に京楽がやってきて、一緒に丸くなって眠り出す。あいている僅かなスペースにサタンがやってきて、大いびきをかいて寝だした。
「私は、猫ハウスではないのだがな」
白哉は苦笑しながら、浮竹と京楽とサタンの頭と体をそっと撫でる。
浮竹は気持ちいいのか、ぐるぐると寝ながら喉を鳴らしていた。
『白猫の俺と黒猫の京楽、遊びにきたぞ!』
魔王の浮竹と、幽鬼の京楽がやってくる。
「今、眠っている」
白哉の膝の上で丸くなって眠る姿に心を射抜かれて、魔王の浮竹は白哉の隣に座って、猫の浮竹の体をそっと移動させて自分の膝の上に乗せてみる。
「うにゅう、もう食べれない」
浮竹は寝言を言う。
『ああああ、うちの子に‥‥‥』
「浮竹と京楽もサタンも、私の家族だ。手放すつもりはない」
『ふふ、浮竹、ふられたね?』
幽鬼の京楽が、ぼーっとしてたかと思うと、魔王の浮竹の頭を撫でる。
『うぬう、まだ諦めないぞ』
魔王の浮竹は、浮竹と京楽の体を抱いて、サタンだけソファーに投げ捨てて、白哉に言う。
『魔王城に連れて帰る。お前の元に帰りたいというまで、帰さない」
『ちょっと、浮竹』
幽鬼の京楽が、やり過ぎじゃないのかという声を出す。
白哉は、自信あり気に笑った。
「浮竹と京楽は、私を選ぶ。家族だからな」
『ぐぬう』
魔王の浮竹は、半ば拉致するかのように魔王城に浮竹と京楽を連れて行く。
「あれ、魔王の俺?白哉は?」
「ん、白哉君は?」
『俺たちの家の子にならないか』
『ちょっと、浮竹』
『どうだ。我儘はできるだけ聞き入れる。だから、うちの子に』
浮竹は、伸びをすると魔王の浮竹の腕に飛び込む。
「俺と京楽は白哉の猫だ。魔王の俺には悪いが、家族を裏切れない」
『やっぱだめか‥‥』
『ほら、言ったのに』
「白哉に会ってからここに来たってことは、白哉は魔王城にいることを知っているんだな?」
『ああ』
「じゃあ、今日も泊まる」
はっきり言って、何度も泊まるので主は白哉だが、魔王城の住人と化しつつあった。
『じゃあ、飯ができるまで俺を遊ぶか』
「あ、じゃあ俺が昼食を」
いつもダークマターを食わせられるので、京楽が慌てた。
「ここのシェフの作った料理が食べたいなぁ」
「うーん、それもそうだな。ここのご飯はおいしいから」
浮竹が昼食を作らいとなって、京楽は胸を撫でおろす。
「じゃあ、おやつを俺が」
「今日はボクが作るからね!」
「じゃあ、その手伝いを」
「幽鬼のボク、手伝いお願いできるかな」
幽鬼の京楽は、クスリと笑って、OKを出す。
『仕方ないねぇ。ダークマター、おもしろい味してると思うけどね?』
「ダークマターは凶器だ!」
そんなやりとりをする京楽を不思議そうに見ながら、浮竹は魔王の自分の膝の上でまたお昼寝を始める。
「ああ。ボクもまだ眠い。昨日10時間しか寝てないから。ボクらは15時間は寝ないと活動に支障がでるから」
京楽も、魔王の浮竹の膝の上でうとうとと眠り始める。
『もう、これって俺んちの子になったようなもんだよな』
『まぁ、似たようなものかな』
幽鬼の京楽は、穏やかな午後の日差しを見ながら、魔王の浮竹の髪を手ですく。
『なんだ?』
『ん?好きだなぁと思って』
『な、そんなこと言っても何もでないからな』
『ふふ、浮竹はかわいいね?』
魔王の浮竹は、耳を赤くしつつ、浮竹と京楽が起きるのを根気強く待つのであった。
サタンが悲痛な鳴き方をする。
なんだと、気になって浮竹と京楽が見ているところで、猫専用の獣医の手でワクチンを打たれていた。
「なんだ、ワクチンか」
「サタン君、まだワクチン接種してなかったんだね」
サタンは悪魔王猫であり、今までワクチン接種を何度も逃げてきたが、ついに最後の時。
エサに眠り薬を混ぜられて、意識が朦朧とする中、ワクチンを打たれて、怒ってサタンは獣医の腕を噛んだ。
「我はサタン。悪魔王猫ぞ!注射なぞいらぬ!」
「そうはいっても、最近の兄は外に出ているであろう。病気をもらってから治療では遅くなることもある。混合ワクチンだ。あとは年に1回ずつのワクチンで済む」
「ぬおおおおお、年に1回のワクチン接種だと!けしからん!我には無用だ」
「去勢を‥‥‥‥‥」
「うぬん、悪くない。ワクチンでもなんでもするがよい」
白哉が去勢を仄めかしたとたん、態度を裏返すサタンに、浮竹も京楽も笑う。
「サタン君、よっぽど去勢がいやなんだね」
「まぁ、年中発情期だしな。去勢されると夫人としっぽりできないし」
「京楽、兄を去勢しろと前に怒った浮竹が言っていたぞ」
白哉の言葉に、京楽が驚く。
「ええええ!酷い、浮竹!」
「雌猫としっぽりしまくっていた時の話だ」
「じゃあ。もう去勢はいいんだね?」
「お前としっぽりできなくなるのは‥‥」
猫の姿だからわかりにくかったが、浮竹は赤くなっていた。
「なんでもない!白哉、チュールくれ」
浮竹は、白哉の手からチュールをもらう。京楽ももらい、眠り薬がすっかり抜けてワクチン接種も終わらせたサタンも一緒に食べた。
浮竹と京楽は、日常の半分以上を猫の姿で過ごしている。
食事の時とお風呂は人の姿でいることが多い。
睦みあうときも人の姿だが、情事のない日には猫の姿で寝ている時もけっこうあった。
猫の睡眠時間は、長い時だと17時間に及ぶ。
猫の亜人であるが、浮竹も京楽もよく寝た。
平均して1日15時間は寝ている。夜に寝るが、昼寝も多かった。
「んー、眠くなってきた。白哉の膝の上で寝たい」
「かまわぬぞ。1時間ほど休憩をとろうとしていたところだ」
「じゃあボクも」
「仕方ない、我も」
白哉はいつも、もてもてだ。
白哉がソファーに座ると、まず浮竹がその膝の上に乗ってきて、隣に京楽がやってきて、一緒に丸くなって眠り出す。あいている僅かなスペースにサタンがやってきて、大いびきをかいて寝だした。
「私は、猫ハウスではないのだがな」
白哉は苦笑しながら、浮竹と京楽とサタンの頭と体をそっと撫でる。
浮竹は気持ちいいのか、ぐるぐると寝ながら喉を鳴らしていた。
『白猫の俺と黒猫の京楽、遊びにきたぞ!』
魔王の浮竹と、幽鬼の京楽がやってくる。
「今、眠っている」
白哉の膝の上で丸くなって眠る姿に心を射抜かれて、魔王の浮竹は白哉の隣に座って、猫の浮竹の体をそっと移動させて自分の膝の上に乗せてみる。
「うにゅう、もう食べれない」
浮竹は寝言を言う。
『ああああ、うちの子に‥‥‥』
「浮竹と京楽もサタンも、私の家族だ。手放すつもりはない」
『ふふ、浮竹、ふられたね?』
幽鬼の京楽が、ぼーっとしてたかと思うと、魔王の浮竹の頭を撫でる。
『うぬう、まだ諦めないぞ』
魔王の浮竹は、浮竹と京楽の体を抱いて、サタンだけソファーに投げ捨てて、白哉に言う。
『魔王城に連れて帰る。お前の元に帰りたいというまで、帰さない」
『ちょっと、浮竹』
幽鬼の京楽が、やり過ぎじゃないのかという声を出す。
白哉は、自信あり気に笑った。
「浮竹と京楽は、私を選ぶ。家族だからな」
『ぐぬう』
魔王の浮竹は、半ば拉致するかのように魔王城に浮竹と京楽を連れて行く。
「あれ、魔王の俺?白哉は?」
「ん、白哉君は?」
『俺たちの家の子にならないか』
『ちょっと、浮竹』
『どうだ。我儘はできるだけ聞き入れる。だから、うちの子に』
浮竹は、伸びをすると魔王の浮竹の腕に飛び込む。
「俺と京楽は白哉の猫だ。魔王の俺には悪いが、家族を裏切れない」
『やっぱだめか‥‥』
『ほら、言ったのに』
「白哉に会ってからここに来たってことは、白哉は魔王城にいることを知っているんだな?」
『ああ』
「じゃあ、今日も泊まる」
はっきり言って、何度も泊まるので主は白哉だが、魔王城の住人と化しつつあった。
『じゃあ、飯ができるまで俺を遊ぶか』
「あ、じゃあ俺が昼食を」
いつもダークマターを食わせられるので、京楽が慌てた。
「ここのシェフの作った料理が食べたいなぁ」
「うーん、それもそうだな。ここのご飯はおいしいから」
浮竹が昼食を作らいとなって、京楽は胸を撫でおろす。
「じゃあ、おやつを俺が」
「今日はボクが作るからね!」
「じゃあ、その手伝いを」
「幽鬼のボク、手伝いお願いできるかな」
幽鬼の京楽は、クスリと笑って、OKを出す。
『仕方ないねぇ。ダークマター、おもしろい味してると思うけどね?』
「ダークマターは凶器だ!」
そんなやりとりをする京楽を不思議そうに見ながら、浮竹は魔王の自分の膝の上でまたお昼寝を始める。
「ああ。ボクもまだ眠い。昨日10時間しか寝てないから。ボクらは15時間は寝ないと活動に支障がでるから」
京楽も、魔王の浮竹の膝の上でうとうとと眠り始める。
『もう、これって俺んちの子になったようなもんだよな』
『まぁ、似たようなものかな』
幽鬼の京楽は、穏やかな午後の日差しを見ながら、魔王の浮竹の髪を手ですく。
『なんだ?』
『ん?好きだなぁと思って』
『な、そんなこと言っても何もでないからな』
『ふふ、浮竹はかわいいね?』
魔王の浮竹は、耳を赤くしつつ、浮竹と京楽が起きるのを根気強く待つのであった。
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