記憶 白哉の場合
「きゃああああああ」
「さがれ!散れ、千本桜!」
白哉は、遠征で大量の虚の群れに襲われて、自分一人の身ならなんとかできたのだが、ついてきていた隊士の女性の8席を庇って、傷を負う。
「隊長!!!」
女性が、悲鳴をあげる。
今回は、恋次は留守番で隊舎で待機していた。
「隊長負傷!至急、救護班を呼べ!」
隊士たちがざわめく。
「不要だ。大した傷ではない‥‥。私は‥‥誰だ?何故、こんな場所にいる?」
「隊長!?」
「兄らは何者だ」
虚を退治し終えた後で、白哉は救護班から傷の治療を受けながら、自分が記憶喪失になっていることを知った。
襲ってきた虚の仕業だろう。
3席が、恋次に地獄蝶を飛ばす。
(隊長負傷、記憶喪失のもよう)
「隊長!!くそ、記憶喪失とかまじかよ!」
6番隊の隊舎で白哉の帰還を待っていた恋次は、どうか戻ってくる頃には治っていることを祈るしかなかった。
「ここが、6番隊舎。あちらが私の家。私は朽木白哉。4大貴族朽木家の現当主」
白哉は、4番隊で診てもらったが、記憶喪失は治るのは自然に任せるしかないとのことだった。記憶を食らった虚は退治されたので、時間が経てば白哉の記憶も元に戻るとのことだった。
「隊長」
「兄は確か‥‥‥副官の、阿散井恋次」
「隊長、記憶喪失とかまじっすか。俺とのことも忘れてしまったんすか」
「何をだ」
「俺と隊長、付き合ってたじゃないですか。体の関係もあった」
「な!」
白哉は真っ赤になって、恋次から数歩距離をとる。
「隊長、思い出してください」
「く、くるな」
「隊長?」
「う、頭が、頭が痛い」
白哉の脳裏に、断片的ではあるが恋次と恋仲であった記憶が浮かび上がる。
「隊長、大丈夫っすか!」
「わ、私に触れるな!」
「隊長‥‥」
「恋次、そこまでにしておけ。兄様、まだ傷も完全に塞がっておりません。外出は控えてください」
ルキアが、白哉に肩をかして歩きだす。
「すまぬ、ルキア。兄は私の大切な義妹‥‥‥で、あっているな?」
「はい、兄様!」
ルキアは、白哉が記憶喪失と知って慌てたが、自己紹介していざ接してみると、記憶を失っているとは思えないかんじなので、安堵した。
ただ、恋人である恋次のことはどう説明すればいいのか分からず、自然の流れに任せることにした。
「隊長‥‥」
恋次は、ただ茫然と白哉とルキアが去っていく背中を見ていた。
3日後、白哉は大分記憶を取り戻し、仕事をしに執務室にきていた。
「恋次、だったか。兄のことはまだ思い出せぬ」
「隊長‥‥俺と結婚していたことも忘れてしまったんですか」
「け、結婚?」
恋次は、白哉が記憶喪失なのをいいことに、していないことを吹き込む。
「そうであったのか。では、恋次、兄は私の妻か?」
「いやいや、妻は隊長でしょ!ビジュアル的にも!」
「ふむ‥‥?」
白哉は首を傾げる。
それが愛らしくて、恋次は白哉を姫抱きにすると隊首室に連れ込んだ。
「な、何をするのだ恋次!」
「体に直接聞いた方が早いかなーと思って」
「そ、そのようなことはせぬ!」
白哉は、拳で恋次の鳩尾を殴る。
「ぬお‥‥‥きいた‥‥」
座り込む恋次を、白哉は困った顔で見ていた。
「恋次、私は本当に兄と恋仲なのか?」
「はい。そうです。隊長は俺のもので、俺は隊長のものです」
恋次は、口づけを白哉にする。
「んあっ‥‥‥‥」
濡れた声を、白哉が出す。
「隊長‥‥ああ、止まんねぇ。抱きますよ」
「やあああ、恋次、恋次」
白哉は、恋次に口づけされて、全てを思い出していた。
「兄と、結婚などしておらぬ。記憶喪失をいいことに、あらぬことを吹き込むな」
「隊長?記憶が戻って?」
「さっき、戻った。あ、恋次、続けよ。このままの状態で放り出すつもりか」
白哉は一度、炎が灯った体を自分で処理することができず、恋次を呼ぶ。
「隊長、お帰りなさい。優しくしますね?」
「んあっ、あ、あ」
白哉は己を恋次にしごきあげられて、恋次の手に精液をはきだす。
「挿入れますよ?」
蕾を潤滑油をまとった指で解された後、恋次のもので貫かれた。
「ひああああ!!!」
「隊長、記憶喪失って聞いて、隊長を失うんじゃないかって思ってました」
「あ、やああああ」
「子種、たくさん注いであげますから、胎んでくださいね?」
「ああああ」
白哉は、恋次の貫かれながら涙を流す。
それを恋次が吸い取る。
「痛いですか?やめましょうか?」
「あ、続けよ。最後まで‥‥」
恋次は、子種を白哉の胎の奥に注ぎ込む。
「んんんっ」
「もっと出しますよ?」
「ひあっ!」
白哉は背をしならせて、大きく中いきを繰り返す。
「こっちでも、いけるでしょ、隊長」
硬いままの白哉のものをしごきあげて、いっている最中の白哉をいかせた。
「ああああ、やあ、変になるうう」
「いつものことですよ、隊長。遠征が近いからって、ずっと抱かせてくればかったんで俺も飢えてるんすよ」
「あ、恋次」
「隊長、好きです。愛してます」
「私も、恋次が好きで愛している」
行為が終わり、清められたが白哉は怒っていた。
「恋次、兄は、私が記憶喪失であるのをいいことに、結婚したなどと嘘を」
「まぁ、いいじゃないですか。俺たち、結婚してないだけで仲は結婚してるも同然なんすから」
「よくない」
「隊長、愛してます」
「そのように、愛を囁いて流すのは‥‥‥んんっ」
「いてててて!」
白哉は、恋次の頭を拳で殴った。
「兄は、もう少し遠慮というものをわきまえよ」
「すんません」
何度も殴られて、たんこぶを作った恋次は白哉の隣に座った。
「でも、記憶が元に戻ってよかった。このままずっとなくなってたら、隊長を無理やりにでも自分のものにしていた」
「れ、恋次!」
白哉は赤くなる。
恋次は、白哉を屋敷にまで送るために白哉の手をとって歩き出す。
「もう、虚になんてやられないでくださいね」
「分かっている」
白哉は朽木家につくと、恋次に触れるだけのキスをする。とても妖艶な顔で。美しいとしか言えない表情を浮かべて。
「隊長?」
「また、明日」
「あ、はい」
白哉は、屋敷の中に入っていく。
恋次は、ただ見惚れてしまって数分動かないのであった。
「さがれ!散れ、千本桜!」
白哉は、遠征で大量の虚の群れに襲われて、自分一人の身ならなんとかできたのだが、ついてきていた隊士の女性の8席を庇って、傷を負う。
「隊長!!!」
女性が、悲鳴をあげる。
今回は、恋次は留守番で隊舎で待機していた。
「隊長負傷!至急、救護班を呼べ!」
隊士たちがざわめく。
「不要だ。大した傷ではない‥‥。私は‥‥誰だ?何故、こんな場所にいる?」
「隊長!?」
「兄らは何者だ」
虚を退治し終えた後で、白哉は救護班から傷の治療を受けながら、自分が記憶喪失になっていることを知った。
襲ってきた虚の仕業だろう。
3席が、恋次に地獄蝶を飛ばす。
(隊長負傷、記憶喪失のもよう)
「隊長!!くそ、記憶喪失とかまじかよ!」
6番隊の隊舎で白哉の帰還を待っていた恋次は、どうか戻ってくる頃には治っていることを祈るしかなかった。
「ここが、6番隊舎。あちらが私の家。私は朽木白哉。4大貴族朽木家の現当主」
白哉は、4番隊で診てもらったが、記憶喪失は治るのは自然に任せるしかないとのことだった。記憶を食らった虚は退治されたので、時間が経てば白哉の記憶も元に戻るとのことだった。
「隊長」
「兄は確か‥‥‥副官の、阿散井恋次」
「隊長、記憶喪失とかまじっすか。俺とのことも忘れてしまったんすか」
「何をだ」
「俺と隊長、付き合ってたじゃないですか。体の関係もあった」
「な!」
白哉は真っ赤になって、恋次から数歩距離をとる。
「隊長、思い出してください」
「く、くるな」
「隊長?」
「う、頭が、頭が痛い」
白哉の脳裏に、断片的ではあるが恋次と恋仲であった記憶が浮かび上がる。
「隊長、大丈夫っすか!」
「わ、私に触れるな!」
「隊長‥‥」
「恋次、そこまでにしておけ。兄様、まだ傷も完全に塞がっておりません。外出は控えてください」
ルキアが、白哉に肩をかして歩きだす。
「すまぬ、ルキア。兄は私の大切な義妹‥‥‥で、あっているな?」
「はい、兄様!」
ルキアは、白哉が記憶喪失と知って慌てたが、自己紹介していざ接してみると、記憶を失っているとは思えないかんじなので、安堵した。
ただ、恋人である恋次のことはどう説明すればいいのか分からず、自然の流れに任せることにした。
「隊長‥‥」
恋次は、ただ茫然と白哉とルキアが去っていく背中を見ていた。
3日後、白哉は大分記憶を取り戻し、仕事をしに執務室にきていた。
「恋次、だったか。兄のことはまだ思い出せぬ」
「隊長‥‥俺と結婚していたことも忘れてしまったんですか」
「け、結婚?」
恋次は、白哉が記憶喪失なのをいいことに、していないことを吹き込む。
「そうであったのか。では、恋次、兄は私の妻か?」
「いやいや、妻は隊長でしょ!ビジュアル的にも!」
「ふむ‥‥?」
白哉は首を傾げる。
それが愛らしくて、恋次は白哉を姫抱きにすると隊首室に連れ込んだ。
「な、何をするのだ恋次!」
「体に直接聞いた方が早いかなーと思って」
「そ、そのようなことはせぬ!」
白哉は、拳で恋次の鳩尾を殴る。
「ぬお‥‥‥きいた‥‥」
座り込む恋次を、白哉は困った顔で見ていた。
「恋次、私は本当に兄と恋仲なのか?」
「はい。そうです。隊長は俺のもので、俺は隊長のものです」
恋次は、口づけを白哉にする。
「んあっ‥‥‥‥」
濡れた声を、白哉が出す。
「隊長‥‥ああ、止まんねぇ。抱きますよ」
「やあああ、恋次、恋次」
白哉は、恋次に口づけされて、全てを思い出していた。
「兄と、結婚などしておらぬ。記憶喪失をいいことに、あらぬことを吹き込むな」
「隊長?記憶が戻って?」
「さっき、戻った。あ、恋次、続けよ。このままの状態で放り出すつもりか」
白哉は一度、炎が灯った体を自分で処理することができず、恋次を呼ぶ。
「隊長、お帰りなさい。優しくしますね?」
「んあっ、あ、あ」
白哉は己を恋次にしごきあげられて、恋次の手に精液をはきだす。
「挿入れますよ?」
蕾を潤滑油をまとった指で解された後、恋次のもので貫かれた。
「ひああああ!!!」
「隊長、記憶喪失って聞いて、隊長を失うんじゃないかって思ってました」
「あ、やああああ」
「子種、たくさん注いであげますから、胎んでくださいね?」
「ああああ」
白哉は、恋次の貫かれながら涙を流す。
それを恋次が吸い取る。
「痛いですか?やめましょうか?」
「あ、続けよ。最後まで‥‥」
恋次は、子種を白哉の胎の奥に注ぎ込む。
「んんんっ」
「もっと出しますよ?」
「ひあっ!」
白哉は背をしならせて、大きく中いきを繰り返す。
「こっちでも、いけるでしょ、隊長」
硬いままの白哉のものをしごきあげて、いっている最中の白哉をいかせた。
「ああああ、やあ、変になるうう」
「いつものことですよ、隊長。遠征が近いからって、ずっと抱かせてくればかったんで俺も飢えてるんすよ」
「あ、恋次」
「隊長、好きです。愛してます」
「私も、恋次が好きで愛している」
行為が終わり、清められたが白哉は怒っていた。
「恋次、兄は、私が記憶喪失であるのをいいことに、結婚したなどと嘘を」
「まぁ、いいじゃないですか。俺たち、結婚してないだけで仲は結婚してるも同然なんすから」
「よくない」
「隊長、愛してます」
「そのように、愛を囁いて流すのは‥‥‥んんっ」
「いてててて!」
白哉は、恋次の頭を拳で殴った。
「兄は、もう少し遠慮というものをわきまえよ」
「すんません」
何度も殴られて、たんこぶを作った恋次は白哉の隣に座った。
「でも、記憶が元に戻ってよかった。このままずっとなくなってたら、隊長を無理やりにでも自分のものにしていた」
「れ、恋次!」
白哉は赤くなる。
恋次は、白哉を屋敷にまで送るために白哉の手をとって歩き出す。
「もう、虚になんてやられないでくださいね」
「分かっている」
白哉は朽木家につくと、恋次に触れるだけのキスをする。とても妖艶な顔で。美しいとしか言えない表情を浮かべて。
「隊長?」
「また、明日」
「あ、はい」
白哉は、屋敷の中に入っていく。
恋次は、ただ見惚れてしまって数分動かないのであった。
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夕焼け
ルキアは、ショーウィンドウの中にあるアメジストのネックレスをじーっと見ていた。
それに気づいた一護が、財布の中身とショーウィンドウの中のネックレスの値札を見る。
「ルキア、買ってやるよ」
「ななななな、だ、誰も欲しいなどと思っておらぬ」
「そうか?すっごいキラキラした目で見つめてたけどな?」
「これくらい、自分の金で買える」
「それじゃあプレゼントになんねぇだろ」
一護は、優しく笑って店員さんを呼ぶと、アメジストのネックレスを購入した。
「き、貴様の懐が寒くなったのではないか?」
「ちょっとだけな。バイトちょっと増やせば問題ない」
ルキアは、長期現世滞在許可をもらって、現世の一護のアパートに転がり込んでいた。
一護は今大学2年生だ。学業もがんばっているが、バイトもがんばっていた。
将来黒崎医院を継ぐ気はなく、翻訳家になる夢があった。できればドイツ語で。
「ルキアが現世にきて1週間か。早いな」
「2カ月は、こちらにいられるぞ」
「13番隊大丈夫なのかよ」
「大丈夫に決まっておろう」
「へいへい」
一護は、ルキアを連れてスーパーに入る。
今日はルキアを町に案内していた日だった。一護が住んでいる町は、空座町から大分離れていて、ルキアもくるのは初めてだった。
「それにしても、なぜ実家を出たのだ。大学は実家からのほうが近いのではないのか?」
「あー、まぁそうなんだけど、バイト先が今のアパートからのほうが近いから」
一護は、飲食店でバイトしていた。
ルキアはよく店に入ってきては、ソフトドリンクだけ注文して一護をボケーっと眺めている。
「お前、俺のこと好きだもんな?」
「た、たわけ、そんなこと」
「ない?」
「ないわけは‥‥‥ない。好きだ」
「素直なルキアってなんかちょっとこえぇな」
「たわけ!何を言わせるのだ!」
ルキアは真っ赤になって抗議する。一護はルキアの頭をぐしゃぐしゃに撫でる。
「俺も好きだぜ、ルキア」
「い、一護。ここは町中だ」
「じゃあ、続きはアパートに戻ってからな?」
ルキアは、小さくコクンと頷く。
顔は真っ赤だ。
「白玉餡蜜のやつ買ったから、夕飯の後に作ってやるよ」
「やはり、私は貴様が大好きだ、一護!」
ルキアは、一護に抱きつく。
「荷物あるから、あんまくっつくな」
「むう」
ルキアは少々不満げだが、アパートにつくまでの道のりを、一護と歩いていく。
買ってもらったアメジストのネックレスは、ルキアの首に輝いている。
「それにしても、よく2か月も滞在許されたな?」
「この区域は強力な虚が出るからな。退治ついでだ」
「んで、俺のアパートに転がり込んできたと」
「悪いか!」
「いや?俺は大歓迎だぜ?お前のこと、好きだからな、ルキア」
お互い、告白は高校時代に済ませていた。
ルキアは死神ということもあり、会える時間は限られていたが、付き合っていた。
一護は井上の告白を断り、ルキアは恋次の告白を断った。
お互い、もう戻れないと分かっていた。
人と死神。寿命が違う。
それでも、好きになってしまったものは仕方ない。
ルキアがちょくちょく現世にいくものだから、京楽総隊長が一護と会えるように2か月の現世滞在を許してくれた。
「京楽総隊長に感謝せねば」
「今度、俺も尸魂界に行く」
「何をしにだ?」
「白哉に、妹さんをくださいって言わないとな」
「ぶばっ」
ルキアは、飲みかけのお茶を吹き出す。
「兄様には、貴様とのことを内密にしておるのだ」
「あ~。千本桜抜かれるかなぁ。まぁ、なんとかなるだろ」
「兄様には、事前に私から正式に付き合っていると言っておく」
「そうか。なら、千本桜抜かれることはねぇかもな」
ルキアは白哉を思う。
ここまで、大切にしてくれた。誰よりも敬愛している。
「兄様は、恋次と私が結婚してほしかったらしい」
「そりゃ、信用ある副官で家族的な恋次に任せれば安心だろうからな」
「でも、私は恋次をふった」
「恋次をふったっていう翌日、恋次の奴俺のところに現れて暴れてたな」
「す、すまぬ」
ルキアが謝る。
「お前のせいじゃないだろ。まぁ、恋次はルキアが俺と付き合ってるって知らなかったみたいだけど」
「はぁ。お前が本当の死神なら、なんの問題もないのにな」
「そうだと、出会いすらなかったってことだぞ?」
「そ、それは嫌だ!」
一護は、ルキアの手を握って、アパートまので帰り道を歩いていく。
一護の髪と同じ色の夕焼けが綺麗だった。
「幸せにするから‥‥‥」
「う、うむ‥‥」
お互い、赤くなったが夕焼けのおかげで見えなくてよかったと思うのであった。
それに気づいた一護が、財布の中身とショーウィンドウの中のネックレスの値札を見る。
「ルキア、買ってやるよ」
「ななななな、だ、誰も欲しいなどと思っておらぬ」
「そうか?すっごいキラキラした目で見つめてたけどな?」
「これくらい、自分の金で買える」
「それじゃあプレゼントになんねぇだろ」
一護は、優しく笑って店員さんを呼ぶと、アメジストのネックレスを購入した。
「き、貴様の懐が寒くなったのではないか?」
「ちょっとだけな。バイトちょっと増やせば問題ない」
ルキアは、長期現世滞在許可をもらって、現世の一護のアパートに転がり込んでいた。
一護は今大学2年生だ。学業もがんばっているが、バイトもがんばっていた。
将来黒崎医院を継ぐ気はなく、翻訳家になる夢があった。できればドイツ語で。
「ルキアが現世にきて1週間か。早いな」
「2カ月は、こちらにいられるぞ」
「13番隊大丈夫なのかよ」
「大丈夫に決まっておろう」
「へいへい」
一護は、ルキアを連れてスーパーに入る。
今日はルキアを町に案内していた日だった。一護が住んでいる町は、空座町から大分離れていて、ルキアもくるのは初めてだった。
「それにしても、なぜ実家を出たのだ。大学は実家からのほうが近いのではないのか?」
「あー、まぁそうなんだけど、バイト先が今のアパートからのほうが近いから」
一護は、飲食店でバイトしていた。
ルキアはよく店に入ってきては、ソフトドリンクだけ注文して一護をボケーっと眺めている。
「お前、俺のこと好きだもんな?」
「た、たわけ、そんなこと」
「ない?」
「ないわけは‥‥‥ない。好きだ」
「素直なルキアってなんかちょっとこえぇな」
「たわけ!何を言わせるのだ!」
ルキアは真っ赤になって抗議する。一護はルキアの頭をぐしゃぐしゃに撫でる。
「俺も好きだぜ、ルキア」
「い、一護。ここは町中だ」
「じゃあ、続きはアパートに戻ってからな?」
ルキアは、小さくコクンと頷く。
顔は真っ赤だ。
「白玉餡蜜のやつ買ったから、夕飯の後に作ってやるよ」
「やはり、私は貴様が大好きだ、一護!」
ルキアは、一護に抱きつく。
「荷物あるから、あんまくっつくな」
「むう」
ルキアは少々不満げだが、アパートにつくまでの道のりを、一護と歩いていく。
買ってもらったアメジストのネックレスは、ルキアの首に輝いている。
「それにしても、よく2か月も滞在許されたな?」
「この区域は強力な虚が出るからな。退治ついでだ」
「んで、俺のアパートに転がり込んできたと」
「悪いか!」
「いや?俺は大歓迎だぜ?お前のこと、好きだからな、ルキア」
お互い、告白は高校時代に済ませていた。
ルキアは死神ということもあり、会える時間は限られていたが、付き合っていた。
一護は井上の告白を断り、ルキアは恋次の告白を断った。
お互い、もう戻れないと分かっていた。
人と死神。寿命が違う。
それでも、好きになってしまったものは仕方ない。
ルキアがちょくちょく現世にいくものだから、京楽総隊長が一護と会えるように2か月の現世滞在を許してくれた。
「京楽総隊長に感謝せねば」
「今度、俺も尸魂界に行く」
「何をしにだ?」
「白哉に、妹さんをくださいって言わないとな」
「ぶばっ」
ルキアは、飲みかけのお茶を吹き出す。
「兄様には、貴様とのことを内密にしておるのだ」
「あ~。千本桜抜かれるかなぁ。まぁ、なんとかなるだろ」
「兄様には、事前に私から正式に付き合っていると言っておく」
「そうか。なら、千本桜抜かれることはねぇかもな」
ルキアは白哉を思う。
ここまで、大切にしてくれた。誰よりも敬愛している。
「兄様は、恋次と私が結婚してほしかったらしい」
「そりゃ、信用ある副官で家族的な恋次に任せれば安心だろうからな」
「でも、私は恋次をふった」
「恋次をふったっていう翌日、恋次の奴俺のところに現れて暴れてたな」
「す、すまぬ」
ルキアが謝る。
「お前のせいじゃないだろ。まぁ、恋次はルキアが俺と付き合ってるって知らなかったみたいだけど」
「はぁ。お前が本当の死神なら、なんの問題もないのにな」
「そうだと、出会いすらなかったってことだぞ?」
「そ、それは嫌だ!」
一護は、ルキアの手を握って、アパートまので帰り道を歩いていく。
一護の髪と同じ色の夕焼けが綺麗だった。
「幸せにするから‥‥‥」
「う、うむ‥‥」
お互い、赤くなったが夕焼けのおかげで見えなくてよかったと思うのであった。
魔王と勇者と33
フェンリルの浮竹と、魔神の京楽が、浮竹と京楽のいる魔王城にやってきた。
手には何やら荷物をもって。
『勇者の俺!フェンリルの姿で抜け落ちた毛を集めて、クッションを作ってみたんだ!』
フェンリルの浮竹は、尻尾をぶんぶん振って、クッションを手渡してくる。
「ふかふかだな」
『そうだろう』
「よし、俺もクッション作ってみるか」
『え、いいのか?お前の羽はそうそう抜け落ちないのだろう?』
「そろそろ羽の交換を考えていた頃だ。羽毛のクッションなら、そこそこいいのが作れるだろう」
浮竹は、12枚の翼を広げて、羽毛を新しいものに変える。
『うわぁ、羽毛がいっぱいだぁ。とびこんでいいか?』
「羽毛まみれになるぞ?」
『浮竹、ほどほどにね』
魔神の京楽にそう言われたが、羽毛の海にフェンリルの浮竹は頭からつっこむ。
「浮竹、ちょっといきなり全部の羽を入れ替えることないんじゃないの?クッション以外も作れそうな量だけど」
京楽は、浮竹の抜けた羽を手にとる。
ふわふわだった。
「せっかくだから、羽毛布団も作ろうと思ってな」
『勇者の俺、羽毛がふかふかで止まらないいいい』
羽毛の山にダイビングしているフェンリルの浮竹を助け起こし、浮竹は魔法で羽毛をクッションと羽毛布団の中身にしてしまった。
『むう、もう少し羽毛で埋もれたかったのに』
『浮竹、無理いわないの』
魔神の京楽が、フェンリルの浮竹の頭を撫でる。
『そのクッションと羽毛布団はもらってもいいのか?』
「ああ、かまわない。エトナの力は抜いてあるから、ただの羽毛クッションと羽毛布団だ」
「浮竹、羽のいれかえって一気にするんだね」
「そうだぞ。俺の羽にはエトナの力が宿っているから、抜け落ちでもしたら大変だ。一定期間たつと、エトナの力を失って全部抜け替わるようにしている」
「翼が12枚もあるからねぇ」
結局、クッションは4つと羽毛布団は2つできた。
『羽毛布団、2つとももらっていいのか?』
「ああ、いいぞ」
『浮竹、お礼言わなきゃ』
『あ、そうだな。ありがとう、勇者の俺!』
浮竹は苦笑する。
「ただ、羽毛を変えたかっただけで、その副産物だから気にするな」
フェンリルの浮竹は、アイテムポケットに羽毛のクッション2つと羽毛布団を2ついれた。
残りの2つのクッションは京楽と浮竹の分だ。
「我ながら、ふかふかだな。フェンリルの俺のクッションもふかふかだ」
『へへへ、ただ抜け落ちるのはもったいないと思ってな』
「毛皮‥‥‥」
『だ、だめだぞ!?いくら勇者の俺でも、俺の毛皮はあげられないからな!』
「言ってみただけだ」
浮竹は、フェンリルの浮竹の怯えように首を横にふる。
フェンリルの浮竹は、羽毛クッションをアイテムポケットから取り出して、早速使ってみた。
『羽毛のクッションと布団、ありがとうな?』
「べ、別に喜んでほしいから作ったんじゃないからな!」
「ツンデレだ」
『ほんとだ、ツンデレだ』
『素直じゃないねぇ』
「う、うるさい。ほっとけ!」
浮竹は赤くなって照れる。
「今日のお茶は抹茶だよ。茶菓子はたい焼き」
「たい焼き‥‥東の島国のものだな」
『中に何か入っているな!甘くておいしいぞ!』
「あんこといって、東の島国で主に使われている甘味料だよ」
『うまいな!それにこの抹茶というお茶、ちょっと苦いけどおいしい』
フェンリルの浮竹は、たい焼きのおかわりを要求する。
『浮竹、ほどほどにね?夕飯も近いんだから』
『甘いものは別腹だ』
『言うと思ったよ』
魔神の京楽も、たい焼きを食べて抹茶を飲む。
『この茶葉、よければもらえないかな』
「いいぞ。これだ」
「魔神のボク、抹茶気に入ったの?」
京楽が訊ねる。
『うん。少し苦いけど、この味好きだね』
『ああ、忘れてた。勇者の俺、ダージリンの最高級の茶葉が手に入ったんだ。やる』
「すまん、ありがとう」
『えへへへへ。いつも世話になってる勇者の俺に、プレゼントだ!』
フェンリルの浮竹は、尻尾をぶんぶん振って、夕飯に用意されたフルコースのメニューを平らげていく。
『いつ食べても、魔王城の食事はうまいな!』
「おかわりあるから、遠慮せずに食べてね」
京楽がそう言うと、フェンリルの浮竹は5回おかわりをした。
『浮竹、ほどほどにね?』
『むう、うまいからもっと食いたいのに』
『魔王城のシェフを困らせちゃだめだよ?』
『分かった』
材料がそこをつきかけていたので、6回目のおかわりを諦めたフェンリルの浮竹に、京楽も浮竹も安堵するのであった。
手には何やら荷物をもって。
『勇者の俺!フェンリルの姿で抜け落ちた毛を集めて、クッションを作ってみたんだ!』
フェンリルの浮竹は、尻尾をぶんぶん振って、クッションを手渡してくる。
「ふかふかだな」
『そうだろう』
「よし、俺もクッション作ってみるか」
『え、いいのか?お前の羽はそうそう抜け落ちないのだろう?』
「そろそろ羽の交換を考えていた頃だ。羽毛のクッションなら、そこそこいいのが作れるだろう」
浮竹は、12枚の翼を広げて、羽毛を新しいものに変える。
『うわぁ、羽毛がいっぱいだぁ。とびこんでいいか?』
「羽毛まみれになるぞ?」
『浮竹、ほどほどにね』
魔神の京楽にそう言われたが、羽毛の海にフェンリルの浮竹は頭からつっこむ。
「浮竹、ちょっといきなり全部の羽を入れ替えることないんじゃないの?クッション以外も作れそうな量だけど」
京楽は、浮竹の抜けた羽を手にとる。
ふわふわだった。
「せっかくだから、羽毛布団も作ろうと思ってな」
『勇者の俺、羽毛がふかふかで止まらないいいい』
羽毛の山にダイビングしているフェンリルの浮竹を助け起こし、浮竹は魔法で羽毛をクッションと羽毛布団の中身にしてしまった。
『むう、もう少し羽毛で埋もれたかったのに』
『浮竹、無理いわないの』
魔神の京楽が、フェンリルの浮竹の頭を撫でる。
『そのクッションと羽毛布団はもらってもいいのか?』
「ああ、かまわない。エトナの力は抜いてあるから、ただの羽毛クッションと羽毛布団だ」
「浮竹、羽のいれかえって一気にするんだね」
「そうだぞ。俺の羽にはエトナの力が宿っているから、抜け落ちでもしたら大変だ。一定期間たつと、エトナの力を失って全部抜け替わるようにしている」
「翼が12枚もあるからねぇ」
結局、クッションは4つと羽毛布団は2つできた。
『羽毛布団、2つとももらっていいのか?』
「ああ、いいぞ」
『浮竹、お礼言わなきゃ』
『あ、そうだな。ありがとう、勇者の俺!』
浮竹は苦笑する。
「ただ、羽毛を変えたかっただけで、その副産物だから気にするな」
フェンリルの浮竹は、アイテムポケットに羽毛のクッション2つと羽毛布団を2ついれた。
残りの2つのクッションは京楽と浮竹の分だ。
「我ながら、ふかふかだな。フェンリルの俺のクッションもふかふかだ」
『へへへ、ただ抜け落ちるのはもったいないと思ってな』
「毛皮‥‥‥」
『だ、だめだぞ!?いくら勇者の俺でも、俺の毛皮はあげられないからな!』
「言ってみただけだ」
浮竹は、フェンリルの浮竹の怯えように首を横にふる。
フェンリルの浮竹は、羽毛クッションをアイテムポケットから取り出して、早速使ってみた。
『羽毛のクッションと布団、ありがとうな?』
「べ、別に喜んでほしいから作ったんじゃないからな!」
「ツンデレだ」
『ほんとだ、ツンデレだ』
『素直じゃないねぇ』
「う、うるさい。ほっとけ!」
浮竹は赤くなって照れる。
「今日のお茶は抹茶だよ。茶菓子はたい焼き」
「たい焼き‥‥東の島国のものだな」
『中に何か入っているな!甘くておいしいぞ!』
「あんこといって、東の島国で主に使われている甘味料だよ」
『うまいな!それにこの抹茶というお茶、ちょっと苦いけどおいしい』
フェンリルの浮竹は、たい焼きのおかわりを要求する。
『浮竹、ほどほどにね?夕飯も近いんだから』
『甘いものは別腹だ』
『言うと思ったよ』
魔神の京楽も、たい焼きを食べて抹茶を飲む。
『この茶葉、よければもらえないかな』
「いいぞ。これだ」
「魔神のボク、抹茶気に入ったの?」
京楽が訊ねる。
『うん。少し苦いけど、この味好きだね』
『ああ、忘れてた。勇者の俺、ダージリンの最高級の茶葉が手に入ったんだ。やる』
「すまん、ありがとう」
『えへへへへ。いつも世話になってる勇者の俺に、プレゼントだ!』
フェンリルの浮竹は、尻尾をぶんぶん振って、夕飯に用意されたフルコースのメニューを平らげていく。
『いつ食べても、魔王城の食事はうまいな!』
「おかわりあるから、遠慮せずに食べてね」
京楽がそう言うと、フェンリルの浮竹は5回おかわりをした。
『浮竹、ほどほどにね?』
『むう、うまいからもっと食いたいのに』
『魔王城のシェフを困らせちゃだめだよ?』
『分かった』
材料がそこをつきかけていたので、6回目のおかわりを諦めたフェンリルの浮竹に、京楽も浮竹も安堵するのであった。
記憶
恋次が遠征で虚にやられ、傷を負った。
その言葉を聞いた白哉は、居ても立っても居られず、恋次を迎えにいった。
「恋次」
「誰っすか。隊長羽織着てるから、隊長みたいだけど‥‥ああ、6番隊の隊長さんですか。すんません、俺、虚にやられて今記憶がすっぽぬけてるんす。学院時代の記憶までしかないんです」
「‥‥‥‥恋次。真か?」
「嘘ついてどうなるんすか」
周囲の隊士から、自分たちの上官で、ルキアの義兄と聞いて、恋次は驚く。
「ルキアのこと、幸せにしてやってください。ルキアとのことは覚えてるんすよね」
白哉は、恋次を連れて4番隊に行った。
記憶喪失は一時的なもので、しばらくすれば治るとのことだった。
「兄は、私のことを忘れるとは、いい度胸だ」
「す、すんません。俺と隊長は、その、仲がよかったんすか?」
「仲がよいもなにも、恋仲だ」
「はぁ!?」
恋次は驚く。
「いやいやいや。あんた綺麗だし、男にしておくのはもったいないけど、だからって俺が上司を好きになるなんて‥‥‥‥」
「これは、兄からもらったものだ」
白哉は、銀細工のブレスレットを見せる。
恋次の右手首にも、同じブレスレットがあった。
「俺‥‥‥まじで、あんたのこと好きなんすか」
「確かめるか?」
白哉は、別邸に恋次を連れて行き、キスをする。
「あ‥‥隊長、おぼろげだけど思い出しはじめました。もっとしてください」
「仕方あるあい」
白哉は恋次を押し倒し、口づける。
恋次は白哉の隊長羽織と死覇装を脱がしていく。
「恋次、記憶が戻らぬのにするつもりか」
「いや、もうほとんど戻ってるっす。ただ、隊長が積極的だから俺も止まらない」
恋次の手は、白哉の肌を愛撫する。
「あっ」
「隊長、かわいい。もっと乱れてください」
「恋次、恋次」
「はい、ここにいます」
「私を忘れるな」
「もう思い出してます。二度と忘れません」
その日、恋次は白哉を抱いた。
次の日になると、恋次はまた記憶を失っていた。
「恋次」
「隊長さんですか?」
「なぜだ、恋次。なぜ、私のことを忘れる」
白哉はとても悲しそうな顔をする。
「4番隊で検査してもらったんすけど、しばらくの間記憶を突然失ったりするかもしれないって」
「昨日のことも忘れたのか、恋次」
「え、あ、すんません。俺と隊長は、その、恋仲ってやつだって聞きました。覚えてなくてすんません」
「兄が何度忘れようとも、私は兄を愛している」
「隊長‥‥‥」
恋次は、上官と恋仲だと知って驚きはしたが、自分が白哉に恋しているのは納得がいった。
「また、忘れてしまうかもしれませんが‥‥好きです、隊長」
「忘れるなら、何度でも思い出させてやろう」
白哉は恋次口づける。
その日も、恋次は白哉を抱いた。
「隊長!記憶が元に戻りました!今までのこと、全部思い出しました!」
「兄が、私のことを忘れないと言って抱いて、また記憶を失っていたこともか?」
「う、それについてはすんません。何分、俺も忘れたくて忘れたんじゃないので」
「虚などにやられる兄に問題があるのだ」
白夜の言葉に、恋次がうなる。
「うぐぐぐ」
「何はともあれ、愛している、恋次。記憶が戻ってよかった」
「隊長‥‥‥‥」
「抱かせてはやらぬぞ。2日連続で抱かれたのだ。しばらくお預けだ」
「ええええ、そんなぁ」
恋次は大型犬のようにしゅんとなる。
「キスとハグまでなら、許す」
恋次は、尻尾をぶんぶん振っているように見えた。
「大好きです、隊長!」
思い切り抱きしめられてキスをされて、白哉は淡く微笑む。
「兄は、私のものだ」
「はい、隊長のものです」
記憶の消失はなくなり、恋次は元に戻った。白哉はそれを喜んだ。
「恋次、もう記憶を失うような無様な真似をするな」
「すんません」
「兄が記憶を失って、私のことを忘れたと聞いて気が気ではなかった」
「すんません。返す言葉もないっす」
「兄は私ものだ。今後、虚ごときにやられたら、抱かせてやらぬからな」
「ぬおお、もう虚になんてやられません!」
恋次は、白哉にキスをして、抱きしめる。
華奢な白哉は、美しい顔(かんばせ)で微笑む。
「約束だぞ、恋次」
「はい。約束します」
それから、恋次が遠征で虚にやられることはなかった。白哉を抱けないということを忘れずに、弱い虚でも全力で立ち向かった。
「隊長、愛してます」
「私も兄を愛している、恋次」
上官と副官という仲をこえて、愛しあう二人は、静かに寄り添い合うのだった。
その言葉を聞いた白哉は、居ても立っても居られず、恋次を迎えにいった。
「恋次」
「誰っすか。隊長羽織着てるから、隊長みたいだけど‥‥ああ、6番隊の隊長さんですか。すんません、俺、虚にやられて今記憶がすっぽぬけてるんす。学院時代の記憶までしかないんです」
「‥‥‥‥恋次。真か?」
「嘘ついてどうなるんすか」
周囲の隊士から、自分たちの上官で、ルキアの義兄と聞いて、恋次は驚く。
「ルキアのこと、幸せにしてやってください。ルキアとのことは覚えてるんすよね」
白哉は、恋次を連れて4番隊に行った。
記憶喪失は一時的なもので、しばらくすれば治るとのことだった。
「兄は、私のことを忘れるとは、いい度胸だ」
「す、すんません。俺と隊長は、その、仲がよかったんすか?」
「仲がよいもなにも、恋仲だ」
「はぁ!?」
恋次は驚く。
「いやいやいや。あんた綺麗だし、男にしておくのはもったいないけど、だからって俺が上司を好きになるなんて‥‥‥‥」
「これは、兄からもらったものだ」
白哉は、銀細工のブレスレットを見せる。
恋次の右手首にも、同じブレスレットがあった。
「俺‥‥‥まじで、あんたのこと好きなんすか」
「確かめるか?」
白哉は、別邸に恋次を連れて行き、キスをする。
「あ‥‥隊長、おぼろげだけど思い出しはじめました。もっとしてください」
「仕方あるあい」
白哉は恋次を押し倒し、口づける。
恋次は白哉の隊長羽織と死覇装を脱がしていく。
「恋次、記憶が戻らぬのにするつもりか」
「いや、もうほとんど戻ってるっす。ただ、隊長が積極的だから俺も止まらない」
恋次の手は、白哉の肌を愛撫する。
「あっ」
「隊長、かわいい。もっと乱れてください」
「恋次、恋次」
「はい、ここにいます」
「私を忘れるな」
「もう思い出してます。二度と忘れません」
その日、恋次は白哉を抱いた。
次の日になると、恋次はまた記憶を失っていた。
「恋次」
「隊長さんですか?」
「なぜだ、恋次。なぜ、私のことを忘れる」
白哉はとても悲しそうな顔をする。
「4番隊で検査してもらったんすけど、しばらくの間記憶を突然失ったりするかもしれないって」
「昨日のことも忘れたのか、恋次」
「え、あ、すんません。俺と隊長は、その、恋仲ってやつだって聞きました。覚えてなくてすんません」
「兄が何度忘れようとも、私は兄を愛している」
「隊長‥‥‥」
恋次は、上官と恋仲だと知って驚きはしたが、自分が白哉に恋しているのは納得がいった。
「また、忘れてしまうかもしれませんが‥‥好きです、隊長」
「忘れるなら、何度でも思い出させてやろう」
白哉は恋次口づける。
その日も、恋次は白哉を抱いた。
「隊長!記憶が元に戻りました!今までのこと、全部思い出しました!」
「兄が、私のことを忘れないと言って抱いて、また記憶を失っていたこともか?」
「う、それについてはすんません。何分、俺も忘れたくて忘れたんじゃないので」
「虚などにやられる兄に問題があるのだ」
白夜の言葉に、恋次がうなる。
「うぐぐぐ」
「何はともあれ、愛している、恋次。記憶が戻ってよかった」
「隊長‥‥‥‥」
「抱かせてはやらぬぞ。2日連続で抱かれたのだ。しばらくお預けだ」
「ええええ、そんなぁ」
恋次は大型犬のようにしゅんとなる。
「キスとハグまでなら、許す」
恋次は、尻尾をぶんぶん振っているように見えた。
「大好きです、隊長!」
思い切り抱きしめられてキスをされて、白哉は淡く微笑む。
「兄は、私のものだ」
「はい、隊長のものです」
記憶の消失はなくなり、恋次は元に戻った。白哉はそれを喜んだ。
「恋次、もう記憶を失うような無様な真似をするな」
「すんません」
「兄が記憶を失って、私のことを忘れたと聞いて気が気ではなかった」
「すんません。返す言葉もないっす」
「兄は私ものだ。今後、虚ごときにやられたら、抱かせてやらぬからな」
「ぬおお、もう虚になんてやられません!」
恋次は、白哉にキスをして、抱きしめる。
華奢な白哉は、美しい顔(かんばせ)で微笑む。
「約束だぞ、恋次」
「はい。約束します」
それから、恋次が遠征で虚にやられることはなかった。白哉を抱けないということを忘れずに、弱い虚でも全力で立ち向かった。
「隊長、愛してます」
「私も兄を愛している、恋次」
上官と副官という仲をこえて、愛しあう二人は、静かに寄り添い合うのだった。
眠り
「浮竹、起きてるかい?」
「寝てる」
京楽は、クスっと笑う。
「やっぱり起きてた」
「明日は隊首会だ。寝ろ」
「それが、眠くないんだよねぇ」
「昼間、昼寝をたくさんするからだ」
浮竹はごろりと寝がえりをうつ。
「君も同じように寝てたじゃないの」
「俺は寝れるぞ。入院した時なんて寝ることくらいしかすることないしな」
京楽は、その日雨乾堂に泊まっていた。
同じ布団で寝るには狭すぎるので、布団は二組。
「ねぇ、ちょっとだけ‥‥…」
「どこを触ってるんだ!盛るな!怒るぞ!」
浮竹が本気で怒りそうなので、京楽もおとなしくなる。
「ああ、眠れない時間ってひまだよね」
「羊でも数えてろ。俺は寝る」
「羊が1040匹‥‥‥おおい、浮竹」
返事はない。
「羊が1041匹‥‥‥全然眠れない。夜の散歩でもしてくるかな」
京楽は、すうすうと静かに眠る浮竹の頭を撫でて、外に出る。
「ああ、月が綺麗だね」
京楽は、酒瓶をもちだして一人で飲んだ。
でも、睡魔は訪れず、結局朝方まで眠れなかった。
「おい、京楽起きろ!隊首会の時間だぞ!」
「うーん、あと10分‥‥‥」
「遅刻して、先生に尻に火をつけられても知らないからな」
浮竹は、全然起きない京楽をほうりだして隊首会に向かう。
結局京楽は遅刻しまくって、山じいに尻に火をつけられるのであった。
「寝てる」
京楽は、クスっと笑う。
「やっぱり起きてた」
「明日は隊首会だ。寝ろ」
「それが、眠くないんだよねぇ」
「昼間、昼寝をたくさんするからだ」
浮竹はごろりと寝がえりをうつ。
「君も同じように寝てたじゃないの」
「俺は寝れるぞ。入院した時なんて寝ることくらいしかすることないしな」
京楽は、その日雨乾堂に泊まっていた。
同じ布団で寝るには狭すぎるので、布団は二組。
「ねぇ、ちょっとだけ‥‥…」
「どこを触ってるんだ!盛るな!怒るぞ!」
浮竹が本気で怒りそうなので、京楽もおとなしくなる。
「ああ、眠れない時間ってひまだよね」
「羊でも数えてろ。俺は寝る」
「羊が1040匹‥‥‥おおい、浮竹」
返事はない。
「羊が1041匹‥‥‥全然眠れない。夜の散歩でもしてくるかな」
京楽は、すうすうと静かに眠る浮竹の頭を撫でて、外に出る。
「ああ、月が綺麗だね」
京楽は、酒瓶をもちだして一人で飲んだ。
でも、睡魔は訪れず、結局朝方まで眠れなかった。
「おい、京楽起きろ!隊首会の時間だぞ!」
「うーん、あと10分‥‥‥」
「遅刻して、先生に尻に火をつけられても知らないからな」
浮竹は、全然起きない京楽をほうりだして隊首会に向かう。
結局京楽は遅刻しまくって、山じいに尻に火をつけられるのであった。
温もり
ただのお泊りのはずであったのだ。
だが肌寒い季節、恋次と一緒の部屋で寝ると決めた白哉は、別々の布団で寝ていたのだが、白哉が恋次の布団の中に入り込んできて、恋次は目を覚ました。
「隊長?」
返事はない。
かわりに、抱き寄せられる。
「隊長‥‥‥?」
「寒い‥‥」
半分覚醒しながら半分寝ていた。
恋次を抱き寄せて、その体温の温かさで白哉はまた眠ってしまった。
「ぬおおお、蛇の生殺し状態いいいいい」
恋次も寝ようとしたが、白哉の綺麗な顔(かんばせ)と艶のある長い黒髪といい匂いに、寝ようにも寝れない。
「隊長、我慢の限界っす!」
恋次は、白哉を抱きしめてキスをした。
ぼんやりと覚醒した白哉は。
「湯たんぽ代わりは黙って寝ていろ」
と言って、また眠ってしまった。
「隊長おおおおお」
恋次は、結局それから一睡もできなかった。
次の日。
白哉は、夜の自分の言動を覚えていなくて、恋次が白哉を抱きしめていたのでとりあえず殴った。
「隊長、酷いっす。俺を湯たんぽ代わりにしたり」
「私はそのようなことはせぬ」
そう言って、布団を片付けようとする。
「すんません、隊長のせいで全然寝れてないんで、3時間ばかり仮眠させてください」
「軟弱者め」
「隊長のせいですからね!」
「私は何もしていない」
その唇を唇でふさいでいやると、白哉はやや赤くなって恋次から離れる。
「寝るなら好きにせよ。兄といく予定の買いものであったが、ルキアと一緒に行く」
「あああああああ!約束してたんだったああああ」
恋次は、結局仮眠を諦めて白哉と行動を共にする。
駄菓子屋により、わかめ大使がちゃんと売られているのを確認してから、次の遠征で個人的に必要なものを商店街に入り、いろんな店によっては買っていく。
支払いは全て白哉もちだ。
「あ、新作のゴーグルでてやがる‥‥‥‥」
「たまには兄との買い物もいいな。楽しませてくれた礼だ。買ってやる」
「えええ、でもめちゃくちゃ高いっすよ」
「安いであろう。たかが40万環だ」
つまりは40万円。
やっぱり白哉の金銭感覚は普通と違うと思いながらも、何気に新作ゴーグルを買ってもらう恋次であった。
白哉との買い物は、恋次はデートだと思っているが、白哉はそうは全然思っていないことは、買い物が終わってから分かるのあった。
だが肌寒い季節、恋次と一緒の部屋で寝ると決めた白哉は、別々の布団で寝ていたのだが、白哉が恋次の布団の中に入り込んできて、恋次は目を覚ました。
「隊長?」
返事はない。
かわりに、抱き寄せられる。
「隊長‥‥‥?」
「寒い‥‥」
半分覚醒しながら半分寝ていた。
恋次を抱き寄せて、その体温の温かさで白哉はまた眠ってしまった。
「ぬおおお、蛇の生殺し状態いいいいい」
恋次も寝ようとしたが、白哉の綺麗な顔(かんばせ)と艶のある長い黒髪といい匂いに、寝ようにも寝れない。
「隊長、我慢の限界っす!」
恋次は、白哉を抱きしめてキスをした。
ぼんやりと覚醒した白哉は。
「湯たんぽ代わりは黙って寝ていろ」
と言って、また眠ってしまった。
「隊長おおおおお」
恋次は、結局それから一睡もできなかった。
次の日。
白哉は、夜の自分の言動を覚えていなくて、恋次が白哉を抱きしめていたのでとりあえず殴った。
「隊長、酷いっす。俺を湯たんぽ代わりにしたり」
「私はそのようなことはせぬ」
そう言って、布団を片付けようとする。
「すんません、隊長のせいで全然寝れてないんで、3時間ばかり仮眠させてください」
「軟弱者め」
「隊長のせいですからね!」
「私は何もしていない」
その唇を唇でふさいでいやると、白哉はやや赤くなって恋次から離れる。
「寝るなら好きにせよ。兄といく予定の買いものであったが、ルキアと一緒に行く」
「あああああああ!約束してたんだったああああ」
恋次は、結局仮眠を諦めて白哉と行動を共にする。
駄菓子屋により、わかめ大使がちゃんと売られているのを確認してから、次の遠征で個人的に必要なものを商店街に入り、いろんな店によっては買っていく。
支払いは全て白哉もちだ。
「あ、新作のゴーグルでてやがる‥‥‥‥」
「たまには兄との買い物もいいな。楽しませてくれた礼だ。買ってやる」
「えええ、でもめちゃくちゃ高いっすよ」
「安いであろう。たかが40万環だ」
つまりは40万円。
やっぱり白哉の金銭感覚は普通と違うと思いながらも、何気に新作ゴーグルを買ってもらう恋次であった。
白哉との買い物は、恋次はデートだと思っているが、白哉はそうは全然思っていないことは、買い物が終わってから分かるのあった。
魔王と勇者と32
ひょんなことから、フェンリルの浮竹と浮竹を一日だけ交換することになった。京楽が言い出したのが原因だった。
魔神の京楽の元にいった浮竹は、つまれた洗濯物の山を見て固まる。
「俺は料理が少しできるくらいで、掃除洗濯はできないんだが」
『まぁものはためしでやってごらんよ』
魔神の京楽にそう言われて、とりあえず掃除をしてみるが、掃除する前とした後では、した後のほうがちらかっていた。
「え、エトナの光たちよ!」
浮竹は、エトナの力で人形を作りだし、それに掃除をさせる。
今度は綺麗に片付いた。
『ふふ、掃除洗濯苦手なんだね』
「魔王城にはメイドがたくさんいるから、仕事を奪うことになるから洗濯と掃除はあえてしていないんだ」
『へぇ、そうなの。で、そのエトナの力で洗濯もするの?』
「ああ。ルール違反か?」
『ううん。君の能力でやってるってことは、つまりは君がしているってことだから、合格だよ』
合格も不合格も最初からないのだが、浮竹はエトナの力を使って洗濯も終わらせて、夕飯作りにとりかかる。
「カレーでいいよな?」
『なんでもいいよ』
「カレーくらいなら、俺でも作れるから‥‥‥‥」
結果、ちょっとというかかなり辛いカレーができてしまったのだが、魔神の京楽は文句も言わずに全て平らげてしまった。
『疲れたでしょ。お風呂わかしてあるから、入って寝ていいよ』
「すまん。あんまり家事ができなくて。俺はメイドじゃないからまぁ仕方ないんだが」
『うん。ボクも、エトナの力をかりたとはいえここまでできるとは思ってなかったよ』
魔神の京楽は、そう言って浮竹の頭を撫でた。
「今頃、フェンリルの俺はどうしてるんだろうな?」
『多分、メイドさんたちの仕事奪ってるんじゃないかな』
「まぁ、メイドさんたちには休暇になって、たまにはいいか」
一方の魔王城では。
フェンリルの浮竹が、てきぱきと広い城を掃除して、メイドさんの仕事を奪っていた。
「フェンリルの浮竹、適当でいいからね?メイドさんたちもいるんだし」
『一度雇われたからには、完璧にこなしてみせるぞ?』
洗濯ものをして干すと、ベッドメイクをする。
『夕食を作りたい。厨房を借りる』
厨房にいたシェフたちは、愛らしいフェンリルの浮竹に追い出されて、途方にくれていた。
『今日はビーフシチューだ。京楽が好きなんだ』
完成したビーフシチューはとても美味だった。
「おいしかったよ。ありがとう」
『後片付けしてくるな?』
「うん。ああ、みんな、今日は休暇だと思って仕事しなくていいからね。フェンリルの浮竹が何から何までしてくれるから」
その言葉に、メイドもシェフも安堵する。
でかい風呂に湯をはって、京楽が入るとその後でフェンリルの浮竹も入った。
何気に泳いだ。
風呂の湯をぬき、風呂場を掃除しおえて、干していた洗濯物を取り入れてたたんで、その日は終了した。
「浮竹の部屋で寝るかい?」
『いいのか?勇者の俺の部屋で寝てみたい!』
「うん、かまわないよ」
浮竹の部屋は、何気にでっかいテディベアがあったり、けっこうかわいい部屋だった。
『ふふ、ベッドがふかふかで、勇者の俺の匂いがする』
その日は疲れていたのか、フェンリルの浮竹はすぐに寝てしまった。
次の日になって、魔神の京楽のいる古城に浮竹を交換しにいく。
『君のところの浮竹、けっこうやるね』
「え、そうなの。てっきり家事全然できないと思ってたんだけど」
『正確には本人がしたわけじゃないけど、エトナの力を使ってなんとかしていたよ』
「浮竹‥‥‥」
「知らん。フェンリルの俺、ご苦労様」
『えへへへへ、魔王の京楽の城ぴかぴかにしといたぞ』
浮竹は、フェンリルの浮竹の頭を撫でる。
フェンリルの浮竹は嬉し気に尻尾をぶんぶん振っていた。
「ねぇ、浮竹」
「知らん。俺を交換したくなるようなやつは、知らん」
「ごめんよおおおおお。ほんのでき心だったんだよ!フェンリルの君がどう家事をしているのか見たくて」
「見れたよかったな」
つーんとした態度の浮竹は、フェンリルの浮竹の頭をまた撫でる。
『昨日は、勇者の俺の部屋に泊めてもらったんだ』
「俺の部屋か?」
『おっきいくまのぬいぐるみとかあって、かわいい部屋だった』
「そうか」
浮竹は恥ずかしくて少し照れながら、フェンリルの浮竹の尻尾をもふる。
「仕方ない。帰るぞ京楽」
「機嫌なおしてくれたの?」
「つーん」
「ああ、浮竹まってよおおおお」
浮竹は京楽を置いて、転移魔法で魔王城に戻ってしまう。
『楽しかったかい、浮竹?』
『ん、ああ!メイドさんたちには、掃除の仕方とか教えておいた。勇者の俺の部屋にあったテディベアいいなぁ』
『同じもの、買ってあげるよ』
『ほんとか!?わーい』
魔神の京楽とフェンリルの浮竹の仲は変わらない。
一方、京楽は浮竹の機嫌を元に戻すまでに、半日かかるのであった。
魔神の京楽の元にいった浮竹は、つまれた洗濯物の山を見て固まる。
「俺は料理が少しできるくらいで、掃除洗濯はできないんだが」
『まぁものはためしでやってごらんよ』
魔神の京楽にそう言われて、とりあえず掃除をしてみるが、掃除する前とした後では、した後のほうがちらかっていた。
「え、エトナの光たちよ!」
浮竹は、エトナの力で人形を作りだし、それに掃除をさせる。
今度は綺麗に片付いた。
『ふふ、掃除洗濯苦手なんだね』
「魔王城にはメイドがたくさんいるから、仕事を奪うことになるから洗濯と掃除はあえてしていないんだ」
『へぇ、そうなの。で、そのエトナの力で洗濯もするの?』
「ああ。ルール違反か?」
『ううん。君の能力でやってるってことは、つまりは君がしているってことだから、合格だよ』
合格も不合格も最初からないのだが、浮竹はエトナの力を使って洗濯も終わらせて、夕飯作りにとりかかる。
「カレーでいいよな?」
『なんでもいいよ』
「カレーくらいなら、俺でも作れるから‥‥‥‥」
結果、ちょっとというかかなり辛いカレーができてしまったのだが、魔神の京楽は文句も言わずに全て平らげてしまった。
『疲れたでしょ。お風呂わかしてあるから、入って寝ていいよ』
「すまん。あんまり家事ができなくて。俺はメイドじゃないからまぁ仕方ないんだが」
『うん。ボクも、エトナの力をかりたとはいえここまでできるとは思ってなかったよ』
魔神の京楽は、そう言って浮竹の頭を撫でた。
「今頃、フェンリルの俺はどうしてるんだろうな?」
『多分、メイドさんたちの仕事奪ってるんじゃないかな』
「まぁ、メイドさんたちには休暇になって、たまにはいいか」
一方の魔王城では。
フェンリルの浮竹が、てきぱきと広い城を掃除して、メイドさんの仕事を奪っていた。
「フェンリルの浮竹、適当でいいからね?メイドさんたちもいるんだし」
『一度雇われたからには、完璧にこなしてみせるぞ?』
洗濯ものをして干すと、ベッドメイクをする。
『夕食を作りたい。厨房を借りる』
厨房にいたシェフたちは、愛らしいフェンリルの浮竹に追い出されて、途方にくれていた。
『今日はビーフシチューだ。京楽が好きなんだ』
完成したビーフシチューはとても美味だった。
「おいしかったよ。ありがとう」
『後片付けしてくるな?』
「うん。ああ、みんな、今日は休暇だと思って仕事しなくていいからね。フェンリルの浮竹が何から何までしてくれるから」
その言葉に、メイドもシェフも安堵する。
でかい風呂に湯をはって、京楽が入るとその後でフェンリルの浮竹も入った。
何気に泳いだ。
風呂の湯をぬき、風呂場を掃除しおえて、干していた洗濯物を取り入れてたたんで、その日は終了した。
「浮竹の部屋で寝るかい?」
『いいのか?勇者の俺の部屋で寝てみたい!』
「うん、かまわないよ」
浮竹の部屋は、何気にでっかいテディベアがあったり、けっこうかわいい部屋だった。
『ふふ、ベッドがふかふかで、勇者の俺の匂いがする』
その日は疲れていたのか、フェンリルの浮竹はすぐに寝てしまった。
次の日になって、魔神の京楽のいる古城に浮竹を交換しにいく。
『君のところの浮竹、けっこうやるね』
「え、そうなの。てっきり家事全然できないと思ってたんだけど」
『正確には本人がしたわけじゃないけど、エトナの力を使ってなんとかしていたよ』
「浮竹‥‥‥」
「知らん。フェンリルの俺、ご苦労様」
『えへへへへ、魔王の京楽の城ぴかぴかにしといたぞ』
浮竹は、フェンリルの浮竹の頭を撫でる。
フェンリルの浮竹は嬉し気に尻尾をぶんぶん振っていた。
「ねぇ、浮竹」
「知らん。俺を交換したくなるようなやつは、知らん」
「ごめんよおおおおお。ほんのでき心だったんだよ!フェンリルの君がどう家事をしているのか見たくて」
「見れたよかったな」
つーんとした態度の浮竹は、フェンリルの浮竹の頭をまた撫でる。
『昨日は、勇者の俺の部屋に泊めてもらったんだ』
「俺の部屋か?」
『おっきいくまのぬいぐるみとかあって、かわいい部屋だった』
「そうか」
浮竹は恥ずかしくて少し照れながら、フェンリルの浮竹の尻尾をもふる。
「仕方ない。帰るぞ京楽」
「機嫌なおしてくれたの?」
「つーん」
「ああ、浮竹まってよおおおお」
浮竹は京楽を置いて、転移魔法で魔王城に戻ってしまう。
『楽しかったかい、浮竹?』
『ん、ああ!メイドさんたちには、掃除の仕方とか教えておいた。勇者の俺の部屋にあったテディベアいいなぁ』
『同じもの、買ってあげるよ』
『ほんとか!?わーい』
魔神の京楽とフェンリルの浮竹の仲は変わらない。
一方、京楽は浮竹の機嫌を元に戻すまでに、半日かかるのであった。
魔王と勇者と31
魔神の京楽とフェンリルの浮竹から、最上級品の結界石のネックレスをもらった。
光にあてると虹色の輝くそれは、浮竹を守ってくれる。
「これで、君は聖女教から守られる」
京楽は満足そうであった。
「聖女教といえば、藍染が行方をくらましたらしい。16代目聖女アナスタシアは醜い老婆になってしまい、急遽クローンの18代目聖女アナスタシアが聖女教のTOPになった」
「藍染のいなくなった聖女教は、放置しておくか壊滅させるべきか。どう思う?」
「放置でいいんじゃないのか。信者たちの洗脳もとかれたし、18代目聖女はまともな聖女だそうだ。傾きかけていた聖女教をなんとか形を保っていられるようにしたらしい」
「まぁ、聖女教そのものが悪いんじゃないからね。藍染が悪いのであって」
浮竹は、翼を広げて京楽を包み込む。
「聖女教への弾圧はそのままにしておくのか?」
「うん。藍染が戻ってくるかもしれないからね」
「そうか」
浮竹は、結界石のネックレスの石に触れる。
虹色の輝きが強くなる。
「君の聖なる力に呼応してるんだろうね」
「全く、こんな品を作れるものがいるとは‥‥‥」
「作った子に、お礼しておいたから」
「早いな」
「ケットシーの白哉くんらしいよ。勇者の白哉くんとは別人の」
「そうか」
浮竹は、今日はエトナ教の信徒に慈悲を与える日なので、エトナ教の神殿に向かおうとする。
「あ、今日はボクも行くから」
「心配しなくても、結界石のおかげで身の安全は保障されてるぞ?」
「エトナの子はボクの伴侶だってわかってもらうためにね?」
京楽は、悪戯っぽく笑った。
「おお、エトナの子だ。慈悲を」
「エトナの子の伴侶の魔王だ。魔王も心優しき方らしい」
「エトナの子と魔王は慈悲の力をもっておられる」
浮竹が京楽を連れているものだから、いつもより騒がしかった。
「これより、エトナの慈悲を与える。順番に並んでくれ」
「ああ、浮竹様。孫娘がはやり病にかかり、死にそうなのです。どうか、慈悲を」
老婆からはやり病の特徴をきいて、浮竹は自分の翼の羽を抜くと、それと一緒に煎じた薬を渡した。
「これを飲ませてやってくれ。俺の羽で、体全体をはらうようにしてくれ。はやり病も治るはずだ」
「浮竹様、ありがとうございます」
そんな様子を、京楽が見ていた。
「治癒能力は君のほうが上みたいだね」
「まぁ、エトナの子だからな」
「ボクも、癒しの力で患者を診るよ」
「ああ、ありがとう京楽」
浮竹の慈悲を求める者の行列が途切れる頃は、すっかり夕暮れになっていた。
「今日は遅いし、エトナ教の神殿に泊まっていこう。前々から、泊まるようにとすすめられていたし、ちょうどいい時間だしな」
「ボクは浮竹といれるなら、神殿でもどこでもいいよ」
神官に案内されて、浮竹のためにと用意されていた部屋に入る。
無駄に豪華だった。
「ベッドは広いな。一緒に寝るか」
「うん、そうだね」
「慈悲を与えすぎて、神の力が少し弱くなっている。こんな時、結界石があると安心できるな」
部屋で二人は夕飯をとり、備え付けられていた大きな風呂に入って、就寝する。
「浮竹、起きてる?」
「ん、なんだ?」
「エトナ教の子の浮竹は、本当に天使みたいで神々しかった」
「褒めすぎだ」
「ふふ、そうかな?」
「俺はあくまでエトナの代理だ。神じゃない」
「そうだね」
二人は、そのまま眠ってしまった。
次の日、朝食をとっていると、京楽が食べるのをやめた。
「どうしたんだ?」
「ボクの料理に、毒が入ってる」
「なんだと!おい、どういうことだ!!!」
猛烈に抗議して料理を作った者を問い詰めると、大神官の一人に魔王を亡き者にしてエトナの子を神殿でずっと暮らすように画策した者がいると判明した。
「罪は重いぞ」
「エトナの子が魔王などに束縛されるのが悪いのです!」
「お前から、大神官の地位を剥奪し、流刑処分とする」
「エトナの子よ!魔王などと慣れ親しみなさるな!まして伴侶などと」
「連れていけ」
浮竹は、他の神官たちに流刑にされる元大神官を連れていかせる。
「すまん、京楽。俺のせいで」
「いや、ボクが勝手についてきちゃったからね。魔王をまだ忌み嫌う者はいるし」
「エトナ教には魔王や魔族排斥の思想はないが、それでも人間と違うということで恐れる者もいるからな」
「うん」
「エトナ教で大々的に言いまわるjか。エトナの子は魔王とできていると」
「いいの、浮竹?」
「お前の食事に毒をもられるような真似にならないようにな」
浮竹は、その日信者たちの前で京楽を正式な伴侶であり愛していると堂々と言ってのけた。
さながら愛の告白で、京楽は少し恥ずかしくなった。
「魔王城に戻るか」
「うん」
「なんだ、結界石が‥‥‥」
光っていた。そして、何かを弾く。
「お前のせいで、私はああああ」
それは、醜い老婆となりはてた、元聖女である16代目のアナスタシアであった。
「殺してやるうううう」
「浮竹様に何を!ひっとらえろ!」
「いや、いい。エトナの光の前に滅びよ!」
「うぎゃああああああああ」
16代目のアナスタシアは、灰となっていく。
「ここまでくるなんて、執念はすごいね」
「悪しきに染まっていたからな。エトナの力で浄化した」
「じゃあ、今度こそ帰ろうか」
「ああ」
浮竹と京楽は、転移魔法で魔王城に戻ってくる。
「さて、今日も魔王の仕事片付けて、魔神のボクとフェンリルの浮竹の元にでも遊びにいきますか」
やる気になっている京楽と一緒に、浮竹も魔王の仕事を手伝うのであった。
光にあてると虹色の輝くそれは、浮竹を守ってくれる。
「これで、君は聖女教から守られる」
京楽は満足そうであった。
「聖女教といえば、藍染が行方をくらましたらしい。16代目聖女アナスタシアは醜い老婆になってしまい、急遽クローンの18代目聖女アナスタシアが聖女教のTOPになった」
「藍染のいなくなった聖女教は、放置しておくか壊滅させるべきか。どう思う?」
「放置でいいんじゃないのか。信者たちの洗脳もとかれたし、18代目聖女はまともな聖女だそうだ。傾きかけていた聖女教をなんとか形を保っていられるようにしたらしい」
「まぁ、聖女教そのものが悪いんじゃないからね。藍染が悪いのであって」
浮竹は、翼を広げて京楽を包み込む。
「聖女教への弾圧はそのままにしておくのか?」
「うん。藍染が戻ってくるかもしれないからね」
「そうか」
浮竹は、結界石のネックレスの石に触れる。
虹色の輝きが強くなる。
「君の聖なる力に呼応してるんだろうね」
「全く、こんな品を作れるものがいるとは‥‥‥」
「作った子に、お礼しておいたから」
「早いな」
「ケットシーの白哉くんらしいよ。勇者の白哉くんとは別人の」
「そうか」
浮竹は、今日はエトナ教の信徒に慈悲を与える日なので、エトナ教の神殿に向かおうとする。
「あ、今日はボクも行くから」
「心配しなくても、結界石のおかげで身の安全は保障されてるぞ?」
「エトナの子はボクの伴侶だってわかってもらうためにね?」
京楽は、悪戯っぽく笑った。
「おお、エトナの子だ。慈悲を」
「エトナの子の伴侶の魔王だ。魔王も心優しき方らしい」
「エトナの子と魔王は慈悲の力をもっておられる」
浮竹が京楽を連れているものだから、いつもより騒がしかった。
「これより、エトナの慈悲を与える。順番に並んでくれ」
「ああ、浮竹様。孫娘がはやり病にかかり、死にそうなのです。どうか、慈悲を」
老婆からはやり病の特徴をきいて、浮竹は自分の翼の羽を抜くと、それと一緒に煎じた薬を渡した。
「これを飲ませてやってくれ。俺の羽で、体全体をはらうようにしてくれ。はやり病も治るはずだ」
「浮竹様、ありがとうございます」
そんな様子を、京楽が見ていた。
「治癒能力は君のほうが上みたいだね」
「まぁ、エトナの子だからな」
「ボクも、癒しの力で患者を診るよ」
「ああ、ありがとう京楽」
浮竹の慈悲を求める者の行列が途切れる頃は、すっかり夕暮れになっていた。
「今日は遅いし、エトナ教の神殿に泊まっていこう。前々から、泊まるようにとすすめられていたし、ちょうどいい時間だしな」
「ボクは浮竹といれるなら、神殿でもどこでもいいよ」
神官に案内されて、浮竹のためにと用意されていた部屋に入る。
無駄に豪華だった。
「ベッドは広いな。一緒に寝るか」
「うん、そうだね」
「慈悲を与えすぎて、神の力が少し弱くなっている。こんな時、結界石があると安心できるな」
部屋で二人は夕飯をとり、備え付けられていた大きな風呂に入って、就寝する。
「浮竹、起きてる?」
「ん、なんだ?」
「エトナ教の子の浮竹は、本当に天使みたいで神々しかった」
「褒めすぎだ」
「ふふ、そうかな?」
「俺はあくまでエトナの代理だ。神じゃない」
「そうだね」
二人は、そのまま眠ってしまった。
次の日、朝食をとっていると、京楽が食べるのをやめた。
「どうしたんだ?」
「ボクの料理に、毒が入ってる」
「なんだと!おい、どういうことだ!!!」
猛烈に抗議して料理を作った者を問い詰めると、大神官の一人に魔王を亡き者にしてエトナの子を神殿でずっと暮らすように画策した者がいると判明した。
「罪は重いぞ」
「エトナの子が魔王などに束縛されるのが悪いのです!」
「お前から、大神官の地位を剥奪し、流刑処分とする」
「エトナの子よ!魔王などと慣れ親しみなさるな!まして伴侶などと」
「連れていけ」
浮竹は、他の神官たちに流刑にされる元大神官を連れていかせる。
「すまん、京楽。俺のせいで」
「いや、ボクが勝手についてきちゃったからね。魔王をまだ忌み嫌う者はいるし」
「エトナ教には魔王や魔族排斥の思想はないが、それでも人間と違うということで恐れる者もいるからな」
「うん」
「エトナ教で大々的に言いまわるjか。エトナの子は魔王とできていると」
「いいの、浮竹?」
「お前の食事に毒をもられるような真似にならないようにな」
浮竹は、その日信者たちの前で京楽を正式な伴侶であり愛していると堂々と言ってのけた。
さながら愛の告白で、京楽は少し恥ずかしくなった。
「魔王城に戻るか」
「うん」
「なんだ、結界石が‥‥‥」
光っていた。そして、何かを弾く。
「お前のせいで、私はああああ」
それは、醜い老婆となりはてた、元聖女である16代目のアナスタシアであった。
「殺してやるうううう」
「浮竹様に何を!ひっとらえろ!」
「いや、いい。エトナの光の前に滅びよ!」
「うぎゃああああああああ」
16代目のアナスタシアは、灰となっていく。
「ここまでくるなんて、執念はすごいね」
「悪しきに染まっていたからな。エトナの力で浄化した」
「じゃあ、今度こそ帰ろうか」
「ああ」
浮竹と京楽は、転移魔法で魔王城に戻ってくる。
「さて、今日も魔王の仕事片付けて、魔神のボクとフェンリルの浮竹の元にでも遊びにいきますか」
やる気になっている京楽と一緒に、浮竹も魔王の仕事を手伝うのであった。
一護とルキア
「ルキア」
「ん-、なんだ?」
「お前さ、副隊長になったっていうのに、こう度々現世にきて大丈夫なのか?」
一護は、今大学生だった。国際大学に通っていて、ドイツ語を選択し、来年留学予定であった。
「貴様が、来年から半年間帰ってこぬというから、今のうちに会いにいきておるのだ」
「はぁ。俺のこと、好きなのか?」
「たたたたたたたたたたたた」
「?」
「たたた、たわけ、そんなこと‥‥気づけ、ばか一護」
ルキアは真っ赤になった。
「え、まじで?」
ふっかけてきた一護も赤くなる。
「ルキア、その‥‥‥」
「一護、あのな‥‥」
「ルキアが先に言えよ」
「一護が先にしゃべれ」
一護の住む、一人暮らし用のアパートで、ルキアは一護と睨み合う。
「「好きだ」」
言葉は、綺麗にはもった。
「同時か」
「同時だな」
「でも、俺は来年は半年ドイツに留学するぞ」
「奇遇だな。私も、外の世界を見て回るために、ヨーロッパとやらに半年出張なのだ」
ルキアは、絶対無理をいってヨーロッパへの出張をもぎとったのであろう。
どこか、嬉し気だった。
「じゃあ、来年から一緒にドイツで生活するか?」
「貴様が哀れだから、いたしかたあるまい。一緒に住んでやる」
「正直になれよ、ルキア」
ルキアの、紫水晶の瞳を、一護がのぞきこんでくる。
「一緒に、いたいんだろ?俺は少なくともルキアと一緒にずっといたい」
「一護‥‥‥」
手が重なりあい、自然とキスをしていた。
触れるだけの、優しいキスを。
「黒崎ルキアになる気はねぇか?」
「いくら好きだとはいえ、私は死神で貴様は人間だ」
「俺が本物の死神になる」
「一護‥‥‥」
「もう一度だけ聞く。黒崎ルキアになる気はねぇか?」
「なる‥‥‥‥なりたい!」
ルキアは、涙を流していた。
本物の死神となる。つまりは人間を捨てるということ。
家族や友人を、ルキアのために捨てるというのだ。
「一護は、平気なのか。友人や家族を捨てることになるのだぞ」
「ややこしく考えすぎだろ。確かに本物の死神になったら、ずっと一緒の時間は生きられないけど、ある程度は一緒にいれる」
「そ、そうだな」
「あー。明日、白哉に挨拶にいくか。義妹さんをくださいって」
「い、一護!」
「白哉、許してくれるかな?」
「兄様は、私の幸せを一番に考えてくださる。最終的には許可をくれるだろ」
ルキアは、一護に抱きついた。
「貴様は私がいなくてはどうしようもない奴なのだから、嫁にきてやるのだ」
「なんだ、それ」
クスリと、一護が笑う。
その顔に、ルキアは赤くなる。
「き、貴様との婚姻は仕方なくだ!」
「はいはい。好きだぜ、ルキア。愛してる」
「わ、私も‥‥‥」
言葉は、唇でふさがれた。
「もう、なんなのだ!」
「先にちょっと手出しておかないと、恋次にもっていかれちまう」
「恋次が?気のせいではないのか。あやつは家族同然だ」
「だから、余計に危ないんだ。恋次のやつ、絶対ルキアのこと好きだぜ」
「そんなわけなかろう!」
「いいや、俺があってる」
しまいには、恋次を呼び出しそうな勢いなので、いったん恋次のことは放置することにした。
「ワンピース買いにいこうぜ。金なら出すから」
「なぜ、今ワンピースなのだ」
「ルキアのワンピース姿がかわいいから」
「き、貴様はいきなり何を‥‥‥…」
一護は、ルキアと手を繋いだ。
そのまま荷物をもって外に出て、アパートに鍵をかける。
「一緒に住もうぜ。いろいろ買わなきゃな。まずは着替えのワンピースだ」
「も、もう勝手にしろ」
ルキアは一護に手をひかれて、服の安いしまむらに入っていくのであった。
「ん-、なんだ?」
「お前さ、副隊長になったっていうのに、こう度々現世にきて大丈夫なのか?」
一護は、今大学生だった。国際大学に通っていて、ドイツ語を選択し、来年留学予定であった。
「貴様が、来年から半年間帰ってこぬというから、今のうちに会いにいきておるのだ」
「はぁ。俺のこと、好きなのか?」
「たたたたたたたたたたたた」
「?」
「たたた、たわけ、そんなこと‥‥気づけ、ばか一護」
ルキアは真っ赤になった。
「え、まじで?」
ふっかけてきた一護も赤くなる。
「ルキア、その‥‥‥」
「一護、あのな‥‥」
「ルキアが先に言えよ」
「一護が先にしゃべれ」
一護の住む、一人暮らし用のアパートで、ルキアは一護と睨み合う。
「「好きだ」」
言葉は、綺麗にはもった。
「同時か」
「同時だな」
「でも、俺は来年は半年ドイツに留学するぞ」
「奇遇だな。私も、外の世界を見て回るために、ヨーロッパとやらに半年出張なのだ」
ルキアは、絶対無理をいってヨーロッパへの出張をもぎとったのであろう。
どこか、嬉し気だった。
「じゃあ、来年から一緒にドイツで生活するか?」
「貴様が哀れだから、いたしかたあるまい。一緒に住んでやる」
「正直になれよ、ルキア」
ルキアの、紫水晶の瞳を、一護がのぞきこんでくる。
「一緒に、いたいんだろ?俺は少なくともルキアと一緒にずっといたい」
「一護‥‥‥」
手が重なりあい、自然とキスをしていた。
触れるだけの、優しいキスを。
「黒崎ルキアになる気はねぇか?」
「いくら好きだとはいえ、私は死神で貴様は人間だ」
「俺が本物の死神になる」
「一護‥‥‥」
「もう一度だけ聞く。黒崎ルキアになる気はねぇか?」
「なる‥‥‥‥なりたい!」
ルキアは、涙を流していた。
本物の死神となる。つまりは人間を捨てるということ。
家族や友人を、ルキアのために捨てるというのだ。
「一護は、平気なのか。友人や家族を捨てることになるのだぞ」
「ややこしく考えすぎだろ。確かに本物の死神になったら、ずっと一緒の時間は生きられないけど、ある程度は一緒にいれる」
「そ、そうだな」
「あー。明日、白哉に挨拶にいくか。義妹さんをくださいって」
「い、一護!」
「白哉、許してくれるかな?」
「兄様は、私の幸せを一番に考えてくださる。最終的には許可をくれるだろ」
ルキアは、一護に抱きついた。
「貴様は私がいなくてはどうしようもない奴なのだから、嫁にきてやるのだ」
「なんだ、それ」
クスリと、一護が笑う。
その顔に、ルキアは赤くなる。
「き、貴様との婚姻は仕方なくだ!」
「はいはい。好きだぜ、ルキア。愛してる」
「わ、私も‥‥‥」
言葉は、唇でふさがれた。
「もう、なんなのだ!」
「先にちょっと手出しておかないと、恋次にもっていかれちまう」
「恋次が?気のせいではないのか。あやつは家族同然だ」
「だから、余計に危ないんだ。恋次のやつ、絶対ルキアのこと好きだぜ」
「そんなわけなかろう!」
「いいや、俺があってる」
しまいには、恋次を呼び出しそうな勢いなので、いったん恋次のことは放置することにした。
「ワンピース買いにいこうぜ。金なら出すから」
「なぜ、今ワンピースなのだ」
「ルキアのワンピース姿がかわいいから」
「き、貴様はいきなり何を‥‥‥…」
一護は、ルキアと手を繋いだ。
そのまま荷物をもって外に出て、アパートに鍵をかける。
「一緒に住もうぜ。いろいろ買わなきゃな。まずは着替えのワンピースだ」
「も、もう勝手にしろ」
ルキアは一護に手をひかれて、服の安いしまむらに入っていくのであった。
オメガバース恋白11
「恋次‥‥おらぬのか、恋次」
白哉は、恋次を探していた。
ちょうどヒート期間中で、朽木家の別邸で恋次と二人で過ごしていた。
食事は作ったものを清家がもってきてくれた。
あとのことは、恋次に任せてある。
「恋次‥‥‥」
恋次が見当たらなくて、白哉は布団と丸めてそれを抱え込む。
「隊長、どうしたんすか」
「恋次!」
恋次は、風呂にいっていたらしく、結っていない赤い髪が印象的だった。
「恋次、傍におらぬので探していたのだ」
「あー、もう、あんたほんとにかわいいっすね」
恋次は、白哉を抱きしめる。
「恋次、恋次が欲しい」
白哉はオメガで、恋次はアルファ。そして番である。
最初、白哉は自分がオメガであることを隠していたが、世間に発表し、今は白哉の懐妊が期待されていたが、白哉はまだ子を作るつもりなはく、いつもアフターピルを飲んでいた。
「ああもう、あんた綺麗なくせにかわいいっすね」
「恋次」
恋次の名を連呼する白哉に負けて、昨日抱いたばかりだが、恋次は今日も白哉を抱くことにした。
昨日は散々抱いたので、今日はできて1,2回というところだろうか。
「キスを‥‥‥」
ねだられて、恋次は白哉にキスをする。
「ふあっ」
飲み込み切れなかった唾液が顎を伝う。
「恋次、私を抱け」
「分かってます。でも、あんまり何回も抱けませんよ?昨日めちゃくちゃあんたを抱いたから」
「それでもかまわぬ。抱け」
「はいはい、分かりましたからそうがっつかないでください。なんだか、いつもと逆ですね?」
恋次は、白哉の衣類を脱がせて、自分も裸になった。
「また、タトゥーを増やしたのか」
「ああ、昨日では気づかなかったんすね。胸のここに新しいタトゥー入れました」
「痛いであろう」
「痛いっすけどもう慣れてます」
「恋次、好きだ。愛している」
「俺も、隊長を好きで愛してますよ」
そう言うと、白哉は恋次のものに手を伸ばして、奉仕しはじめた。
「ちょ、隊長!」
「これで、私を満足させよ」
勃ったものを、白哉が指ではじく。
「もう、どうなっても知りませんからね」
白哉は、恋次に抱かれる。
「ああああ!!」
熱いものので貫かれて、白哉は精液を放っていた。
昨日散々交わったのに、ヒート期間はすぐにまた精液が出るようになっていた。それは番の恋次も同じだが、白哉ほどではない。
「奥に出しますからね」
「あ、もっと、もっと私を犯せ」
「じゃあ、そんなにきつく締め付けないでください」
「やああああ、無理っ」
「じゃあ、中に注ぎますよ?」
「ひあああああ!!!」
白哉は、恋次に中出しされて当時にいっていた。
「あと、抱けて1回くらいっすよ」
「あ、足りぬ」
「じゃあ、おとなのおもちゃでも使いますか?」
「いやだ。恋次がいい」
「仕方ないっすねぇ。でなくなったら、指と舌でいかせてあげますから」
「ああ、う、んあああ」
恋次は、白哉のものに舌をはわせる。
「ヒート期間って、すごいっすよね。出しても出しても出るんすから」
「あ、恋次‥‥」
白哉は、恋次の口の中に精液を放って、恋次にまた抱かれた。
恋次は白哉の足を肩に担ぎあげて、深く交わる。
「んあっ」
「あんたの好きなだけ犯してやりたいけど、俺が玉切れです」
「恋次、もっと子種を‥‥…」
「あと1回だけですよ」
「もっと欲しい」
白哉はねだる。
「だから、昨日あんたも何度も俺に抱かれたじゃないっすか。満足してないんすか?」
「昨日は昨日、今日は今日だ」
「そうっすか」
恋次は、一度引き抜くと、白哉の奥まで一気に貫いた。
「いあああ!!!」
「子種、全部ぶちまけますからね?」
ドクドクと、恋次の子種が白哉の子宮で放たれる。
「あ、もっとお」
「俺が限界っす。ヒート期間の隊長、すごいっすね」
「もう終わりなのか‥‥‥」
白哉は残念そうな声を出しながら、指と舌で愛撫してくる恋次の熱を感じて、精液をはきだす。
「あああ、そこ、いい」
「ここっすか?」
「やあああん」
「隊長、淫乱っすね」
「や、言うな。ヒート期間のせいだ」
「そういうことにしておきますよ」
白哉と恋次は、ヒート期間が収まる1週間を交じりあいながら過ごす。
ヒート期間が終わると、白哉はねだっていたのが嘘のように、凛と強い眼差しで恋次を見る。
「すまぬ。ヒート期間は迷惑をかけた」
「仕方ないっすよ。俺たちは番なんだから」
「そ、そうだな。番であるのだから」
白哉は、今回のヒートは乱れた。それを思い出してか、やや赤くなっていた。
「隊長、照れるんすか?かわいい」
「な、照れてなどおらぬ!」
「はいはい。じゃあ、仕事にいきますか」
「う、うむ‥‥‥」
ヒート休暇が終わり、二人は並んで執務室に向かうのだった。
白哉は、恋次を探していた。
ちょうどヒート期間中で、朽木家の別邸で恋次と二人で過ごしていた。
食事は作ったものを清家がもってきてくれた。
あとのことは、恋次に任せてある。
「恋次‥‥‥」
恋次が見当たらなくて、白哉は布団と丸めてそれを抱え込む。
「隊長、どうしたんすか」
「恋次!」
恋次は、風呂にいっていたらしく、結っていない赤い髪が印象的だった。
「恋次、傍におらぬので探していたのだ」
「あー、もう、あんたほんとにかわいいっすね」
恋次は、白哉を抱きしめる。
「恋次、恋次が欲しい」
白哉はオメガで、恋次はアルファ。そして番である。
最初、白哉は自分がオメガであることを隠していたが、世間に発表し、今は白哉の懐妊が期待されていたが、白哉はまだ子を作るつもりなはく、いつもアフターピルを飲んでいた。
「ああもう、あんた綺麗なくせにかわいいっすね」
「恋次」
恋次の名を連呼する白哉に負けて、昨日抱いたばかりだが、恋次は今日も白哉を抱くことにした。
昨日は散々抱いたので、今日はできて1,2回というところだろうか。
「キスを‥‥‥」
ねだられて、恋次は白哉にキスをする。
「ふあっ」
飲み込み切れなかった唾液が顎を伝う。
「恋次、私を抱け」
「分かってます。でも、あんまり何回も抱けませんよ?昨日めちゃくちゃあんたを抱いたから」
「それでもかまわぬ。抱け」
「はいはい、分かりましたからそうがっつかないでください。なんだか、いつもと逆ですね?」
恋次は、白哉の衣類を脱がせて、自分も裸になった。
「また、タトゥーを増やしたのか」
「ああ、昨日では気づかなかったんすね。胸のここに新しいタトゥー入れました」
「痛いであろう」
「痛いっすけどもう慣れてます」
「恋次、好きだ。愛している」
「俺も、隊長を好きで愛してますよ」
そう言うと、白哉は恋次のものに手を伸ばして、奉仕しはじめた。
「ちょ、隊長!」
「これで、私を満足させよ」
勃ったものを、白哉が指ではじく。
「もう、どうなっても知りませんからね」
白哉は、恋次に抱かれる。
「ああああ!!」
熱いものので貫かれて、白哉は精液を放っていた。
昨日散々交わったのに、ヒート期間はすぐにまた精液が出るようになっていた。それは番の恋次も同じだが、白哉ほどではない。
「奥に出しますからね」
「あ、もっと、もっと私を犯せ」
「じゃあ、そんなにきつく締め付けないでください」
「やああああ、無理っ」
「じゃあ、中に注ぎますよ?」
「ひあああああ!!!」
白哉は、恋次に中出しされて当時にいっていた。
「あと、抱けて1回くらいっすよ」
「あ、足りぬ」
「じゃあ、おとなのおもちゃでも使いますか?」
「いやだ。恋次がいい」
「仕方ないっすねぇ。でなくなったら、指と舌でいかせてあげますから」
「ああ、う、んあああ」
恋次は、白哉のものに舌をはわせる。
「ヒート期間って、すごいっすよね。出しても出しても出るんすから」
「あ、恋次‥‥」
白哉は、恋次の口の中に精液を放って、恋次にまた抱かれた。
恋次は白哉の足を肩に担ぎあげて、深く交わる。
「んあっ」
「あんたの好きなだけ犯してやりたいけど、俺が玉切れです」
「恋次、もっと子種を‥‥…」
「あと1回だけですよ」
「もっと欲しい」
白哉はねだる。
「だから、昨日あんたも何度も俺に抱かれたじゃないっすか。満足してないんすか?」
「昨日は昨日、今日は今日だ」
「そうっすか」
恋次は、一度引き抜くと、白哉の奥まで一気に貫いた。
「いあああ!!!」
「子種、全部ぶちまけますからね?」
ドクドクと、恋次の子種が白哉の子宮で放たれる。
「あ、もっとお」
「俺が限界っす。ヒート期間の隊長、すごいっすね」
「もう終わりなのか‥‥‥」
白哉は残念そうな声を出しながら、指と舌で愛撫してくる恋次の熱を感じて、精液をはきだす。
「あああ、そこ、いい」
「ここっすか?」
「やあああん」
「隊長、淫乱っすね」
「や、言うな。ヒート期間のせいだ」
「そういうことにしておきますよ」
白哉と恋次は、ヒート期間が収まる1週間を交じりあいながら過ごす。
ヒート期間が終わると、白哉はねだっていたのが嘘のように、凛と強い眼差しで恋次を見る。
「すまぬ。ヒート期間は迷惑をかけた」
「仕方ないっすよ。俺たちは番なんだから」
「そ、そうだな。番であるのだから」
白哉は、今回のヒートは乱れた。それを思い出してか、やや赤くなっていた。
「隊長、照れるんすか?かわいい」
「な、照れてなどおらぬ!」
「はいはい。じゃあ、仕事にいきますか」
「う、うむ‥‥‥」
ヒート休暇が終わり、二人は並んで執務室に向かうのだった。
朽木白哉と浮竹5
「それで、兄は何をしにきたのだ」
突然の訪問者に、白哉が声をかける。浮竹が、朽木家を訪れていた。
「京楽のアホが盛ってきて、嫌だから蹴りを入れたら頭打って、ほんにゃらになったので、逃げてきた」
「ほんにゃらとは何か分からぬが、正当防衛であろう。逃げる必要など‥‥」
「絶対また盛ってくるから、今日は泊めてくれ」
浮竹は、枕だけを手に朽木家に来ていた。
追い返すと、京楽の餌食になりそうなので、白哉は泊めることを了解した。
「兄を1日泊めればいいのだな。客室を使うといい」
浮竹は、ぱぁぁぁと顔を輝かせて、白哉に抱きつく。
「ありがとう、白哉!」
「く、苦しい」
「あ、すまん」
解放されて、白哉は聞いてみる。
「食事などはすませたのか?」
「いや、まだだ。枕変わると眠れないので、枕だけ咄嗟にもって逃げ出した」
なぜに枕。
宿に泊まるなりできるだろうに、金品はもっていないようであった。
「寒いであろう。風邪をひく前に風呂に入れ。その間に食事の準備をさせよう」
「すまん‥‥‥何から何まで」
「兄は、私にとって少し年の離れた兄のようなものだからな」
「そう言ってもらえると俺も嬉しい、白哉」
浮竹は、まず風呂に入り、来客用jの着物を着ると、少し遅めの夕食を食べる。
「うわ、豪華だなぁ」
「ルキアは、今現世に赴いている」
「ああ、知っている。朽木にはこんな情けない姿見せられないからな」
「そうであろうか?まぁ、兄が京楽から逃げてくるとは珍しいな」
「昨日もしたんだ。おとついも。3日連続で俺を抱こうとするから、さすがに嫌になって逃げだしてきた」
「京楽隊長は、兄が拒否すればやめるのではないのか?」
「それが、嫌がっても押し倒してくるんだ」
「ふむ。明日、ともに京楽隊長の元に行こう」
「ん、ああ。さすがに1日行方くらませば、反省するだろうしな」
京楽はそんな人物であったろうかと、白哉は思う。
次の日、朝から雨乾堂に行くと、京楽が昨日頭を打った姿勢のまま伸びていた。
「ぬお、おい京楽、しっかりしろ」
「んーうきたけぇ?ボクどうしたんだっけ」
「あまりにしつこく抱かせろというから、鳩尾に蹴りを入れたら頭を壁に打って気絶したんだ。俺はお前から逃げるために、白哉の家に1日泊まってた」
「朽木隊長の家に?」
「ああ」
「何もされなかった?」
「兄は、私が浮竹に何かをするかと思っているのか」
「だってボクの十四郎はこんなにかいわくて綺麗だからね」
浮竹は、顔を赤くする。
「ばか、白哉の前で何言ってるんだ」
「恋敵にならないように、ね」
白哉はため息をつく。
「心配せずとも、私は浮竹に手を出したりはせぬ。私にも思い人がいるからな」
「あ、恋次くんでしょ」
京楽が言い当てると、今度は白哉がうっすらと赤くなる。
「え、そうなのか白哉」
「知らぬ。兄は京楽といちゃついていればいいのだ」
そっぽをむく白哉がかわいくて、浮竹はついその頭を撫でた。
「子供扱いするでない」
「俺の弟みたいなもんだからな。幸せにな」
「兄に言われずとも、今十分に幸せだ」
「ならいいんだ」
浮竹は、白哉と恋次の仲に興味深々なようで、いろいろ訊ねてきたが、白哉は適当にはぐらかす。
「あ、隊長こんなところにいたんすか!霊圧探って探したんですからね!」
「れ、恋次」
白哉は赤くなって、恋次と距離をとる。
「どうしたんですか、隊長?あ、浮竹隊長京楽隊長、おはようございます」
「おはよう」
「おはよう」
浮竹も京楽も、にまにましていた。
「お幸せにな」
「白哉をよろしく頼む」
「え、あ、はい!」
「恋次、帰るぞ!浮竹も京楽隊長も、いらぬことをいうな」
白哉は足早に歩きだす。
「あ、待ってくださいよ隊長~~~~!!」
まるで、人懐っこい大型犬のように、恋次は白哉のあとを追っていく。
「まさか、あの白哉がなぁ」
「朽木隊長がねぇ」
浮竹と京楽は、すっかり自分たちが抱かれるのが嫌だったからもめていたことを忘れて、恋次のと白哉の小さくなっていく後姿を見ているのだった。
突然の訪問者に、白哉が声をかける。浮竹が、朽木家を訪れていた。
「京楽のアホが盛ってきて、嫌だから蹴りを入れたら頭打って、ほんにゃらになったので、逃げてきた」
「ほんにゃらとは何か分からぬが、正当防衛であろう。逃げる必要など‥‥」
「絶対また盛ってくるから、今日は泊めてくれ」
浮竹は、枕だけを手に朽木家に来ていた。
追い返すと、京楽の餌食になりそうなので、白哉は泊めることを了解した。
「兄を1日泊めればいいのだな。客室を使うといい」
浮竹は、ぱぁぁぁと顔を輝かせて、白哉に抱きつく。
「ありがとう、白哉!」
「く、苦しい」
「あ、すまん」
解放されて、白哉は聞いてみる。
「食事などはすませたのか?」
「いや、まだだ。枕変わると眠れないので、枕だけ咄嗟にもって逃げ出した」
なぜに枕。
宿に泊まるなりできるだろうに、金品はもっていないようであった。
「寒いであろう。風邪をひく前に風呂に入れ。その間に食事の準備をさせよう」
「すまん‥‥‥何から何まで」
「兄は、私にとって少し年の離れた兄のようなものだからな」
「そう言ってもらえると俺も嬉しい、白哉」
浮竹は、まず風呂に入り、来客用jの着物を着ると、少し遅めの夕食を食べる。
「うわ、豪華だなぁ」
「ルキアは、今現世に赴いている」
「ああ、知っている。朽木にはこんな情けない姿見せられないからな」
「そうであろうか?まぁ、兄が京楽から逃げてくるとは珍しいな」
「昨日もしたんだ。おとついも。3日連続で俺を抱こうとするから、さすがに嫌になって逃げだしてきた」
「京楽隊長は、兄が拒否すればやめるのではないのか?」
「それが、嫌がっても押し倒してくるんだ」
「ふむ。明日、ともに京楽隊長の元に行こう」
「ん、ああ。さすがに1日行方くらませば、反省するだろうしな」
京楽はそんな人物であったろうかと、白哉は思う。
次の日、朝から雨乾堂に行くと、京楽が昨日頭を打った姿勢のまま伸びていた。
「ぬお、おい京楽、しっかりしろ」
「んーうきたけぇ?ボクどうしたんだっけ」
「あまりにしつこく抱かせろというから、鳩尾に蹴りを入れたら頭を壁に打って気絶したんだ。俺はお前から逃げるために、白哉の家に1日泊まってた」
「朽木隊長の家に?」
「ああ」
「何もされなかった?」
「兄は、私が浮竹に何かをするかと思っているのか」
「だってボクの十四郎はこんなにかいわくて綺麗だからね」
浮竹は、顔を赤くする。
「ばか、白哉の前で何言ってるんだ」
「恋敵にならないように、ね」
白哉はため息をつく。
「心配せずとも、私は浮竹に手を出したりはせぬ。私にも思い人がいるからな」
「あ、恋次くんでしょ」
京楽が言い当てると、今度は白哉がうっすらと赤くなる。
「え、そうなのか白哉」
「知らぬ。兄は京楽といちゃついていればいいのだ」
そっぽをむく白哉がかわいくて、浮竹はついその頭を撫でた。
「子供扱いするでない」
「俺の弟みたいなもんだからな。幸せにな」
「兄に言われずとも、今十分に幸せだ」
「ならいいんだ」
浮竹は、白哉と恋次の仲に興味深々なようで、いろいろ訊ねてきたが、白哉は適当にはぐらかす。
「あ、隊長こんなところにいたんすか!霊圧探って探したんですからね!」
「れ、恋次」
白哉は赤くなって、恋次と距離をとる。
「どうしたんですか、隊長?あ、浮竹隊長京楽隊長、おはようございます」
「おはよう」
「おはよう」
浮竹も京楽も、にまにましていた。
「お幸せにな」
「白哉をよろしく頼む」
「え、あ、はい!」
「恋次、帰るぞ!浮竹も京楽隊長も、いらぬことをいうな」
白哉は足早に歩きだす。
「あ、待ってくださいよ隊長~~~~!!」
まるで、人懐っこい大型犬のように、恋次は白哉のあとを追っていく。
「まさか、あの白哉がなぁ」
「朽木隊長がねぇ」
浮竹と京楽は、すっかり自分たちが抱かれるのが嫌だったからもめていたことを忘れて、恋次のと白哉の小さくなっていく後姿を見ているのだった。
魔王と勇者と30
京楽に寝室に連れられて、浮竹は豪華なベッドに横になる。
「いいかい?」
「だから、好きにするといいと言っている」
「抱くよ?」
「俺にお前を刻みこめ」
京楽は、浮竹の衣服を脱がしていく。
「あっ」
胸の先端を口にふくまれると、思わず声がでた。
「んんっ」
「声、我慢しないで?」
「あ、春水‥‥‥」
もう片方を指でつままれながら、首筋にキスマークを残される。
「春水、もう‥‥‥」
京楽は、浮竹のものに手を伸ばす。
「ああっ」
手でしごかれてから、なめあげられて、浮竹は精液を飛ばしていた。
「濃いね。最近してなかったから」
「あ、言うな」
「自虐もしてなかったんだ」
「するわけないだろう」
京楽は、ローションをとりだすと、指にからめて浮竹のつぼみに指をいれる。
「ひあ!」
「まだ指だよ?」
「う、うるさい」
指が前立腺をこりこりと刺激すると、浮竹はびくんと痙攣していっていた。
「あ、早く来い。お前が欲しい」
「今、あげるからね。たっぷり子種受け止めてね」
「ああああ!」
熱に引き裂かれて、浮竹はそれでも愉悦に満ちた表情をする。
「十四郎、エロい・‥‥‥」
「春水こそ、エロい顔になってる」
お互い言い合って、キスをする。
「ふあ‥‥‥」
深いキスを繰り返しながら、京楽はゆっくりと動いた。
「あ、もっと激しくしてくれ。足りない」
「君を傷つけたくないんだけど、仕方ないね」
京楽は、リズミカルに腰を打ちつける。
ぱんぱんと肉と肉がぶつかりあう音と、ぐちゅぐちゅと濡れた音がした。
「ひあん!あ、そこお、だめぇ」
「奥がいいんでしょ?もっと刺激してあげる」
「ひあああああん!」
浮竹の弱い奥を貫き、揺さぶると浮竹は背をしならせて中いきしながら、精液を吐き出していた。
「あ、もう出ない‥‥」
「ボクはまだだから、つきあってね?」
「あう」
浮竹の奥を抉り、京楽は子種をはじけさせる。
「あああ、きたああああ。いくううう」
「好きなだけいっていいよ?」
さらに立て続けに精液を中に出して、京楽は背中に手をまわしてくる浮竹を抱きしめた。
「愛してるよ、十四郎」
「あ、俺も愛してる。エトナの祝福を‥‥‥」
浮竹は、京楽にエトナの祝福を与える。京楽の魔力が高まる。
ずるりと抜き出すと、京楽が放ったものがこぽりと逆流してくる。
それをタオルでふいて、京楽は浮竹を抱き上げると、湯殿に向かう。
「ひああああん!」
湯殿でも、浮竹は京楽に抱かれた。
「後始末、するだけじゃあなかったのか」
「いや、君が湯で肌の色が変わっていくのが妖艶に見えて」
「もう、無理だぞ」
「うん。最後にするね?中に出さないから」
すでに中に出したものをかき出した後なので、京楽は射精しそうになると浮竹から離れて、タイルの上で射精する。
「あああ‥‥もったいない」
子種を受け止めたかった浮竹は、残念そうに零れ落ちた精液を見る。
「もう、中に出したのかきだしちゃったからね。二度手間はいやでしょ?」
「別に、そうでもないが」
「ボクは君を十分堪能できたからいいよ」
「俺も、お前に久しぶりに抱かれてすっきりした」
二人は湯あみをして、違うベッドで横になり、眠りにつく。
「浮竹‥‥‥‥エトナの子でも、ボクの傍にいてね?エトナ神の元にはいかないでね?」
よく眠っている浮竹の長い白髪を撫でながら、京楽は浮竹の額に口づける。
「‥‥‥‥京楽、それは玉座だ。食えないぞ‥‥」
「どんな夢見てるんだか」
京楽は、クスっと笑うと。浮竹を抱きしめて眠りにつくのであった。
「いいかい?」
「だから、好きにするといいと言っている」
「抱くよ?」
「俺にお前を刻みこめ」
京楽は、浮竹の衣服を脱がしていく。
「あっ」
胸の先端を口にふくまれると、思わず声がでた。
「んんっ」
「声、我慢しないで?」
「あ、春水‥‥‥」
もう片方を指でつままれながら、首筋にキスマークを残される。
「春水、もう‥‥‥」
京楽は、浮竹のものに手を伸ばす。
「ああっ」
手でしごかれてから、なめあげられて、浮竹は精液を飛ばしていた。
「濃いね。最近してなかったから」
「あ、言うな」
「自虐もしてなかったんだ」
「するわけないだろう」
京楽は、ローションをとりだすと、指にからめて浮竹のつぼみに指をいれる。
「ひあ!」
「まだ指だよ?」
「う、うるさい」
指が前立腺をこりこりと刺激すると、浮竹はびくんと痙攣していっていた。
「あ、早く来い。お前が欲しい」
「今、あげるからね。たっぷり子種受け止めてね」
「ああああ!」
熱に引き裂かれて、浮竹はそれでも愉悦に満ちた表情をする。
「十四郎、エロい・‥‥‥」
「春水こそ、エロい顔になってる」
お互い言い合って、キスをする。
「ふあ‥‥‥」
深いキスを繰り返しながら、京楽はゆっくりと動いた。
「あ、もっと激しくしてくれ。足りない」
「君を傷つけたくないんだけど、仕方ないね」
京楽は、リズミカルに腰を打ちつける。
ぱんぱんと肉と肉がぶつかりあう音と、ぐちゅぐちゅと濡れた音がした。
「ひあん!あ、そこお、だめぇ」
「奥がいいんでしょ?もっと刺激してあげる」
「ひあああああん!」
浮竹の弱い奥を貫き、揺さぶると浮竹は背をしならせて中いきしながら、精液を吐き出していた。
「あ、もう出ない‥‥」
「ボクはまだだから、つきあってね?」
「あう」
浮竹の奥を抉り、京楽は子種をはじけさせる。
「あああ、きたああああ。いくううう」
「好きなだけいっていいよ?」
さらに立て続けに精液を中に出して、京楽は背中に手をまわしてくる浮竹を抱きしめた。
「愛してるよ、十四郎」
「あ、俺も愛してる。エトナの祝福を‥‥‥」
浮竹は、京楽にエトナの祝福を与える。京楽の魔力が高まる。
ずるりと抜き出すと、京楽が放ったものがこぽりと逆流してくる。
それをタオルでふいて、京楽は浮竹を抱き上げると、湯殿に向かう。
「ひああああん!」
湯殿でも、浮竹は京楽に抱かれた。
「後始末、するだけじゃあなかったのか」
「いや、君が湯で肌の色が変わっていくのが妖艶に見えて」
「もう、無理だぞ」
「うん。最後にするね?中に出さないから」
すでに中に出したものをかき出した後なので、京楽は射精しそうになると浮竹から離れて、タイルの上で射精する。
「あああ‥‥もったいない」
子種を受け止めたかった浮竹は、残念そうに零れ落ちた精液を見る。
「もう、中に出したのかきだしちゃったからね。二度手間はいやでしょ?」
「別に、そうでもないが」
「ボクは君を十分堪能できたからいいよ」
「俺も、お前に久しぶりに抱かれてすっきりした」
二人は湯あみをして、違うベッドで横になり、眠りにつく。
「浮竹‥‥‥‥エトナの子でも、ボクの傍にいてね?エトナ神の元にはいかないでね?」
よく眠っている浮竹の長い白髪を撫でながら、京楽は浮竹の額に口づける。
「‥‥‥‥京楽、それは玉座だ。食えないぞ‥‥」
「どんな夢見てるんだか」
京楽は、クスっと笑うと。浮竹を抱きしめて眠りにつくのであった。
魔王と勇者と29
浮竹は、エトナ教徒の熱烈な訪問に、仕方なく月に二回エトナ教の神殿でエトナの力を使い病や怪我を癒すことにしていた。
「ああ、エトナの子浮竹様。なんと慈悲深い」
「さすがはエトナの落とし子。天使であられる証に翼がある」
「大神官様も、よく浮竹様を神殿に顔を出すように説得してくれたものだ。感謝せねば」
エトナ教は、衰えていく聖女教ととってかわり、今世界で一番信徒の多い宗教になっていた。
エトナの子である浮竹がいるせいが強い。
聖女教から分裂した新エトナ教も、エトナ教に吸収され、エトナ教は黄金期を迎えていた。
「おつかれでしょう、浮竹様。こちらに飲み物を用意してあります。どうぞ、ご休憩を」
「ああ、ありがとう」
浮竹は、エトナ教徒の信徒から冷たい水をもらって、飲んだ。
「ぐ‥‥‥」
すると、意識が混濁して、床に膝をつく。
「エトナの子よ、その力、藍染様のために使ってもらう!」
「聖女教か‥‥」
そのまま、浮竹は意識を失い、聖女教に拉致された、
「浮竹が拉致られただって!?」
「す、すみません魔王様。エトナ神殿なので、警備の者もいましたが、まさか神の子であられる浮竹様を堂々と拉致る者が現れるとは思わず‥‥‥」
「言い訳はいいよ。聖女教の仕業なんだね?」
「はい、おそらく」
「浮竹に手を出すとどうなるか、思い知らせる必要があるね」
京楽は、愛する者を拉致られて、かなり怒っていた。
「聖女教の神殿にいってくる」
「でも、もしも‥‥‥」
「行かないと浮竹はいつまで経っても帰ってこないよ。聖女を少し痛めつけてやろう」
京楽は、残忍に笑った。
「ここは‥‥‥‥」
「気づいたのね、浮竹十四郎。エトナの子よ」
「お前は16代目の聖女アナスタシア!」
浮竹は、豪華なベッドに寝かされていた。
「エトナの力、確かに分けてもらったわよ」
聖女の手には、浮竹の翼から抜いた羽と、採血した血液の入った大きなカプセルがあった。
「俺の肉体の一部で、エトナの力を得るつもりか」
「そうよ。それだけの価値があなたにはあるもの」
「アナスタシア。エトナの子は贄にする約束だろう」
藍染が現れて、お腹の膨らんでいる聖女を抱き寄せる。
「藍染、エトナの子を殺すとエトナ神を敵にまわすわ。神と敵対はしたくないわ」
「私が魔神となるための1万の贄に匹敵する贄なのだ。アナスタシア」
「だめよ。エトナの子は、ここで永遠と力を抜かれ続けるの」
聖女は、浮竹を殺すことをためらっている。
藍染は、気にせず浮竹を殺そうと、魔法でできた刃を向ける。
「エトナの名において命ずる。光よ!」
「きゃああああああああ!」
「ぐわあああ!!」
猛烈な過剰すぎる浄化の光に、二人は焼かれる。
「浮竹!」
そこへ、聖女教に侵入してきていた京楽が現れる。
「京楽、きてくれたのか」
「君を助けるためなら、たとえ地獄にでも行くよ」
「エトナの光で目を焼いてやった。しばらくまともにものを見ることができないだろう」
「今のうちに‥‥」
京楽は、藍染の心臓を剣で突き刺す。
「うおおおおおお」
藍染は悲鳴をあげて、灰になる。
「分身体か。こざかしいね‥‥」
「何が!何が起こっているの。ねぇ、藍染!」
「藍染はいないぞ。分身体だったようだ。お前、藍染に利用されているぞ」
「そんなこと知っているわ!魔神になった藍染の力で私は女神として神々しく‥‥‥」
浮竹は、奪われた血と羽を灰にかえて、聖女にエトナの力を注ぎ着込む。
「いやああああ!私は聖女であり女神なのよ!神でもあるこの私を‥‥」
「ただの人に変えた。お前はもう聖女でも女神でもない。ただの卑しい醜い老婆だ」
「いやあああああああああ」
浮竹は、京楽が怒りで聖女を老婆の姿に変えるのを黙って見ていたのだ。
「18代目の聖女でも作ることだね。その姿じゃあ、いくら洗脳されてるとはいえ信者も離れていくだろうさ」
「私は女神なのにいいいい」
泣き叫ぶアナスタシアを放置して、京楽は浮竹をお姫様抱きにすると、神殿のバルコニーに出る。
「帰ろうか」
「ああ」
結界のはられていないその場所で、魔王城まで転移する。
「君が拉致られたと聞いて、気が気でなかったよ」
「俺はエトナの子だ。害せばたとえ藍染でもただではすまない」
「うん。でも、心配したんだよ?」
「すまん。まさかエトナ神殿で拉致られるとは思わなかった。今後は警備の者をもっとつけてもらうし、俺も注意する」
「聖女教の神殿で、大規模に藍染の洗脳を信者から解いておいたから、今頃すごいことになってるんじゃないかな」
事実、藍染に洗脳されていた信者たちは、聖女教から抜け出してエトナ教へ流れていた。
「また、エトナの信徒が増えるな。エトナの力が増す。比例して、俺の力もだ」
「でも、ボクの浮竹だよ?」
浮竹は、くすっと小さく笑った。
「ああ、そうだな。俺はお前のもので、お前は俺のものだ」
妖しく美しい生き物に見えた。
「寝室、いこうか。君を抱きたくなった」
「ふふ。俺を抱いて、エトナの祝福を受けるか?」
「祝福は別にいらないけど、君がほしい」
「好きにすればいい。俺とお前は伴侶だからな」
浮竹は妖艶に微笑みながら、京楽に寝室へと連れていかれるのであった。
「ああ、エトナの子浮竹様。なんと慈悲深い」
「さすがはエトナの落とし子。天使であられる証に翼がある」
「大神官様も、よく浮竹様を神殿に顔を出すように説得してくれたものだ。感謝せねば」
エトナ教は、衰えていく聖女教ととってかわり、今世界で一番信徒の多い宗教になっていた。
エトナの子である浮竹がいるせいが強い。
聖女教から分裂した新エトナ教も、エトナ教に吸収され、エトナ教は黄金期を迎えていた。
「おつかれでしょう、浮竹様。こちらに飲み物を用意してあります。どうぞ、ご休憩を」
「ああ、ありがとう」
浮竹は、エトナ教徒の信徒から冷たい水をもらって、飲んだ。
「ぐ‥‥‥」
すると、意識が混濁して、床に膝をつく。
「エトナの子よ、その力、藍染様のために使ってもらう!」
「聖女教か‥‥」
そのまま、浮竹は意識を失い、聖女教に拉致された、
「浮竹が拉致られただって!?」
「す、すみません魔王様。エトナ神殿なので、警備の者もいましたが、まさか神の子であられる浮竹様を堂々と拉致る者が現れるとは思わず‥‥‥」
「言い訳はいいよ。聖女教の仕業なんだね?」
「はい、おそらく」
「浮竹に手を出すとどうなるか、思い知らせる必要があるね」
京楽は、愛する者を拉致られて、かなり怒っていた。
「聖女教の神殿にいってくる」
「でも、もしも‥‥‥」
「行かないと浮竹はいつまで経っても帰ってこないよ。聖女を少し痛めつけてやろう」
京楽は、残忍に笑った。
「ここは‥‥‥‥」
「気づいたのね、浮竹十四郎。エトナの子よ」
「お前は16代目の聖女アナスタシア!」
浮竹は、豪華なベッドに寝かされていた。
「エトナの力、確かに分けてもらったわよ」
聖女の手には、浮竹の翼から抜いた羽と、採血した血液の入った大きなカプセルがあった。
「俺の肉体の一部で、エトナの力を得るつもりか」
「そうよ。それだけの価値があなたにはあるもの」
「アナスタシア。エトナの子は贄にする約束だろう」
藍染が現れて、お腹の膨らんでいる聖女を抱き寄せる。
「藍染、エトナの子を殺すとエトナ神を敵にまわすわ。神と敵対はしたくないわ」
「私が魔神となるための1万の贄に匹敵する贄なのだ。アナスタシア」
「だめよ。エトナの子は、ここで永遠と力を抜かれ続けるの」
聖女は、浮竹を殺すことをためらっている。
藍染は、気にせず浮竹を殺そうと、魔法でできた刃を向ける。
「エトナの名において命ずる。光よ!」
「きゃああああああああ!」
「ぐわあああ!!」
猛烈な過剰すぎる浄化の光に、二人は焼かれる。
「浮竹!」
そこへ、聖女教に侵入してきていた京楽が現れる。
「京楽、きてくれたのか」
「君を助けるためなら、たとえ地獄にでも行くよ」
「エトナの光で目を焼いてやった。しばらくまともにものを見ることができないだろう」
「今のうちに‥‥」
京楽は、藍染の心臓を剣で突き刺す。
「うおおおおおお」
藍染は悲鳴をあげて、灰になる。
「分身体か。こざかしいね‥‥」
「何が!何が起こっているの。ねぇ、藍染!」
「藍染はいないぞ。分身体だったようだ。お前、藍染に利用されているぞ」
「そんなこと知っているわ!魔神になった藍染の力で私は女神として神々しく‥‥‥」
浮竹は、奪われた血と羽を灰にかえて、聖女にエトナの力を注ぎ着込む。
「いやああああ!私は聖女であり女神なのよ!神でもあるこの私を‥‥」
「ただの人に変えた。お前はもう聖女でも女神でもない。ただの卑しい醜い老婆だ」
「いやあああああああああ」
浮竹は、京楽が怒りで聖女を老婆の姿に変えるのを黙って見ていたのだ。
「18代目の聖女でも作ることだね。その姿じゃあ、いくら洗脳されてるとはいえ信者も離れていくだろうさ」
「私は女神なのにいいいい」
泣き叫ぶアナスタシアを放置して、京楽は浮竹をお姫様抱きにすると、神殿のバルコニーに出る。
「帰ろうか」
「ああ」
結界のはられていないその場所で、魔王城まで転移する。
「君が拉致られたと聞いて、気が気でなかったよ」
「俺はエトナの子だ。害せばたとえ藍染でもただではすまない」
「うん。でも、心配したんだよ?」
「すまん。まさかエトナ神殿で拉致られるとは思わなかった。今後は警備の者をもっとつけてもらうし、俺も注意する」
「聖女教の神殿で、大規模に藍染の洗脳を信者から解いておいたから、今頃すごいことになってるんじゃないかな」
事実、藍染に洗脳されていた信者たちは、聖女教から抜け出してエトナ教へ流れていた。
「また、エトナの信徒が増えるな。エトナの力が増す。比例して、俺の力もだ」
「でも、ボクの浮竹だよ?」
浮竹は、くすっと小さく笑った。
「ああ、そうだな。俺はお前のもので、お前は俺のものだ」
妖しく美しい生き物に見えた。
「寝室、いこうか。君を抱きたくなった」
「ふふ。俺を抱いて、エトナの祝福を受けるか?」
「祝福は別にいらないけど、君がほしい」
「好きにすればいい。俺とお前は伴侶だからな」
浮竹は妖艶に微笑みながら、京楽に寝室へと連れていかれるのであった。
温泉旅行
「一緒に温泉旅行に行かぬか」
そう誘われて、恋次はあたりをきょろきょろみた。
「恋次に言っているのだ」
「え、俺っすか!?」
てっきり、近くにルキアがいてルキアに声をかけているものと思った。
「最近忙しくて、お互い疲れているであろう。1週間の休暇をもぎとった。恋次、お前の分もだ」
「え、俺の分まで?でも、隊長副隊長も不在だなんて」
「席官たちがなんとかすると言っていた。一緒に温泉旅行にいってこいと、宿を紹介されたのだ」
白哉は、静かに言った。
「ルキアとじゃなくって、俺と二人でいくんすか?」
「そうだ。ルキアとはいつでも一緒に行ける。だが恋次、お前とはなかなか一緒に行けぬであろう。上官副官関係なく、旅行にいかぬか。それとも私と二人きりではいやか?」
「そ、そんなわけないっす!俺隊長のこと好きなんすよ!知ってて、誘ってますよね?」
「お前が私のことを好いているのは知っている」
「俺が狼になるかもしれないと思わないんすか」
「恋次は、嫌がる私には何もしない」
白哉はきっぱりと断言した。
「そりゃそうっすけど‥‥‥そんな俺と一緒にだなんて」
「私も恋次、お前を好いておる。たまにはよかろう」
「え、今なんて?」
「二度は言わぬ」
恋次は飛び上がって喜んだ。
「隊長と、相思相愛なんすね!」
白哉に抱きつくと、恋次は地面に転がされた。
「好いてはいるが、まだ何かをしたいというわけではない」
「うー、蛇の生殺し‥‥‥‥」
恋次は、白哉を再び抱きしめる。
今度は、白哉は大人しく腕の中で抱かれた。
「隊長華奢っすね。すごいい匂いがする」
唇を重ねようとすると、拒否された。
「隊長、キスくらいいいじゃないっすか」
「‥‥‥‥なら。温泉旅行でなら、考えてやってもよい」
「まじっすか!」
それから数日が経ち、温泉旅行の日がやってきた。
恋次はその前の晩興奮で一睡もできなくて、宿につくなり爆睡してしまった。
白哉は恋次を放置して、一人で貸し切りにした温泉に入った。
そこへ、目が覚めたばかりの恋次が入ってくる。
「すんません!もう入ってるとは思わなくて!」
「よい。温泉は公共の場だ。貸し切りとはいえ。恋次も入れ」
「はい‥‥‥」
白哉は腰にタオルを巻いていたが、白い肌がほぼ露わになっていて、恋次は目のやり場に困る。
「いい湯ですね」
「なぜ、目を閉じている?」
「あんたの裸が目の毒だからですよ!」
「そうか。では私は先にあがる」
「あ、背中の流し合いとかはしないんすか!?」
「子供ではあるまいに。せぬ。私は先に部屋に戻る」
残された恋次は、もっと白哉の裸を見ておけばよかったと後悔する。
豪華な夕食をとり、消灯時間になる。
「隊長、起きてますか?」
返事はなかった。
恋次は、一緒の部屋で眠る白哉に薄暗い明りの中近づいて、触れるだけのキスをした。
「あんたが好きです‥‥‥おやすみなさい」
実は、白哉はまだ起きていた。
ドキドキと心臓が早鐘を打つ。
眠ってしまった恋次を置いて、キスされたせいでなかなか寝付けないので、夜の散歩に出かける。
「私に、お前の思いを全て受け入れられるであろうか」
月を見上げていた。
それから部屋に戻り、白哉も眠った。
次の日も温泉宿に泊まった。
「恋次、目を閉じろ」
「へ?あ、はい」
白哉は、自分から恋次にキスをする。
「えあ、隊長!?」
「ここからどう先に進むのかが分からぬ」
「あ、俺に任せてください!」
恋次は白哉を押し倒して、肌を弄っていく。
「あ‥‥‥‥」
白夜が漏らす小さな声に、自身が昂る。
「最後までしていいですか」
「だめだ。私たちは付き合いもまだしていないのだぞ。そこまでだ。どくがよい」
「ううう、我慢我慢‥‥‥‥」
白哉は、白く美しい顔(かんばせ)で、恋次に囁く。衣服の乱れは直されていた。
「私を手に入れたいのであれば、正式に付き合え」
「付き合います!隊長、好きです!」
「恋次、好きだ」
温泉旅行で互いの意思を確認しあい、正式に付き合いはじめた。
ちなみに、それを聞いたルキアは「兄様が狼に奪われた‥‥‥」と言って、卒倒するのであった。
そう誘われて、恋次はあたりをきょろきょろみた。
「恋次に言っているのだ」
「え、俺っすか!?」
てっきり、近くにルキアがいてルキアに声をかけているものと思った。
「最近忙しくて、お互い疲れているであろう。1週間の休暇をもぎとった。恋次、お前の分もだ」
「え、俺の分まで?でも、隊長副隊長も不在だなんて」
「席官たちがなんとかすると言っていた。一緒に温泉旅行にいってこいと、宿を紹介されたのだ」
白哉は、静かに言った。
「ルキアとじゃなくって、俺と二人でいくんすか?」
「そうだ。ルキアとはいつでも一緒に行ける。だが恋次、お前とはなかなか一緒に行けぬであろう。上官副官関係なく、旅行にいかぬか。それとも私と二人きりではいやか?」
「そ、そんなわけないっす!俺隊長のこと好きなんすよ!知ってて、誘ってますよね?」
「お前が私のことを好いているのは知っている」
「俺が狼になるかもしれないと思わないんすか」
「恋次は、嫌がる私には何もしない」
白哉はきっぱりと断言した。
「そりゃそうっすけど‥‥‥そんな俺と一緒にだなんて」
「私も恋次、お前を好いておる。たまにはよかろう」
「え、今なんて?」
「二度は言わぬ」
恋次は飛び上がって喜んだ。
「隊長と、相思相愛なんすね!」
白哉に抱きつくと、恋次は地面に転がされた。
「好いてはいるが、まだ何かをしたいというわけではない」
「うー、蛇の生殺し‥‥‥‥」
恋次は、白哉を再び抱きしめる。
今度は、白哉は大人しく腕の中で抱かれた。
「隊長華奢っすね。すごいい匂いがする」
唇を重ねようとすると、拒否された。
「隊長、キスくらいいいじゃないっすか」
「‥‥‥‥なら。温泉旅行でなら、考えてやってもよい」
「まじっすか!」
それから数日が経ち、温泉旅行の日がやってきた。
恋次はその前の晩興奮で一睡もできなくて、宿につくなり爆睡してしまった。
白哉は恋次を放置して、一人で貸し切りにした温泉に入った。
そこへ、目が覚めたばかりの恋次が入ってくる。
「すんません!もう入ってるとは思わなくて!」
「よい。温泉は公共の場だ。貸し切りとはいえ。恋次も入れ」
「はい‥‥‥」
白哉は腰にタオルを巻いていたが、白い肌がほぼ露わになっていて、恋次は目のやり場に困る。
「いい湯ですね」
「なぜ、目を閉じている?」
「あんたの裸が目の毒だからですよ!」
「そうか。では私は先にあがる」
「あ、背中の流し合いとかはしないんすか!?」
「子供ではあるまいに。せぬ。私は先に部屋に戻る」
残された恋次は、もっと白哉の裸を見ておけばよかったと後悔する。
豪華な夕食をとり、消灯時間になる。
「隊長、起きてますか?」
返事はなかった。
恋次は、一緒の部屋で眠る白哉に薄暗い明りの中近づいて、触れるだけのキスをした。
「あんたが好きです‥‥‥おやすみなさい」
実は、白哉はまだ起きていた。
ドキドキと心臓が早鐘を打つ。
眠ってしまった恋次を置いて、キスされたせいでなかなか寝付けないので、夜の散歩に出かける。
「私に、お前の思いを全て受け入れられるであろうか」
月を見上げていた。
それから部屋に戻り、白哉も眠った。
次の日も温泉宿に泊まった。
「恋次、目を閉じろ」
「へ?あ、はい」
白哉は、自分から恋次にキスをする。
「えあ、隊長!?」
「ここからどう先に進むのかが分からぬ」
「あ、俺に任せてください!」
恋次は白哉を押し倒して、肌を弄っていく。
「あ‥‥‥‥」
白夜が漏らす小さな声に、自身が昂る。
「最後までしていいですか」
「だめだ。私たちは付き合いもまだしていないのだぞ。そこまでだ。どくがよい」
「ううう、我慢我慢‥‥‥‥」
白哉は、白く美しい顔(かんばせ)で、恋次に囁く。衣服の乱れは直されていた。
「私を手に入れたいのであれば、正式に付き合え」
「付き合います!隊長、好きです!」
「恋次、好きだ」
温泉旅行で互いの意思を確認しあい、正式に付き合いはじめた。
ちなみに、それを聞いたルキアは「兄様が狼に奪われた‥‥‥」と言って、卒倒するのであった。
オメガバース京浮読み切り短編11
ある花街。
そこ一番の桜妓楼は、遊女も花魁が多く、とても美しい娘たちをそろえていた。
そんな中に、化粧を施された15歳くらいの花魁がいた。
「かわいいね?名前はなんていうの」
常連客の上流貴族出身の京楽は、初めて見るその花魁に興味をもった。
「違う。俺は花魁にされているが、遊女じゃない。色子だ」
「へ?色子の花魁?‥‥‥しかも君、オメガだね」
びくりと、15歳くらいの少年‥‥‥浮竹は、うなじを噛まれないように保護している首輪に触れる。
「面白いね。今日は君を指名するよ」
「本気か?俺は色子だぞ」
「色子とだって寝たこと何度もあるから大丈夫」
「でも、オメガだ。見たところ、お前はアルファだろう。上流貴族のアルファが、オメガの色子を買うなんて‥‥‥家の者が知ったら、嘆くぞ」
浮竹は、その日はじめて客をとる日だった。
花街でも常連の上客の京楽に指名されて、他の遊女たちが嫉妬する。
「だんな、こんな淫乱のオメガの色子なんてほっといて、あちきと遊びましょうよ」
「京楽様は私のものよ!この前、買ってくださったんだから!」
そんな醜い争いを続ける遊女や花魁を無視して、京楽は揚げ代をしこたま払い、浮竹を指名した。
「好きにするといい」
褥で、大の字になって動かない浮竹に、京楽が笑う。
「初めてなんだね。優しくするよ」
京楽の慣れた手つきと手管で、浮竹も反応してやるものかと決め込んでいたのに、気づけば啼いて京楽を喜ばせていた。
「あ、やだぁ、そこお」
「ここ、いいんだね?」
何度も奥を貫かれて、浮竹は中いきをする。
「んっ‥‥‥ボクももうもたない。中で出すよ?」
「ひああああ、だめぇ、子供できちゃう」
「アフターピル飲むんでしょ?」
「だめぇ、もしも子ができちゃったら‥‥‥‥」
「ボクが責任とるよ。だから、出すよ?」
京楽は、浮竹の子宮に子種をぶちまける。
「ひああああん!!!」
浮竹は初めてだというのに、乱れた。
夜があけて、朝になる。
「俺をまた買いにきてくれ。お前以外の男に抱かれるのはなんだかいやだ」
「ボクも同じこと考えていたよ。ボクだけの花魁でいて。金はまとめて支払っておくから、ボク以外の客をとっちゃだめだよ」
桜妓楼の女将に、大金をもたせて浮竹をもう、色子の花魁として見世に出さないように言いくるめた。
それから、京楽は3日に一度はやってきて、浮竹を抱いた。
「京楽」
「ごめん、今日は君を買えない。前に贔屓にしてた花魁の誕生日なんだ」
「そうか」
それだけを言い残して、浮竹は自分の部屋に戻る。
他の遊女たちから、繰り返し嫌がらせをされていた。
色子で、しかもオメガで、花魁にされたからと京楽ばかり独り占めしてずるいと。
今日の夕飯にも、虫が混じっていた。
「はぁ‥‥京楽は、俺を身請けなんてしてくれないだろうな。ただ珍しいから抱いてるだけで」
次の日、京楽の相手をしていた遊女が、女将に訴えた。
浮竹が、足抜けしようとしていると。
相手は、浮竹に惚れた男衆の一人だと。
女将は、男衆のざれごとを本気にして、遊女の言葉を信じて浮竹を折檻した。
「ちょっと、どうしたのその傷!」
京楽が浮竹を買いにいくると、傷を作った浮竹を見て驚く。
「足抜けしようとしていると疑いをかけられて、折檻された。言い出したのは菊花だ」
「昨日、ボクが買った花魁じゃないか。他には何かされた?」
「黙っていたが、遊女たちから嫌がらせを受けている。ご飯に虫を混ぜられたり、階段から突き落とされたり、他の男に犯されそうになったり」
浮竹の言葉を聞いて、京楽は顔色を変える。
「決めた。君を身請けする」
「京楽?」
「ボクは、これでも京楽家の当主だからね。ボクの決定には、この廓の女将も逆らえないよ」
「でも、俺は色子のオメガで」
「関係ないよ。君が好きなんだ。素直に、ボクのものになって」
京楽は浮竹を抱きしめた。
「京楽、俺もお前のこと好きだ。一緒にいたい」
「じゃあ、もう話つけてくるね。その前に、菊花のところにいこうか」
「あら、京楽様‥‥‥」
「浮竹に、足抜けしようとしているって嘘を女将に言ったんだってね」
「そ、そんなこと言ってないわ!それに、それは色子のくせに花魁の地位にいる、卑しい淫乱のオメガよ!」
「君から、そんな言葉を聞きたくなかった。浮竹はボクが引き取る」
菊花は、形相を変えて浮竹に詰め寄る。
「おのれ、あたしの客を奪うだけでなく身請けされるだって!」
浮竹の首を締めあげようとしたところで、京楽に阻まれた。
「京楽様、これは誤解です!」
「もう遅いよ。この廓の色子の花魁は、今日をもっていなくなる」
「京楽?」
浮竹が首を傾げる。
「もう、身請けの代金は払っておいたから。菊花には、さよならを告げるために昨日指名したんだ」
「俺を、身請けしてくれるのか?」
「こんな環境で客を取り続けていたら、君は多分死ぬよ?」
「同情か?」
「違う。君が好きだよ。君を買うたびに、愛らしく思っていた」
「京楽、俺もお前が好きだ」
浮竹は、京楽に抱きしめられた後、身請けの手続きをしにいった。
「これで、君は自由だ。まぁ、ボクのものなんだけど」
「俺はそれでかまわない」
「君は、どこまでもかわいいねぇ」
京楽は、浮竹にキスをして、自分の館に連れていくと抱いた。
「あ、京楽」
「春水って呼んで?」
「あ、春水、そこだめぇ」
「十四郎、番になろう。ボクの正式な妻になってほしい」
「ひああああ!!!あ、なるうう」
京楽は、浮竹の奥を突きあげながら、浮竹の首輪をとった。
「噛みつくよ?番にするからね?」
「ああああ!!!」
うなじに噛みつかれて、浮竹は京楽の番になった。
「あ、体が熱い。ヒートがきたみたいだ」
「年のわりにヒートこないからどうなってるんだろうと思ってたけど、薬飲んでたんだね」
「フェロモンで、アルファを無駄に誘惑しないようにと‥‥」
「そんなの、今は不要だからね。さぁ、子種をたくさんあげるから、ボクの子孕んでね?」
「ひああああ!!!」
京楽は、浮竹を突き上げる。
浮竹は、背をしならせて、いってしまう。
浮竹の長い白髪をいじりながら、京楽は浮竹の心も手に入れられたと、誇らしげだった。
「お前は、俺の初めで最後の客だ」
「うん」
「お前の番として、余生を送る」
「結婚しよう」
突然の言葉に、浮竹が目を見開く。
「せ、籍を入れるのか?俺はオメガとはいえ、元花街の住民だぞ?」
「ボクは当主だよ。ボクに逆らえるものは、ほんの一握りしかいない」
「そうか‥‥」
次の日から、浮竹はヒートになって京楽と一緒に過ごした。
寝る、食べる以外は、ほとんど交わっていた。
浮竹はアフターピルを与えられなかったので、ほどなく懐妊した。
「ボクたちの愛の結晶だ。大事に育てようね」
「お腹の子はアルファだそうだ。オメガじゃなくってよかった」
「ボクは、たとえオメガの子が生まれてきても、純粋に愛するよ?」
「俺のようになってほしくないからな。俺は、元貴族だ」
浮竹の言葉に、京楽が驚く。
「え、本当に?」
「ああ、下級だがな。借金のかたに売られてしまって、桜妓楼に買われた」
「でも、お陰で出会えて番になれた。いろんなことに感謝しないと」
「ふふ、お前は前向きなやつだな」
「十四郎、好きだよ。生まれてくる子には、なんて名づけよう?」
「そうだな‥‥‥」
浮竹十四郎は、京楽春水に身請けされ、ほどなく双子の男児を産んだ。
どちらもアルファで、浮竹をそしる者がいれば京楽が許さなかった。
花街で出会ったが、浮竹は上流貴族となり、子は双子以外生まれなかったが、京楽と子供たちに囲まれて、幸せに生きるのだった。
そこ一番の桜妓楼は、遊女も花魁が多く、とても美しい娘たちをそろえていた。
そんな中に、化粧を施された15歳くらいの花魁がいた。
「かわいいね?名前はなんていうの」
常連客の上流貴族出身の京楽は、初めて見るその花魁に興味をもった。
「違う。俺は花魁にされているが、遊女じゃない。色子だ」
「へ?色子の花魁?‥‥‥しかも君、オメガだね」
びくりと、15歳くらいの少年‥‥‥浮竹は、うなじを噛まれないように保護している首輪に触れる。
「面白いね。今日は君を指名するよ」
「本気か?俺は色子だぞ」
「色子とだって寝たこと何度もあるから大丈夫」
「でも、オメガだ。見たところ、お前はアルファだろう。上流貴族のアルファが、オメガの色子を買うなんて‥‥‥家の者が知ったら、嘆くぞ」
浮竹は、その日はじめて客をとる日だった。
花街でも常連の上客の京楽に指名されて、他の遊女たちが嫉妬する。
「だんな、こんな淫乱のオメガの色子なんてほっといて、あちきと遊びましょうよ」
「京楽様は私のものよ!この前、買ってくださったんだから!」
そんな醜い争いを続ける遊女や花魁を無視して、京楽は揚げ代をしこたま払い、浮竹を指名した。
「好きにするといい」
褥で、大の字になって動かない浮竹に、京楽が笑う。
「初めてなんだね。優しくするよ」
京楽の慣れた手つきと手管で、浮竹も反応してやるものかと決め込んでいたのに、気づけば啼いて京楽を喜ばせていた。
「あ、やだぁ、そこお」
「ここ、いいんだね?」
何度も奥を貫かれて、浮竹は中いきをする。
「んっ‥‥‥ボクももうもたない。中で出すよ?」
「ひああああ、だめぇ、子供できちゃう」
「アフターピル飲むんでしょ?」
「だめぇ、もしも子ができちゃったら‥‥‥‥」
「ボクが責任とるよ。だから、出すよ?」
京楽は、浮竹の子宮に子種をぶちまける。
「ひああああん!!!」
浮竹は初めてだというのに、乱れた。
夜があけて、朝になる。
「俺をまた買いにきてくれ。お前以外の男に抱かれるのはなんだかいやだ」
「ボクも同じこと考えていたよ。ボクだけの花魁でいて。金はまとめて支払っておくから、ボク以外の客をとっちゃだめだよ」
桜妓楼の女将に、大金をもたせて浮竹をもう、色子の花魁として見世に出さないように言いくるめた。
それから、京楽は3日に一度はやってきて、浮竹を抱いた。
「京楽」
「ごめん、今日は君を買えない。前に贔屓にしてた花魁の誕生日なんだ」
「そうか」
それだけを言い残して、浮竹は自分の部屋に戻る。
他の遊女たちから、繰り返し嫌がらせをされていた。
色子で、しかもオメガで、花魁にされたからと京楽ばかり独り占めしてずるいと。
今日の夕飯にも、虫が混じっていた。
「はぁ‥‥京楽は、俺を身請けなんてしてくれないだろうな。ただ珍しいから抱いてるだけで」
次の日、京楽の相手をしていた遊女が、女将に訴えた。
浮竹が、足抜けしようとしていると。
相手は、浮竹に惚れた男衆の一人だと。
女将は、男衆のざれごとを本気にして、遊女の言葉を信じて浮竹を折檻した。
「ちょっと、どうしたのその傷!」
京楽が浮竹を買いにいくると、傷を作った浮竹を見て驚く。
「足抜けしようとしていると疑いをかけられて、折檻された。言い出したのは菊花だ」
「昨日、ボクが買った花魁じゃないか。他には何かされた?」
「黙っていたが、遊女たちから嫌がらせを受けている。ご飯に虫を混ぜられたり、階段から突き落とされたり、他の男に犯されそうになったり」
浮竹の言葉を聞いて、京楽は顔色を変える。
「決めた。君を身請けする」
「京楽?」
「ボクは、これでも京楽家の当主だからね。ボクの決定には、この廓の女将も逆らえないよ」
「でも、俺は色子のオメガで」
「関係ないよ。君が好きなんだ。素直に、ボクのものになって」
京楽は浮竹を抱きしめた。
「京楽、俺もお前のこと好きだ。一緒にいたい」
「じゃあ、もう話つけてくるね。その前に、菊花のところにいこうか」
「あら、京楽様‥‥‥」
「浮竹に、足抜けしようとしているって嘘を女将に言ったんだってね」
「そ、そんなこと言ってないわ!それに、それは色子のくせに花魁の地位にいる、卑しい淫乱のオメガよ!」
「君から、そんな言葉を聞きたくなかった。浮竹はボクが引き取る」
菊花は、形相を変えて浮竹に詰め寄る。
「おのれ、あたしの客を奪うだけでなく身請けされるだって!」
浮竹の首を締めあげようとしたところで、京楽に阻まれた。
「京楽様、これは誤解です!」
「もう遅いよ。この廓の色子の花魁は、今日をもっていなくなる」
「京楽?」
浮竹が首を傾げる。
「もう、身請けの代金は払っておいたから。菊花には、さよならを告げるために昨日指名したんだ」
「俺を、身請けしてくれるのか?」
「こんな環境で客を取り続けていたら、君は多分死ぬよ?」
「同情か?」
「違う。君が好きだよ。君を買うたびに、愛らしく思っていた」
「京楽、俺もお前が好きだ」
浮竹は、京楽に抱きしめられた後、身請けの手続きをしにいった。
「これで、君は自由だ。まぁ、ボクのものなんだけど」
「俺はそれでかまわない」
「君は、どこまでもかわいいねぇ」
京楽は、浮竹にキスをして、自分の館に連れていくと抱いた。
「あ、京楽」
「春水って呼んで?」
「あ、春水、そこだめぇ」
「十四郎、番になろう。ボクの正式な妻になってほしい」
「ひああああ!!!あ、なるうう」
京楽は、浮竹の奥を突きあげながら、浮竹の首輪をとった。
「噛みつくよ?番にするからね?」
「ああああ!!!」
うなじに噛みつかれて、浮竹は京楽の番になった。
「あ、体が熱い。ヒートがきたみたいだ」
「年のわりにヒートこないからどうなってるんだろうと思ってたけど、薬飲んでたんだね」
「フェロモンで、アルファを無駄に誘惑しないようにと‥‥」
「そんなの、今は不要だからね。さぁ、子種をたくさんあげるから、ボクの子孕んでね?」
「ひああああ!!!」
京楽は、浮竹を突き上げる。
浮竹は、背をしならせて、いってしまう。
浮竹の長い白髪をいじりながら、京楽は浮竹の心も手に入れられたと、誇らしげだった。
「お前は、俺の初めで最後の客だ」
「うん」
「お前の番として、余生を送る」
「結婚しよう」
突然の言葉に、浮竹が目を見開く。
「せ、籍を入れるのか?俺はオメガとはいえ、元花街の住民だぞ?」
「ボクは当主だよ。ボクに逆らえるものは、ほんの一握りしかいない」
「そうか‥‥」
次の日から、浮竹はヒートになって京楽と一緒に過ごした。
寝る、食べる以外は、ほとんど交わっていた。
浮竹はアフターピルを与えられなかったので、ほどなく懐妊した。
「ボクたちの愛の結晶だ。大事に育てようね」
「お腹の子はアルファだそうだ。オメガじゃなくってよかった」
「ボクは、たとえオメガの子が生まれてきても、純粋に愛するよ?」
「俺のようになってほしくないからな。俺は、元貴族だ」
浮竹の言葉に、京楽が驚く。
「え、本当に?」
「ああ、下級だがな。借金のかたに売られてしまって、桜妓楼に買われた」
「でも、お陰で出会えて番になれた。いろんなことに感謝しないと」
「ふふ、お前は前向きなやつだな」
「十四郎、好きだよ。生まれてくる子には、なんて名づけよう?」
「そうだな‥‥‥」
浮竹十四郎は、京楽春水に身請けされ、ほどなく双子の男児を産んだ。
どちらもアルファで、浮竹をそしる者がいれば京楽が許さなかった。
花街で出会ったが、浮竹は上流貴族となり、子は双子以外生まれなかったが、京楽と子供たちに囲まれて、幸せに生きるのだった。
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