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黒猫と白猫の亜人64

人の社会は娯楽が多い。

猫の人生は緩やかで、人に愛されて飯をくって遊んでもらって食事をもらって寝るだけ。

でも、猫の亜人である浮竹と京楽は、猫な人生も送りながら、人としての暮らしも楽しむ。

いつもは白哉と一緒に食事をする。人の姿でだ。

そして、浮竹は長~い長編漫画を読んでいた。

ワ〇ピースだった。

「俺は海賊王になる!」

目をきらきらさせて、少年のように‥‥‥‥‥見た目はまだ17歳くらいだが、浮竹はせっせと自分で筏(いかだ)を完成させて、海のある場所に行きたいと言い出す。

それを、京楽と白哉が止める。

「この時代、海賊などおらぬぞ。どの国でも海賊が現れれば国軍を出すゆえ、海賊などとうの昔に絶滅してしまった」

「じゃあ、俺が海賊になって海賊を復活させる!」

「浮竹、バカな夢は捨てなさい。君はたとえ海賊になれたとしても、人の命を奪ったり、金品を強奪したりできないでしょ。それに食べ物と水はどうするの」

「食べ物と水はアイテムポケットに入れておく」

「む、その手があったか‥‥‥」

京楽は、一本とられたという顔をするが、浮竹の説得を続ける。

「海賊王になったって、ワ〇ピースなんて宝などないよ?海賊として他人を傷つけて金品を奪うこと、君にはできる?」

「できない」

「でしょ」

浮竹は、少し残念がる。

「でも、俺は海賊王になってこの世界の海を制覇する!」

「じゃあ、今度白哉君の持ってるフェリーで、世界一周旅行でもする?」

「う‥‥‥海賊王でなくても、世界の海は制覇できる時代なのか」

「そうだよ。諦めなさい」

「海賊王になりたい!」

浮竹は、かなり漫画のワン〇ースに毒されているようで、京楽と白哉はサッカー漫画のブルー〇ックの漫画を浮竹に与えた。

「俺は世界一のエースストライカーになる!」

「ねぇ、白哉君、浮竹って」

「ああ。物語の主人公になりたがるタイプだな」

「まずは、同じエースストライカーの仲間を集めないと」

本気でそんなことを思案している浮竹に、京楽と白哉は、古いがヴェル〇イユの薔薇の漫画を与えた。

「うおおお、オスカー!」

今度は違った反応で、男なので男装した騎士にはなれなくて、浮竹はとりあえず髪を縦ロールにしてしまった。

「民を助けないと!革命だ!!!」

また物騒なことを起こしそうだったので、京楽と白哉はドクタース〇ンプ、アラレちゃんの漫画を浮竹に与えた。

「キーーーーン」

人の姿でダッシュで両手を広げて、今にも飛んでいきそうな浮竹。

とりあえず、今までのうち一番安全そうである。

しかし、問題が起きた。

散歩するといって消えて、犬のうんこを木の棒でさして持って帰ってきたのだ。

アラレちゃんもよくうんこを木の棒でさして走って遊んでいる。

浮竹的には、猫のうんこではだめならしい。

猫は猫砂に隠してしまうため、犬のうんこが最適らしい。

「浮竹、そんな汚いもの振り回すのやめて、ぺっしなさい」

「キーーーン」

京楽に向かって猛ダッシュする。

京楽とぶつかって、浮竹は気にせず走っていく。

「ぎゃあああああ、犬のうんこが降ってきたあああ」

犬の野ぐそをつけられて、他の猫たちにもばっちい目でみられて、京楽はしぶしぶ衣服を脱ぎ捨てて風呂に入ることにした。

浮竹は、ロボビタミンが欲しいと白哉を困らせる。

白哉は、浮竹が寝る前にアニマルレスキューに救われた保護ペットの話を聞かせて、浮竹はその話に涙した。

「不幸なペットは、俺が救う!」

浮竹は、アニマルレスキューになった気分で、虐待されているらしい犬を保護してきた。

白哉と京楽は、庭にスペースを作り、温度を一定に保って、そこで保護された犬を入れる。

浮竹が活動しだすと、城下町の野良犬なども保護された。

どれも、白哉の手厚い保護の元、狂犬病などの注射もし、ワクチンも受けて慣れていなかった犬は人に慣らせてから、里子にへと出していった。

浮竹は、その後も道端で転がっていた鳥のヒナを見つけたりして保護した。

ちなみに、猫の保護は10件。野良猫だった。

去勢と不妊手術を施して、白哉の猫になった。

野良猫たちは、白哉の存在を知っているので、城下町に出没する野良猫は半野良の、白哉の猫である。

白哉の猫の保護活動はよく知られており、猫に虐待をすると重い罰がくだされる。それが白哉の猫ならなおさらであった。

「不幸なペットは俺が救う!」

白哉は、動物愛護条令を出すなどして、浮竹を安心させた。

浮竹は、街の人たちに、不幸なペットはいれば俺のところにもってこいとかいうものだから、けっこうな数の不幸なペットが集まったが、どれも動物の医療の最新技術でケアして、必要であればワクチンなどを接種して、人に慣らしてから新しい里親の元に旅立っていく。

今はアニマルレスキューも落ち着き、たまに怪我した野生動物がやってくるくらいだ。

ハムスターが保護された時は、大騒ぎになった。

浮竹も京楽も猫の血が騒ぎ、狩りたくなってしまうので、白哉に任せた。

「浮竹、もうアニマルレスキューはほどほどにね」

「ハムスターかわいかったなぁ。でも、本能が刺激されて狩りたくなる」

「どうどう」

京楽が落ち着かせる。

結局、ハムスターは白哉の使用人が里親になって、自分の家で世話しているらしい。

「不幸なペットがいたら、俺はまた助けにいきたい」

「うん。ボクも、手伝うよ」

浮竹と京楽は、野生動物の保護を中心に、ペットの保護を今後も続けていくのであった。




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黒猫と白猫の亜人63

猫の発情期の季節がやってきた。

白哉の猫のほとんどが去勢または避妊手術をしているので、普通は盛ることがない。

子猫の時に保護された若い雄が、まだ去勢されてなかった。

同じく避妊されていない、サタンの5夫人の猫のうちのバリーちゃんにしっぽりしそうになって、サタンが激怒してその雄猫を、猫パンチをかましまくって、追い出す。

猫の広間で盛っていた雄猫は、あろうことか猫の姿で遊んでいた浮竹にしっぽりしようとする。

「ああああ、ボクの浮竹が汚される!」

「いや、猫の雄同士ではしっぽりできないだろ。安心しろ」

そう言う浮竹の背後で、茶トラの雄猫は腰をふっていた。

「この、色欲魔め!離れなさい!」

茶トラの雄を、京楽が猫パンチ体当たりでどかす。

色欲魔は京楽お前の方じゃないかと、浮竹は思ったが口には出さない。

「白哉君!」

「なんだ、京楽?」

「この雄猫去勢してない。サタン君の夫人に手を出そうとしたし、今のうちに去勢してくれないかな。外に出て、白哉君の猫じゃない野良の子との間に子供ができたら大変だ」

「ああ、まだ子猫だったので去勢していなかったのだな。分かった、今から去勢手術を獣医から受けさせることにしよう」

京楽の目がぴかーんと光った。

「ふっふっふ。ボクの浮竹にちょっかいかけるような雄猫は去勢だよ」

「それなら、京楽も去勢だな」

「えええええ、それはないよ浮竹ぇ」

「まぁ、お前が去勢されると人の姿をとった時にしっぽりできなくて困るが」

浮竹の言葉に、京楽の目が輝く。

「そうでしょ?」

「発情期にならなくても、疼く体が恨めしい」

「今日しっぽりする?」

「しない」

浮竹は、一度自分たちの一軒家に戻ると猫の姿でYES NO枕をNOにして丸くなって眠る。

京楽は人の姿に戻り、そんな浮竹を撫でていた。

「あ、お腹減ってきた‥‥‥昼食食べに行こう、浮竹?」

浮竹を揺り動かして、猫から人の姿にさせると、白哉もいる食堂で豪華な昼食をとる。

そして、二人はまた猫の姿になって、サタン一家を訪れる。

サタンは5夫人たちとしっぽり中で、まだ譲渡されていない子猫の相手を浮竹と京楽は、一緒に猫の玩具で遊んでやった。

「にゃあん」

「この白猫はオッドアイの美人さんだな。雌のようだが」

「浮気はだめだよ、浮竹」

「それはお前のほうだろう!俺のダッチワイフで最近辛抱しているようだが、またしっぽりして浮気しようとか思ってるんじゃないだろうな」

「ぎくっ」

「今度浮気したら、1カ月は禁欲だからな」

浮竹は強く言って、京楽を困らせる。

「にゃんん(しっぽりってなぁに?)」

まだ子猫のオッドアイの子は、しっぽりの意味を理解できていなかった。名前はリリアナちゃんだそうだ。

すでに、貴族の令嬢への譲渡が決まっており、混合ワクチンを接種して、もうあと1カ月ほど親の夫人猫とサタンの愛情を注がれてから、里子に出される。

サタンは、本気を言えば子供たちとずっと生活したいのだが、夫人が発情期になるとしっぽりして子猫が生まれるので、放置しておくと子猫同士がくっついてまた子猫を生み、多頭崩壊になるので、子猫は里子に出すという白哉の言いつけを守っていた。

サタン自身は、自分の子供たちでサタン猫帝国を作りたいのだが、人間の手がないと作れないので今のところ作る予定はない。

「わはははは、我はサタンなり!我としっぽりしたいかわいこちゃんはどんどん来るがよい!」

サタンは今日も猫生を謳歌している。

「にゃ~ん(しっぽりしたいけど、私避妊手術受けているのよね)」

「うむ、避妊手術をしていても、我とはしっぽりできるぞ。我のテクニックで皆悶絶なのである!!」

「にゃあ(あら、本当?)」

サタンは避妊手術をした雌猫ともしっぽりして、大人気だった。

「にゃあん(久しぶりに気持ちよかったわ。またお願いね)」

「わはははは!我はサタン!」

しっぽり中でも、笑っているサタンははっきり言ってムードがないが、テクニックが凄いため、5夫人の猫たちはもう何度もしっぽりさせられてぐったりだ。

また、2カ月の妊娠期間を経たら、きっと子猫を産むだろう。

サタンの子猫は譲渡の予約が埋まっている状態なので、白哉も5夫人を避妊手術させる気はなかったし、子が増えて大変な場合はサタンに猫用コンドームを使うように指導していた。

「浮竹、ボクたちもしっぽりしない?」

「いいぞ」

「そう、やっぱだめ‥‥‥え?」

京楽は聞き返す。

「二度目は言わない」

「じゃあ、早速自宅に戻ろう!」



二人は、一軒家まで戻ると、ベッドにもつれあって倒れこむ。

「んっ」

京楽の性急なキスに答えながら、お互いの服を脱がしていく。

「あっ」

胸の先端をきゅっとつままれて、浮竹が甘い声を漏らす。

「んんっ」

下肢を裸にされて弄られて、生理現象で浮竹のものが硬くなっていく。

京楽のものはもうギンギンに勃っていた。

くちゅくちゅと、お互いの性器を重ね合わせながら、指でしごいていく。

「ん、あああ!」

「気持ちいい」

「んあっ、やぁ、いく」

「いっていいよ、浮竹」

浮竹と京楽は、性器をこすりあって、ほぼ同時に射精していた。

それから、京楽は潤滑油を取り出して、浮竹の蕾にいつものように指を入れて慣らしていく。

「んあっ」

指がいいところを刺激して、そこを指の先でぐっと押すと、浮竹はドライのオーガズムでいってしまった。

「ああああ!」

びくんと体が反応する。

「浮竹、大好き」

「あ、京楽、大好きだ」

京楽はがちがちに硬くなった熱いもので、浮竹を引き裂く。

「あーーー、あ、あ」

もう大分慣れてきたが、やはり挿入には少し痛みが伴う。

しばらく動かずに大きさに慣らしてから、京楽は動き出す。

「ああ、あ」

パンパンと肉と肉をぶつけあう音がするくらい激しく交わりだすと、浮竹の反応もよくなる。

「ひああああん、だめぇえええ」

「奥がいいんでしょ?」

「あ、奥は、だめぇえええ」

京楽は、浮竹が嫌だという奥に侵入する。

「ひあん!」

「ふふ、熱く締め付けてくるね?胎の奥に子種出すよ?」

「ああ、子種出ちゃううぅ。奥にびゅるびゅる出されてるうう」

京楽は、その通り浮竹の胎の奥に子種を弾けさせる。

「まだまだだからね?」

「んあ、加減、しろよ?」

「さぁ?」



「ひゃああん、らめぇえええ」

すでに5回目になる欲を受け止めて、浮竹はぼやけた意識で京楽の刺激に反応する。

「んあああ、いくうう。もういきたくないにいくううう」

浮竹は何十回と絶頂を繰り返し、体力も底をつきかけている。

「これで最後だからね?」

「やらぁぁ。もう犯さないでぇ」

「ふふ、君の浅い部分で出してあげる」

わざと浅い部分をくちゅくちゅと犯し、前立腺を刺激すると、もう出ないと思われていた浮竹が精液を出した。

その後は、潮を盛大に吹き出す。

「ああ、やばそう。ちょっとお風呂場に行こうか」

「んあ」

浮竹から抜いて抱き上げて風呂場にいくと、ずちゅと音をさせながら京楽は浮竹を犯す。

「やらぁぁ、また、くるうううう」

潮を吹いたあと、そのままちょろちょろと黄金水を出してしまう浮竹。

「やあああ、漏らしちゃったあああ、だめええええ」

「風呂場だから、全部出しちゃっていいよ?」

「いやああああぁぁぁ」

じょろじょろと勢いよく尿は出て、京楽はシャワーで軽く洗い流す。

「んあ‥‥もう、だめ」

浮竹はオーガズムでもいきながら、気を失った。

「ふふ、ボクも満足だよ」

京楽は、浮竹の中に出したものをシャワーも使ってかき出して、軽く体を洗い流してバスタオルでふいてやる。

浮竹は体力は尽きたのか、衣服を着せられると猫の姿になってしまった。

「あら、猫になっちゃった」

京楽は人の姿で浮竹の世話をしてから、自分も猫の姿になってベッドで二人は丸くなって眠る。

しっぽりしすぎた後は、眠るのが一番だ。お腹がすいたら起きて、キャットフードで適当に腹を満たしてからまた寝る。

朝になり、浮竹が起き出す。

「んー、やり過ぎて腰が痛い‥‥」

「ごめんね?」

京楽が回復魔法を使う。

「大分楽になった。朝食を食べに食堂に行くか」

食事の時間は人でとることも多いが、猫の時もある。

白哉は、浮竹と京楽が食堂にくるかどうか気紛れで分からないが、いつも3人分用意してくれていた。

浮竹と京楽がこない時の二人の分の食べ物は、使用人が食べることになっている。

なので、浮竹と京楽がくると使用人はがっかりする。

それがなぜなのか分からなくて、浮竹も京楽も頭に?マークを浮かべながら食事するのだった。





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黒猫と白猫の亜人62

「にゃおおおおおおん」

サタンが悲痛な鳴き方をする。

なんだと、気になって浮竹と京楽が見ているところで、猫専用の獣医の手でワクチンを打たれていた。

「なんだ、ワクチンか」

「サタン君、まだワクチン接種してなかったんだね」

サタンは悪魔王猫であり、今までワクチン接種を何度も逃げてきたが、ついに最後の時。

エサに眠り薬を混ぜられて、意識が朦朧とする中、ワクチンを打たれて、怒ってサタンは獣医の腕を噛んだ。

「我はサタン。悪魔王猫ぞ!注射なぞいらぬ!」

「そうはいっても、最近の兄は外に出ているであろう。病気をもらってから治療では遅くなることもある。混合ワクチンだ。あとは年に1回ずつのワクチンで済む」

「ぬおおおおお、年に1回のワクチン接種だと!けしからん!我には無用だ」

「去勢を‥‥‥‥‥」

「うぬん、悪くない。ワクチンでもなんでもするがよい」

白哉が去勢を仄めかしたとたん、態度を裏返すサタンに、浮竹も京楽も笑う。

「サタン君、よっぽど去勢がいやなんだね」

「まぁ、年中発情期だしな。去勢されると夫人としっぽりできないし」

「京楽、兄を去勢しろと前に怒った浮竹が言っていたぞ」

白哉の言葉に、京楽が驚く。

「ええええ!酷い、浮竹!」

「雌猫としっぽりしまくっていた時の話だ」

「じゃあ。もう去勢はいいんだね?」

「お前としっぽりできなくなるのは‥‥」

猫の姿だからわかりにくかったが、浮竹は赤くなっていた。

「なんでもない!白哉、チュールくれ」

浮竹は、白哉の手からチュールをもらう。京楽ももらい、眠り薬がすっかり抜けてワクチン接種も終わらせたサタンも一緒に食べた。

浮竹と京楽は、日常の半分以上を猫の姿で過ごしている。

食事の時とお風呂は人の姿でいることが多い。

睦みあうときも人の姿だが、情事のない日には猫の姿で寝ている時もけっこうあった。

猫の睡眠時間は、長い時だと17時間に及ぶ。

猫の亜人であるが、浮竹も京楽もよく寝た。

平均して1日15時間は寝ている。夜に寝るが、昼寝も多かった。

「んー、眠くなってきた。白哉の膝の上で寝たい」

「かまわぬぞ。1時間ほど休憩をとろうとしていたところだ」

「じゃあボクも」

「仕方ない、我も」

白哉はいつも、もてもてだ。

白哉がソファーに座ると、まず浮竹がその膝の上に乗ってきて、隣に京楽がやってきて、一緒に丸くなって眠り出す。あいている僅かなスペースにサタンがやってきて、大いびきをかいて寝だした。

「私は、猫ハウスではないのだがな」

白哉は苦笑しながら、浮竹と京楽とサタンの頭と体をそっと撫でる。

浮竹は気持ちいいのか、ぐるぐると寝ながら喉を鳴らしていた。

『白猫の俺と黒猫の京楽、遊びにきたぞ!』

魔王の浮竹と、幽鬼の京楽がやってくる。

「今、眠っている」

白哉の膝の上で丸くなって眠る姿に心を射抜かれて、魔王の浮竹は白哉の隣に座って、猫の浮竹の体をそっと移動させて自分の膝の上に乗せてみる。

「うにゅう、もう食べれない」

浮竹は寝言を言う。

『ああああ、うちの子に‥‥‥』

「浮竹と京楽もサタンも、私の家族だ。手放すつもりはない」

『ふふ、浮竹、ふられたね?』

幽鬼の京楽が、ぼーっとしてたかと思うと、魔王の浮竹の頭を撫でる。

『うぬう、まだ諦めないぞ』

魔王の浮竹は、浮竹と京楽の体を抱いて、サタンだけソファーに投げ捨てて、白哉に言う。

『魔王城に連れて帰る。お前の元に帰りたいというまで、帰さない」

『ちょっと、浮竹』

幽鬼の京楽が、やり過ぎじゃないのかという声を出す。

白哉は、自信あり気に笑った。

「浮竹と京楽は、私を選ぶ。家族だからな」

『ぐぬう』

魔王の浮竹は、半ば拉致するかのように魔王城に浮竹と京楽を連れて行く。

「あれ、魔王の俺?白哉は?」

「ん、白哉君は?」

『俺たちの家の子にならないか』

『ちょっと、浮竹』

『どうだ。我儘はできるだけ聞き入れる。だから、うちの子に』

浮竹は、伸びをすると魔王の浮竹の腕に飛び込む。

「俺と京楽は白哉の猫だ。魔王の俺には悪いが、家族を裏切れない」

『やっぱだめか‥‥』

『ほら、言ったのに』

「白哉に会ってからここに来たってことは、白哉は魔王城にいることを知っているんだな?」

『ああ』

「じゃあ、今日も泊まる」

はっきり言って、何度も泊まるので主は白哉だが、魔王城の住人と化しつつあった。

『じゃあ、飯ができるまで俺を遊ぶか』

「あ、じゃあ俺が昼食を」

いつもダークマターを食わせられるので、京楽が慌てた。

「ここのシェフの作った料理が食べたいなぁ」

「うーん、それもそうだな。ここのご飯はおいしいから」

浮竹が昼食を作らいとなって、京楽は胸を撫でおろす。

「じゃあ、おやつを俺が」

「今日はボクが作るからね!」

「じゃあ、その手伝いを」

「幽鬼のボク、手伝いお願いできるかな」

幽鬼の京楽は、クスリと笑って、OKを出す。

『仕方ないねぇ。ダークマター、おもしろい味してると思うけどね?』

「ダークマターは凶器だ!」

そんなやりとりをする京楽を不思議そうに見ながら、浮竹は魔王の自分の膝の上でまたお昼寝を始める。

「ああ。ボクもまだ眠い。昨日10時間しか寝てないから。ボクらは15時間は寝ないと活動に支障がでるから」

京楽も、魔王の浮竹の膝の上でうとうとと眠り始める。

『もう、これって俺んちの子になったようなもんだよな』

『まぁ、似たようなものかな』

幽鬼の京楽は、穏やかな午後の日差しを見ながら、魔王の浮竹の髪を手ですく。

『なんだ?』

『ん?好きだなぁと思って』

『な、そんなこと言っても何もでないからな』

『ふふ、浮竹はかわいいね?』

魔王の浮竹は、耳を赤くしつつ、浮竹と京楽が起きるのを根気強く待つのであった。


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俺はお前のラブドール7

浮竹は、新しく作ってもらった雨乾堂の窓から、外を見ていた。

今年の冬は大寒波で、鯉たちが泳ぐ池も凍ってしまった。

しんしんと降る雪に、はぁと息を白くさせながら外に出ると、やってきた京楽に中に戻れと拉致される。

「雪を見ていただけじゃないか」

「君は、体がまだ弱いんだから。風邪でもひいたら大変だ」

「風邪なんて多分ひかない」

「ううん、絶対風邪ひくね」

京楽の言う通り、次の日には浮竹は風邪をひいて高熱を出していた。

「何か、食べたいものはあるかい?」

「桃が、食べたい」

「この時期に桃かい。ちょっと無理かもしれないけど、現世にも行って探してみるよ」

京楽は、総隊長である自分自らが現世にいくのはまずいので、5番の席官に桃を探しにいってもらい、外国産の桃をなんとか買ってきてもらった。

「桃、買ってきてもらったよ?浮竹?」

京楽が、雨乾堂に浮竹の姿がないものだから、必死で探す。

こほこほと咳の音が聞こえて、外に出ると凍った池の上に浮竹が座っていた。

「何してるの!ああ、もうこんなに体冷やして!ほら、早く中に入って」

「なぁ、京楽」

京楽は、冷え切った浮竹の体を温めるために、電気毛布を出して、ストーブをつける。

電気毛布にくるまれながら、浮竹は続ける。

「俺は、いつかこの雪のように溶けてなくなってしまうんだろうか」

「そんなこと、ボクがさせない」

「うん‥‥‥‥」

風邪がうつるかもしれないのに、京楽は浮竹に口づける。

「うつるぞ」

「構わないよ」

また、口づける。

浮竹の熱があがってきたので、氷枕を作って、寝かせた。

「ほら、桃だよ。食べれる?」

浮竹は、雛鳥のように口を開けて桃を食べる。

「おいしい」

「まだあるからね?」

「京楽」

「なんだい?」

「俺が溶けてなくなっても、悲しまないでくれ」

「浮竹‥‥‥」

京楽は、浮竹を電気毛布ごと抱きしめる。

「君は溶けていなくなったりしない。そんなの、ボクが許さない」

「京楽の手、あったかい」

「ボクの手より、君の体温のほうが高すぎる。桃も食べたし、解熱剤飲んで寝ようか」

「ああ」

浮竹は京楽から、昔よく飲んでいた解熱剤をもらい、白湯で飲んだ。

「きっと、明日にはよくなってるから」

「うん。傍にいるからね?」

京楽は、仕事を全て新しい雨乾堂にもちこみ、浮竹の傍で仕事をした。

「京楽?」

気が付いた浮竹が、京楽がまだ傍にいることに驚いて、声を出す。

「仕事は?」

「ここにもってきたよ。言ったでしょ。傍にいるって」

浮竹は、ふにゃりと笑って、京楽に甘える。

「膝枕、してほしい」

「いいよ。おいで」

浮竹は電気毛布を手に、京楽の膝に頭を乗せて寝転がる。

「ああ、昔母上が俺の熱があるたびにこうしてくれたことを思い出す」

「浮竹の母さんは、今も元気だよ?3年くらい前に君の実家を久し振りに訪れたけど、みんな君のことを想いながら生きていたよ。息子は、立派だったでしょうか?と聞かれて、ボクは回答に迷ったね」

「ふふ、俺は一度全てを捨てて、神掛をしたからな」

「もう、あんな思いはごめんだよ」

「ああ」

浮竹は、そのまますうすうと眠ってしまう。

浮竹の熱はなかなか下がらず、お風呂に入りたいというものだから、しっかりお湯に浸かるならと許可して入らせて、髪をドライヤーで乾かしたけど、熱はまだあった。

浮竹が熱を出して1週間目、浮竹の呼吸が止まった。

京楽はそれに気づいて、パニックになりつつも人工呼吸と心臓マッサージを続けると、浮竹の頬に赤みがさして、呼吸が元に戻り、心臓も動き出す。

ただのラブドールに戻ろうとしていたのだ。

それを、京楽が阻止した。

阻止できた、というべきか。

浮竹の死は、つまりはただのラブドールに戻るということだ。

京楽はますます浮竹から離れられなくて、悪いとは思ったが、総隊長の座を一時白哉に預けて、浮竹の傍にずっとついていてやった。

「京楽、桃が食べたい」

「ふふ、またかい?」

浮竹が意識を取り戻し、我儘を言うのを、京楽は愛しく思う。

また、今度は席官でないが、現世に慣れている隊士に外国産の桃を買ってきてもらおうとしたのだけど売ってなくて、仕方なく桃の缶詰を買ってきてもらった。

「ごめんね、桃、缶詰のしか売ってなかったんだ」

「それでもいい」

浮竹は、京楽の手から缶詰の桃を食べる。自然の桃と味が違って、ちょっと驚きつつも、浮竹は缶詰の桃を完食してしまった。

最近あんまり食欲がなく、点滴を食事代わりに済ませていたことを思うと、大きな進歩だった。

本来なら、入院であるのだが、京楽の傍と雨乾堂に居たいという浮竹の我儘で、浮竹は雨乾堂で闘病生活をすることとなった。

ただの風邪をこじらせて、肺炎になっていた。

ぜぇぜぇと、苦し気に呼吸を繰り返す浮竹には、肺は片方しかない。右の肺は、ミミハギ様を解放させるのと一緒に、臓器ごとなくなってしまっていた。

まるで、昔に戻ったような錯覚を味わう京楽。

違うのは、自分が総隊長であること。そして、浮竹は失われたはずの命だということ。

「缶詰の桃、まだあるからね?欲しかったら、言ってね?」

「苺が食べたい」

「うん、苺だね?この季節でも、現世なら温室栽培で苺あるだろうから、買ってきてもらうね?」

「うん。傍にいてくれ、京楽」

京楽は、桃の缶詰を買ってきてくれた隊士を呼び、苺を2パック買ってきてもらった。

「ほら、苺だよ?」

「甘くておいしい」

「たくさんあるからね?足りないなら、追加で買ってくるから」

「ありがとう、京楽。愛してる」

「うん、ボクも愛してるよ」

浮竹は、一度また呼吸を止めて心臓の鼓動も止めたが、奇跡的に助かり、その次の日から回復方向に向かっていった。

「ああ、浮竹が生きてる。ありがとう、神様」

神など信じていないが、京楽は祈ることしかできなかったのだ。

浮竹は、自分の足で立ち上がり、歩けるまで回復していた。

「京楽、お前が欲しい」

3週間にも及ぶ闘病生活だったため、浮竹は疼いて仕方ないようだったが、京楽もそれと同じであったが、念のために日を置いた。

1カ月が過ぎる頃には、浮竹は完全に元気になり、京楽は白哉から総隊長の身分を返上してもらい、平和な日常が戻ってくる。

「今日、君を抱いてもいいかい?」

「ああ。ずっと疼いているんだ。抱いてくれ」

その日の夜、浮竹と京楽は、実に1カ月ぶりに睦みあった。



「んああああ!」

浮竹のものを口にふくんで舐め転がして、じゅぷじゅぷと音を立てて口淫して、手でもこすってやると、浮竹は1カ月ぶりに精液を出す。

濃かった。

「君の、濃いね。まるでヨーグルトみたい」

「やあああ」

いって敏感になっているのに、京楽は続けて吐き出させるように、浮竹のものに奉仕を続ける。

「うあ、いく♡」

「いっていいよ?何度でも」

浮竹は京楽の手の中に2回目になる射精をした。

「次はボクの番だね」

「あ、俺も口で‥‥‥」

「君の中でいきたい」

「分かった」

浮竹は、潤滑油を手にとって、自分で自分の後ろを慣らしていく。

「ん、指じゃ届かない」

「もう、大分解れたね。挿入れるよ?」

「ひあああ!!!」

指とは比べ物にならない質量に引き裂かれて、浮竹は一瞬呼吸を忘れる。

それに気づいた京楽が、浮竹に口移しで酸素を送る。

「あ、あ、あ‥‥‥」

「ゆっくり呼吸して。そうそう。ああ、かわいいね、十四郎」

「やあん、春水の大きい♡」

大きく太いもので奥を刺激されて、浮竹は射精しながらオーガズムでいく。

「あああ、いくううう♡」

「ふふ、たくさん子種あげるからね?なにせ1か月ぶりだから、濃いよ?」

「やあん、孕んじゃう♡」

「うん、孕んでね?」

京楽は浮竹の奥を押すように動く。

「んあああ、いくううう♡」

「ボクもいく‥‥‥」

びゅるびゅると、1カ月ぶりの精液が浮竹の中に注がれる。それに、浮竹は恍惚とした表情になる。

「あ、もっとお♡」

「ふふ、欲張りさんだね、十四郎は」

「あ、春水、もっと俺の胎がたぷたぷになるくらい注いでくれ♡」

京楽は、浮竹の弱い部分をすりあげて、奥を抉る。

「ひああああ、いい、だめええぇぇ♡」

京楽は、浮竹の中にまた精液を吐き出す。

「いいのにだめなの?」

「んあ、いいのお♡」

京楽の出す精液を下の口で受け止めて、浮竹は京楽と口づける。

「春水、もっとお♡」

京楽は、浮竹が満足するまで抱いてやる。

「やああ、らめえええ、おかしくな”る”う”う”♡」

もう4回以上精液を注ぎこまれた浮竹の胎はたぷたぷだった。

「んあ、い”ぐうううう♡あ、あ”ーーーーーーーー♡」

潮をびゅーびゅーと盛大に吹いて、浮竹は京楽の最後の一滴まで受け取って、意識を失う。

「十四郎、お疲れ様」

中から抜くと、大量の精液が浮竹の太ももを伝って出てくる。

「後始末しなきゃね」

京楽は、天国を見てから、その後につけまわる後始末を済ませて、浮竹を新しい布団で寝かせて、京楽も横になって眠る。

「んあ‥‥‥まだ足りない」

「ええ!?ボク、もう出ないよ?」

次の日の朝になり、そう言う浮竹に京楽は降参のポーズをとる。

「むう。我慢する」

「ごめんね?」

「いや、俺が長いことしてなかったから、体が疼くだけだ」

「手で、してあげようか?」

「春水のものじゃないと届かない」

京楽は、降参のポーズをとる。

「今日の夜、ね?」

浮竹の耳を甘噛みしながら囁くと、浮竹は頷くのだった。




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黒猫と白猫の亜人外伝3 サタンの子

ジョセフィーヌちゃんが産んだ子猫のうち、2匹が急死した。

にゃんにゃんと泣くジョセフィーヌちゃんとサタン。

特にサタンの落ち込みようったら半端なく、うおんうおんいって、泣いていた。

「ああ、まだ生後2か月なのに。かわいそうに我が子よ。せめて、父の胸でもう一度抱かせておくれ」

サタンは、死んだアリーちゃん、トムくんを胸に抱いて、お別れをする。

浮竹と京楽も、猫の姿で死んでしまったアリーちゃんとトムくんの体に体をこすりつけて、冷たくなっていく体に悲しんで、涙を零す。

白哉の飼っている猫の中には野良猫だった者もまじっていて、普通は去勢されるのだが、主にオスが去勢されるので、メスも外に出る子は去勢される。

ジョセフィーヌちゃんを含む、サタンの5匹の夫人は、まだ去勢されていない若い雌猫だった。

まさかサタンが白哉の元にくるなど思ってなかったので、夫人を迎えるとも思ってなかったので、子猫が生まれるなど思わなかったのだ。

生まれた子猫は、離乳して子猫時代を思いっきり甘やかされて育ってから、貴族の令嬢たちにもらわれていく。

中には、大商人の平民にもらわれていく子もいた。

白哉は、サタンの子猫を譲渡するにあたり、平民でもいいのだが、裕福な家を選んでいた。

決して飢えたり虐待されたりしないように、時折もらわれていった猫の様子を使者を派遣して見てもらっていた。

その条件で、譲渡をしている。

「サタン、今回は残念だったな。手厚く弔うゆえ、子猫たちをこちらへ」

「待て。我が血を与えれば、復活するかもしれぬ」

「だめだよ、サタン君。聖なる力以外で復活させると、アンデット系になる。悪魔のアンデットの子猫とか、誰も世話できないし、もらってもくれないし、サタン君でも世話できないよ?」

京楽の言葉に、サタンは嘆き悲しんだ。

「アリーちゃん、トム君‥‥‥‥うおおおおおおおん」

「うう、アリーちゃんトム君」

浮竹も、釣られてにゃあにゃあ泣き出した。

サタンの子猫と、たまに一緒に遊ぶ浮竹と京楽にとっても、悲しいできごとだったのだ。

「残された子たちを大切に育てないと」

「分かっておる。うおおん、どうか皆、アリーちゃんとトム君の分まで成長して、大きくなるのだぞ」

白哉は、アリーちゃんとトム君の体を譲り受けて、火葬して遺骨を小さな骨壺に納めて、猫たちの墓に埋葬する。

「うおーーーーん」

サタンは一日中泣いて、もう涙も枯れ果てるくらい泣いた。

昔なら、平気で人間を殺すようなサタンがだ。

猫になって猫人生を楽しむせいで、完全に猫になっていた。

しかも父性あふれる猫になっていた。

普通猫は、母猫が子猫の世話をして、雄猫は放置だ。

そんな中、サタンはよく子猫たちの面倒を見た。ぺろぺろと毛づくろいをしてやり、離乳時期がくるまで体温で温めたり、目があいてある程度成長して活発になってきた子猫たちの遊び相手をしてやった。

それは浮竹も京楽も同じで、ある程度成長したサタンの子猫たちを猫のおもちゃで遊んだりした。

「他の子猫たちも、念のため獣医に診せる。血液検査とワクチンを接種させるゆえ、残りの3匹の子猫を預かるぞ」

「うむ、苦しゅうないぞ白哉。我が子たちがうつる病気で命を落としたのなら、大問題だ。他の子たちを専門の獣医に診せてくれ」

白哉の家には、猫専門と猫と猫の亜人も診れる、二人の獣医を抱えていた。

「頼む」

「はい、白哉様」

猫専用の獣医は、白哉の手の中でにゃあにゃあ鳴く子猫を3匹受け取って、血液検査をした後、ワクチンを接種させる。

「血液検査では猫エイズも白血病にもかかっておらず、その他の病気もなく健康であることが分かった。たっぷり栄養を与えて、甘やかして育ててやれ」

サタンは、白哉から子猫を3匹返してもらって、その子猫たちの首をくわえて、母乳を出すジョセフィーヌちゃんの元に連れていく。

まだ完全に離乳時期ではなく、柔らかくした離乳食とミルクで育っていた。

ジョセフィーヌちゃんは、子猫たちに栄養価の高いミルクをあげるために、たくさん食べてたくさん飲む。

「にゃあにゃあ(アリーちゃんとトム君の分まで、精一杯お世話するわ)」

「うむ、うむ、その通りだジョセフィーヌちゃん。今回は残念であった」

白哉は、子猫でも育児放棄された子猫なども保護したこともある。時折仕事の合間をぬって、そんな子猫にミルクをあげたりもするが、通常は二人くらいの使用人に任されていた。

育児放棄された生後数日の赤ちゃん猫は、1~2時間おきに授乳が必要だ。それを乗り切っても、3時間おきくらいに授乳が必要だ。

子猫は免疫が高くなく、特に野良の産んだ子猫は栄養状態が芳しくない。

母猫の初期の授乳さえ許されなかった赤ちゃん猫を保護して、授乳をさせるが、か弱く命を落としていく子猫を、白哉はたくさん見てきた。

母猫がいるから、家猫であるからといって、安心はできない。

子猫はかわいいが、反面弱く、へたをすればすぐに命を落としてしまう。

なので、白哉は子猫の譲渡は離乳を終えて完全にキャットフードを食べて、ワクチンを接種して去勢済みの子を譲渡していた。

譲渡しても、5匹も夫人のいるサタンの子猫は、発情期になるとまた産まれてくる。

まぁ、譲渡の予約は多頭で飼いたいという申し込みも多いので、多頭飼育崩壊を起こしていないかを複数で欲しがる場合は確認してから譲渡する。

白哉の手から譲渡されていった子猫たちは、皆元気に幸せな家猫になっていた。

「あら、こちらの白猫が綺麗ね。この子が欲しいわ」

ある貴族の令嬢が、譲渡会にきて、浮竹の見た目が小さく子猫に見えたので、白哉にそう言うと京楽が貴族の令嬢に「この子はボクのだよ」と人の言葉でしゃべり、びっくりさせることも何度かあった。

そんなしゃべる猫を欲しがる者は多く、猫の亜人だと知っても、欲しがる。

中には拉致してまで欲しがる輩がいるので、譲渡会には騎士が何人かいた。

さて、今回の譲渡会では、16匹のサタンの子猫と、4匹の野良猫だった猫が産んだ子猫がもらわれていった。

サタンは、去っていく子猫たち一匹一匹を舐めて毛づくろいをして、お別れをしてから白哉に渡す。

サタンは、浮竹も舐めて毛づくろいをした。

「ひゃは、くすぐったい」

「ふははは、サタン様が毛づくろいをしてやっているのだ。金貨100枚の価値があるぞ」

高いだろう、多分。浮竹は思ったが、口には出さない。

「ボクも毛づくろいする」

「え、やだ」

「なんで!」

「京楽の、なんか変態っぽいから」

「ガーン」

そんな会話をする浮竹と京楽を見て、白哉は心を和ませる。

「では、我が毛づくろいしてやろう。金貨100枚の価値のあるテクニックを堪能せよ」

「うん、サタン君にお願いする」

「ガーン」

京楽はその日、ショックであまりキャットフードを食べなかったが、白哉の手からもらうチュールを食べまくるのだった。




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黒猫と白猫の亜人61

「んあっ」

ずちゅりと中を犯す京楽のものは、まだ熱くて硬い。

「ん、いい」

「ここかい?」

「ひあ!」

ぐりっと奥を押されて、抉られて、浮竹はオーガズムでいく。

「あ、もっとおお」

「君は、いつもは清楚で明るくて元気なのに、抱かれると妖艶で妖しくなるんだから」

「あ、もっと奥にくれ。奥に、お前の子種をいっぱい」

京楽は、言われた通り奥を貫いて、その締め付けに耐え切れず、子種を吐き出す。

「あ、ああ、あ。いっぱい出てるぅ。京楽のザーメン、いっぱい出てる♡」

「もっと?」

「あ、もっとお♡」

浮竹は身をくねらせてから、足を自分から開いて、結合部をくぱぁと指で広げて、誘ってくる。

「ああ、サキュバスみたい。淫乱だねぇ」

「あ、すごい硬くなったあぁ♡太くて熱いの♡」

浮竹は、足を使って京楽の腰を絡めとる。

「もっと奥に出してぇ♡」

「仕方ないねぇ」

京楽は、浮竹の最奥を穿ち、浮竹のものを手でしごいて、強制的に射精させると、びくんと浮竹が背をしならせる。

「あ、あーーーー♡」

びゅるびゅると、中に精液を注ぎ込まれるのを感じながら、浮竹は気を失った。

「ふう、ボクまだまだいけるんだけど。でも、これ以上は無理だね」

京楽は猫の姿になり、この前もらった浮竹を象った猫のダッチワイフと何度かしっぽりして、満足した。

最近の京楽は、雌猫としっぽりしなくなった。

代わりに、浮竹とする回数が増えた。

すでにいっぱいっぱいなのに、性欲の強い黒猫の性欲に付き合わされると、気絶することがしばしば。

今回も浮竹を気絶させるまで抱いてしまい、それでも尽きない欲求の解消をダッチワイフと済ませて、それを知った浮竹も浮気するくらいならと、喜んでくれた。

「なぁ、京楽」

「なんだい?」

目覚めた浮竹が、ふいに問う。

「俺がいなくなったら、お前はどうするんだ?」

「君の傍にずっといるよ。君がいなくなる時は、ボクも死ぬ時かな」

「そうか」

浮竹は、また眠ってしまった。

京楽の瞳が金色になる。

「サタナシア・オルタナティブ。出てくるな。おとなしくしておいで」

金色の瞳の原因である、自分の中にある異物を手なづけて、ゆっくりと奥に落としていく。

「そろそろ、幽鬼のボクに診てもらう時期かなぁ」

京楽は、サタンになったことが一度ある。暴走してしまい、もう少しで浮竹を殺すところだった。幽鬼の京楽のお陰で封印されて、もう半年ばかりになるだろうか。

たまに幽鬼の京楽に少し診てもらっていた。

そろそろ、幽鬼の京楽に本格的に診てもらい、封印の上書きをしてもらうほうがいいと思った。



京楽は、浮竹が寝てる間に、魔王城に行き、まだ早朝だが幽鬼の京楽を起こす。

『ん、何?こんな早朝から』

「ボクの中のサタナシア・オルタナティブがまた活性化してるんだ。サタンの封印が緩んでいないか、診てくれないかな」

『んー。大丈夫、封印はされてる。でも、ちょっと緩くなってるね。上から封印を施すね?』

「ごめんね。君の魔力がまたなくなってしまう」

『いいよ。どうせ、休眠するまで魔力を消費するわけでもないし』

幽鬼の京楽は、精神を集中させて京楽に封印を上書きする。

『はい、おしまい』

「ありがとう。これ、白哉君から。お風呂セット。魔王の浮竹と一緒に使って?」

白哉が、自分の子たちが毎度お世話になっている魔王の浮竹と幽鬼の京楽に、入浴剤やら石鹸やらがつまった、高級お風呂セットをくれた。

『ありがとう。いい匂いがするね?早速、今日のお風呂にでも使ってみるよ』

「じゃあ、ボクは戻るね」

『ボクはもう一度寝るよ。おやすみ』

京楽が白哉の家でもある自分の家に戻ると、浮竹が起きていた。

ダッチワイフを綺麗に洗っていてくれた。

「お前、使うのはいいが、ちゃんと手入れしろよ?」

ダッチワイフの股間部分に、カピカピにこびりついたいた精液を綺麗に洗って、浮竹は京楽を見る。

「魔王城に行っていたのか?」

「え、なんで分かるの?」

「幽鬼のお前の匂いがする」

「嗅覚すごいね?」

黒猫の亜人は視覚に優れているが、白猫の亜人は嗅覚に優れてるようであった。

「まぁ、猫の亜人はそれぞれ色で優れている部分が違うからな。ちなみに恋次君は味覚がすごいららしい」

「へぇ」

始めて聞いた話に、少しだけ興味をもつが、恋次のことなどはっきりいって京楽にとってどうでもいいので、それ以上は聞かなかった。

「朝食食べに行こう?」

「ああ」

浮竹と京楽は、猫になって白哉の元にいく。

恋次が赤猫の姿で食堂にいた。恋次に抱かれたのか、ぞくりとするほど妖艶な白哉が、浮竹と京楽の分のキャットフードとチュールをくれる。

「白哉さん、俺にも!」

「兄は、猫まんまでも食っていろ」

「酷い!」

「それはこちらの台詞だ。いきなり盛ってきて」

「白哉君、しっぽりしたの?」

「京楽、兄は思っていることを口に出し過ぎだ」

「しっぽりは悪いことじゃないぞ?京楽なんて、俺を抱きつぶしてダッチワイフとしっぽりしてたからな?」

それに、恋次と白哉が吹き出す。

「ダッチワイフ。いつの間に」

「あ、俺も白哉さんのダッチワイフ欲しい」

恋次がそう言って、白哉にゴンと頭を殴られていた。

「動物虐待反対!」

「チュールはいらんのだな?」

「いります!にゃーーん」

恋次は、猫らしいかわいさを見せようとするが、がっしりした体躯の猫なので、あまりかわいくない。

浮竹は少し子猫サイズで、京楽は普通サイズだ。

白哉は仕方なく恋次にもチュールをあげる。

それから、ついに200匹をこしてしまった自分の猫たちにも食事をあげにいく。猫の広間にはたくさんの猫がいた。

「わはははは!今日も白哉自ら我にエサを与えるとは感心である。我は偉大なる悪魔王猫サタンなり!!!」

サタンが、5匹の夫人の猫とその間にできた子猫たちを連れて、エサをもらいにくる。

白哉は、サタンにはなるべく自分の手でエサを与えるようにしていた。

「わははは」

サタンは、今日もかしましいのであった。

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黒猫と白猫の亜人60

京楽は、色欲魔人である。

体の中にサタナシア・オルタナティブという異なる存在をもっている。

寝る、食べる、以外だとやることしか考えていないかんじがする。

と、魔王の浮竹に言われて、京楽はズーンと沈みこんだ。

なにせ、浮竹がいるのに、見てない場所で他の雌猫としっぽりして浮気する。することしか能がないような感じに受け取られても仕方ない。

『お前って、やっぱ色欲魔人だよな。浮気するし』

『まぁ、色欲魔人でもいいんじゃない?白猫の浮竹が幸せなら』

「でもこいつ、浮気するぞ?この前も、俺が白哉と出かけている間に、他の雌猫としっぽりしていた」

京楽がばれていたと、顔を蒼くする。

「あ、あれはね?ただの、マッサージで」

「マッサージで合体するのか?相手の雌猫にゃんにゃん気持ちいいって言ってたぞ?」

「う」

魔王の浮竹は呆れ、幽鬼の京楽は笑っている。

「しまいには、サタンの妻のジョセフィーヌちゃんともしっぽりしてたしな?」

「な、ばれて!?」

「ジョセフィーヌちゃんがいってた。お前の一物は立派だし気持ちいいけど、心が足りないって。やることしか頭にないって」

「ああああ、ジョセフィーヌちゃあああん」

京楽がもうこれ以上聞きたくないとばかりに蹲る。

「お前に愛想をつかさない俺は心が広いな、我ながら。あんまり、浮気するなよ。捨てるぞ」

「ボクは浮竹が一番だから!浮竹しかいないから!」

「そう言いながら、雌猫としっぽりするんだよな?」

「う、もうしないから」

『信用できないな』

『信用できないね』

魔王の浮竹と幽鬼の京楽に言われて、色欲魔人こと京楽はさらにズーンと沈み込む。

『あんまり浮気してると、俺が白猫の俺をもらうからな?』

「な、それだけはだめだよ!?浮竹同士だなんて‥‥‥鼻血垂れてきた」

浮竹は猫の姿で京楽に、手加減なしの猫パンチをお見舞いする。

「卑猥なことしか考えないのかお前は。魔王の浮竹がもらうというのは、ただ一緒にずっといるって意味だ」

『そうなると、ボクが嫉妬しちゃうなぁ』

幽鬼の京楽が、紅茶を飲みながら困るなぁと笑う。

「む、まぁそうだな。俺と魔王の俺は今の距離がちょうどいい」

『うちの子になっていいんだぞ?』

「それでも、俺は京楽が好きだから。愛してるから」

「浮竹えええええぇぇぇぇ」

猫の姿で抱きついてこようとしる京楽を、浮竹は猫パンチをお見舞いする。

「しばらくさせてやらない。反省するんだな」

「そんなああああ」

「あ、雌猫としっぽりしたら、さらにやらせてあげないからな」

色欲魔人の京楽は困った。

おおせいな性欲を解消するには、浮竹に相手をしてもらうのが一番なのに、その浮竹が抱かせてくれないと言うし、浮竹がいない時に欲を解消するために雌猫としっぽりするのだが、それも禁止されて、京楽はうーんうーんとうなりだす。

「これやる。魔王の俺に作ってもらった」

『こんなので、欲の解消になるのか?』

「分からん」

それは、浮竹の猫の姿をしたダッチワイフだった。

猫のダッチワイフなど見たことも聞いたこともない。

魔王の浮竹に適当に作ってもらった。

よくでてきていて、本物の浮竹そっくりの毛並みの質感と、瞳の色まで瞬きをしそうなほどにそっくりだった。

「あ、ボクこれならいけるかも」

浮竹の匂いもして、京楽は早速ダッチワイフを抱いてみる。

「あ、いいね。質感まで浮竹そっくり」

「じゃあ、雌猫としっぽりはやめろよ?」

「う、うん」

色欲魔人の京楽は、色欲魔人であるがために即答できない。

「今度雌猫としっぽりしてるの目撃したら、ほんとに1か月は抱かせてやらないからな」

「はーい」

『じゃあ、問題は解決したということで、お茶にでもする?』

幽鬼の京楽が、得意の紅茶クッキーをもってきてくれた。

浮竹と京楽は人の姿になって、中庭に移動して、テーブルのある場所の席につく。

「幽鬼の京楽がいれてくれる紅茶が一番おいしい」

「そうだね。ボクもそう思うよ」

『ありがとう。昔はもっと下手だったよ?浮竹とお茶するために、何度も練習したんだよ』

幽鬼の京楽は、紅茶クッキー以外に、チョコと苺のタルトを作ってもってきてくれた。

「チョコ!苺もある!」

そのお菓子に、浮竹が目を輝かせる。

浮竹はチョコレートが大好きだ。それを知っていたので、幽鬼の京楽はあえてタルトをチョコ味にしてみた。

「うん、おいしい!」

浮竹は、チョコタルトをおいしそうに食べる。

『俺の分もやる。食え』

「え、いいのか?」

『俺はいつでも京楽のお菓子を食えるしな』

「じゃあもらう!」

魔王の浮竹が自分の分を浮竹に譲るものだから、最初に譲って喜んでもらおうと思っていた京楽は、ちょっと残念に思いながらも、自分の分も浮竹にあげる。

「ボクの分もあげるよ」

「ありがとう!」

浮竹は、犬のようにしっぽをぶんぶんして喜んだ。

『ふふ、ボクの分もあげるね?はい、あーん』

「あーん」

「あ、ずるい!」

京楽が叫ぶ。

『ふふ、ほんとに白猫の浮竹はかわいいね?猫の姿でも人の姿でも』

『俺は?』

『君は別格』

魔王の浮竹の額にちゅっとキスをする。された魔王の浮竹は顔を真っ赤にさせる。

「お、ラブラブだな」

「ラブラブだね」

浮竹と京楽は、甘い空気に慣れているため、魔王の浮竹が恥ずかしがっても気にしない。

「魔王の俺、もっと幽鬼の京楽と甘えてもいいんだぞ?俺たちなど気にせず」

『いや、気になるだろう、普通』

『ふふ、ボクの浮竹は照れ屋さんだから』

幽鬼の京楽は、魔王の浮竹の頭を撫でて、チョコタルトのおかわりをもってきて、浮竹以外のメンバーもきちんと食べれるようにするのであった。







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黒猫と白猫の亜人59

「クリスマス?」

10月も終わりを迎えて、世間ではいわゆる12月のクリスマスイブとクリスマス当日に向けて、モミの木を飾り、イルミネーションをつけて飾りつけをして、クリスマスまでくる日を心待ちにしている感じがあった。

浮竹は、長いこと監禁と幽閉生活を送っていた上に、クリスマスとは無縁の生活を送っていたので、クリスマスというものに興味深々だった。

「まだ、クリスマスには早いけどね?」

「でも、クリスマスはケーキを食べて、サンタさんからクリスマスプレゼントをもらえるんだな?」

浮竹は、サンタさんが本当にいると信じていた。

「まぁ、サンタさんは別として、クリスマスプレゼントの交換とかもするよ?」

「俺、クリスマスまで待てない!今すぐクリマスパーティーしたい!」

浮竹の我儘には困ったもので、京楽はそれならと、魔王城に行くことにした。

「浮竹がね‥‥‥」

事情を魔王の浮竹と幽鬼の京楽に説明すると、二人は乗り気でクリスマスパーティーをすることにした。

まだクリスマスには早いが、モミの木をもってきて飾りつけをして、魔力で点滅するイルミネーションを、モミの木だけでなく、中庭にある木々にも飾りつける。

その日の夜になり、イルミネーションが鮮やかに点滅し、綺麗な場面を見て浮竹は感動していた。

「綺麗だな‥‥‥お星様みたいだ」

『白猫の俺、クリスマスケーキができたぞ。七面鳥も焼いたし、フライドチキンもあるぞ』

「わぁ、ご馳走だな」

魔王の浮竹の夕飯は豪華だが、いつもよりさらに豪華な食事が出される。

『白猫の浮竹、クリスマスプレゼントあげる』

「プレゼント交換か!俺もこの日のために買っておいたんだ!」

幽鬼の京楽からもらったクリスマスプレゼントは、暖かそうな毛皮の上着だった。

「俺のは‥‥‥その、少し粗末だが」

『猫の肉球の手袋。かわいいね?』

「すまん、お前がくれたものとの値段の差が」

『気にしないよ』

『白猫の俺、俺からのクリスマスプレゼントだ』

魔王の浮竹は、浮竹にクリスマスプレゼントをあげる。

アメジストの髪留めだった。

「俺のは、同じものになるけど」

浮竹からのクリスマスプレゼントは、幽鬼の京楽にあげたものと同じ、肉球の柄の手袋だった。

「ボクからのクリスマスプレゼントだよ」

京楽が、YES、NOの枕を渡してきたので、とりあえず沈めておいたが、しっかり枕はもらっておく。

京楽にも、肉球の手袋をあげて、その後みんなで騒ぎながら、ケーキをカットしてご馳走も一緒に食べた。

「今日はNOだあああああああああ」

魔王の浮竹は、少量ならいいのではないかと、シャンパンを振る舞った。

浮竹はコップ一杯で酔っ払い、京楽を投げ飛ばしてダウンさせて、その体の上に座りこみ、さらに酒を飲もうとするので、魔王の浮竹と幽鬼の京楽が、チョコケーキをもってきて、そっちに気を引かせて、その間にアルコール類をとりのぞく。

「あれ、シャンパンは?もっと飲みたいのに」

『オレンジジュースでも飲むか?うまいぞ?』

「うん、そうする」

浮竹は素直に、京楽からどいてオレンジジュースとチョコケーキを食べていく。

『白猫の浮竹、アルコールに弱いみたいだね』

『そうだな。あれ以上飲ませたら危険かもしれない』

「浮竹、もっと座っててもいいんだよおおお」

何気に京楽は危ない発言をする。

『黒猫の京楽、お前にもクリスマスプレゼントだ』

「え、いいのに。浮竹を楽しませたいだけだったから、ボクなんの準備もしてないよ?」

『構わん。受け取っておけ』

魔王の浮竹からのクリスマスプレゼンとは、ふかふかの毛布だった。

『ボクからの分もあるよ』

幽鬼の京楽からのクリスマスプレゼ

ントは、これまたふかふかのマフラーだった。2つ入っていて、もう1つは浮竹にあげてお揃いにすればいいと言われた。

「ありがとう‥‥‥‥あと、浮竹ってサンタさん信じてるんだよね」

『サンタか‥‥‥‥サタンなら、白哉の家にいるが』

「サタンとサンタは全然別だからね?」

一応、念のために魔王の浮竹に言っておく。

『サタンがサンタなら楽なんだがな。名前も似てるし』

名前だけだ。元悪魔王がサンタだなんて、どんな世界だ。

『じゃあ、寝る前に大きな靴下準備しておかないとね?』

「どうしたんだ、みんな」

少し酔いを醒ました浮竹が、会話に混じってくる。

『サンタさんがきてくれるためには、大きな靴下がいるって話してたとこだよ』

「え、そうなのか。俺の靴下では入りきれないかな?」

『俺が、この靴下をやろう』

急遽用意させたので不格好だが、顔くらいの大きさのある靴下を、魔王の浮竹が浮竹に渡す。

「わぁい、これでサンタさんがくる!」

「ねぇ、サンタ役は誰が」

『俺がする。スリープの魔法で眠らせてから、プレゼントを入れておく』

サンタさんからのプレゼントは、チョコのお菓子をたくさんだった。

浮竹が徹夜してサンタさんを待つというので、魔王の浮竹がスリープの魔法を唱えて眠らせてから、チョコのお菓子をこれでもかというほど、靴下につっこんでやった。

『ふふ‥‥‥明日が待ち遠しいな』

猫の姿で眠る浮竹のかわいい寝姿を撫でながら、魔王の浮竹は部屋を去ってい。

翌日になり、浮竹はご機嫌であった。

「サンタさんが、チョコのお菓子こんなにいっぱいくれたんだ」

朝食の時間なのに、朝からムースポッキーを食べる浮竹。

「浮竹、朝食あるから、ほどほどにね?」

「ああ」

ちなみに、浮竹も京楽も今日は猫の姿だ。

そのままキャットフードをもらい、チュールを食べて、浮竹は食いかけのムースポッキーを前足で器用に挟んでがじがじと食っていく。

猫にチョコはだめなのだが、猫の亜人なので浮竹は食べても平気だ。

その日も、夕食までご馳走になって、それから白哉の家にもどった。

「浮竹、楽しんでこれたか?」

「うん!サンタさんが、チョコのお菓子たくさんくれたんだ」

「ほう。それはよかったな。ただし、ちゃんと寝る前には歯磨きするんだぞ。虫歯にならぬようにな」

「はーい」

浮竹は、暇があれば、チョコ菓子を少しずつ大切そうに食べる。

幼い頃、お菓子なんて食べたことがなかった。

白哉の家にくるまで、お菓子の存在を知らなかった浮竹は、本当に大切そうにお菓子を食べる。

猫の時に食べるチュールもとられないようにと、夢中で食べる。

「浮竹、私のところにもサンタがきたのだ。兄の分を置いていった」

そう言って、白哉はキャンディーやらのお菓子を浮竹に差し出す。

「わぁ、サンタさんにお礼の手紙書かなきゃ!」

「浮竹、サンタさんにお手紙どうやって届けるの?」

「うん?郵便で」

京楽も白哉も静かに笑う。

「俺、なんかおかしいこと言ったか?」

「いや、兄はそのままでいい。そのままでいてくれ」

「ボクもだよ」

「?」

浮竹はよく分からないと首を傾げるのであった。



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黒猫と白猫の亜人58

「魔王の俺、助けてくれ!!」

いきなり浮竹がやってきて泣きながら言うものだから、魔王の浮竹は何事かと、幽鬼の京楽と共にまずは落ち着かせた。

「京楽が、森で狩人の罠にかかって!外そうとしたんだが、俺の力だけじゃどうにもならなかったんだ!」

『どこの森だ!?』

「コモドの森」

『あの一帯は、強力な魔物が出るね。黒猫のボクのことだから、大丈夫だとは思うけど急ごう』

3人は、コモドの森にやってくると、早速罠にかかった京楽を発見する。

『魔封じも使われているな』

『ここらの魔物は魔法も使うからね。素材が高く売れるから、罠をしかけたんだろうさ』

幽鬼の京楽が、ばか力で京楽の足に食い込んでいる罠を壊す。

「ん‥‥‥浮竹?」

『衰弱してるね。ヒーリング』

幽鬼の京楽が回復魔法をかけるて傷は塞がるが、衰弱はなかなか治らないので、とりあえず魔王城にいって、水分をとって安静にすることになった。

『確か、コモドの森での狩りは禁止されているはずだな。あの森は魔物でも希少なものが多い。どこの狩人が罠をしかけたか、探れるか京楽』

『任せてよ。犯人が残した魔力の匂いから‥‥この魔王城の城下町にいるね』

『分かった。場所まで案内してくれ』

「どうするんだ?」

傷のせいで熱を出した、京楽の額の水に濡れたタオルを取り換えてあげながら、浮竹が首を傾げる。

『首、もいでくる』

『ボクたちの友人を傷つける結果になったし、密猟しようとしてたんだ。それなりの罰を受けてもらわないとね?』

魔王の浮竹と幽鬼の京楽は、犯人の家をつきとめて中に入る。

「ぴぎゃあああ」

「ぴいいぴいい」

そこには、たくさんのケージにつめこまれた、希少な魔物や動物がいた。

全部、保護条令が出ていて、捕まえはいけない種族であった。

「ひいい、魔王様、幽鬼様、このような場所に何の御用で?」

『お前だな。コモドの森に罠をしかけたのは。あの森での狩猟は禁止されている。俺の大切な友人が、罠にかかって酷い怪我をした』

「ひいいいいい、すみません、すみません」

『これ全部、レッドリストの種族だよね?しかもこの子たち、捕まえたら死罪になる子も含まれてるね?』

男は、青ざめた顔で、床に頭をこすりつける。

「許してくださいいいい」

『浮竹、首もぐっていってたけど、ボクに任せて?』

「ひいいい」

幽鬼の京楽は、肉食性の希少な魔物をケージから解き放つ。

『さぁ、君のエサが目の前にあるよ?』

京楽が、魔物を男に導く。

「ぎゃあああああああ!!!」

男は、生きたまま魔物に食われて死んでしまった。

『これ、首もいだほうが楽じゃなかったのか?』

幽鬼の京楽が、残酷に笑う。

『だってこいつ、黒猫のボクを傷つけたんだよ。この種族の魔物は、捕まえると死刑だし。首はねるような楽な死に方させるべきじゃないよ』

『それもそうだな』

魔王の浮竹は納得して、幽鬼の京楽と一緒に魔王城に戻ることにする。

家の中にいた希少な動物や魔物は、部下の者に命令して、元の生息地で野生に返すことにした。

「あ、京楽、気づいたか!?」

「ボクは‥‥確か、猫の姿で罠にかかって‥‥」

「魔王の俺と幽鬼の京楽に助けてもらったんだ」

魔王の浮竹と幽鬼の京楽がちょうどやってきた。

『ああ、意識が戻ったか。大分衰弱していたので、俺の血を飲ませた』

『君がかかった罠をしかけた奴は、殺しておいたから』

いつもはぼーっとしてることの多い幽鬼の京楽だが、怒ると恐ろしい。

「殺したの?そこまでしなくてもいいんじゃ」

「甘いぞ、京楽。もしもあのまま捕まっていたら、黒猫の亜人だってばれて、絶対売られてた」

浮竹が、京楽の半身を起こした背中を撫でる。

「ああ、でも罠にかかったのがボクでよかった。浮竹だったら、ボクがその罠をしかけた相手殺してた。そうだね、生きたまま昆虫に食わせるとか‥‥‥」

魔王の浮竹は、幽鬼の京楽とどこか考えが似てると思った。

二人の京楽は、普段は大人しく無害なのだが、怒らすと残忍になって怖くなるようだ。

少し魔王の浮竹は、そんな二人に呆れる。ここまで一緒か、とも思った。

『何はともあれ、無事でよかった』

魔王の浮竹が、浮竹の頭を撫でる。

『白猫の俺が、ずっと心配してたんだぞ?』

「うん、心配かけてごめんね、浮竹」

京楽は、浮竹を抱きしめる。

魔王の浮竹と幽鬼の京楽がいることも忘れて、軽くキスしてからディープキスを繰り返す。

『おっほん』

魔王の浮竹が咳払いをすると、浮竹は真っ赤になって京楽を突き飛ばす。幸い、京楽はベッドに半身を起こした状態だったので、怪我はなかった。

『ふふふ。仲、いいね?』

『微笑ましいな』

幽鬼の京楽と魔王の浮竹に茶化されて、浮竹はますます真っ赤になる。

「ま、魔王の俺、あっちに行こう」

魔王の浮竹の手をとって、浮竹は別の部屋に移動する。

「泣いてたら、沢山できた‥‥‥」

世にも稀な高貴なる、白猫の亜人のみが作り出せる、国をも建国でき、または戦争の火種にもなるような額の白涙石が、ころころ転がっていた。

『これは‥‥‥全部、宝物庫行きだな』

「す、すまん。京楽のこと思って泣いてたら、どんどん結晶になって、止まらなかった」

魔王の浮竹は、浮竹の猫耳を柔らかく撫でると、その頭全体を撫でた。

『お前が悪いんじゃない。でも、この件は俺との秘密だ。いいな?』

「うん」

浮竹は、怒られなかったのでぱぁぁと笑って、京楽たちがいる方に戻っていく。

『はぁ‥‥‥宝物庫が、しまいには白涙石でいっぱいになったりして』

そんな贅沢なため息をつきながら、魔王の浮竹も浮竹の後を追って、京楽たちのところに戻るのだった。

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黒猫と白猫の亜人57

白哉に、見舞いの話が舞い込んできた。

それはいつものことで、恋次がいるので、白哉は断ろうと思っていた。跡継ぎがいない問題があるが、朽木家の分家の若い子供を養子にいずれ迎え入れるつもりであった。

「断る」

「そう言わずに。亡き奥方であった、緋真嬢にとてもよく似た娘でしてな?」

「緋真に?」

白哉の心が揺り動く

緋真を亡くして、もう7年以上になるが、それでも白哉は緋真を愛し続け、緋真の代わりにルキアを亡き妻の分まで愛していた。

「ルキアにも、似ているのか?」

「もちろんです。ルキアお嬢様と瓜二つで‥‥‥写真がありますが、見てみますか?」

白哉は、写真を見た。驚いた。ルキアと緋真に瓜二つで、髪型は腰に届くほど長いので彼女らと違うと見分けはつくが、とても似ていた。

「一度だけ。会ってみたい。名は?」

「ローズマリエットと申します。地位は低いですが、男爵家の愛人の子供だそうで‥‥身分には少々問題はありますが、平民だった緋真嬢を娶ったあなたなら、問題ないでしょう」

ローズマリエットのことを紹介した貴族の男は、しめしめと思った。

恋次は、白哉が見合いをすると聞いて、ぶち壊そうかと思ったが、様子を見ることにした。

「恋次君、いいのか?このままだと、白哉が見合いをしてしまうぞ」

「恋次君、相手は緋真ちゃんによく似た子だとか言ってたよ?」

「俺は、白哉さんを信じてます。俺のことを愛してくれてるはずだ」

「でも‥‥‥」

「信じます」

やがて、見合いの日がやってきた。

恋次は神殿を抜け出して、猫の姿で浮竹と京楽も、同じ猫の姿でローズマリエット嬢が、白哉の館に入り、見合いする場面をその場で目撃していた。

「白哉様は、無類の猫好きとか。そちらの、白い猫は綺麗ですね?」

令嬢に抱かれて、浮竹がにゃあと鳴いて、すぐに白哉の傍に戻った。

礼儀正しい、よい令嬢のように見えた。

「私は、まだ緋真をことを思っている。兄と見合いをするのは、兄の中に緋真を見ているからだ。兄は緋真ではない。分かってはいるが‥‥」

「あら、ご希望でしたら、私は緋真様のように振る舞います。正妻でなくともかまいません。妾でも。あなた様が、神猫様の大神官と通しているという噂は耳にしておりますの」

ぴくっと、赤猫の恋次の耳が動く。

「でも、どんなに愛し合おうと、男性同士の間に子は産まれませんわ。私を本気で愛さなくとも構いませんのよ?ただ、少しだけ情けをいただければ。私、男腹の一族ですの。婚姻はなくとも大丈夫です。一夜を共にするだけでも。必ず、あなた様の男の御子を産みますわ」

白哉は、困った顔をしていたが、ふうと息をつく。

「緋真は、気高く優しかった。一夜を共にするだけでいいと言うような、尻軽な女性ではなかった。兄は緋真ではない。私は、この恋次を愛している」

白哉は、傍で侍っていた赤猫を抱きしめて、人の姿になれと言う。

「白哉さん、俺‥‥‥‥」

「黙っていろ」

白哉は、ローズマリエット嬢の前で、人の姿になった恋次と口づける。

「私は、女性相手では勃たない」

「まぁ。仕方ありませんわ、父がどうしても白哉様の心を盗んでこいと言いますけれど、私にもプライドがあります。私の前で、情人と愛を確かめ合うような方の元にはいけません。それに女性相手ができないのであれば、なおさら私がいる意味はありませんね」

ローズマリエット嬢は、ヒステリーを起こすこともなく、帰ろうとする。

それを、ローズマリエット嬢を紹介した貴族の男が止める。

「ローズマリエット!白哉様の心を掴めない場合、娼館いきだということを忘れたか!」

「仕方ありませんわ、叔父上様。白哉様の心は、あの赤い髪の青年のもの」

ローズマリエット嬢の叔父は、ローズマリエット嬢をぶとうとして、白哉に止められる。

「白哉様!」

「この令嬢の身は、私が預かる。娼館いきになどさせぬ」

「し、しかし、この女は下賤な下町の産んだ女」

「私の亡き妻の緋真も、兄がいう下賤な下町とやらで生まれた。だが、素晴らしい女性だった」

ローズマリエット嬢を恋次に預けて、白哉はローズマリエット嬢の叔父を追い出す。

「兄は、平民として生きていく気はあるか?」

「娼館に送られるくらいなら、平民を選びますわ」

「そうか。では、兄にできるだけ財を与えて、一軒家を与え、私が選んだよき夫となる者の妻として、静かに暮らすがよい」

「白哉様‥‥‥‥ありがとうごいます」

ローズマリエット嬢は、数日白哉の家に滞在した後、白哉の家の使用人で信頼のおける男性と婚姻させて、平民として生きていくことになった。



「あの、白哉さん」

「今は、何も言うな」

白哉は、恋次を抱きしめていた。

浮竹と京楽は、猫の姿でにゃあにゃあとその周囲をうろうろする。

「どうした、チュールでも食べたいのか?」

白哉が、恋次を放置して浮竹と京楽の頭を撫でる。

喉をくすぐられると、浮竹も京楽も喉をごろごろと鳴らした。

「チュールくれ」

にゃあにゃあ言ってたのは、白猫と黒猫の亜人だということを、ローズマリエット嬢から隠すためであったが、もういなくなってしまったのだが、まだ癖でにゃあにゃあ鳴く時がある。

「ボクもチュール欲しいな」

「待っていろ。今とってくる」

「あああ、白哉さーーーん」

恋次が、白哉の後を追いかけようとして、ふりはらわれる。

「恋次君、見合いの場、最後まで我慢して偉かったぞ」

「うん。恋次君、見直しちゃったよ」

浮竹と京楽に褒められて、恋次は照れ笑いをする。

「へへ、そっすか?」

「うん。えらい」

浮竹が、恋次に抱きしめられながら猫パンチをする。全然痛くない。

「白哉さん、絶対俺を選んでくれると信じてましたから」

しばらくして、チュールをもった白哉が戻ってきた。

「あ、俺もチュールほしくなってきた」

恋次も猫になって、浮竹と京楽と一緒に、白哉の手からチュールをもらう。

恋次は猫の食事は滅多にしないので、チュールのおいしさに驚いていた。

「おいしい」

「だろう?」

「おいしいよ。特に白哉君の手から直接もらうチュールは、別格だね」

「魔王の俺と幽鬼の京楽からもらうチュールもうまいけどな!」

はっくしょん。

その頃、魔王城では魔王の浮竹と幽鬼の京楽が同時にくしゃみをする。

『ん、風邪か?』

『ボクも風邪かも』

二人はその日、念のため風邪薬を飲んで寝るのであった。

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黒猫と白猫の亜人56

白哉は、亡くなった妻であった緋真の七回忌を行っていた。

白哉は大陸でも名高い四大貴族の朽木家の当主である。亡き妻、緋真との間には子ができず、その後に白哉が好きになったのは、猫神様の大神官である恋次だった。

恋次は男性なので、白哉のこと思う親戚たちが見合いの話を幾度ももちかけてきたりした。

七回忌をなんとか済ませて、ハエのようにたかる貴族たちを無視して、一息つく。

「浮竹、京楽も済まない。私の都合で、兄らに迷惑をかけた」

「そんなことないぞ白哉!白哉の奥さんだたってことは、俺たちにとっても大事な人だ!あ、恋次君は別にどうでもいいけど」

「酷い!」

浮竹の言葉をこっそり聞いていた恋次が、嘆く。

「君は猫神様の大神官でしょ?こんなにしょっちゅう神殿を抜け出して平気なの?」

「平気じゃないけど、今日は白哉さんの大切だった人の七回忌ってことで、特別に休みもらってますんで」

「じゃあ、そうじゃないときは?」

「こっそり抜け出してます。大神官なんて、出番あんまないし。猫神様の祭事がない時は、たいていのことを大司教がしてくれます。まぁ、掃除とか雑用おしつけられますけど。ばれたらまぁお説教と減俸くらい」

「君、白哉君が好きなのをいいことに、食事たかりにきてない?」

「ぎくっ」

「そうなのか、恋次君」

「そ、そんなことないっすよ。給料は‥‥まぁ、そこそこもらってますから」

目を泳がせる恋次を、白哉は仕方なく恋次の分まで今日の夕食を出すように、メイドに言っておく。

「恋次。兄は、私と夜を共にしたいと言いながら、何気に食事代をケチっているな?正直に答えよ。嘘をついたら、1カ月は抱かせてやらぬ」

「はい、飯たかってます。すんません」

1カ月の禁欲がきついのか、恋次は素直に白状した。

「うわぁ、恋次君、みじめ」

「みじめだな。猫神様の大神官が聞いて呆れる」

京楽と浮竹はそう言うが、恋次にしてみれば神殿を抜け出すたびに減俸で、なかなか白哉に会いに行く時間が作れないので、無断で抜け出して会いにきているのだ。

大神官は雑用がけっこう忙しく、月に4回くらいしか会いにこれない。

白哉と会いたいので、恋次は週に3日は会いにきていた。

減俸はされまくりで、大神官としてそれなりの給金を本来ならもらっているはずなのだが、金貨15枚くらいしか実際もらっていなかった。

普通の人間(亜人含む)一人が生活するには、月に金貨20枚はいる。

少ししゃれた服を買おうとすると、金貨5枚がふっとぶとか当り前の世界。

恋次も金貨15枚では流石にやっていけない。

でも、白哉に会いたいので、神殿は抜け出す。結果、金貨15枚まで減俸される。

大神官の給料は、本来なら金貨150枚はある。それが15枚。

どれだけ減俸されているのかと、つっこみたくなる額であった。

「まぁよい。兄が会いに来てくれないのは寂しいからな」

「白哉さん、大好きだーーーー」

浮竹と京楽の目の前でキスをしてくるものだから、白哉は顔を赤くして、恋次を投げ飛ばす。

「あああ、愛がきくううう」

「アホだな」

「アホだね」

その日はそのまま夜を皆で共にした。

久し振りに白哉と寝れるので、浮竹も京楽も、恋次さえも猫の姿で、白哉の豪華すぎるふかふかのベッドで丸くなって眠った。

朝起きて、浮竹が人の姿になって服の腕をまくる。

「今日の朝食は俺が作ってやろう」

「浮竹、兄は料理ができたのか?」

「最近、魔王の俺のところで修行してきたんで、8割は成功する。2割は見た目は同じだけど味はダークマターだ」

「白哉君、浮竹をとめてえええ」

ダークマターを食わされると分かって、京楽が白哉に助けを求めるが、白哉は許可した。

「私は、ダークマターでも兄が作ってくれるものなら食すぞ?」

「ああ、白哉大好きだ!」

浮竹が白哉に人の姿でハグするものだから、恋次が嫉妬する。

「離れてください!白哉さんは俺のものです」

「恋次君にも、ダークマターな?」

にこにこ浮竹がスキンシップの邪魔をされて、そう言う。

浮竹は厨房に消えていき、オムライスを4人分作ってもってきた。

見た目はおいしそうだった。匂いもいい。

「京楽お前にはこれな?」

「浮竹、味見した?」

「するわけないだろう」

からからと、浮竹は明るく笑う。

「で、俺の分がこれで、♡マークをケチャップでつけたのが白哉の分で、こっちが恋次君の分」

浮竹は、できたてのオムライスを食堂の席についた皆の前に置く。

「「「「いただきます」」」」

皆で、そう言って食べた。

「ぴぎゃあ!」

まず、京楽が一口食べて、気絶した。

「やっぱり、京楽の分はダークマターか。京楽の分を作ると何故かダークマターになるんだよな」

それは愛なのだろうか。

「ぎょええええええ」

恋次の分もダークマターだった。

「なんすかこれ!じゃりじゃりしてて酸っぱくて甘くて辛い!」

「浮竹家に伝わる、秘伝の黒い液体を隠し味に使ってみたんだ」

「なんすかその危ないものは!」

「恋次、黙って最後まで食せ」

「拷問だあああ」

そう言いながらも、涙を流しなながら恋次は浮竹の作ったダークマターを完食した。

「お、全部食べるとは思ってなかった。京楽みたいに、気絶してそのまま食べなくてもいいのに」

「あ、白哉さんはめましたね!?」

「ふふっ」

白哉はもだえ苦しむ恋次を見るのが楽しいのか、面白そうに小さく艶やかに笑う。

「浮竹、兄の料理、なかなかうまかった」

「だろう?今日は2割の確率のダークマターが2個もできてしまった。ちょっと残念なできだが、白哉にダークマターがいかないなら、それでいい」

浮竹は、自分でもダークマターを処理できる。

恋次の分がダークマターでもおかまいなしだ。

その日の昼食と夕食は、ちゃんとしたシェフが作ったもので、京楽もまだいる恋次も、泣いて喜びながら食すのであった。

「むう、また食事皆の分作りたいな」

「兄が望むのであれば、厨房をいつでも貸すぞ?」

「ありがとう、白哉!」

浮竹は、それからも昼食やら菓子を作って京楽と恋次を気絶させるのであった。




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黒猫と白猫の亜人55

浮竹と京楽は魔王城にきていた。

魔王の浮竹は今は仕事をしており、幽鬼の京楽に相手をしてもらう。

「にゃ!」

「にゃにゃ!」

猫じゃらしで遊んでいた。

浮竹と京楽は、魔王城にいる時の大半を猫の姿で過ごしているので、微笑ましかった。

昼になり、人の姿で普通の食事をとり、猫の姿でチュールを食べた二人は、昼寝をすることにした。

京楽が、中庭で芝生の上にごろりと寝転がる。

京楽はその横で丸くなり、浮竹は幽鬼の京楽のお腹の上に乗ると、自分もお腹を向けて寝る。バンザイのポーズだった。

京楽は、1時間ほど寝て起きようとするが、腹の上に浮竹がいるので起きれない。

『白猫の浮竹は変なポーズで寝るね?まぁすごくかわいいんだけど』

「そうでしょ。ボクの浮竹はめちゃくちゃかわいいの」

『ボクの浮竹だってめちゃくちゃかわいいよ?』

二人の京楽は、どっちの浮竹がかわいいか言い合って、結局どっちも破壊的にかわいいで落ち着いた。

『お、京楽たちこんなところに。ぶっ、なんだその白猫の俺の寝姿は』

バンザイのポーズで寝る浮竹の愛らしさに、魔王の浮竹はついついカメラをとりにいって、写真におさめた。

『ボクが昼寝してると、たまにお腹の上に乗ってきてこのポーズで寝るんだよね』

『むう、羨ましい』

『じゃあ、交代する?ボクはお菓子でも作ってくるよ』

まだ寝ている浮竹をだらーんと抱いて、魔王の浮竹がその身を預かる。

魔王の浮竹も芝生の上に寝て、腹の上に浮竹を乗せると、浮竹は「にゃあ」と寝ぼけて鳴いてから、バンザイのポーズをとってまた眠り出す。

「魔王の浮竹、きつくない?」

かわいい浮竹の姿を見ようと、首だけ起き上がろうしているそのポーズに、京楽が心配する。

『こ、この恰好は疲れるな。素直に空でも見てぼーっとしとこ』

今の魔王の浮竹は、することがない。

しようと思えばいろいろあるのだは、する気もなかった。

仕事が一段落したのだ。余計なことはしたくない。

「チュールくれ」

いつの間にか、浮竹が起きて魔王の浮竹の腹の上で、ゆらりとしっぽを揺らす。

『ああああ、かわいいいい』

「ぎにゃああああああああ」

浮竹が、魔王の浮竹に猫パンチする。

「落ち着いて」

『あ、ああ。見上げてくる瞳にくらっとなった』

「いつものことでしょ?」

「でも、魔王城にきてくれるのは2週間ぶりだから、そんなにいつものことってわけでもないかも」

魔王の浮竹が思案する。

「毎日魔王城にくるわけにもいかないからね」

『俺は別にかまわんのだが』

「白哉君が心配するから」

白哉はああ見えて意外と心配性で、1日浮竹と京楽の姿がないだけで探し始める。

今日は、あらかじめ魔王城に行くと言ってでてきたので、白哉も心配はしていないだろう。

『そうか。今日は泊まっていくか?』

「うん」

「泊まってく!」

抱きつぶされていた浮竹が復活して、魔王の自分に猫パンチをする。

「俺の昼寝を邪魔した罰だ。チュールくれ」

『はは、そんなこと言わなくてもチュールやるぞ?新しい味のを開発したんだ』

「何!ぜひとも今食べたい」

「ボクも!!!」

二人は目を輝かせて、新作のチュールを食べて、そのおいしさにうっとりする。

「もっと欲しい」

『京楽が、そろそろお菓子もってきてくれるから、このくらいにしておけ』

「幽鬼の京楽の作るお菓子はおいしい!」

「うん、おいしい!」

二人は、食事の時間とお菓子の時間は猫から人の姿に戻る。

『今日はガトーショコラケーキ作ってみたよ?ハロウィンだから、お化けのチョコレートつきね?』

猫にチョコレートはダメなのだが、浮竹と京楽は猫の亜人なので食べれた。

「ほろ苦いけど甘い。おいしい。ああ、このお化けのチョコレート、食べるのもったいないくらいかわいい」

「ボクのだけ、ムンクの叫びみたいになってるんだけど」

『好きでしょ?ムンクの叫び。いつもうちの浮竹と白猫の浮竹がキスとかしちゃうと、そんな感じの姿してるじゃない』

「そ、それは君も一緒でしょ」

『ボクは嫉妬しても顔に出さないよ?』

「うむむむ」

「あ、京楽食べないならもらうぞ」

浮竹が、ムンクの叫びになっているチョコレートを食べてしまった。

浮竹の好物はチョコレートだ。

「ああああ、ボクのチョコが!」

『白猫の俺、おかわりがあるみたいだから、ゆっくり食べていいぞ?』

「わーい」

本日はチョコレートを使ったガトーショコラということもあって、浮竹はいつもより食い意地がはっていた。基本お菓子は自分の分だけでいいのだが、チョコ関係になると京楽の分まで食べてしまうことがある。

『白哉君のお土産にも、作ったんで持って帰ってあげてね?』

「わかった」

『あと、途中で食べないように、今回は特別に白猫の浮竹の分だけ手土産の分もあるからね?』

「幽鬼の京楽、大好きだ!」

人の姿で幽鬼の京楽に抱きつくものだから、魔王の浮竹と京楽がちょっと複雑な気分になる。

お菓子を食べ終えると、浮竹も京楽も猫の姿になって、チュールをもらって、ねずみのおもちゃやらぬいぐるみで遊んでもらい、遊び疲れて寝てしまう。

『ああ、俺んちの子にならないかなぁ』

『まーた無茶言ってる』

『だってぇ』

『あ、白猫の浮竹ばんざいのポーズでまた寝てるね。ボクの腹の上以外でも、こんなポーズで寝ることあるんだ』

魔王の浮竹は、丸くなって眠る京楽と、ばんざいのポーズで眠る浮竹を写真におさめて、次の日こんな格好で寝ていたと見せられて、浮竹は真っ赤になってもうしないと言うのだが、寝る時やっぱりたまにばんざいのポーズで寝るのであった。

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番外編 金木犀

浮竹十四郎は、神掛を行った。

本当は、死ぬはずであった。彼を生まれた頃、両親は花の神という土着伸に我が子が健康でありますようにと捧げ、そして3歳の時に肺の病で死にそうなところを、同じ土着伸であるミミハギ様に救われた。

ミミハギ様を解放して、浮竹は死ぬはずだった。

それを止めたのは、花の神であった。

花の神は京楽を器として降臨し、京楽は半神へとなった。残っていた左目は桜の神を宿し、表面に現れる時だけ桜色の瞳になった。

「金木犀の香りがするね。もう秋も終わりだね」

「金木犀の香りは甘いからな。俺は好きだ」

「ボクも好きだよ?君から匂う花の香りに似てる」

浮竹からは、花の神に愛された証として、甘い花の香りがした。

「もう、大戦が終わって30年か。あっという間だな」

「そうかい?ルキアちゃんと恋次君の間に第二子ができたり、副隊長が変わったり、いろんなことが起きたよ?」

「まぁ、そうだな」

浮竹は、オレンジ色の金木犀の花を集めた。

「そんなに集めて、どうするんだい?」

「香水にしようと思って。それを朽木とかにやりたくてな」

浮竹は器用だ。

香水の作り方も知っていた。

「じゃあ、大量の金木犀の花がいるね?ボクも手伝うよ」

浮竹と京楽は、一番隊に近い金木犀の花を集めすぎて、七尾に怒られた。

「全く、限度というものを知ってください」

「はい」

「はーい」

浮竹は早速香水を作ることにした。

無水エタノール:を10ml。凝縮した金木犀のエキスの精油を20滴。

遮光瓶:(香水を保存するための瓶)に入れて混ぜて、金木犀の香水の出来上がりだ。

とりあえず、怒っていた七緒にあげると、凄く喜ばれた。

成功だと、本命のルキアにあげた。

「浮竹隊長、ありがとうございます!すごくいい香りです」

「よければ、苺花ちゃんの分もあるんだ。あげてくれないかな」

「浮竹隊長、最近お体のほうは?」

浮竹は花の神の力で病んでいた肺の病は言えたが、相変わらず病弱で、よく熱を出す。

最近はあまり熱もでないで、風邪とかもひいていないので、浮竹は笑顔になった。

「ああ、最近は調子がいいんだ。心配ありがとうな、朽木」

浮竹は、自分にも金木犀の香水をつけてみる。

「京楽、どうだ?」

「うん、むらむらする匂いだね」

「どんな匂いだ!」

「こう、甘ったるくて浮竹にぴったりで」

むちゅーとキスをしようとしてくる京楽を、浮竹は押しのける。

まだ傍にルキアがいたのだ。

「では、浮竹隊長、京楽総隊長、失礼します」

ルキアは、隊長でなくなった浮竹のことを、いつも浮竹隊長と呼ぶ。言い直させても直らないので、そのままにしておいた。

浮竹は高い霊圧をもっていたが、その霊圧は全て生きるエネルギーに変換されて、もう鬼道も瞬歩も使えないし、斬魄刀もふるえない。

今は、浮竹の代わりに13番隊隊長となったルキアの書類仕事の補佐をしていた。

だが、日常の業務のうち半分を、京楽の書類仕事の補佐をするようになっていた。

京楽という男は、総隊長になってもさぼり癖が直らず、七緒は苦労させられていた。

「お前にも、つけてやる」

浮竹は、京楽にも金木犀の香水をふきかける。

「やめてよ!色気むんむんで、浮竹以外にももてちゃうじゃない」

「この毛もじゃ男が」

「酷い。ボクの体毛はチャームポイントだよ」

「はいはい」

浮竹は、金木犀が風で散っていくのを見ていた。

「季節はあっという間に移ろうな?」

「仕方ないよ。それが生きている証なんだから」

むちゅーとキスをしようとする京楽に、浮竹は手で遮る。

「キスくらいさせてよ」

「昨日、散々抱いただろうが。キスもいっぱいした。今日は何もしない」

「ケチ」

「年も考えず、毎晩のように盛るお前の相手をさせられるこっちの身にもなれ」

「ふーんだ。どうせボクはヤリチンですよ」

「誰もそこまで言っていないだろうが」

京楽の瞳が淡く紅色に輝く。

「‥‥‥‥桜の神か?」

「器となった男が、これほど色欲魔だとは‥‥‥‥人選を間違えたか」

「なんの用だ?」

浮竹が、愛しい半身を神に支配されて、眉を寄せる。

「我が愛児を見ておきたくて」

「俺のことなど、京楽を介して見ているんじゃないのか?」

「そんなことはない。お前たちの情事も見ていないぞ。いつもは京楽の奥深くで眠っている。私が出ている時は、瞳の色が変わるからすぐわかるだろうが」

「まぁそうだが。あまり、京楽の体を支配するな」

「ふ、我が愛児は我儘だな。命を助けてやったというのに」

「感謝はしている」

浮竹は、花の神にも香水をあげた。

「ふむ。人の匂い袋のようなものか。悪くはない」

しゅっしゅと、金木犀の香水をふきかけまくって、花の神は大地に桜の花びらを残して、京楽の中でまた眠りについた。

「あれ、ボク‥‥‥‥うわぁ、香水くさい!たまらない、風呂に入りたい」

「今日は、仕事はもうないしな。早めに帰るか」

「うん」

浮竹は、死んでいないので雨乾堂が取り壊されることなく残っていて、普段はそこで住んでいるんだが、今は京楽の屋敷で厄介になっていた。

「今日の夕食はなんだろう」

「カニらしいよ」

「お、いいな。久しぶりだ。もうカニの季節か」

「今度、現世にもカニ食べに旅行でも行ってみる?」

浮竹は、それはまずいのでないかと口にする。

「総隊長がいない尸魂界は大変だろうが」

「まぁ、そこらはなんとかなるよ」

「じゃあ、二泊三日くらいで旅行にいくか」

「うん、そうだね」

ふわりと、金木犀ではなく桜の花びらが散っていく。

「ああ、花の神も行きたいみたい」

「そうか。とりあえず、カニ食いに帰るか」

浮竹と京楽は、手を繋いで歩きだす。浮竹は、確かにここに生きて今存在している。

これからも、ずっとずっと。

神掛で失われるはずだった浮竹の命は続いている。

京楽が器となって半神になったが、花の神のお陰で、二人は歩いていくのだった。


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黒猫と白猫の亜人54

浮竹が失踪した。

どこを探してもいないので、拉致されたのかと京楽は心配する。

白哉に探知魔法で探してもらうと、魔王城の中庭に反応があった。

京楽は、魔王城にいき、魔王の浮竹と話す。

「浮竹が来ているはずなんだけど」

『え、見てないぞ?』

魔王の浮竹は、首を傾げる。

「でも、この城の中庭で反応があったよ?」

『ボクも一緒に見てくるよ。浮竹は仕事続けてて』

『あ、ずるい。俺も行きたいのに』

『その仕事、今日中に終わらせないといけないやつでしょ?』

幽鬼の京楽の言葉に、魔王の京楽は仕方なく仕事を続けることにした。

「おーい、浮竹ー」

『白猫の浮竹ー』

返事はなかった。

よくよく探してみると、ネモフィラの花畑に埋もれて、白い物体がすーすー音をたてている。

「浮竹、こんなところにいたの」

『そっとしておこう。そのうち、目を覚ますだろうから』

幽鬼の京楽は、浮竹をそのままにして、薄い毛布だけをかぶせてやった。

最近は昼でも冷えてくる。

まだぽかぽかする太陽があるが、雲に隠れてしまうと肌寒くなる。

魔王の浮竹に、京楽たちは浮竹を見つけたと報告した。

魔王の浮竹は仕事も終盤にさしかかり、早く白猫の自分と遊びたいので、マッハで仕事をしていく。

『終わったああああ!!!』

『お疲れ様』

「ふにゃああああああああ。よく寝た~~~~。あれ、魔王城だ」

浮竹は目覚めた。

毛布が落ちる。

「む、誰か毛布をかけてくれたのか。それにしても、いつの間に魔王城へ」

そんなことを聞いていた京楽は、猫の姿の浮竹を抱き上げる。

「もう、心配したんだよ。いきなり行方不明になるから。魔王城に行くなら行くって言ってくれなきゃ」

「それが、魔王城に行った記憶がないんだ」

「寝ぼけてたの?」

魔王の浮竹からもらった魔王城にテレポートできるお札が、浮竹の体から落ちる。

「あ、それで遊んでて、眠ってしまったんだった」

「もう。気をつけてね?無防備に寝れるのは、この魔王城か白哉君の家くらいなんだから」

京楽もだが、浮竹は白猫の亜人だ。京楽の黒猫の亜人より貴重とされている。その涙は時に結晶となり、大国を潤すほどの値段になる、白涙石を生み出す。

そのせいで白猫の亜人は奴隷として見目もいいので、娼婦や男娼にされて、涙を流すことを強制される。

もう、白猫の亜人は、浮竹と浮竹の母親以外、近隣諸国には存在しない。

大陸全土を探しても、10人もいないだろう。

「寝て起きたら、お腹すいた。魔王の俺に、チュールもらいにいこっと」

「じゃあ、ボクも」

京楽も猫の姿になって、魔王の浮竹のところに押しかける。

二人は、魔王の浮竹が気がすむまでもふられた後、いっぱいチュールをもらって、浮竹はまたあくびをしていた。

「そんなに眠いの?また、なまけ病じゃないだろうね?」

京楽が心配する。

浮竹は、過去に普通の猫から感染するなまけ病という、眠り続けてそのまま衰弱死する病気にかかったことがある。

最近浮竹は眠っていることが多いので、京楽は心配だった。

「ん、大丈夫だぞ?最近まだ寒いけど、お日様がぽかぽかするときはあったかくて眠くなるんだ。そんな日にお日様の下で眠るときもちいいから、つい寝すぎる」

浮竹は、京楽と一緒に猫じゃらしで魔王の浮竹に遊んでもらってから、昼寝ならぬ夕寝をすると、また中庭のネモフィラの花畑の下で丸くなって眠り出す。

「もう、浮竹。日が沈んで、寒くなるよ?ボクも一緒に寝てあげるか」

京楽も丸くなって、二人で眠る。

魔王の浮竹と幽鬼の京楽は、そんな二人がかわいくて、夕飯を中庭のテラスで食べることにした。

いい匂いがしてくると、ぴくりと浮竹の耳が動く。

「いい匂い。おいしそう」

『白猫の俺も食べるか?カルガモの肉のソテーだ』

「食べる!」

猫の姿のまま、テーブルに乗って、魔王の浮竹のフォークにささったソテーの肉をはむはむとかじる。

「あ、ずるい。ボクも!」

京楽も起きて、猫の姿でテーブルの上に乗ると、幽鬼の京楽の食べかけのソテーを勝手に食べてしまった。

『ふふ、おかわりほしい?』

幽鬼の京楽が、二人に聞くと、二人はにゃんと鳴いて、それから欲しいと言った。

魔王の浮竹は、使用人を呼んで、カルガモのソテーを二人前追加するように命令する。

ほどなしくてカルガモのソテーがやってきて、熱々なので、二人とも火傷しないように気をつけてはぐはぐと食べる。

人の姿に戻って食べればいいのにとも思うが、猫の姿ではぐはぐと食べる姿がかわいいので、余計なことは言わない。

「お腹いっぱいだ」

「ボクも」

「お腹いっぱいいなったら、眠くなってきた」

「ボクも」

二人は丸くなって、魔王の浮竹の足元で眠ってしまう。

魔王の浮竹は、浮竹をそっと抱き上げて、ベッドの上に運ぶ。

幽鬼の京楽は、京楽を抱き上げて、同じようにベッドの上で寝かせた。

『今日はボクたちも早めに寝ようか?』

『ああ、そうだな』

幽鬼の京楽は、魔王の浮竹にキスをする。、

魔王の浮竹は、目尻を赤く染めつつ、浮竹と京楽を寝かせたベッドの隣のベッドで眠ることにした。もちろん、幽鬼の京楽も一緒だ。

ちなみに、キスをしているシーンを、ふと起きた浮竹は見ていた。

次の日に、キスはもうしないのかとか言い出して、魔王の浮竹を真っ赤にさせるのであった。

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俺はお前のラブドール6

浮竹がラブドールから魂を宿して復活してから、1年が過ぎようとしていた。

週に2回くらい睦みあって、欲を解消させながら、浮竹は京楽に愛される。京楽に愛されなくなれば、浮竹は生きる意味を失う。

元がラブドールであるせいで、京楽の、主とした者のに愛されないと、そのうちほろほろと崩れるか溶けてしまう運命だった。

だが、京楽が浮竹を愛さない日はない。

体の関係はなかった時も、変わらず愛された。

精神的に愛されればそれでいいらしい。できればセックスをして、精液を注ぎ込まれたほうが生き生きとなるが、それは諸刃の剣で、浮竹に疲れというものを感じさせる代わりに、愛の絆は深まった。

年明けになり、京楽は総隊長としてぱーっとパーティーを開いた。傍には、いつも浮竹がいた。

「浮竹。兄が蘇って1年になるな。これは私からの贈り物だ」

「わあ、白哉、ありがとう」

浮竹のことを兄のように慕う白哉は、長くなって腰より更に長くなった髪をまとめる絹でできた紐と、翡翠の髪飾りをくれた。

「白哉、変わりはないか?」

「何も。兄こそ、大丈夫か?」

「何がだ?」

浮竹が首を傾げる。

白哉は、少し頬を染めて、そっと浮竹に言う。

「うなじにキスマークがある。長い白髪で見えないように見えて、見えてしまう」

浮竹は、にこにこしながら京楽を一度張り倒して、虎徹隊長に回道でキスマークをなくしてもらった。

「あいたたた。でも、浮竹いいものもらったね。さっそくつけてみようか」

京楽は浮竹の長い髪を両サイドで編み込んで後ろで流し、髪飾りをつけてやる。バレッタ状になっており、四大貴族らしく、上等な翡翠が煌めいていた。

今日は、浮竹の1年目の誕生日とされて、他にも贈り物を贈ってくる者が、あとを絶たない。

「今日は、いい日だなあ」

「年明けのパーティーでもあるしね?」

浮竹がもらうものの多くが、福袋であるのはご愛敬だ。

「浮竹隊長、1年目の誕生日おめでとうございます。これ、隊長にと編んだマフラーです」

「ありがとう、朽木」

ルキアは、夫である恋次と子の苺花を連れてパーティーに参加していた。

「俺からは、ゴーグルを」

「ありがとう、阿散井」

「あたしからは、肩たたき券!あとお菓子あげる!」

チョコレート菓子を苺花からもらい、浮竹は食べた。肩たたき券を使う日はないだろうが、心使いだけでもうれしいのでもらっておく。

会場は一番隊の一番大きな広場で行われていた。

隊長副隊長は絶対出席であった。

いつもは見ない顔も見れて、浮竹も満足そうであった。

「あ、シロちゃん!」

冬獅郎を見つけて、浮竹が駆け寄る。

「誰がシロちゃんだ!浮竹、てめぇ1歳のくせに図体だけでかいな」

「シロちゃんは、いつまで経っても小さいな?」

「ああ?ケンカ売ってんのか」

そう言いながらも、冬獅郎は浮竹に酒をくれた。

果実酒で、浮竹の好きなお酒だった。

「ありがとう、シロちゃん」

「普通に日番谷って呼べ!」

「ふふ、ありがとうな、日番谷隊長」

浮竹はにこにこして、冬獅郎がパーティー会場の奥に消えていくのを見る。

「シロちゃん、またな」

松本、檜佐木、吉良とか、いつも浮竹のいないところでだが、飲み仲間になっている面子からも酒をもらった。

更木、一角、弓親あたりからは、斬魄刀になれなかった浅打をもらった。

「その浅打で、もう一度双魚理でも作りやがれ」

更木が、そう言い残して、酒を飲みに消えていく。

「斬魄刀。今の俺でも、また作れるのだろうか」

「浮竹次第じゃない?」

京楽に言われて、とりあえず浅打は腰に帯刀した。

「やあ、これはこれは、実に珍しい実験体の浮竹元隊長ではないかネ。どうだい、私のモルモットになる気はないかネ?」

「ないない」

「まぁ、そう言わず」

「ないから!」

浮竹も涅マユリが苦手なので、逃げる。

「ちっ、精神系の薬物を投与して、蘇ったという体で試しかたったのに」

「マユリ様」

「うるさいよ、 眠八號(ねむりはちごう)」

涅親子も、パーティー会場の奥に消えていく。

「よお、浮竹さん」

「一護君!?」

黒崎一護が、死神の姿でわざわざ現世から来てくれていた。

「復活したって聞いて、嘘だろって思ってたけど、ほんとに生きてるんだな。はは、俺も大分ふけちまったなぁ」

大戦から20年が経ち、一護は井上と結婚して、一勇という子をもうけていた。

一護は人間なので、37歳くらいになっていた。

「浮竹さんたちと同じくらいの年齢になっちまった。年をとるのははえぇなぁ」

「一護君も元気そうで何よりだ。今度、暇があったら酒を飲みにこないか。今晩でもかまわないが」

「そうだな。今晩なら、いけるかな。仕事があるから、あさってには帰らないといけないから」

「こら、一護貴様、浮竹隊長を蔑ろにするな!」

久し振りにルキアに蹴られて、一護は昔みたいにルキアと言い合いをする。

「たまに会ったと思えばなんだよてめぇ!喧嘩売ってんのか!」

「貴様なぞに売る喧嘩などないわ。時間の無駄だ」

「何おう、やる気か!?」

「そっちがその気なら、私もやるぞ」

「まぁまぁ、二人とも落ち着いて」

京楽が間を取り持って、とりあえず喧嘩にはならなくて済んだ。



「はぁ。俺も37歳かぁ。年とったなぁ。ルキアと恋次は、髪型こそ違うが、見た目は変わってねぇ。これが、死神と人間の違いかぁ」

一護は、浮竹と京楽と一緒に、高級居酒屋で飲んでいた。

「まぁ飲め、一護君」

「浮竹さんが蘇ったって聞いて、いつか会いたいと思っていたんだ。会えて嬉しい」

「俺もだぞ、一護君」

「店主、果実酒をもう1瓶と、日本酒を2瓶」

京楽は、何気にたくさん飲むつもりだった。

「一護君も、幸せそうで何よりだね。織姫ちゃんと結婚して、子供がいるんでしょ?」

「ああ。一勇っていう。もう15歳だ。中学3年だな」

「ああ、俺が死んでいる間に、皆に時が経ち、いろいろと変わっていくもんだな」

浮竹は、つまみと一緒に果実酒をあおる。

「浮竹には20年のブランクがあるからね。仕方ないよ」

「まだ気が早いけど、一護君が死んで本物の死神になったら、瀞霊廷中で取り合いの喧嘩になるだろうな」

「まだ早いっすよ。俺まだ37ですよ。死ぬまで、あと半世紀くらいある」

「案外、もっと長生きしたりしてな?」

浮竹はからからと笑う。

一護と京楽も笑った。気が先に先にいき過ぎなのだ。

一護は尸魂界の英雄だ。それが死んで本物の死神になったら、確かに護廷十三隊で取り合いになるだろう。

「そろそろ遅いんで、お暇しますね。さて、ルキアと恋次の家に泊まるんで、何かあったらスマホに連絡入れてください」

「ああ、一護君、またな」

「またね、一護君」

浮竹と京楽は、朝まで飲んだ。

浮竹はべろんべろんに酔っ払い、京楽も酒豪だが飲んだ量が量なので、少し酔った。

そのまま屋敷に帰らずに、宿に泊まる。

「んーー」

酔いつぶれた浮竹を抱きしめて、京楽もそのまま眠った。

朝起きると、お互い裸だった。

でもやった形跡がなかったので、安堵しつつも心のどこかで残念と思った。



屋敷に戻り、3日経って、体が疼きだした浮竹は、京楽を誘う。

「春水、お前が欲しい。俺の中をお前で満たして?」

「ああ、十四郎。君はおねだり上手だね?」

京楽が、クスクス笑いながら浮竹を押し倒す。

浮竹もクスクス笑っていた。

「んっ」

際どいところを触ってくるが、肝心の場所を触ってくれないので、浮竹が京楽の手を股間へと導く。

浮竹のものは熱く滾っていた。

包み込むようにしてから、手でしごくと、浮竹は欲望を京楽の手の中で弾けさせる。

「んああああ!」

「気持ちいい?」

「あ、気持ちいい」

「じゃあ、ボクも気持ちよくさせてね?」

ローションを塗りたくった京楽は、浮竹の蕾の中にずずっとゆっくり入っていく。

「うあ!」

挿入と同時に、浮竹は軽くオーガズムでいく。

ぱちゅんと音を立てて、奥まで貫くと、浮竹はぴゅっぴゅと精液を零しながら、オーガズムでもいっていた。

「んああああ、いくうううう」

「気持ちいい?」

「あ、気持ちいい」

浮竹は素直に答える。

「あ、もっとお♡」

「ふふ、たくさんあげるね?」

京楽は浮竹の奥に子種を弾けさせる。

「んあ、春水の熱いのびゅーびゅー中で出てるのお♡とろけそう♡」

「十四郎がとろけちゃたら、ボクのザーメン受け取る子がいなくなるね?」

「あ、それはもったいないからだめぇ」

「どっちなんだか」

京楽は、浮竹の奥を穿つ。

何度もそうしていると、また浮竹が精液を零しながら、オーガズムでいく。

「ひああああん、あ”あ”---♡」

「中と外も、二重で何度もいってるね?」

「気持ちよすぎて、変になるう♡」

「そしたら、オナニー人形として大切にしてあげるよ?」

「やらぁ。京楽と、こうしていたい♡」

京楽は、思い切り浮竹を貫いた。

「ひああああああ”あ”あ”♡」

浮竹はもう出す精液がないので、だらだらと透明な蜜を少しずつ零してから、ぷしゃあああと潮を吹いた。

「今日も潮吹くんだね?十四郎、女の子みたいだね?」

「あああ、春水。子ができたら、責任とってくれ♡」

「うん。できなくても、責任はとるからね?」

浮竹はその後も何度もオーガズムでいって、気を失った。

「君は、ボクだけのラブドール。ボクの愛を注ぎ込んで受け入れてくれる、ボクだけの魂のある愛しいラブドール」



俺はラブドール。

愛されなければ、生きていけない。

当分、愛されないと言うことはなさそうであった。



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