魔王と勇者と31
魔神の京楽とフェンリルの浮竹から、最上級品の結界石のネックレスをもらった。
光にあてると虹色の輝くそれは、浮竹を守ってくれる。
「これで、君は聖女教から守られる」
京楽は満足そうであった。
「聖女教といえば、藍染が行方をくらましたらしい。16代目聖女アナスタシアは醜い老婆になってしまい、急遽クローンの18代目聖女アナスタシアが聖女教のTOPになった」
「藍染のいなくなった聖女教は、放置しておくか壊滅させるべきか。どう思う?」
「放置でいいんじゃないのか。信者たちの洗脳もとかれたし、18代目聖女はまともな聖女だそうだ。傾きかけていた聖女教をなんとか形を保っていられるようにしたらしい」
「まぁ、聖女教そのものが悪いんじゃないからね。藍染が悪いのであって」
浮竹は、翼を広げて京楽を包み込む。
「聖女教への弾圧はそのままにしておくのか?」
「うん。藍染が戻ってくるかもしれないからね」
「そうか」
浮竹は、結界石のネックレスの石に触れる。
虹色の輝きが強くなる。
「君の聖なる力に呼応してるんだろうね」
「全く、こんな品を作れるものがいるとは‥‥‥」
「作った子に、お礼しておいたから」
「早いな」
「ケットシーの白哉くんらしいよ。勇者の白哉くんとは別人の」
「そうか」
浮竹は、今日はエトナ教の信徒に慈悲を与える日なので、エトナ教の神殿に向かおうとする。
「あ、今日はボクも行くから」
「心配しなくても、結界石のおかげで身の安全は保障されてるぞ?」
「エトナの子はボクの伴侶だってわかってもらうためにね?」
京楽は、悪戯っぽく笑った。
「おお、エトナの子だ。慈悲を」
「エトナの子の伴侶の魔王だ。魔王も心優しき方らしい」
「エトナの子と魔王は慈悲の力をもっておられる」
浮竹が京楽を連れているものだから、いつもより騒がしかった。
「これより、エトナの慈悲を与える。順番に並んでくれ」
「ああ、浮竹様。孫娘がはやり病にかかり、死にそうなのです。どうか、慈悲を」
老婆からはやり病の特徴をきいて、浮竹は自分の翼の羽を抜くと、それと一緒に煎じた薬を渡した。
「これを飲ませてやってくれ。俺の羽で、体全体をはらうようにしてくれ。はやり病も治るはずだ」
「浮竹様、ありがとうございます」
そんな様子を、京楽が見ていた。
「治癒能力は君のほうが上みたいだね」
「まぁ、エトナの子だからな」
「ボクも、癒しの力で患者を診るよ」
「ああ、ありがとう京楽」
浮竹の慈悲を求める者の行列が途切れる頃は、すっかり夕暮れになっていた。
「今日は遅いし、エトナ教の神殿に泊まっていこう。前々から、泊まるようにとすすめられていたし、ちょうどいい時間だしな」
「ボクは浮竹といれるなら、神殿でもどこでもいいよ」
神官に案内されて、浮竹のためにと用意されていた部屋に入る。
無駄に豪華だった。
「ベッドは広いな。一緒に寝るか」
「うん、そうだね」
「慈悲を与えすぎて、神の力が少し弱くなっている。こんな時、結界石があると安心できるな」
部屋で二人は夕飯をとり、備え付けられていた大きな風呂に入って、就寝する。
「浮竹、起きてる?」
「ん、なんだ?」
「エトナ教の子の浮竹は、本当に天使みたいで神々しかった」
「褒めすぎだ」
「ふふ、そうかな?」
「俺はあくまでエトナの代理だ。神じゃない」
「そうだね」
二人は、そのまま眠ってしまった。
次の日、朝食をとっていると、京楽が食べるのをやめた。
「どうしたんだ?」
「ボクの料理に、毒が入ってる」
「なんだと!おい、どういうことだ!!!」
猛烈に抗議して料理を作った者を問い詰めると、大神官の一人に魔王を亡き者にしてエトナの子を神殿でずっと暮らすように画策した者がいると判明した。
「罪は重いぞ」
「エトナの子が魔王などに束縛されるのが悪いのです!」
「お前から、大神官の地位を剥奪し、流刑処分とする」
「エトナの子よ!魔王などと慣れ親しみなさるな!まして伴侶などと」
「連れていけ」
浮竹は、他の神官たちに流刑にされる元大神官を連れていかせる。
「すまん、京楽。俺のせいで」
「いや、ボクが勝手についてきちゃったからね。魔王をまだ忌み嫌う者はいるし」
「エトナ教には魔王や魔族排斥の思想はないが、それでも人間と違うということで恐れる者もいるからな」
「うん」
「エトナ教で大々的に言いまわるjか。エトナの子は魔王とできていると」
「いいの、浮竹?」
「お前の食事に毒をもられるような真似にならないようにな」
浮竹は、その日信者たちの前で京楽を正式な伴侶であり愛していると堂々と言ってのけた。
さながら愛の告白で、京楽は少し恥ずかしくなった。
「魔王城に戻るか」
「うん」
「なんだ、結界石が‥‥‥」
光っていた。そして、何かを弾く。
「お前のせいで、私はああああ」
それは、醜い老婆となりはてた、元聖女である16代目のアナスタシアであった。
「殺してやるうううう」
「浮竹様に何を!ひっとらえろ!」
「いや、いい。エトナの光の前に滅びよ!」
「うぎゃああああああああ」
16代目のアナスタシアは、灰となっていく。
「ここまでくるなんて、執念はすごいね」
「悪しきに染まっていたからな。エトナの力で浄化した」
「じゃあ、今度こそ帰ろうか」
「ああ」
浮竹と京楽は、転移魔法で魔王城に戻ってくる。
「さて、今日も魔王の仕事片付けて、魔神のボクとフェンリルの浮竹の元にでも遊びにいきますか」
やる気になっている京楽と一緒に、浮竹も魔王の仕事を手伝うのであった。
光にあてると虹色の輝くそれは、浮竹を守ってくれる。
「これで、君は聖女教から守られる」
京楽は満足そうであった。
「聖女教といえば、藍染が行方をくらましたらしい。16代目聖女アナスタシアは醜い老婆になってしまい、急遽クローンの18代目聖女アナスタシアが聖女教のTOPになった」
「藍染のいなくなった聖女教は、放置しておくか壊滅させるべきか。どう思う?」
「放置でいいんじゃないのか。信者たちの洗脳もとかれたし、18代目聖女はまともな聖女だそうだ。傾きかけていた聖女教をなんとか形を保っていられるようにしたらしい」
「まぁ、聖女教そのものが悪いんじゃないからね。藍染が悪いのであって」
浮竹は、翼を広げて京楽を包み込む。
「聖女教への弾圧はそのままにしておくのか?」
「うん。藍染が戻ってくるかもしれないからね」
「そうか」
浮竹は、結界石のネックレスの石に触れる。
虹色の輝きが強くなる。
「君の聖なる力に呼応してるんだろうね」
「全く、こんな品を作れるものがいるとは‥‥‥」
「作った子に、お礼しておいたから」
「早いな」
「ケットシーの白哉くんらしいよ。勇者の白哉くんとは別人の」
「そうか」
浮竹は、今日はエトナ教の信徒に慈悲を与える日なので、エトナ教の神殿に向かおうとする。
「あ、今日はボクも行くから」
「心配しなくても、結界石のおかげで身の安全は保障されてるぞ?」
「エトナの子はボクの伴侶だってわかってもらうためにね?」
京楽は、悪戯っぽく笑った。
「おお、エトナの子だ。慈悲を」
「エトナの子の伴侶の魔王だ。魔王も心優しき方らしい」
「エトナの子と魔王は慈悲の力をもっておられる」
浮竹が京楽を連れているものだから、いつもより騒がしかった。
「これより、エトナの慈悲を与える。順番に並んでくれ」
「ああ、浮竹様。孫娘がはやり病にかかり、死にそうなのです。どうか、慈悲を」
老婆からはやり病の特徴をきいて、浮竹は自分の翼の羽を抜くと、それと一緒に煎じた薬を渡した。
「これを飲ませてやってくれ。俺の羽で、体全体をはらうようにしてくれ。はやり病も治るはずだ」
「浮竹様、ありがとうございます」
そんな様子を、京楽が見ていた。
「治癒能力は君のほうが上みたいだね」
「まぁ、エトナの子だからな」
「ボクも、癒しの力で患者を診るよ」
「ああ、ありがとう京楽」
浮竹の慈悲を求める者の行列が途切れる頃は、すっかり夕暮れになっていた。
「今日は遅いし、エトナ教の神殿に泊まっていこう。前々から、泊まるようにとすすめられていたし、ちょうどいい時間だしな」
「ボクは浮竹といれるなら、神殿でもどこでもいいよ」
神官に案内されて、浮竹のためにと用意されていた部屋に入る。
無駄に豪華だった。
「ベッドは広いな。一緒に寝るか」
「うん、そうだね」
「慈悲を与えすぎて、神の力が少し弱くなっている。こんな時、結界石があると安心できるな」
部屋で二人は夕飯をとり、備え付けられていた大きな風呂に入って、就寝する。
「浮竹、起きてる?」
「ん、なんだ?」
「エトナ教の子の浮竹は、本当に天使みたいで神々しかった」
「褒めすぎだ」
「ふふ、そうかな?」
「俺はあくまでエトナの代理だ。神じゃない」
「そうだね」
二人は、そのまま眠ってしまった。
次の日、朝食をとっていると、京楽が食べるのをやめた。
「どうしたんだ?」
「ボクの料理に、毒が入ってる」
「なんだと!おい、どういうことだ!!!」
猛烈に抗議して料理を作った者を問い詰めると、大神官の一人に魔王を亡き者にしてエトナの子を神殿でずっと暮らすように画策した者がいると判明した。
「罪は重いぞ」
「エトナの子が魔王などに束縛されるのが悪いのです!」
「お前から、大神官の地位を剥奪し、流刑処分とする」
「エトナの子よ!魔王などと慣れ親しみなさるな!まして伴侶などと」
「連れていけ」
浮竹は、他の神官たちに流刑にされる元大神官を連れていかせる。
「すまん、京楽。俺のせいで」
「いや、ボクが勝手についてきちゃったからね。魔王をまだ忌み嫌う者はいるし」
「エトナ教には魔王や魔族排斥の思想はないが、それでも人間と違うということで恐れる者もいるからな」
「うん」
「エトナ教で大々的に言いまわるjか。エトナの子は魔王とできていると」
「いいの、浮竹?」
「お前の食事に毒をもられるような真似にならないようにな」
浮竹は、その日信者たちの前で京楽を正式な伴侶であり愛していると堂々と言ってのけた。
さながら愛の告白で、京楽は少し恥ずかしくなった。
「魔王城に戻るか」
「うん」
「なんだ、結界石が‥‥‥」
光っていた。そして、何かを弾く。
「お前のせいで、私はああああ」
それは、醜い老婆となりはてた、元聖女である16代目のアナスタシアであった。
「殺してやるうううう」
「浮竹様に何を!ひっとらえろ!」
「いや、いい。エトナの光の前に滅びよ!」
「うぎゃああああああああ」
16代目のアナスタシアは、灰となっていく。
「ここまでくるなんて、執念はすごいね」
「悪しきに染まっていたからな。エトナの力で浄化した」
「じゃあ、今度こそ帰ろうか」
「ああ」
浮竹と京楽は、転移魔法で魔王城に戻ってくる。
「さて、今日も魔王の仕事片付けて、魔神のボクとフェンリルの浮竹の元にでも遊びにいきますか」
やる気になっている京楽と一緒に、浮竹も魔王の仕事を手伝うのであった。
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