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20話補完小説「痛み」

「お前が!お前がアニューを!!」

トレミーに戻ったガンダムマイスター達。
ライルは遅れてやってきた刹那に、ギリと歯をきしませると、刹那の顔を思い切り殴りつけた。
何度も、何度も。

刹那の顔は痛いほどに腫れ上がり、口の中を切ったのか、唇の端から血を流していた。

「アニューは戻ろうとしていた!それなのに、お前がアニューを!」

バキっと、また殴られる音。

ライルの背後で、大人しく見ていたティエリアも、流石に止めに入った。もう何十回殴られたのかも分からない。

殴られるだけの理由が刹那にはあった。ライルが愛していたアニュー・リターナを殺してしまったから。

「もういい加減にするんだ」

ティエリアの華奢な手が、ライルの腕を掴む。ティエリアの見た目に反比例した力の強さだった。

「離せ!」

「いい加減にしろ。刹那も無抵抗でいるにもほどがある。お互い頭を冷やすべきだ」

二人の間に介入する。

アレルヤは傍観に入っているようで、何も言わない。

「大切な人失う痛みは、刹那だって知っているはずだ。ああしなければ、ライル、あなたが殺されていたんだぞ」

「それでも!」

刹那ではなく、床を叩くライル。
そして、ふらりとライルは自分の部屋に向けて宙を蹴った。

「手当てしよう。刹那、こちらにこい」

残されたティエリアと刹那。アレルヤの姿はもうなかった。

「いらない」

「・・・・反論は許さない」

冷却スプレーをあてられて、それから流れ出る血をハンカチで拭われる。はれた右頬に、もう一度冷却スプレーをあててから、氷が入ったビニール袋を持たせて、それで冷やすように命令される。

「ティエリアは、俺を責めないのか」

「責めてどうする。君があの行動をとらなかったら、ライルは今頃ここにはいなかった。君を責める理由などない。君の行動は間違ってはいなかった。だが、ライルには酷すぎた」

「そうだな。俺がアニューを殺した」

「もしも近くに僕がいたならば、僕が殺していた。引き金を引く覚悟くらい、僕にだってある」

ティエリアは本気だった。刹那が全ての罪を背負ったのであって、他のガンダムマイスターがあの状況で、近くにいればアニューを撃っていただろう。

「痛いか」

「痛い」

「それがライルの痛みでもある。しばらくはライルと会うな」

「分かっている」

「ライルがもしも、刹那を撃ったりしたら、僕がライルを撃つ」

「・・・・・・本気か」

「本気だ」

ティエリアは、そっと刹那の体を柔らかな肢体で抱き寄せる。無性の中性だからこそもつ、女性に似た体の柔らかさ。
はれた頬にそっと唇を寄せる。

「痛みは、誰にでもある。心の痛み、過去の痛み、記憶の痛み・・・・・現実の痛み」

「意味がよく分からない」

ティエリアは、もう一度刹那の頬にキスをしてから、そっと離れた。

「世界は痛みで満ちている。歪んだ悪意という名の痛みに」

「イノベイターか。イノベイターは許すことができない」

刹那がぽつりと呟いた。

「ふ。そんな僕もイノベイターだがな」

「ティエリアは別だ。仲間だ」

刹那は、明るいルビー色の瞳で、柘榴色のガーネットに近い同じ赤い緋色のティエリアの瞳を覗き見る。

「ヴェーダさえ取り戻せていれば。こんなことにはならなかったかもしれない」

あくまで例えの話をティエリアはする。けれど、現実は、過去は変えれない。変えることができるのは未来だけだ。

「ライルへの接触は僕がしよう。しばらくは一人にしておくが、このまま憎しみだけを育てられても困るし、悲しみに浸るだけなのもダメだ。今はライルの力が必要なんだ」

痛みがあっても。
それでも、前を向いて戦っていかなければいけないのだ、今は。

いずれ、安息がくるだろう。それが死であるのか、勝利であるのか、まだ分からない。ただ、比翼の鳥の片方は傷ついている。だから、もう片方のティエリアが今は支えるのだ。
たとえ、その身がイノベイター、敵と同種であったとしても二人の絆に罅が入ることはない。お互いを信頼しあっている。刹那の痛みはティエリアの痛みでもある。

ティエリアは、無言のまま刹那の、はれが引き出した頬に手を伸ばすのだった。



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2期8話補完小説

「万死に値する!」

ティエリア・アーデは深いため息をついた。ガンダムマイスターは全員が男だと知られている。正確には、ティエリアは中性であるが、男性と形式上ではなっている。

「これは・・・・さすがに」

敵がいるとされるパーティー会場へ、情報収集を含めて乗り込むことになったのはいい。自分から「僕も同行する」と名乗りだしたのはいい。

だが刹那は普通の私服で車の運転手。ティエリアだけ女装でパーティー会場へ。

本物にしか見えない胸バッドをつけて、ひらひらの、露出度が高いドレスを身にとまわされて。いくらティエリアでも我慢の限度というものがある。太ももをさらし、さらには偽の胸の谷間を強調するようなドレスは、他の男の視線をひくだけだと、スメラギ・李・ノリエガ、フェルト、ミレイナとああだこうだと言い合いになっている。

「もう少しましな衣装はないのか」

「えー。似合ってるのに」

「なるべく隠密に行動したい。目立つのは避けたい」

「まぁそれもそうよね」

いくつか衣装をこれでもない、あれでもないとまるで着せ替え人形のようにされて、結局決まったのは少し胸を強調したマーメイドドレス。裾が長く、露出度は控えめ。
最後にロングストレートのかつらをかぶって、ティエリアの女装のパーティーいきの格好は決定した。

そして、みんなにお披露目となる。

「いいんじゃないかな。すてきだよティエリア」

アレルヤは、マリーを伴って正直に答えた。

ライルは口笛を吹いた。

「変わるもんだなぁ。これなら俺がエスコートしたいくらいだ」

ティエリアを待っている間、正装に着替えた刹那を見ると、紳士的な服装になっていた。

「それでいいだろう。ティエリアのことは俺が守る」

「お熱いことで」

ライルが茶化す。

そっと、刹那が耳元で囁いた。

「似合っている。とても・・・・・ティエリアだからそこまで似合うんだ」

頬を少し赤くしてしまう。ロックオン・ストラトスことニール・ディランディを失ってから誰とも付き合うことはないのだと思っていた。だが、刹那と再会し、恋人同士に似た関係を築きげた。比翼の鳥というのだろうか。お互いどちらが欠けることもできない関係。

それは恋人同士そのものだろう。ティエリアはまだニールのことが忘れられない。刹那はそれも含めて、ティエリアを抱擁している。肉体関係もある。たまにライルと行動を共にすることもあるけれど、今のティエリアに必要なのは誰でもない刹那だけであった。

刹那が、ニールがいなくなった溝を埋めてくれる。

寂しさを。悲しさを。孤独を。

「刹那がいうなら。この格好でいく」

ティエリアはマーメイドドレス姿で、パーティー会場へ行くことを決めた。刹那が運転手として付き従う。そして、護衛として。パーティー会場では、刹那の顔が割れている可能性があるため、ティエリアのみの行動となるが、何かあればすぐ駆けつけれるように、銃を携帯していた。

ティエリアはそして出会う。

世界の無垢なる歪みと。自分と同じイノベイターと。

リボンズと踊り、賞賛の拍手を浴びたあと、ティエリアはリボンズ、世界の歪みそのものと会話をした。

「君は随分と人間に感化されたようだ。あのロックオン・ストラトスのせいで」

「彼のことを悪くいうな」

ティエリアは、本気でリボンズを殺そうとしたが、違うイノベイターによってそれは邪魔された。
そして、階上の部屋にあるにも関わらず、窓を割って飛び出し、音もなく地上に着地すると、刹那に無線で連絡をいれた。

「世界の、歪みをみつけた」

「そうか。今向かう」

ティエリアが見つけた、世界の歪みであるリボンズのこと、イノベイターのことを、他の仲間に知らせるのをためらうティエリアがいた。
その側には、常に刹那がそっと比翼の鳥のように一緒にいるのだった。

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旅行

日、月と親父殿と一緒にかんぽの宿へ旅行にいってまいりました。

カニプラン。

もうカニ1か月は食いたくないくらい食べました。

カニはもういやだ。カニに悩まされそう。

カニすぎる夕食とバイキングの朝食に一泊二日あわせて1万3千はお安いです。

カニの悪夢を見そうなかんじ。

久しぶりにロクティエ長編(中編?)打ってきました。夢で描いたネタが尽きる前にうちました。

できとかもうなんでもいいや・・・・・

読んでくれてる人いるのかも謎だし

今やっと2期の3話の途中まで見終えました。見るのは2回目です。熱がさまないうちに見ておけってかんじ。突発ロクティエSSうつより長編は簡単でいいですな。

過去の長編書き直したいけどめんどく。

さい。ww


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二人のティエリア「婚約指輪」

大破したデュナメスのコックピットから出て、アリーアル・サーシェスに銃の標準を合わせる。

そして、引き金を引く。

「はは・・・・今度は、俺がティエリアを置いていくのか。・・・でも、ティエリアの元にいける」

血を吐きながら、ロックオンは想う。

NO6のティエリア。ロックオンをひたすら慕い、微笑みを浮かべていたティエリア。ついに、恋人扱いはできなかったけれど、NO6のティエリアも心の何処かで愛していた。それは、失ってしまったNO8のティエリアへの愛とは違う、友情のような愛情。恋人に向ける愛情ではなかった。
それでも、NO6のティエリアは満足してくれていた。

「今・・・いくから」

そっと、地球に手を伸ばす。

掴もうとしても、掴めない青い星。

テロが憎くて、ソレスタルビーイングのガンダムマイスターになった。結局、していることはテロ行動と似ていた。だが、武力介入でテロが根絶する夢は持っていた。

無重力の中、体が闇に向かっておちていく。
ポッ、ポッ。

ロックオンの体を、緑の光が包み込んでいく。
発光して、宇宙に溶けていく。

「    」

「ああ・・・・そこに、居たのか」

「ロックオン。いきましょう。一緒に」

ロックオンが愛したNO8のティエリアは、そっと背中に翼を広げて、ロックオンの冷たくなっていく体を包み込んだ。

「暖かいな。そうだ、これ渡すよ。俺の指にはめてくれ」

NO8の透けた体のティエリアの指には、キラリと婚約指輪がはめてあった。

ロックオンが、血を吐きながらゆっくりと懐から取り出した、ロックオンの分の婚約指輪を受け取って、ティエリアは優しく微笑えんだあと、少し悲しそうにロックオンの指に婚約指輪をはめる。

「結婚・・・・式・・・・できなかっ・・・た・・・・許してく・・・れ」

「もういいんです。何もかも。さぁ、一緒にいきましょう。遠い場所へ」

バサリと、ティエリアの翼がエメラルド色に輝く。

そして、ポッポッと、光の泡となって、ロックオンの体と一緒に溶けていく。宇宙の深遠で。

宇宙に溶けていく。

二人が。

ロックオンとティエリアは緑の光となって、宇宙から消えようとしていた。



「ロックオン・・・・そうか、いってしまうのか。ティエリアと」



残されたNO6のティエリアは、涙を零しつつも、どこか幸せそうだった。

消えてゆく。

二人が。

この世界から、遠い場所に。

二人は、とても幸せそうだった。

この世の終わりがきても、もう離れることはない。二人のティエリアとロックオン。ロックオンがとったのは、NO8の最初のティエリア。後継者のNO6のティエリアとは愛を結ばなかった。
まるで、それがNO8のティエリアとの約束事のように。

二人は宇宙に溶けていく。

蛍の光のように、淡く。

透けたティエリアの体も、物質界にあるはずのロックオンの体も。

螺旋を描いて、光の滴となって消えていく。

そして、宇宙の深遠には静寂だけが残された。




「愛してる」

「僕も」



囁きは、深遠の奥深くで一度交わされたあと、アストラルの世界へと消えていったのだった。

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二人のティエリア「NO6」

ロックオンは、しばらく自室から出なくなった。
だが、静かなティエリアの葬儀には出席した。 白い花で埋め尽くされた棺桶。そこに、綺麗な顔で微笑んだままのティエリアが横たわっていた。

皆涙を流しながら、思い思いに、花を棺桶に添えていく。
ロックオンは、白い百合の花をティエリアの棺に添える。ロックオンの指には、婚約指輪が光ったままだった。 
 
もう、きっと誰も愛さないだろう。
ティエリア以外を愛することなどない。 断言できるほどに、ティエリアだけを愛していた。二人で描いた未来図は、描かれることのないまま終焉を迎えてしまった。

「お別れだ、ティエリア」

棺桶の棺が閉じられ、ティエリアは宇宙に流されていく。
その姿が見えなくなるまで、ロックオンはその場を動かなかった。 ロックオンは、しばらくの間暗かったが、1か月経つ頃には見かけはいつものロックオンに戻っていた。

ティエリアの遺品はそのままだ。ティエリアが大好きだったジャボテンダーの抱き枕は、棺桶には入れなかった。ティエリアの生きていた証が欲しかった。だから、置いたままだった。 緑のシャツも、ピンク色の明るいカーディガンも、まだロックオンの部屋のクローゼットにかけられたままだ。

戦闘は続いている。いつまでも、喪に服した気分のままでいられないのが現状。

そんなある日、スメラギ・李・ノリエガが新しいガンダムマイスターを紹介した。

「新しいヴァーチェのガンダムマイスター、ティエリア・アーデよ」

「ティエリア?」

「そう。ティエリアはデザイン・ベイビー。イノベイター。複数いるの。欠けて計画に支障がないように、人工の羊水の中で何人かが眠っている。以前死んだティエリアは、NO8。この子はNO6よ。名前はティエリア・アーデを継承させるわ」

「はじめましてというべきかな?久しぶりです、ロックオン」

以前と変わらぬ、けれど微笑みを浮かべた、ヴェーダに頼っていた頃とは違う、ロックオンと付き合っていた頃と変わらぬティエリアの笑顔がそこにあった。

「命を弄びやがって。だが、お前さんとは初対面だ」

「そんなことはありえない。僕は、NO8の記憶を継承している」

つまりは、新しいティエリアは、以前の亡くなってしまったティエリアの記憶があるティエリアということになる。

「ロックオン、部屋に遊びにいっても?」

「だめだ。お前さんは、どんなに同じ顔でも、記憶を継承していようが、俺が愛したティエリアじゃない。お前さんとは初対面だ。お前さんは俺の恋人じゃない」

「そうですか。では、そうふるまいます」

刹那とアレルヤは、以前のティエリアと同じように、新しいティエリアに馴染んでしまったが、ロックオンは頑なに拒否し続けた。

新しいティエリアがどんなに微笑んでも、微笑み返すことはなかった。 だが。 新しいティエリアのヴァーチェを庇って、ロックオンは利き目を負傷する。それをティエリアは気にかけて、ロックオンと過ごすようになった。

でも、ロックオンはNO6のティエリアを、以前のNO8のティエリアのようには扱わなかった。 遺品に触らせることは許したが、心を開くことはしなかった。

「お前さんは俺のティエリアじゃない。そのことは心に置いておいてくれ」

「了解です」

ティエリアは従順だった。
ロックオンの傷を気にかけて、部屋にやってくるが、ロックオンはNO6のティエリアと同じ部屋で寝ることはしなかった。
ロックオンが愛したティエリアは、NO8だけなのだから。 たとえ記憶を継承していようとも、同じティエリアでも、同じ顔、同じ体をしていても違うのだ。

存在が、違う。

「ティエリア・・・・・今頃、天国で俺を見てるか?俺は守る。お前だけを愛すると決めたんだ。例え同じティエリアがいても、それはお前さんじゃないから」

ロックオンは、NO6のティエリアに魅かれることはなかった。仲間は驚いていた。NO6のティエリアと恋人同士になるものだとばかり、皆考えていたのだ。

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二人のティエリア「死」

それは、突然のことだった。
あまりに突然で、ロックオンは最初声を失い、茫然とした。

ティエリアが、亡くなったのだ。

疑似太陽炉をもつ機体と、ヴァーチェはキュリオス、デュナメス、エクシアと共に戦場を駆け抜けた。そして破壊の光を敵に浴びせ、戦闘は勝利で終わった。敵が撤退していくのを確認して、それぞれトレミーに帰還した。
それなのに、ヴァーチェから一向にティエリアが降りてこないのだ。
心配したロックオンが、無理やりハッチを開けると、そこには吐血して、微笑んだまま絶命しているティエリアがいた。

「・・・・・・・・」

声を失う。

すぐにドクター・モレノが呼ばれ、救命処置をしたが、無理だった。
ティエリアは、帰らぬ人となった。

「ティエリア?嘘だろ。おい、目を開けてくれよ・・・・」

戦場で、無線の通信もした。出撃する前は笑顔で答えてくれた。
そんなティエリアが、なぜ急死したのかが分からない。

戦闘で負傷した傷はない。ただ吐血して、死んでいた。

「おい・・・・」

アレルヤと刹那は泣いていた。
ロックオンは泣くことさえ忘れて、ティエリアに話しかけていた。

「ティエリア」

信じられない。
あのティエリアが。
さっきまで、笑ってくれていたティエリアが。

ティエリア、ティエリア、ティエリア、ティエリア。
こんな終わりって、あんまりじゃないか。
どうして、何もいってくれないんだティエリア。
なぜ、冷たくなっていくんだ、ティエリア。
ティエリア、ティエリア、ティエリア、ティエリア。ア。

答えてくれよ。
俺を見てくれよ。
もう一度、笑ってくれよ。

どうしてだ、ティエリア。どうして。

「ティエリアに止められていたが、寿命だったんだ。彼自身、いつ死ぬか分からなかっただろう。でも、寿命がもうすぐだとは分かっていたとは思う」

「じゃあなんで、俺に言ってくれなかったんだ!」

「それを知ったら、ロックオンが悲しむからだろう」

刹那が、冷たくなっていくティエリアの紫紺の髪をすいた。

「ティエリアーーーーーーーーーーーー!!」

ロックオンは、あらん限りの声で叫んだ。ポタポタと、ティリアの白皙の美貌の頬に涙の滴が、滴り落ちる。

「ティエリア、目をあけてくれ。こんなの嘘だろ!おい、ティエリア」

「ロックオン」

止めようとするアレルヤを、刹那が止めた。

「好きなようにさせておけ。最愛の人が死んだんだ。取り乱しても仕方ない」

「そうだけど。こんなのないよ。ロックオンだけおいて、いきなりティエリアだけいなくなってしまうなんて」

「婚約したのに!結婚する約束だってしてたのに。全部嘘だったのかよ、ティエリア!」

「それはない。ティエリアは本気だった」

刹那が、泣き続けるロックオンを見る。

「ティエリア・・・・・」

遺体に縋り付き、ロックオンは静かにずっと泣き続けていた。ティエリアの指には、ロックオンから渡された婚約指輪が、光り輝いていた。

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二人のティエリア「罪」

「だからさ。冬になったらアイルランドにいこうか」

「あなたの生まれた町に?」

「そうだ。お前さんを一度、連れていきたいんだ。生家はまだあるから、一度見せてみたい」

「ありがとう。その気持ちだけで僕は」

交わされるいろんな約束。ロックオンの生家によるなんて、今はとても無理な戦況状態だ。それでもロックオンは常に未来を見ている。
ティエリアと、婚約をかわした。

ティエリアの指には、ロックオンとお揃いのペアリングが輝いていた。

恋人同士になってから、ロックオンにプロポーズされたのだ。それだけで、ティエリアは生きていてよかったと思うほどに幸せを噛みしめた。

「ティエリア。後悔してないか?」

ロックオンが、顔色の優れないティエリアの顔を覗き込む。

「後悔なんかしていません」

後悔なんてするわけがない。ロックオンと結ばれたことで、ティエリアは人間になったのだ。人間になれて、ティエリアはよかったと思っている。イノベイターであることに変わりはないが、もう人間と呼ぶに相応しい感情を身につけた。

「でも最近、顔色悪いぞ。何かあったのか?」

「いえ。少し疲れがたまっているだけです。気にしないで」

「そっか。今日は早めにねろよ」

「はい」

その日は、本当に早くに寝た。ロックオンと同じ部屋で生活をしだして、もう何か月かが過ぎている。疲労の色が濃いティエリアは、すぐに深い眠りに旅立った。

ヴェーダとのリンクが、完全に途切れてしまったのだ。それまでかろうじてアクセスだけはできたものの、今のティエリアにはアクセスさえできない。

それが疲労の元になったのだろう。ヴェーダの申し子と言われていたティエリアにとって、人生の中で指折りのショックな出来事だった。

ロックオンと、いつか結婚するんだろうか。

意識が浮上する。深い眠りから、覚醒に向かう間に夢を見た。ロックオンと結婚式を挙げて、仲間の皆に祝われて、ロックオンの生家で暮らし始める夢を。

ティエリアは女性よりの中性である。女性のもつ子宮などない。それなのに、子供を産んで、ロックオンと家族をもつ夢を見た。産めるはずもないのに、子供が欲しいという人間の心が疼く。

ふっと目覚めると、ロックオンの寝顔がそこにあった。
ティエリアは、愛しそうにその輪郭に触れる。ロックオンは静かに眠っている。ティエリアは、ロックオンの額に接吻した後、起床した。

約束。

それは、交わされるから約束なんだ。

でも、約束が必ずしも現実のものになるとは限らない。

条件を満たしていなければ、約束は現実のものにならない。

「う・・・」

ティエリアは、激しい頭痛に見舞われ、ドクター・モレノから特別に処方された薬を飲む。

これは、罰だ。

ロックオンと、たくさんの約束を交わした、罰なんだ。


ティエリア、固体名「NO8」は長い間稼働してきた。生きてきた。その命の灯は、消えかけの蝋燭のようなものになっていた。

寿命が近づいている。活動時間に限界が。

それでも、ロックオンといたい。たとえ、この命が尽き果てようとしているのだと、しても。


「ごめんなさい、ロックオン。約束、全部叶えたい。でも、できないかもしれない」

婚約も。結婚も。築き上げる未来の理想像も。
全て、ティエリアの命の終焉で、終わりになりそうだと。

ティエリアは、泣いた。

一人、嗚咽を漏らす。ロックオンに聞こえないように。そして、気づかれないように。この命が尽き果てようとしていることを、気づかれないように。

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二人のティリア「約束」

疑似太陽炉をつんだ機体が襲撃をかけるようになってきた。戦いは激しさをまし、ほんの僅かな休息も、いつ終わるのだろうかと内心で想うほどの激しい戦闘が繰り広げられる。

疑似太陽炉をつんだ敵機と、地上で戦いの火花を散らす。

なんとか撃退し、つかの間の平和がトレミーに訪れた。

「あなたが、いつかいなくなりそうで怖いのです」

ティエリアが、ロックオンの部屋で、彼に抱き付いた。

ロックオンは、デュナメスで大きな銃で敵を遠距離から叩き打つ、どちらかというと後方支援型のタイプである。接近戦ができないわけではないが、やはり接近戦はどちらかというと後方射撃ができないため、後方射撃で敵を撃ち落とす時よりは、腕が落ちてしまう。
そんなところを、敵にたくさん囲まれでもしたら。

ロックオンがいなくなるなんて、考えたこともなかったのに、新型の機体たちは疑似太陽炉をもっている。稼働条件がフラッグなどとは違う。ガンダムと互角にやりあえる腕の持ち主だっているだろう。

以前ロックオンが負傷し、ティエリアはヴァーチェで護衛をして、ロックオンをデュナメスごと回収したことがあった。大した傷ではなかったが、平和だった頃のティエリアの心は、大きく揺れ動いていた。

「あなたの側にずっといたい。あなたがいなくなるなんて嫌だ」

嗚咽まじりに、ロックオンの服を握りしめる。ロックオンは、静かにティエリアの頭を撫でた。

「俺がお前さんを置いていくなんてそんなことないから」

「本当に?」

「ああ、本当だ」

強く抱きしめられて、唇を重ねあわせる。中性のティエリアにとって、苦手だった肌を重ねる行為ももう慣れた。
舌が絡むほどに貪りあって、離れる。

ティエリアは眼鏡を外した。

涙が自然と流れてくる。

こんな、こんなことで。ロックオンがいなくなると考えただけで、泣いてしまうなんて。僕は、俺は、私はなんて弱くなってしまったんだろうか。
ヴェーダにリンクできていた頃と、まるで別人のようになってしまった。
それでも、ロックオンを手に入れた今、昔に戻りたいとは思わない。

「約束してください。離れないと。死なないと」

「ああ。いくらでも約束するさ」

「あなたは軽い」

「いやこれ性格だからな」

「それでも僕はあなたを信じる」

信じるしかいないのだ。そうしないと、胸が不安で潰されそうになる。

「今日はジャボテンダー体操をしましょう」

「おいおいこんな時にか」

「こんな時だからです」

ぶんと、ティエリアの手からジャボテンダーがうなり、ロックオンをべしっと叩く。

IQは高いのに、ロックオンと関わるとかわいくアホになるティエリア。いつもジャボテンダーの抱き枕を片手に、朝食はジャボテンダーの分までドリンクを置くというアホさ加減。

いっちにさんしと、二人してジャボテンダー体操をはじめるアホが二人トレミーにいました。
平和なので、誰も咎めません。

暗い気分に陥った時には、こうやって気分転換をするのだった。


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二人のティエリア「ロックオンとティエリア」

「あなたのことが好きです」

そう告白されてどれくらい経っただろうか。
ティエリアと、トレミーで同じ部屋で生活を始めた。毎日面白おかしく、それでいてラブラブな日々を送っていた。

誰にも頼らず、ヴェーダだけを信じていたテイエリアの過去を思い出すと、人と触れ合うということを覚えた今のティエリアは、昔とは比べ物にならないくらい、人らしくなっただろう。

イオリア・シュヘンベルグの計画のために生み出されたデザイン・ベイビー。

イノベイターであることを、ティエリアはロックオンに告白した。
母はおらず、人工の羊水の中で今も何体かのティエリアが、計画のために今のティエリアに何かあった時のために、眠っている。
イオリア・シュヘンベルグの秘密基地で。

ティエリアの背中には刻印が刻まれていた。NO8。それがティエリアの番号であり、名前のようなものだった。

ティエリア・アーデという名を、イオリア・シュヘンベルグから受け取った。イオリアが生きていた頃から、ティエリア・アーデは生きていた。それは今のティリアではなく、別のティエリアである。
何代か代替えをして、今のティリアに至った。
ガンダムマイスターとなるべく、生まれてきたティエリア。人ではないティエリア。全てを含めて、ロックオンは愛という名の抱擁をした。

「俺もお前さんを愛してるよ」

ヴェーダにあれほど、人を愛してはいけないと言われていたのに。ティエリアは、その約束を破ってしまった。

それでも構わないと、今のティエリアは思う。ロックオンが隣にいてくれるだけで、ヴェーダを必要としていた日々と違う生き方ができた。

「もしも、僕がもう一人現れたらどうする?」

ある日、そんなことを聞いてみた。

ロックオンは、困った顔をしてそんなことは起こらないと笑った。

お互い、離れ離れにならないと、約束を交わした。

「俺は今のティエリアがいいんだ」

「ロックオン・・・・」

デザイン・ベイビーであろうが、計画のために生まれた命であろうが、イノベイターであろうが、ロックオンはティエリアを必要としてくれた。

「愛しています」

「俺も愛してる」

そっと抱き合って、そして唇を重ねる。

ヴェーダに反対されたっていい。ロックオンと一緒にいられるならば。
たとえ計画の中でこんなことが含まれていないのだとしても。

もう、元には戻れないのだから。

それほどロックオンを愛してしまった。必要としてしまった。もう過去には戻れない。イオリア・シュヘンベルグが作りあげた、完璧なはずのイノベイターであり、計画を実行するガンダムマイスターの存在の意味が違ったとしても。

「あなたの側にいられるなら。僕は全てを放棄してもいい程、あなたの側にいたい」

「お互いガンダムマイスターじゃないか。でも、俺も同じ意見だ。お前さんのいない未来なんて考えたくもない」

トレミーのロックオンの部屋で、生活を初めて何か月が経っただろうか。

毎日、一緒に寝食を共にし、時に肌を重ねる。ガンダムマイスターとしての責務を忘れてはいない。戦いが起こればノーマルスーツに着替え、ガンダムに乗り込んで世界に武力介入する。
二人は、あくまでソレスタルビーイングの一員であった。

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肉(1期)

そこはティエリアが大嫌いな地上だった。

スメラギ・李・ノリエガが考えたミッションプランに必要な情報を仕入れるために、ロックオンとティリアの二人は中国とかつては呼ばれていた大地に足を踏み入れた。

市をぬけた場所で、ソレスタルビーイングの、ある情報を持った一人と落ち合うことになっていた。

しかし、その商店街が並ぶルートが、ロックオンには平気でも、ティエリアには恐怖そのものの場所になっていた。

首のない鶏。豚。牛。もしくは首がついたままの。

逆さになって、商店街の軒先にぶら下がっている。

魚だって、市の中に新鮮そうなものがずらりと並んでいる。

ギクシャクと、ティエリアは涙目で足を進める。

「大丈夫か、お前さん」

「へ、へへへへへへへ平気だ」

へという数が多すぎる気がする。よほど気が動転しているのであろう。

ティエリアとて、地上でも生活するようになって、原型を留めた魚料理や、海鮮類にはある程度なれた。だが流石に鶏や牛や豚まで慣れたわけではない。

そんなものが、市の軒先にさかさまになってぶら下がっている光景など、考えたこともなかった。
一生見る機会がないものと思っていた。

「ロ、ロックオン手をつないでも?」

「ああ、構わねぇけど。ほんとに大丈夫か?顔色悪いぜ」

「へ、平気です」

ガタガタ。
手から伝わる、震え。

「しゃーないな」

ロックオンは、ティエリアを横抱きにすると、いきなり駆け出した。

「ロックオン!?」

「しっかりしがみついてな!」

「はい」

ティエリアは目をぎゅっとつぶって、ロックオンの背中に手を回す。

そして、ロックオンは行きかう人を器用によけて、市の外まで駆けた。

けっこうな距離を走ったが、ティエリアの軽い体重を持ち上げて走るくらい、ロックオンには難なくできることであった。

「ああ、あそこにいるのがCBの情報屋だ」

ティエリアは、それでもぎゅっと目をつぶって、ロックオンにしがみついたままだ。

「お前さん。ほんと怖かったんだな」

「僕にこわいものなどありません!」

「はいはい」

そっと降ろされて、ティエリアはきょろきょろと辺りを見回し、もう市から完全にぬけたた居住区の地域に入ったことを確認すると、ため息を長くついた。

「もう、二度とこんな地域の市には足を踏み入れるものか」

はぁ~~。

まだ涙目だ。

その目をロックオンの手で払われて、ティエリアの体の震えがおさまった。

「さて、ミッションといこうぜ」

「はい」



こうして、ティエリアの人生で初めてみた、逆さのなった鶏、豚、牛はその日の悪夢にまで出てくるほどショックな出来事であった。

悪夢を見た。

そういうと、ロックオンはティエリアを優しく包み込んでくれた。

もう一生、あんな光景を目にすることはないだろう。

海鮮類でも、未だに原型の留めているものに固まることがあるのに、鶏とか豚とか・・・・逆さになってるなんてありえない。
そういう文化圏だと理解しても、許容できないものがある。
いっそ、武力介入して軒先に並ばないようにしたい。
そんな馬鹿なことを一人考える。



「ちゃんとついててやるから。いい夢見ろよ」

「はい。おやすみなさい」


ロックオンの部屋のロックオンのベッド。決して広くないその寝台。布団からはロックオンの匂いがした。
ティエリアは、ジャボテンダーをベッドから落として、ロックオンに包み込まれたまま、二人で丸くなって眠るのだった。

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あああ

久しぶりすぎるWEB拍手ありがとうございます。

こんな辺境へようこそwww

今日も何かロクティエ打つかなぁ。

過去ログをOOページにおさめてない作品がいくつかありますねぇ。

連載物がとまっています。

まぁ今OOアニメの1期を見直しているので2期見終わったころに更新再開できるといいですね。

6話まで打ったんだっけかな。


日曜は親父殿とかんぽの宿へご旅行でございます。ぺっとたちがいるので一泊二日が限界です。
ペットホテルに預けるような種類はかってませんので。
全部げっ歯類とうさぎとか。。。

人並みの生活に戻るべく、夜の11時には薬をのんでお布団へ。

それでも4時まで寝てるのがすごいwww

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とてもとても

毎日SSうってみてますがとても寂しいですええ。

OO好きで通ってくれてる方もういないかんじがして。

サーチエンジンには更新のお知らせとかしたんですけどね。

2007、2008の作品ですからねー。

だからといって新しくハマるじゃんるないし。

ついでにペインターのシリアルNOどっかいって絵の更新もむりだ。

もともと閉鎖覚悟で放置2年もしてたましたから><

どこかにOOで語り合える人いないかなwww

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ジャボテンダー病(3期)

さて、今日もトレミーは平和である。
宇宙を地球が見える場所で漂っている。そんなトレミーの船員たちも、これまた平和を満喫していた。無論ガンダムマイスターとて同じである。

大規模な戦争のなくなった、平和な世界。
テロや内紛戦争などはまだ少し見られるものの、以前の地球と比べれば格段に平和になっただろう。

そんな一日の朝は、ジャボテンダーから始まった。

ティエリアは、ニールの部屋で一緒に寝泊りしている。

ティエリアが自分の部屋で寝る時は、ニールがやってくる。

たまに刹那やアレルヤ、リジェネかライルの部屋で寝ることもあるけれど、基本はロックオンことニールの部屋である。
「起きろ!ジャボテンダー体操の時間だぞ!」

いつもの柔らかな口調を消して、ティエリアはかつてガンダムマイスターとして戦っていた時期のように、きつい口調でニールの頭をジャボテンダーで思い切りぶった。

「いって。なんだ、いきなり!?」

時計を見ると、まだ4時半。
地球では朝日もでてないような、早朝である。

いつもは8時過ぎまで怠惰に眠りをむさぼるというのに、一体どうしたことであろうかと、ニールは眠い目をこすりながら、ティエリアを仰ぎ見た。

すでにパジャマから、いつものピンクのカーディガンの服装に着替えている。
ジャボテンダーを両手にもち、再びニールを攻撃した。

「あべし!」

ジャボテンダーで思い切り叩かれて、痛くないはずがない。

「白羽どりいい!!!」

再び頭上から振り下ろされるジャボテンダーを白羽どりしてから、ティエリアの様子を何気になく伺う。

「万死に値する!ヴェーダがそういっている。あなたはガンダムマイスターに相応しくない」

「おいおい、一体なんだよ」

ぽふ。

次にやってきたのは、少し柔らかいティエリアの体そのものだ。

慌てて抱き寄せる。

「ジャボテンダーさんで、世界はヴェーダが・・・・駆逐したのが平和で・・・ニールはマイスター・・・・・・・・・・・・」

ぐー。
ぐーぐーぐー。


思いっきり寝ていた。


「っとに、お前さんは手がかかるなぁ」

寝ぼけた行動もティエリアらしく、破天荒だ。

しかし、その行動はその日だけでは終わらなかった。

1週間と続いたので、心配したニールが医者に見せた。結果は不明。ただの寝ぼけていた行動と判断された。

「大丈夫か?」

「なんでもありません。でも恥ずかしいです。毎日寝ぼけてジャボテンダー振り回してニールをこきおろすなんて」

いやまぁ、毎日いろいろこき下ろされているような気もしないでもないけど。

ニールはこれをジャボテンダー病と名付けた。

1週間が過ぎるころには、目覚めると隣で丸くなってティエリアは寝ていて、ニールは欠伸をしてから二度寝する日常に戻った。

ティエリアの中で異変が起こったわけでもない。

結局、毎日平和に起きるとジャボテンダー体操を、二人でいっちにさんしと、号令をかけながらやっている日常が戻ってくる。

阿呆な光景は、毎日の日課としてトレミーのニールの部屋で見れるのであった、とさ。




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射撃(3期)

ドン、ドン。
小さな音と火薬の匂い。

射撃訓練場で、ロックオンは腕がなまることがないように射撃の訓練をしていた。隣には、ティエリアが同じように銃を構え、発砲する。

姿勢は整っている。手もぶれていない。

小刻みに動く的の中央より右上を射抜く。ちょうど、心臓がある位置だ。

「ティエリア、ティエリア、命中、命中!」

ハロが、ティエリアのいる床の近くをコロコロと転がって行った。

「こーらハロ、それは俺の台詞だ!」

ティエリアは、まだ射撃を続けていた。

終了のブザーがなり、的が近くによってくる。

正確に射抜けたのは3つ。7回発砲して、残り4つは的の中心から離れた人間でいえば手足のあたりをかすっているかんじだろうか。

「やはりあなたには適いませんね」

ティエリアは、ただでさえも重い銃をコトリと台の上に置いた。

「ティエリア用にカスタムしてない銃だからな。俺用のだから。それでここまで撃てれば大したもんよ」

にっと笑って、ロックオンはティエリアの頭を撫でる。
ティエリアは、無言で目を閉じた。

次に開ける前に、唇が重なる。

ロックオンの片方の目は眼帯がされたままだ。ティエリアを庇ってできたその傷は、眼球そのものが致命的で、すでに手術で摘出してある。流石の医学でも、目の再生はまだできない。

「あなたの目がちゃんと見えれば、こんなことには」

ロックオンの的は7つ中2つ外れていた。彼の昔の腕を考えれば、信じられないことである。

ティエリアは、離れていく唇に手で触れて、それからロックオンと目をそらせる。

流石のロックオンも、片目だけでは昔のように全ての的を、正確に射抜けなくなっていた。それが自分のせいであると誰よりも分かっている。

愚かなロックオン。でも優しいロックオン。

「ロックオン……ニール」

「なんだ?」

「ごめんなさい」

「もういいって。遠い昔の話だろ?何年も前のことだ。もういいんだよ、ティエリア」

「それでも、僕はあなたに無傷でいてほしかった」

「生きてるだけじゃだめか?」

「いいえ!いいえ!あなたが生きていると知った時、どれほど僕は・・・」

「だから、さ。もういいんだよ、全部。ソレスタルビーイングである俺もライルもアレルヤも刹那も。みんなみんな、抱えるもんもってここにまた集ってるんだからさ」

「僕は、あなたの示唆した未来通りに時を動かせただろうか?」

一人、首をかしげる。

サラサラと紫紺の髪が、ロックオンの手から滑り落ちていく。

「ああ。刹那と一緒に歩んできてくれただろ。ここまで」

「はい」

手を握られる。

ロックオンの意志を継いだ刹那。そしてリーダーシップをとったティエリア。それについてきてくれたアレルヤ、そしてたくさんの仲間たち。

もう、この世界に戦争はほとんどない。

彼らガンダムマイスターの出番はない。それでも、ソレスタルビーイングは存在し続ける。世界をそっと見守りながら。

「重いことはもう考えなくていいんだ。それより腹減った。食堂行こうぜ」

ロックオンは銃を台にしまうと、ティエリアを置いて射撃訓練室を出た。

「待ってください!」

慌ててティエリアがあとを追う。

サラサラと、紫紺の髪が宙を舞う。

「そんなに気にしてるなら、今日はティエリアの驕りな」

「かまいませんが。でも、一緒に食べましょう」

やっと、ロックオンの背中に追いついた。ティエリアは、振り返ったロックオンに手を握られて、食堂へと足を向けるのであった。


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毎日の出会い

目覚ましの音で目が覚める。ぼーっとした頭で階下におりて、顔を洗って歯を磨いて、櫛で髪をといて。
ピヨンと一部はねているが、気にしない。

基本ストレートなので、寝癖もそのうちとれる。

やっと人間になれた。
そして、普通の生活を送っている。

宇宙コロニー157、地球から遠く離れた開拓惑星で、僕は生まれた。そしてその星でそのまま育ち、17になった。

以前の、そう戦争を起こしていた時と同じ年齢になった。

今は宇宙は穏やかで、宇宙連邦という名の下で、いくつもの惑星コロニーができて、それを宇宙連邦が統括している。

僕は、女に生まれた。以前は中性であったが、女として生まれたことに戸惑いはあったものの、受け入れることに成功した。性格は昔と同じで、思考が男の部分もある。

チャイムが鳴るギリギリの時間に、自転車をこいで登校して。

「おはよう刹那」

隣の席の刹那に声をかける。本当に、昔に戻った気分だ。

教室にはアレルヤもいて、よくできた物語のようだ。

「おはよう」

刹那はプラモデルの雑誌を読んでいるようで、僕のあいさつには手を振っただけだ。

それでも人に馴染まない刹那にしてはよくできた、挨拶だろう。

僕は、今日の一限目をとても楽しみにしていた。

「起立、礼、着席」

クラス委員のアレルヤが声をかけて、皆礼をして着席する。

チャイムが鳴る。

キーンコーンカーンコーン。

ざわざわとさざめいていた教室も、教師の登場で静かになる。

「今日は、先日行った小テストを返却する」

英語の教師が、そう言った。

緩くウェーブのかかった少し長い茶色の髪。エメラルドグリーンの綺麗な瞳。

「満点は一人だけ。ティエリア・アーデ。とりにきなさい」

名を呼ばれて、僕は立ち上がる。

「はい、先生」

先生のところまでいくと、英語の教師は僕の頭をなでた。

「よく勉強してきたな」

当たり前です。

あなたの受け持つ科目なんだから。

そっと、耳打ちをされた。

「屋上でまた会おう」

僕たちの秘密の秘密。

英語の教師と僕は付き合っている。

だって、彼はロックオンことニールだから。

違う科目で同じ顔のライルもいるけれど、僕がひたむきなまでに愛し、心を開けるのはニールただ一人。

いつか、彼と結婚式を挙げるのだ。
その前提で付き合っている。すでに婚約もしている。無論、学校側には内緒だけれど、親同士で挨拶も済ませていて、刹那やアレルヤ、ライルも知っている。

僕は、手に入れた。

まだ未来のことだけど。

巡り巡る運命の輪の中から、一つの未来を。


彼と結婚するのが夢だった。

今度は叶う。

皆に祝われて、そして結婚式を挙げるのだ。


僕は手に入れた。悲しい過去から華やかな未来を。

僕はもう迷い子ではない。

隣には、ニールがいるんだ。

僕たちはもう、離れない。

何が起ころうとも。



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