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卯ノ花隊長の患者

「うーん、熱は下がったな‥‥‥‥」

浮竹は、何日も高熱を出して、救護詰所で入院していた。

熱も下がり、元気なのにまだ数日安静にしていないとだめだと、卯ノ花に言われた。

「浮竹、ほんとに行くの?」

「行くったら行く」

「浮竹隊長、俺は知りませんからね」

海燕が、具合のよくなった浮竹のお見舞いにきて、呆れた声を出す。

点滴でしか栄養をとっていなかった日々。食事をできるようになったが、出される食事は味気なく、まずいものばかりが少量。カロリーなどを考えると適量で、栄養方面でも問題はないだろうが、浮竹は大いに不満だった。

そして、救護詰所を抜け出して甘味屋へ京楽と行くと言い出した。

海燕は止めたが、何度言っても聞かないのでもう放っておくことにした。

「じゃあ、海燕はベッドで布団被って身代わりになっててくれ」

「これ、ばれたら俺も処罰くうんじゃ」

「おはぎ買ってきてやるから、我慢しろ」

浮竹は、窓から外に出る。それを京楽が助ける。

「久しぶりの甘味屋だ~♪」

京楽は、金づるでもあった。

浮竹は甘味屋につくと、おはぎ10こ、ぜんざい3つ、白玉餡蜜2つ、団子5本さらにいろいろをペロリと平らげてしまった。

海燕のお土産にと、おはぎを4つ買っていく。

「ほんとに、浮竹は細いくせによく食べるねぇ。甘味ものに限るけど」

「甘未ものはいくらでも食えるぞ。俺の胃は小さなブラックホールだ」

海燕のおみやげにと買ったおはぎを1個食べる浮竹。

「ああ。どうか卯ノ花隊長に見つかりませんように」

甘味屋から戻り、自分の病室に行くと、ベッドの上で正座させられている海燕がいた。

「ひいいいい」

卯ノ花が、とんでもないオーラを出してにこにこしていた。

「浮竹隊長?あれほど、勝手に病室から出てはだめといったでしょう?まして甘味屋などに行くなんて‥‥‥‥」

「ご、ごめんなさい!!全部京楽が悪いんだ!京楽が、甘味屋に行かなきゃ俺を病室で襲うっていうから」

「ちょっと浮竹、そりゃないよ!君が甘味屋に連れて行ってって言ったんでしょ?」

浮竹は京楽に罪をなすりつけようとするが、そんなことで動じる卯ノ花ではない。

「京楽隊長と海燕副隊長は献血にいきましょうね」

「ひえええええ」

「ひぎゃあああ、助けてえええええ」

二人をずるずる引きずって、卯ノ花は歩いていく。

「浮竹隊長の処分は、その後でね?」

「怖いいいいいい」

浮竹は布団をかぶってぶるぶる震える。

30分くらいして、しおしおになった京楽と海燕が戻ってきた。

「ひどい。あんなことしなくても」

「血をとられすぎてしおしおだよ。浮竹も罰を受けなよお?」

京楽は、しおしおになりながら、浮竹への罰はんだろうと楽しみにしている。

「さぁ、浮竹隊長の出番ですよ。まずは献血しましょうか」

卯ノ花が現れる。

「ひいいいい。お、俺は病人だぞ」

「熱も下がったでしょう?さぁ、献血にいきましょうね」

「助けてくれええええ」

浮竹を助ける者は誰もいない。

京楽も海燕も、しおしおで動けない。

30分たって、しおしおになった浮竹が戻ってきた。

「浮竹隊長から献血するのは久しぶりですね。いつもは発作で血を吐きすぎて輸血するのに」

「卯ノ花隊長の鬼~~~」

「うふふふ、褒めても何もでませんよ?」

にーっこりと笑って、卯ノ花はでっかい注射器を取り出す。

「さぁ、念のため注射しておきましょうね?」

「ぎゃああああああああああ」

数分後、意識を失いまた点滴を受ける浮竹と、しおしおから回復してそんな浮竹を自業自得だと思う海燕と、卯ノ花はやっぱ修羅だと思う京楽がいた。

「卯ノ花隊長、絶対阿修羅だ。菩薩の顔で阿修羅かってやがる」

「海燕君に同意。浮竹もばかだねぇ。熱が下がったからって許可も取らず外出だなんて」

「そういうあんたが片棒をかついだんでしょうが」

「うん。おかげでしおしおになったけど。卯ノ花隊長ってほんと怖い」

「あら、名前呼びました?」

京楽と海燕の背後から、卯ノ花が出てくる。

「ぎゃああああああ」

「もぎゃああああああああ」

二人は悲鳴をあげる。

「あら、元気がありそうですね。もう一度、献血しておきましょうか」

「いぎゃあああああああ」

「簡便してよおお」

哀れ、浮竹の見舞いにきたせいで二人は卯ノ花の犠牲になった。

浮竹は注射がきいたのか眠っていた。

「浮竹隊長は、あと3日で退院できますので。それまで、くれぐれも勝手に外出させないように」

そう言われたのに、その2日後にまた勝手に病室を抜け出して、甘味屋に行く浮竹の姿があった。卯ノ花は額に怒りのマークを浮かべて、浮竹をモルモットにしたとかしなかったとか。




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