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  • 08/21/01:01

聖夜

「今宵は神聖なる日。ってことでシェラ君、デートだ!」
もう12月24日もふけようかという時。
遊撃士ギルドに待機していたシェラザードを、オリビエは町の中の一番高級レストランとして有名な場所に誘った。お金がないと、そうそうに入れない場所。
いつもの白いコートに赤いスカーフ姿のオリビエは、髪を一つに後ろで結んで、シェラザードを案内していく。
手には真っ赤な薔薇の花束。
それを、レストランで手渡された。
「どういう風の吹き回し?」
「心外だなぁ、シェラ君。僕と君とのムフフフな仲ではないか」
「まぁいいか」

誘ってもらって、独り身のシェラザードに悪い気はしない。
演奏家として、そのホテルに置いてあったピアノを、シェラザードのために一曲弾き終わると、惜しみのない拍手があちこちから聞こえた。
飄々としてはいるが、音楽の腕は確かだ。

「では、乾杯」
「乾杯」
チン、とグラスを鳴らしあわしたの合図だった。
酒豪で名の高いシェラザード、飲むこと限りなし。
「シェ、シェラ君僕は君を口説きにきたんだよ!」
「いーからあんたも飲みなさい!」
ボトルのまま口につっこまれて、その中身を飲み干す羽目になった。シェラザードはざるだが、今日はかなり羽目を外しているのかもう酔っている。

これはチャーンス!
とオリビエは目を輝かせた。
「酔ったシェラ君を介抱して、僕の株は急上昇というわけさ!」
「聞こえてるわよ。さぁ、ホテルに帰りましょう」
「ええっ!もう!?」
散々飲み食いをして、シェラザードはアルコールを摂取したことにより、眠気を感じていた。
酔いつぶれたシェラザードを背負って、ホテルに戻り、彼女をベッドに寝かせると、オリビエはさも当たり前のように彼女の隣の寝台に横になって、同じように眠ることにした。自室に戻るには、幼い表情のあどけないシェラザードの寝顔を見れないので、愛しいシェラ君と同じ部屋に泊まったというわけさ。
「愛しのシェラ君。愛しているよ」
そう呟いて、バンバンとベッドを叩いて、自分で受けている。
阿呆だ。

翌日、目を覚ましたシェラザードが、隣で寝ているオリビエに必殺技のクイーンビュート、鞭の技をかました。
「酷いわ、シェラ君!あんなに愛し合ったのに!」
「もう一発かまされたいようね」
「嘘です。ゴメンナサイ」
しゅんと、しおらしくなるオリビエの顎をつかんで、シェラザードは頬にキスをした。
「へ?」
「昨日のお礼よ。ありがとうね」

「やっほーい!シェラ君の心を掴んだぞ!」
そう自惚れてリュートを取り出して、愛を語りだす演奏家にして詩人の歌声と楽器の音に、シェラザードは耳を傾けるのであった。
シェラザードとて、オリビエが好きなほうだ。
でも、色事に疎いシェラザードには頬にキスが精一杯。

でも、それが自然体で愛しいのだと、オリビエは思うのだった。

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そんな雰囲気なのに。

夕暮れの黄昏時。
綺麗な紅に染まりあげられていく大地。ここは、リベール王国の王都、グランセル。
その女王宮に続く、空中庭園だった。

遊撃士であるエステルとヨシュアは、自由に立ち入りが許されていて、女王と面会もできる。もちろん、正式に王太女になったクローゼとも。
他の遊撃士も同じで、皆それぞれにギルドや居酒屋で今は寛いでいる最中だ。
ここは、思い出の場所。
ヨシュアが、目の前でエステルの前から消えた、あの悲しい場所。
その同じ場所で、エステルはヨシュアと手を繋いで、恋人同士、拙いが愛を語っていた。言葉にすればとても照れくさいが。
「ここ、思い出すよ、あのときのことを」
「そうね」
「もう、絶対にあんな真似はしないから。エステルを一人にはしない」
「当たり前でしょ!また、あんな真似しようとしたら、今度こそただではすまさないわよ!」
勝気な性格のエステル。
それでも、随分丸くなった。健康的な焼けた小麦色の肌は変わりない。
エステルは、ヨシュアの琥珀の瞳を見てから、目を瞑った。

一瞬の沈黙。
ふと、二人の唇が互いに触れようとしたとき、がさりと音がして、二人は振り返った。

「ああ!なんてことだ、この僕が子猫ちゃんたちの愛の邪魔してしまうなんて!いっそ僕もまぜてーーー!!」
「またあんたかあ、オリビエーーー!!」
一人、放置されたオリビエは、帝国大使館に戻ったのだが、愛しの友人のミュラー君がまだ帰ってきていないその寂しさから、この空中庭園でリュートでも奏でて哀愁に浸ろうとしていたのだが、発見してしまったものは仕方ない。
大人しく、去るかそれともドキドキ胸を高鳴らせて様子を見つめるか。
オリビエは後者を選んだ。

「オリビエさん・・・・」
ヨシュアは、溜息をついている。エステルは、せっかくいい雰囲気をぶち壊されて怒っているし。
「ふふん、さぁ愛を語ろうではないか!二人とも、僕は分け隔てなく愛を与えようとも!さぁ、この熱いヴェーゼのキッスを!」
「いるかーー!」
エステルは、棒術でオリビエをぶん投げた。
「あーーれーーーー」
オリビエは、見事に吹き飛ばされて、床に叩きつけられることなく、華麗に着地すると、薔薇を2つ取り出して、それを二人に向かって投げた。
どういう動きをしているのか、薔薇は二人の手の中に。

「はっはっは、今回はこれで許してくれたまえ!帰ってみんなに伝えなければ!ヨシュア君とエステル君がラブラブイチャイチャしていたと!」
「ちょ、まてえええ!」
追いかけていくエステル、去っていくオリビエ。

空を見上げると、綺麗にそまった夕焼け。
ヨシュアは、琥珀の瞳にそれを写してから、また大きく溜息をつくのであった。

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友人記念日。

「ミュラー君、聞いてくれたまえ!」
後ろから、がばっと抱き着いてくるオリビ゙エに、蹴りをいれて、ミュラーは体勢を整えた。
「何をするんだ、僕の愛しい人!」
「こんな真昼から、気持ちの悪いことをいうな」
すでにミュラーは怒りそうだ。
この友人、性格は一本気で頑固でそれで堅実なのだが、いかんせん柔らかさというものにかける。
とかオリビエは、勝手に思った。

「今日は!なんと、記念すべき日ではないか」

「は?」
ミュラーは、帝国大使館で、仕事をしている途中だった。
そこに、いきなり現れたオリビエが乱入してきた形となる。
視線を彷徨わせて、ミュラーは天井を見てから、元の席に戻って書類の処理を始める。
「酷いわっ!」
しくしくと、泣き真似するオリヴィエが鬱陶しくて、ミュラーは一喝した。
「ええい、何がしたいんだ、お前は!」

「そうとも!思い出してくれたか!」
「意味が分からんわ!」
「そうとも!今日は、愛しき友人である君と初めてめぐり合った記念すべき日だ!!!」

オリビエは、薔薇をとりだして、ミュラーに向かって投げた。
それは書類の上に落ちた。

ああ。もうそんなに経ったのか。
そういえば、この皇子のお守りを任されてはや十年近くか、いやそれ以上か。忘れてしまった。
初めて出会った時は、お互いまだ子供だった。
皇子という存在に、畏敬の念を抱いていたミュラーは、オリビエの性格にそれが粉々に砕け散り、今に至る。
帝国大使館にいつまでも居候し続ける、このお荷物は。
全く、人騒がせな。

ミュラーは、書類を読んでいた手を止めた。
「おや、どうしたんだね、ミュラー君。涙がでてきたのかね?」
「バカをぬかすな」

今日一日くらい、仕事を休んでも平気だろう。
「確かに、今日だったな。嫌な記念日だ」
「酷いわっ!僕のことをさんざん玩具にしたくせに!」
「気色の悪いことを言うな!」
ミュラーの拳骨が、オリビエの金髪の脳天を直撃した。
「あははは、ミュラー君、ほれ、行こう」
「どこへだ」
「居酒屋さ!」
「こんな真昼から酒を飲むつもりか、お前は」
「もちろん!つもる話もあるではないか~~」

「そうだな。確かに、つもる話がある。この請求書はなんなのか、きっちり説明してもらおう」
ミュラーは、外出のために上着をとりだして羽織ると、帝国大使館に請求された、額はそう大きくはないが、オリビエが放蕩に使ったお金の、その使い方についてきっちり聞いて、みっちりお説教する気満々だった。

「僕は、知らない!さらばだミュラー君!」
「待てい」
がしっ。
コートの後ろを摑まれて、オリビエはそのまま、ミュラーに捕まり、居酒屋で酒を飲みつつも事情聴取を受け、そのあとこてんぱんに怒られたそうな。

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何気ない朝

結社との戦いを終えたばかりの、ある日の朝だった。皆は、思い切って休暇としてヴァレリア湖にある川蝉停という名の、リベール王国でも結構名のしれたホテルに泊まっていた。
そこは湖畔がすぐ側にあり、釣りもできるし自然と戯れることもでき、休暇を過ごすにはもってこいの場所だ。
かつて、ギルドから休暇にと、ここに泊まったのはまだ最近の出来事だ。

「ふ~~~。いい朝ではないか。ふふん」

オリビエは、泊まっていたホテルの客室を抜け出して、こそこそとまずはシェラザードの部屋に入ろうとして、鍵がかかっていたことに落胆した。

「ショック。そんなに信用ないかなぁ、僕」

その場に、仲間がいたら、当たり前だろうと肯定するだろう。
シェラザードの泊まっている部屋には、確かエステルも同室だったはず。ますますがっくりくる。

「みんな酷いわっ。僕はこんなに、愛を求めているだけだというのに。ふふふ、流浪の愛の詩人にして演奏家。痺れる設定じゃないかっ!」

そういいながら、自室に戻って、お決まりのリュートを取り出して、朝のバルコニーテラスでポロロロンと、腕は確かな演奏家としての技量を見せるが、聞く相手がいないのは少し寂しい。
まぁ、こんな朝の柔らかい日差しを浴びて、リュートを奏でるのも悪くはない。
オリビエはいつもの自己陶酔にひたりながら、リュートを奏で続けた。
鳥の鳴き声が心地よい。
さわさわと揺れる緑の音。吹き抜ける風。
薔薇をさっと取り出して、オリビエはそれを背後に向かって投げた。

「気づいていたんですか」
部屋に入ってきたのは、隣の部屋でアガットと同室だった、ヨシュアだ。
ヨシュアは、結社を抜けたとはいえ、まだ隠密起動に優れていて、音も立てずに部屋に入ってきた。足音も気配さえもしなかったのに、何故気づかれたのだろうと、ヨシュアは思った。

「ふふ~ん、ヨシュア君、さてはこんな朝から僕を口説こうと!ああ、熱いヴェーゼのキッスを、僕はいつでも受けて立とう!」
ばっと、腕を広げて迫ってくるオリビエから退く。
「酷いわっ」
オリビエは、リュートを鳴らしながら、落胆した表情を作るが、目が笑っていた。
「朝の紅茶でも入れよう。エステル君を起こしてくるといい。僕のリュートで、愛が広がっていく~~~」
「ありがとうございます」
ヨシュアは、床に落ちた薔薇を拾って、オリビエが聞かせてくれる、朝のこのリュートが好きだった。エステルと二人、窓を開けたテラスから入ってくる風を受けながら、耳を傾けて目を閉じる。
そこに、ヨシュアが、姉であるカリンの形見であり、一時はエステルと別れたときに彼女に託したそのハーモニカを奏でる。
星の在り処。そんな題名の短い曲だが、オリビエはそれに合わせてリュートを静かに奏でてくれる。黄昏時に聞くのもいいが、こんな朝の何気ない一日の始まりには申し分ないものだ。

ヨシュアは、急いでエステルを起こして、やっと着替えたままでまだ欠伸している彼女を連れて、オリビエのところにやってくると、紅茶の甘い匂いがした。

「さて、何を演奏しようか?子猫ちゃんたち」
「では、星の在り処と、協演を・・・・」
静かに、ハーモニカが旋律を螺旋をなぞるように、透明な音を立てる。
エステルは、それにオリヴィエのリュートの音が見事に、調和して重なるのに、耳を傾けた。
そして、ヨシュアがいてくれているんだと再確認して、鼓動が高鳴る。
もう、離れることは決してない――。
そう誓い合ったのだから。

オリビエは、薔薇をくわえて、紅茶を飲み終わったあと、皆を起こすために去っていった。
全く、人の恋路を邪魔するどころか、その手助けをしてくれる、変わった流浪の演奏家にして、エレポニア帝国の皇子は、全く人がいい。変態のようで、そうでもない、ただ存在があるだけで、どんな苦境に立たされていようと、気分を軽くしてくれる。
それは、結社との戦いのために、ギルドでたくさん依頼をこなし、次々と現れる執行者たちの強さと結社の強大さに、くじけそうになる心をいつも助けて支えてくれていた。

「遅いぞ!」
湖畔に出ると、ミュラーが白刃を手に鍛錬していた。
「ちょ、ちょっとミュラー君!?」
「最近のお前はたるんでいる!鍛えなおしてやろう!」
「ちょ、あーれー!」
ミュラーに、首根っこをつかまれて、引きずられていくお決まりの終わり方。
「ミュラー君、こんな朝からそんなに僕が恋しかったんだね!」
ミュラーに抱きつくと、ミュラーは逞しい体に鳥肌をたてて、オリビエに蹴りをいれた。
「ひどいっ!」
「気色の悪いことを言うからだ!さぁ鍛錬だ!」
見ると、アガットまで混じっていたようで。
「ふふ、僕を巡る二人の争い。僕は寛大なので、二人まとめてOKだよ!」
ミュラーにまた蹴られた。
それでもめげない。

愛を求める流浪の演奏家は、今日もこりない一日をはじめようとしていた。

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10回目の挑戦

これで10回目の挑戦になる。
いざ、勝負!

王都グランセルの居酒屋サニーベル・イン。王都だけに人で賑わい、昼間だというのに酒や料理を楽しみに集った市民達の顔がいたる席で見受けられる。
中には子供連れの家族もいて、子供にはカクテルのような甘い酒か、もしくは料理だけで飲酒はさせていないようだった。

「ふっ。勝利の美酒を味わいたまえ」

居酒屋には、かの酒豪たる遊撃士シェラザードの他に、ギルドからの呼び出しとオリビエが芝居を打って、アイナまで招かれている。
この二人を前に、酒に酔わないという薬を飲んで、市民の青年とオリビエはアイナを、酒に酔わすための勝負を挑んだが、あえなく沈没した。
見ていただろうシェラザードも、エスエルたちも呆気にとられるほどの酒豪、アイナ。
ざるを遥かに通り越してもううわばみじゃないかね?とか、酷い二日酔いにうなされて、教会で神父の手当てを受けながら朦朧とした意識でいつか、一人でせめてシェラ君を負かしてやろうと誓った。

そして、これで10回目の挑戦になる。
アイナは、あくまで付き合いということで。流石のオリビエも、二人の強敵に一人で挑むだけの勇気も度胸もない。
いや、度胸だけならあるかもしれないが、どうもアイナのあの酒豪ぶりを、過去の日の悪夢を呼び覚ましそうで、ぶるぶると、全身が震えて顔が蒼白になる。

「乾杯の前に、一曲」

ポロロロンと、オリビエ自慢のリュートが鳴り響く。
いつものお決まりの如く、熱烈な歌詞を口ずさみ、二人の女性のハートをキャッチしようとするけど、それは投げ返されてきた。
「おかわりー」
「もう一杯いただくわ」
すでに、二人はオリヴィエを無視して飲み始めていた。
しかも、居酒屋最強のアルコール度を誇る高い酒をあるだけもってこさせている。
支払いはもちろんオリビエ。ギルドの呼び出しではなかったとアイナにばれたが、しかしタダで酒が飲み放題とくれば問題は別ばかりに華やかな笑顔を浮かべている。
シェラザードも、銀色の髪に褐色の肌を、僅かのアルコールの火照りも見せないまま次々と飲んでいく。

「ああ、待ってくれたまえ!シェラ君、アイナ君!」

オリビエは、旅の演奏家、ということになっているが、実際の身分はかの大国エレポニア帝国の、諸子ではあるがれっきとした、現皇帝の息子、皇子という尊き身分にあるのだが、そんな匂いも気配も全く感じさせない、ただの自己陶酔したアホにしか見えない。
綺麗な流れるような肩より少し長い金髪と、紫の瞳が、それでも出自の身分の高さを少しだけ感じさせてくれるかもしれない。あくまで、オリビエの正体をオリヴァルト皇子として知っている者なら、の話であるが。

「か、かんぱーい!」

オリビエは演奏をやめて、3人で乾杯すると、シェラザードを見た。

「ふふふ、愛しの子猫ちゃん。シェラ君、僕が勝ったら、熱いヴェーゼのキッスを・・・」

ゴン。
シェラザードは、オリビエをテーブルの上に沈めた。
「オホホホホホ。さあさあ飲むわよ!」
「そうね」
シェラザードとアイナは次々に酒の蓋をあけていく始末。
オリビエも飲みまくるが、シェラザードの勢いにはついていけず、どんどん頬に赤みがかかっていく。

「大丈夫かな?」
「そう思うなら、とめてあげれば」
様子を別の席から見ていたエステルとヨシュアは、オリビエがどんどんアルコールに火照っていく様を、頬杖をついて、カクテルを飲みながら静観していた。

「あははは。目が回る~~きゅう」
バターン。
勢いよく、椅子から後ろに転げて、オリビエの10回目の勝負はまたシェラザードの勝利となった。

「さてと。そろそろ止めるかな」
ヨシュアが、このままでは、居酒屋の酒を全部飲まれてしまいそうなので、シェラザードとアイナ、アルコールの匂いをさせてはいるが、酔ったかんじはシェラザードの頬に僅かな赤みをさしているくらいで、うわばみのアイナはけろりとしていた。
「ごちそうさま~」
「ご馳走様」

ペコリと、二人でオリビエに感謝をしめしてから、オリビエを踏みつけて、二人は遊撃士ギルドに戻っていった。

「あはははは。子猫ちゃ~~~ん。僕の歌は今宵も月のように艶やか・・・・・・きゅう」
ヨシュアになんとか担ぎ起こされて、目を回しながら呂律の回らない言葉で、オリビエはいつもなら、ここでヨシュアを口説きにかかるのだが。
この男、まさに女子供男にいたるまで、口説かずにはいられない節操なしだ。
まぁ、本気なのかどうかも分からない、ひらひらと宙を舞う花弁のように、自由自在にオリビエは、その時その時で違った行動をとる。

「お支払いのほうは・・・・」
居酒屋のマスターが、オリビエに近づく。オリビエは、ふと正気に戻ると財布を取り出そうとして、ないのに気づいた。
「うおおお、僕ピーンチ!人生最大の・・・・ということで、帝国大使館に請求してくれたまえ」
「はい、ではお電話いたしますね」

電話。
やばい。でも足がもつれて、動けない。


「お前という男は!!!!!」
帝国大使館からやってきた、支払いのために現れたミュラーは、その支払いを、帝国の金で使わせるなどできぬと判断し、自腹をきった。
そして、オリヴィエの身柄をヨシュアから預かって、コートの首の後ろをつかんで、帝国大使館へと引きずっていく。

「あーれー。愛しい友人を助けにきてくれたのではないのかね、ミュラー!もっと優しくして!」
「ええい、おぞましいことを言うな、この馬鹿者があ!」
「いやん」
身をくねらせるオリビエに、ミュラーは一言。
「頭蓋骨が砕けてもいいか?」
剣に手をかけている。
「ゴメンナサイ、マイリマシタ、モウシマセン」
でも、オリビエはミュラーに抱きつくと、その耳元に息を吹きかけた。
「お前というやつはーー!」
オリビエに拳骨を一つかます。
オリビエは完全に沈黙した。そのまま、ずるずると帝国大使館まで引きずられて、彼はミュラーに1週間外出を禁止されたそうだ。
とうのオリビエは全く反省しておらず、また勝負を挑もうなどど、無謀なことを脳内で妄想しているのであった。

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