稀人と皇太子6
ルキアが、一護の正妃になって半年が経とうとしていた。
付き人は相変わらず浮竹と京楽だった。
「ルキアちゃん、最近あんまり食べてないね?気分悪いんじゃないの」
「そうなのだ、京楽殿。何かの病気であろうか」
「朽木は、前回の妊娠の時にはつわりなかったからな。子ができたんじゃないか?」
「それは真か、浮竹殿!」
ルキアは目を輝かせる。
「多分おめでただ」
「一護のところに行ってくる!」
ルキアは、与えられた正妃の寝室を飛び出して、一護の元に駆け付けた。
一護は忙しかった。
前に抱かれたのは3カ月前だ。
父の皇帝である一心が、病気のため退位することが決まり、一護が皇帝になったのだ。
それまで政治を父に任せていたが、いざ統治する側になるといろいろと大変だということを、骨身に染みて感じた。
父は、妹たちに甘くアホだったが、よい皇帝であった。
一護もそれを見習い、大臣や家臣たちを会議を開いていた。
「一護」
「どうしたんだ、ルキア。今は会議中で手が離せねぇ。なんか緊急の要件でもあるのか?」
「その‥‥また、子を懐妊したのかもしれぬのだ」
ざわり。大臣や家臣たちの顔に喜びの感情が浮かぶ。
「皇帝陛下、今日はもうお休みを。ルキア様を一刻も早く、医師に診せるべきです」
「え、ああ、わりぃな。後のことはお前たちに任せる。大事な決定事項は俺に知らせてくれ」
一護はルキアをお姫様抱っこすると、医師の元に連れていった。
「おめでとうございます。ご懐妊です。3カ月ですね」
「3カ月前、最後に抱いたのがその時か‥‥‥」
一護は、ルキアの頭を撫でまくって髪をくしゃくしゃにする。
「でかしたぞ、ルキア!未来の皇帝だ!今度こそ、無事に生まれるように祈ろう」
「ああ、一護。もう、暗殺者や毒はごめんだ」
一護は、妻として娶れといってくる他の国との縁談を断って、ルキアだけを愛していた。
ルキアも、そんな一護を愛していた。
二人の絆は強固なものになっており、そこに有翼人の稀人である亜人との差などないようであった。
ルキアのお腹は、時間と共にゆっくりであるが膨らんでいった。
心なしか、あまりない胸も大きくなっていた。
やがて、9カ月が経った頃、ルキアは陣痛を訴えた。
生まれるには10月10日かかる。
またもや未熟児でのお産となるが、最新の医療を取り揃えて、一護はルキアの出産に立ち会った。
「うーーん」
「ルキア、俺の手を握ってろ。爪立てていいから、あと呼吸を忘れずに」
女医の手で、出産が促される。
逆子で、出産には6時間かかった。
初め、へその尾が首に巻きついていたため、また死産かと思われた。
担当の女医が、何度も人工呼吸と心臓マッサージを繰り返して、赤子はこの世に誕生した。
「おぎゃあ、おぎゃああ」
元気に泣く赤子を見届けて、ルキアは意識を失った。
意識を取り戻したルキアは、赤子にお乳を与えた。
「名前は女の子なので、苺花にしようと思う。一護、貴様の名の響きを入れてみた」
「苺花か。かわいいなぁ」
一護は、苺花を見て抱き上げる。
「そっとだぞ?持ち方はもっとこうだ」
「こうか?」
「そうそう、その調子だ」
ルキアは、正妃として母として、子に愛情を注ぐ。
それから、ルキアは体調を崩しがちになり、赤子の世話は乳母に任された。
粉ミルクで育っており、熟練していた乳母だったので安心して任せられた。
「ルキア、今日は何か食えそうか?」
一護は、毎日どんなに忙しい時でも必ずルキアの元を訪れる。
「ああ、一護。今日は気分がいいんだ。散歩をしたい」
長いこと臥せっていたので、足の筋力がおぼつかないので、一護はルキアを車椅子に乗せて、中庭の薔薇園までやってくる。
「やあ、一護君にルキアちゃんじゃない」
「お、二人で散歩のデートか?」
京楽と浮竹が、暇だというので庭師の仕事を任されていた。
「そうそう、最近やっと青い薔薇が咲いたんだ。朽木にあげよう」
浮竹が、青薔薇の一本をはさみで切って、ルキアの髪に飾る。
「ありがとうございます、浮竹殿。京楽殿も元気そうで何よりです」
「ルキアちゃんも、早く元気になりなよ?」
「はい」
一護は、ルキアを中庭のテーブルのある場所の椅子に座らせて、午後の茶の時間をもうけた。
「菓子はいろいろあるから、好きなの絵らべ」
「すまん、一護。有翼人の稀人にとって、出産はとても危ういものなのだ。こうして今回は助かったが、次回はもう産めぬ」
「まじか。でも問題ねーよ。今の俺たちの子の苺花は無事に育ってくれている。ルキア、今後もお前と抱くけど、ちゃんと避妊する」
「すまぬ」
「お前の命が第一だ。失いたくない」
「一護、苺花は女児だ。この帝国では、女児は女帝になれない」
「そんな心配する必要ねぇよ。俺はこの国の皇帝だぜ?法律なんて変えちまえばいいんだよ」
一護の言葉に、ルキアは安心する。
苺花は、将来女帝として生きていくことになるのだった。
付き人は相変わらず浮竹と京楽だった。
「ルキアちゃん、最近あんまり食べてないね?気分悪いんじゃないの」
「そうなのだ、京楽殿。何かの病気であろうか」
「朽木は、前回の妊娠の時にはつわりなかったからな。子ができたんじゃないか?」
「それは真か、浮竹殿!」
ルキアは目を輝かせる。
「多分おめでただ」
「一護のところに行ってくる!」
ルキアは、与えられた正妃の寝室を飛び出して、一護の元に駆け付けた。
一護は忙しかった。
前に抱かれたのは3カ月前だ。
父の皇帝である一心が、病気のため退位することが決まり、一護が皇帝になったのだ。
それまで政治を父に任せていたが、いざ統治する側になるといろいろと大変だということを、骨身に染みて感じた。
父は、妹たちに甘くアホだったが、よい皇帝であった。
一護もそれを見習い、大臣や家臣たちを会議を開いていた。
「一護」
「どうしたんだ、ルキア。今は会議中で手が離せねぇ。なんか緊急の要件でもあるのか?」
「その‥‥また、子を懐妊したのかもしれぬのだ」
ざわり。大臣や家臣たちの顔に喜びの感情が浮かぶ。
「皇帝陛下、今日はもうお休みを。ルキア様を一刻も早く、医師に診せるべきです」
「え、ああ、わりぃな。後のことはお前たちに任せる。大事な決定事項は俺に知らせてくれ」
一護はルキアをお姫様抱っこすると、医師の元に連れていった。
「おめでとうございます。ご懐妊です。3カ月ですね」
「3カ月前、最後に抱いたのがその時か‥‥‥」
一護は、ルキアの頭を撫でまくって髪をくしゃくしゃにする。
「でかしたぞ、ルキア!未来の皇帝だ!今度こそ、無事に生まれるように祈ろう」
「ああ、一護。もう、暗殺者や毒はごめんだ」
一護は、妻として娶れといってくる他の国との縁談を断って、ルキアだけを愛していた。
ルキアも、そんな一護を愛していた。
二人の絆は強固なものになっており、そこに有翼人の稀人である亜人との差などないようであった。
ルキアのお腹は、時間と共にゆっくりであるが膨らんでいった。
心なしか、あまりない胸も大きくなっていた。
やがて、9カ月が経った頃、ルキアは陣痛を訴えた。
生まれるには10月10日かかる。
またもや未熟児でのお産となるが、最新の医療を取り揃えて、一護はルキアの出産に立ち会った。
「うーーん」
「ルキア、俺の手を握ってろ。爪立てていいから、あと呼吸を忘れずに」
女医の手で、出産が促される。
逆子で、出産には6時間かかった。
初め、へその尾が首に巻きついていたため、また死産かと思われた。
担当の女医が、何度も人工呼吸と心臓マッサージを繰り返して、赤子はこの世に誕生した。
「おぎゃあ、おぎゃああ」
元気に泣く赤子を見届けて、ルキアは意識を失った。
意識を取り戻したルキアは、赤子にお乳を与えた。
「名前は女の子なので、苺花にしようと思う。一護、貴様の名の響きを入れてみた」
「苺花か。かわいいなぁ」
一護は、苺花を見て抱き上げる。
「そっとだぞ?持ち方はもっとこうだ」
「こうか?」
「そうそう、その調子だ」
ルキアは、正妃として母として、子に愛情を注ぐ。
それから、ルキアは体調を崩しがちになり、赤子の世話は乳母に任された。
粉ミルクで育っており、熟練していた乳母だったので安心して任せられた。
「ルキア、今日は何か食えそうか?」
一護は、毎日どんなに忙しい時でも必ずルキアの元を訪れる。
「ああ、一護。今日は気分がいいんだ。散歩をしたい」
長いこと臥せっていたので、足の筋力がおぼつかないので、一護はルキアを車椅子に乗せて、中庭の薔薇園までやってくる。
「やあ、一護君にルキアちゃんじゃない」
「お、二人で散歩のデートか?」
京楽と浮竹が、暇だというので庭師の仕事を任されていた。
「そうそう、最近やっと青い薔薇が咲いたんだ。朽木にあげよう」
浮竹が、青薔薇の一本をはさみで切って、ルキアの髪に飾る。
「ありがとうございます、浮竹殿。京楽殿も元気そうで何よりです」
「ルキアちゃんも、早く元気になりなよ?」
「はい」
一護は、ルキアを中庭のテーブルのある場所の椅子に座らせて、午後の茶の時間をもうけた。
「菓子はいろいろあるから、好きなの絵らべ」
「すまん、一護。有翼人の稀人にとって、出産はとても危ういものなのだ。こうして今回は助かったが、次回はもう産めぬ」
「まじか。でも問題ねーよ。今の俺たちの子の苺花は無事に育ってくれている。ルキア、今後もお前と抱くけど、ちゃんと避妊する」
「すまぬ」
「お前の命が第一だ。失いたくない」
「一護、苺花は女児だ。この帝国では、女児は女帝になれない」
「そんな心配する必要ねぇよ。俺はこの国の皇帝だぜ?法律なんて変えちまえばいいんだよ」
一護の言葉に、ルキアは安心する。
苺花は、将来女帝として生きていくことになるのだった。
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