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黒猫と白猫の亜人65

ぴよぴよ。

木が切られて、その木に巣を作っていた鳥のヒナが保護された。

アニマルレスキューの血が騒ぐ浮竹は、鳥のヒナを襲いたくなるのを理性で制して、小鳥のヒナ5羽を保護した。

「エサは‥‥ミールワームパウダーと、泡玉、その他栄養剤の入った粉を水で溶かしたものでいいか?」

「浮竹、本当に兄が育てるのか?ヒナの食事は大変だぞ?」

「大丈夫だ。いざとなったら京楽がいる!」

その京楽は、ヒナを食べたそうにじっと見ている。

「京楽、よだれ」

「はっ。ボ、ボクは別に食べようなんて思ってないよ?」

「当り前だ。食べたら1か月禁欲だ」

白哉の許可ももらい、浮竹は小鳥のヒナを5羽を自分たちの一軒家で保護して飼うことにした。

ヒナたちは2時間おきにエサをねだってピヨピヨ鳴く。

はじめは元気だった浮竹も、2時間おきというサイクルに疲れてきて、京楽が午後の2時から日没まで面倒を見てくれた。

「野生の小鳥だからな。野生に帰すのがベストだろうが、人の手で育てられたら野生に戻れないかもしれないな」

「そこらへんは、白哉君がなんとかしてくれるんじゃないかな。野生動物の保護もしてるみたいだし。野生に戻す訓練とかしてくれると思うよ」

「そうか!」

浮竹は顔をぱぁぁと輝かせて、日が暮れて眠ってしまったヒナたちの体温が下がらないように、魔道ヒーターでヒナたちの寝床を温めた。

「元気になれよ、ピヨ太、ピヨ助、ピヨ一郎、ピヨ次郎、ピヨ座衛門」

「多分、メスも混じってると思うけど」

「小鳥の性別の見分け方はプロでも難しいんだぞ」

「まぁ、そうだね」

浮竹と京楽は、その日早めに就寝した。

小鳥のヒナたちは、朝の6時にはピヨピヨと元気よくエサをねだりだす。

浮竹は寝ぼけながら、5羽のヒナたちにエサをあげていく。

浮竹と京楽は猫の亜人で、睡眠時間が15時間と人より長い。

昼寝もしたいが、ヒナの世話があるので深く眠らず、2時間ごとに起きて浮竹はヒナにエサをあげた。

京楽は浮竹が疲れたら交代して、ヒナにエサをあげる。

はじめは羽毛も生えていなかったヒナたちは、1週間もする頃には羽毛がはえてきて目もあくようになっていた。

だんだんかわいくなっていくヒナに、浮竹はメロメロだ。

2週間が経つ頃には、巣立ちを迎えていた。

一軒家の中を自由に飛び回るが、浮竹を親と思っているので、浮竹の肩に止まってヒナたちはエサをくれとピヨピヨなく。

浮竹は食欲おおせいなヒナにたくさんのエサをあげて、肩にふんをされるが、ティッシュでちって、頭にふんをされても怒らない。

完全に親モードに入っていた。

「浮竹、ボクと全然シッポリしてくれない‥‥‥‥」

「ヒナたちがいるんだぞ!シッポリなんてできるか!シッポリしようとしたら1か月禁欲だからな」

そう言って、生後3週間になってエサ箱から自分でエサをとれるようになった小鳥の5羽を連れて、魔王城に遊びに行った。

「ぴいぴぃ」

『なんだ、小鳥か?どうしたんだ』

「ヒナから育てたんだ。巣があった木が切り倒されて、ヒナたちが放り出されて、親鳥がいなくなってしまってな。保護して育てた」

『へぇ。ああ、でもボクが近くにいくと逃げてしまうね』

幽鬼の京楽を警戒して、小鳥は浮竹の肩の上で警戒音を出す。

「少しずつ慣らせば平気だと思うぞ?」

『この小鳥は、ルリスズメだな。色が綺麗だ』

「だろう。俺の愛情いっぱいに育った、かわいい子たち」

『放鳥はするのかい?』

「今のままだと、野生に戻せないから魔王城から帰ったら、白哉に預けて、野生に戻す訓練を受けさせて、放鳥するつもりだ」

「ちょっと寂しくなるね」

京楽も、愛情を注いだので小鳥たちがいなくなるのは寂しい。

しかし、小鳥たちに巣立って放鳥しない限り浮竹としっぽりできないので、心の中では早く出て行けとか思っていた。

『黒猫のボク、心の声が顔に出てるよ』

『まさに欲求不満ですって顔だな』

くすくすと、魔王の浮竹と幽鬼の京楽にからかわれて、京楽はそんなに顔に出てるだろうかと鏡を見るが、どうにも分からない。

「京楽の色欲がよくもったと思っている。まぁ、小鳥がいる間にしっぽりしようとしたら1か月禁欲って言ってるしな」

『ふふ、大変だね?』

『1か月か。性欲のある黒猫の京楽にはきついだろうな』

魔王の浮竹と幽鬼の京楽は、小鳥たちのために浅い水を入れた容器と、エサになる果物をいれた皿をもってきてくれた。

「ぴいぴい」

みんな、思い思いに水浴びしたり、水を飲んだり、果物をつついたりする。

ルリスズメは雑食だが、果物を好んで食べる。

「ぴいぴい」

慣れてきたのか、幽鬼の京楽の肩に小鳥が止まった。

『わぁ、かわいいね』

「それはピヨ太だ。額に青い羽のラインがあるのがピヨ座衛門。そっちがピヨ助、尻尾が少し赤い子がピヨ一郎、一番大きく鳴くのがピヨ次郎だ」

浮竹は、ちゃんとヒナの時から小鳥の見分けができていた。

みんな一緒に見えるが、何気に個性があって、羽根の色も微妙に違うくて、それが幽鬼の京楽には面白かった。

しばらくじーっと眺めていた。

『ふふ、小鳥と触れ合えるのって初めてかも』

「俺たちの魔力に慣れていたからな。幽鬼の京楽の魔力にも慣れてきてるんだろう」

『かわいいね』

ぴいぴいと鳴く小鳥たちは、幽鬼の京楽が差し出した指に止まる。

ご褒美に、フルーツを与えると、ピイピイと声をだしてもっとよこせと催促する。

そんな様子もかわいかった。

エサを食べ終えて満足した小鳥たちは、浮竹と京楽の肩に止まる。

『ボクたちも、お茶にでもしようか』

『フルーツタルトだから、小鳥たちも食べるかもな』

幽鬼の京楽がもってきたフルーツタルトを、ピヨ太がちょっとだけ食べて、あとは普通の皿にもられたフルーツをついばむ。

みんなぴいぴいと鳴いていた。

『ふふ、賑やかな茶会だね?』

『そうだな。小鳥が集まることなんてないからな』

「魔王城から帰ったら、お別れだからな。今のうちにかわいがっておく」

浮竹は、名前もつけた小鳥たちとのお別れを少し悲しむ。

でも、新しい旅たちを祝福してやらないといけない。

独り立ちして、番を見つけて家族になって子孫を残していくのだ。

魔王城から白哉の家に戻ると、小鳥たちは篭に入れられて、野生に返すためのリハビリ施設に連れていかれることになった。

「ピヨ太、ピヨ助、ピヨ一郎、ピヨ次郎、ピヨ座衛門元気でな!」

浮竹は涙をだーーーっと流しながら、3週間面倒を見てきた小鳥たちとの別れをすます。

京楽も少し悲しかったが、やっとシッポリできると、浮竹を押し倒してあまりにも急すぎるので、殴られるのであった。


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