ドラゴン族の子とミミック4
冒険者ギルドに行くと、山じいに呼び出された。山じいは、ギルドマスターだ。
「お主たち、Sランクの春水と十四郎を知っておるか?」
「ああ。俺たちとそっくりなんだろう?」
浮竹が、少し興味をもったような顔をする。
「そうじゃ。名前もお主たちと同じじゃ。あまり冒険者として活躍はしておらんが、そのうち出会うこともあるじゃろう。春水のほうは刀の精霊なので、人の姿は滅多に取らぬ。まぁ、会うとしたら十四郎とかの」
「そうだな。Sランク冒険者になりたいから、一度会ってみたいな」
「そっちの浮竹も美人なんだろうねぇ」
京楽が、そんなことを言うものだから、浮竹は京楽の足を踏んづけた。
「あいたたた。ごめんってば」
「浮気者」
「美人だろうなって思っただけじゃない」
「ふん」
「ああ、ごめんってばぁ」
京楽は、浮竹の機嫌を取るのに必死になる。
「さて、お主たちを呼んだのはSランク冒険者のパーティーに交じって、Sランクダンジョンに挑んでほしいからじゃ」
「断る」
浮竹の言葉に、京楽が驚く。
「浮竹?」
「Aランクの俺たちが行くとただの足手まといにしかならない。Sランクダンジョンには、Sランクになってからチャレンジしたい。だから、断る」
「うーむそうか。Sランクダンジョンは確かにAランクはきついからのう。分かった、今回はなしということで通しておく」
「京楽のアホ」
「いきなりなんなの!?」
「こんな幸運、京楽の幸運で引き寄せたんだろう。今日はラッキーディだからな」
京楽はジョブに遊び人ももっていた。
今日はとてもついている日で、朝スロットマシーンで金貨300枚を稼いできたところだった。
「では、代わりに、同じAランクの黒崎一護と朽木ルキアという冒険者と一緒にAランクダンジョンに挑んではくれまいか?なりたてのAランクなのじゃ」
山じいの言葉に、浮竹はどうしようかと思ったが、京楽はラッキーディだし、まぁいいかとOKを出す。
「分かった。その子たちと一緒にAランクダンジョンに挑もう」
「そうかそうか。そう言うだろうと思ってすでに呼んでおいたのじゃ。こっちに来るのじゃ、黒崎一護、朽木ルキア」
「ああ」
「はい」
現れたのは、オレンジの髪の少年と、黒髪に珍しい紫色の瞳の少女だった。
「人間じゃないね。精霊族かい?」
京楽は、一目で一護とルキアの種族を言い当てた。精霊族はエルフやドワーフと同じ亜人種で、精霊と会話ができて魔法が得意だった。
「俺は黒崎一護。17歳です。よろしくお願いします」
「私は朽木ルキア。16歳です。よろしくお願いします」
「冒険者なのに上品だな。さすが精霊族」
浮竹をルキアはじっと見ていた。
「浮竹殿と京楽殿は、竜人族なんですよね?」
「ああ、そうだが」
「でも、たった3年でAランクになられたとか」
「ルキア、それ言ったら俺たちだって4年でAランクまでこれたじゃねーか」
一護の言葉に、ルキアが顔を赤くする。
一護が、ルキアを抱き寄せたからだ。
「ふむ。人生のパートナーでもあるのか」
「そ、そんなんじゃないっす!」
一護は顔を真っ赤にして、ルキアから離れる。
「若いっていいねぇ」
京楽は、おっさんくさくなっていた。
「じゃあ、ここから一番近いムムルのダンジョンに行こう。それでいいか、一護君、ルキアちゃん」
「あ、はい」
「はい」
こうして、4人でムムルのAランクダンジョンに挑むことになった。
「ミミックだあああああ」
「あの、京楽さん‥‥‥」
「京楽殿‥‥‥」
「ああ、浮竹は三ミック牧場を作ったり野良ミミックを拾って家で飼うような三ミックマニアだから気にしないで」
「でも、あれかじられてますよ」
「甘噛みだから」
確かに甘噛みで、浮竹は三ミックを撫でまくり、ミミックは宝物をドロップして去って行ってしまった。
「ああ、ミミックがあああ」
「浮竹、一護君とルキアちゃんの前だよ?」
「え、あ、いやぁ、ミミックは強敵だったなぁ」
取り繕ったとろこで後の祭りである。
「何ドロップしたんすか?」
「金塊だね」
「うわぁ、すげぇ。Bランクダンジョンとは大違いだ」
「あ、あっちにいるのもミミックだぁ」
「京楽さん、浮竹さんって‥‥‥」
「あはははは。まあ、ここまでの道のりで見てきたように、冒険者としての実力は本物だよ?」
浮竹は、この19階層にくるまでに魔法をぶっぱしたり剣で出てくるモンスターを京楽と一緒に倒してきた。
一護とルキアへの援護も忘れない。
「浮竹殿、ミミックの小さいがいます!」
「おおおお、自然下で生まれたミミックの子供か!」
浮竹は目を輝かせて、ルキアに噛みつこうとしていた小さなミミックに、クッキーを差し出す。
「ぴぃぴぃぴい」
子三ミックは、嬉しそうにクッキーを食べて、浮竹から風呂に入った後でも感じれる、三ミックのかすかな匂いに反応して、浮竹の頬をペロリと舐めて、ミスリルのインゴットを落として去っていった。
「ああ、このダンジョンはいいな。階層ごとに水がわき出していて、ミミックが食べれる緑もある。自然下で繁殖できるダンジョンはいいダンジョンだ」
「京楽、今日は一護君とルキアちゃんの援護できたのを忘れずにね」
「ああ、もちろんだ‥‥‥ああああ、ミミックが水飲んでるうううう」
ムムルのダンジョンは、ミミックが多かった。
「浮竹殿、こっちにも三ミックがいます!」
「ルキアちゃん、危ない!」
京楽が、その三ミックを見てルキアと突き飛ばすと、剣で噛みつかれるのを防いだ。
「ぎいいいい」
「京楽殿!?」
「京楽さん?」
「人食いミミックだよ!浮竹!」
「ああ!ファイアランス!」
浮竹がミミックなのに躊躇もなく殺したことで、ただの三ミックではないと分かって、一護とルキアは顔を蒼くした。
「人食いミミック‥‥‥‥はじめて会った」
「そうだね。人食いミミックはAランクダンジョン以降から出てくるから。宝物もドロップしないし、肉食で狂暴で強いから、出会ったらできる限り逃げるようにね?」
京楽の言葉に、一護とルキアが浮竹がショックを受けているんじゃないかと、浮竹のほうを見るが、浮竹はすでに違うミミックとじゃれあっていた。
「人食いミミックはかわいくない。それに比べて、普通のミミックはこんなにかわいい」
浮竹は、ミミックを頭の上にのせてバランスをとって遊んでいた。
「浮竹、今日はボクだけじゃないんだから‥‥‥‥」
「はっ!」
すでに、ミミックを見ると一護とルキアの存在を忘れてしまうので、言い訳をしようとするが、一護とルキアが生暖かい目で見つめてくるものだから、浮竹はもう存在を忘れてミミックとのスキンシップを優先する。
「はぁ‥‥ボクが今日ラッキーディだから、宝物をもったミミックがたくさんでてくるね」
「京楽殿は、遊び人のジョブももっているんですか?」
ルキアの問いに、京楽が答える。
「魔法使い、剣士、遊び人、僧侶、賢者のスキルをもっているよ?」
「すごい!」
「ちなみに、浮竹は魔法使い、剣士、僧侶、賢者、それに発動しないけどモンスターテイマーのジョブももっているから、そのせいで三ミックから好かれるんだろうね」
「へぇ」
一護が、納得したように頷く。
30階層まで降りてきて、ラスボスのフロアだった。
出てきたのは、ブラックワイバーン。
その肉がうまいので、肉が高級食材として重宝されるが、ラスボスだけあってそれなりに強いモンスターだった。
浮竹と京楽は、一護とルキアのサポートに回る。
「ウィンドカッター!」
ルキアが風の刃でブラックワイバーンの翼を切り裂く。
一護は、精霊族であるが剣を得意とするようで、大きな黒い大剣でブラックワイバーンに切りかかる。
「ファイアエンチャント!」
浮竹が、一護の大剣に炎をエンチャントする。
「ルキアちゃん、もう1回ウィンドカッターでブラックワイバーンの翼を!」
「はい、京楽殿!ウィンドカッター!!!」
翼を切り裂かれて、ブラックワイバーンが地面に落ちる。
その首を、炎の大剣で一護がはねた。
「やった、勝った!」
「浮竹殿、私と一護に、身体強化魔法をいくつも重ねがけしましたね?」
「ああ、まぁ最初のラスボスだからな。怪我もしてほしくなかったし」
「助かりました。礼をいいます、浮竹殿、それに京楽殿も」
「財宝の間が開くよ~~」
京楽が、ラッキーディなのできっとたくさんの財宝が出てくるものだと思っていた。
財宝の間にいたのは、ミミックだらけの集団だった。
「ミミック天国だああああ!!!」
すでに浮竹はねじが飛んでいた。
三ミックに甘噛みされ、ミミックをもふり、撫でまくった。
財宝の間のミミックたちは、毛皮が生えているハイミミックだった。
「きしきしきしいい」
不思議な笑い声をあげて、次々に宝物をドロップしていく。
その量、普通の財宝の間にあるような金銀財宝ではなく、魔力のこもった武具や貴重な魔法書、中でも神の秘薬と呼ばれるエリクサーもあった。
エリクサーはSランクダンジョンでしかドロップされないはずだった。
「こりゃあ、大量だねぇ。4人で分けても、星金貨何十枚にもなるねぇ。さすがボクのラッキーディ」
「ああ‥‥麗しいミミック。ハイミミックをもふれるなんて。俺、ここに住もうかな」
「はいはい、アホ言ってないで財宝をアイテムポケットに入れて撤収するよ」
「京楽、明日またこのダンジョンにこよう」
ハイミミックと戯れられたのが非常に気に入ったようだった。
「はいはい。分かったよ。とりあえず、今日は一護君とルキアちゃんがいるからね?一度、王都の冒険者ギルドに戻るよ?」
ダンジョンから出る魔法陣で外に出て、リターンの魔法で王都に戻る。
「ギルドマスター、ムムルのAランクダンジョンを踏破しました!」
「おお、そうかそうか。それにしても、1日で踏破してしまうとは」
「浮竹殿とミミックの仲がよかったです!」
「そ、そうか」
「なぁ、ギルドマスター、浮竹さんほんとに大丈夫か?ミミックになると目の色かえちまうが」
「まぁ、十四郎はミミックを構っていても、後ろから襲われても対処できるからの。Aランク冒険者としてそれなりにダンジョンを踏破しておるしな」
「いやぁ、早速奥の部屋で素材になるモンスター出すから解体よろしく。他の財宝も奥に一度出すから、売る売らないを区別して4等分しよう」
一護とルキアが顔を輝かせる。
かけだしのAランクだったが、はじめて挑んだAランクダンジョンを踏破できた上に、財宝が多かった。
結局、一人星金貨30枚になった。
金貨3千枚分だ。
「ブラックワイバーンの肉は、もらっていいか?牧場のミミックたちにも食べさせてやりたい」
「はい!浮竹殿と京楽殿のお陰でダンジョンクリアできましたので、どうぞ持って行ってください」
一護とルキアが食べる分だけ残して、残りの肉は浮竹が引き取った。
家に帰ると、浮竹はブラックワイバーンの肉をバーベキューで焼くことにした。
「きしきしいいい」
「きしいいい」
牧場に、ポチとタマとタロウとジロウ、それにこの前うまれた子ミミックも混ぜて、バーベキューでブラックワイバーンの肉を焼いて、牧場のミミックたちにも食べさせる。
「きしいい!!!」
おいしいおいしい。
ミミックたちは、まだ食べていないミミックは涎を垂らして、食べ終えたミミックはおかわりがほしいと浮竹に甘える。
京楽は、浮竹と一緒に肉を焼いてミミックにあげていく。いつもは噛みつかれるのが、今日はご褒美にあげているので京楽もミミックに甘噛みされて、ミミックがかわいく思えた。
ちなみに、ラッキーディの反動の日のアンラッキーディが1週間後にきて、京楽は股間を牧場のミミックにかじられて悶絶するのであった。
「お主たち、Sランクの春水と十四郎を知っておるか?」
「ああ。俺たちとそっくりなんだろう?」
浮竹が、少し興味をもったような顔をする。
「そうじゃ。名前もお主たちと同じじゃ。あまり冒険者として活躍はしておらんが、そのうち出会うこともあるじゃろう。春水のほうは刀の精霊なので、人の姿は滅多に取らぬ。まぁ、会うとしたら十四郎とかの」
「そうだな。Sランク冒険者になりたいから、一度会ってみたいな」
「そっちの浮竹も美人なんだろうねぇ」
京楽が、そんなことを言うものだから、浮竹は京楽の足を踏んづけた。
「あいたたた。ごめんってば」
「浮気者」
「美人だろうなって思っただけじゃない」
「ふん」
「ああ、ごめんってばぁ」
京楽は、浮竹の機嫌を取るのに必死になる。
「さて、お主たちを呼んだのはSランク冒険者のパーティーに交じって、Sランクダンジョンに挑んでほしいからじゃ」
「断る」
浮竹の言葉に、京楽が驚く。
「浮竹?」
「Aランクの俺たちが行くとただの足手まといにしかならない。Sランクダンジョンには、Sランクになってからチャレンジしたい。だから、断る」
「うーむそうか。Sランクダンジョンは確かにAランクはきついからのう。分かった、今回はなしということで通しておく」
「京楽のアホ」
「いきなりなんなの!?」
「こんな幸運、京楽の幸運で引き寄せたんだろう。今日はラッキーディだからな」
京楽はジョブに遊び人ももっていた。
今日はとてもついている日で、朝スロットマシーンで金貨300枚を稼いできたところだった。
「では、代わりに、同じAランクの黒崎一護と朽木ルキアという冒険者と一緒にAランクダンジョンに挑んではくれまいか?なりたてのAランクなのじゃ」
山じいの言葉に、浮竹はどうしようかと思ったが、京楽はラッキーディだし、まぁいいかとOKを出す。
「分かった。その子たちと一緒にAランクダンジョンに挑もう」
「そうかそうか。そう言うだろうと思ってすでに呼んでおいたのじゃ。こっちに来るのじゃ、黒崎一護、朽木ルキア」
「ああ」
「はい」
現れたのは、オレンジの髪の少年と、黒髪に珍しい紫色の瞳の少女だった。
「人間じゃないね。精霊族かい?」
京楽は、一目で一護とルキアの種族を言い当てた。精霊族はエルフやドワーフと同じ亜人種で、精霊と会話ができて魔法が得意だった。
「俺は黒崎一護。17歳です。よろしくお願いします」
「私は朽木ルキア。16歳です。よろしくお願いします」
「冒険者なのに上品だな。さすが精霊族」
浮竹をルキアはじっと見ていた。
「浮竹殿と京楽殿は、竜人族なんですよね?」
「ああ、そうだが」
「でも、たった3年でAランクになられたとか」
「ルキア、それ言ったら俺たちだって4年でAランクまでこれたじゃねーか」
一護の言葉に、ルキアが顔を赤くする。
一護が、ルキアを抱き寄せたからだ。
「ふむ。人生のパートナーでもあるのか」
「そ、そんなんじゃないっす!」
一護は顔を真っ赤にして、ルキアから離れる。
「若いっていいねぇ」
京楽は、おっさんくさくなっていた。
「じゃあ、ここから一番近いムムルのダンジョンに行こう。それでいいか、一護君、ルキアちゃん」
「あ、はい」
「はい」
こうして、4人でムムルのAランクダンジョンに挑むことになった。
「ミミックだあああああ」
「あの、京楽さん‥‥‥」
「京楽殿‥‥‥」
「ああ、浮竹は三ミック牧場を作ったり野良ミミックを拾って家で飼うような三ミックマニアだから気にしないで」
「でも、あれかじられてますよ」
「甘噛みだから」
確かに甘噛みで、浮竹は三ミックを撫でまくり、ミミックは宝物をドロップして去って行ってしまった。
「ああ、ミミックがあああ」
「浮竹、一護君とルキアちゃんの前だよ?」
「え、あ、いやぁ、ミミックは強敵だったなぁ」
取り繕ったとろこで後の祭りである。
「何ドロップしたんすか?」
「金塊だね」
「うわぁ、すげぇ。Bランクダンジョンとは大違いだ」
「あ、あっちにいるのもミミックだぁ」
「京楽さん、浮竹さんって‥‥‥」
「あはははは。まあ、ここまでの道のりで見てきたように、冒険者としての実力は本物だよ?」
浮竹は、この19階層にくるまでに魔法をぶっぱしたり剣で出てくるモンスターを京楽と一緒に倒してきた。
一護とルキアへの援護も忘れない。
「浮竹殿、ミミックの小さいがいます!」
「おおおお、自然下で生まれたミミックの子供か!」
浮竹は目を輝かせて、ルキアに噛みつこうとしていた小さなミミックに、クッキーを差し出す。
「ぴぃぴぃぴい」
子三ミックは、嬉しそうにクッキーを食べて、浮竹から風呂に入った後でも感じれる、三ミックのかすかな匂いに反応して、浮竹の頬をペロリと舐めて、ミスリルのインゴットを落として去っていった。
「ああ、このダンジョンはいいな。階層ごとに水がわき出していて、ミミックが食べれる緑もある。自然下で繁殖できるダンジョンはいいダンジョンだ」
「京楽、今日は一護君とルキアちゃんの援護できたのを忘れずにね」
「ああ、もちろんだ‥‥‥ああああ、ミミックが水飲んでるうううう」
ムムルのダンジョンは、ミミックが多かった。
「浮竹殿、こっちにも三ミックがいます!」
「ルキアちゃん、危ない!」
京楽が、その三ミックを見てルキアと突き飛ばすと、剣で噛みつかれるのを防いだ。
「ぎいいいい」
「京楽殿!?」
「京楽さん?」
「人食いミミックだよ!浮竹!」
「ああ!ファイアランス!」
浮竹がミミックなのに躊躇もなく殺したことで、ただの三ミックではないと分かって、一護とルキアは顔を蒼くした。
「人食いミミック‥‥‥‥はじめて会った」
「そうだね。人食いミミックはAランクダンジョン以降から出てくるから。宝物もドロップしないし、肉食で狂暴で強いから、出会ったらできる限り逃げるようにね?」
京楽の言葉に、一護とルキアが浮竹がショックを受けているんじゃないかと、浮竹のほうを見るが、浮竹はすでに違うミミックとじゃれあっていた。
「人食いミミックはかわいくない。それに比べて、普通のミミックはこんなにかわいい」
浮竹は、ミミックを頭の上にのせてバランスをとって遊んでいた。
「浮竹、今日はボクだけじゃないんだから‥‥‥‥」
「はっ!」
すでに、ミミックを見ると一護とルキアの存在を忘れてしまうので、言い訳をしようとするが、一護とルキアが生暖かい目で見つめてくるものだから、浮竹はもう存在を忘れてミミックとのスキンシップを優先する。
「はぁ‥‥ボクが今日ラッキーディだから、宝物をもったミミックがたくさんでてくるね」
「京楽殿は、遊び人のジョブももっているんですか?」
ルキアの問いに、京楽が答える。
「魔法使い、剣士、遊び人、僧侶、賢者のスキルをもっているよ?」
「すごい!」
「ちなみに、浮竹は魔法使い、剣士、僧侶、賢者、それに発動しないけどモンスターテイマーのジョブももっているから、そのせいで三ミックから好かれるんだろうね」
「へぇ」
一護が、納得したように頷く。
30階層まで降りてきて、ラスボスのフロアだった。
出てきたのは、ブラックワイバーン。
その肉がうまいので、肉が高級食材として重宝されるが、ラスボスだけあってそれなりに強いモンスターだった。
浮竹と京楽は、一護とルキアのサポートに回る。
「ウィンドカッター!」
ルキアが風の刃でブラックワイバーンの翼を切り裂く。
一護は、精霊族であるが剣を得意とするようで、大きな黒い大剣でブラックワイバーンに切りかかる。
「ファイアエンチャント!」
浮竹が、一護の大剣に炎をエンチャントする。
「ルキアちゃん、もう1回ウィンドカッターでブラックワイバーンの翼を!」
「はい、京楽殿!ウィンドカッター!!!」
翼を切り裂かれて、ブラックワイバーンが地面に落ちる。
その首を、炎の大剣で一護がはねた。
「やった、勝った!」
「浮竹殿、私と一護に、身体強化魔法をいくつも重ねがけしましたね?」
「ああ、まぁ最初のラスボスだからな。怪我もしてほしくなかったし」
「助かりました。礼をいいます、浮竹殿、それに京楽殿も」
「財宝の間が開くよ~~」
京楽が、ラッキーディなのできっとたくさんの財宝が出てくるものだと思っていた。
財宝の間にいたのは、ミミックだらけの集団だった。
「ミミック天国だああああ!!!」
すでに浮竹はねじが飛んでいた。
三ミックに甘噛みされ、ミミックをもふり、撫でまくった。
財宝の間のミミックたちは、毛皮が生えているハイミミックだった。
「きしきしきしいい」
不思議な笑い声をあげて、次々に宝物をドロップしていく。
その量、普通の財宝の間にあるような金銀財宝ではなく、魔力のこもった武具や貴重な魔法書、中でも神の秘薬と呼ばれるエリクサーもあった。
エリクサーはSランクダンジョンでしかドロップされないはずだった。
「こりゃあ、大量だねぇ。4人で分けても、星金貨何十枚にもなるねぇ。さすがボクのラッキーディ」
「ああ‥‥麗しいミミック。ハイミミックをもふれるなんて。俺、ここに住もうかな」
「はいはい、アホ言ってないで財宝をアイテムポケットに入れて撤収するよ」
「京楽、明日またこのダンジョンにこよう」
ハイミミックと戯れられたのが非常に気に入ったようだった。
「はいはい。分かったよ。とりあえず、今日は一護君とルキアちゃんがいるからね?一度、王都の冒険者ギルドに戻るよ?」
ダンジョンから出る魔法陣で外に出て、リターンの魔法で王都に戻る。
「ギルドマスター、ムムルのAランクダンジョンを踏破しました!」
「おお、そうかそうか。それにしても、1日で踏破してしまうとは」
「浮竹殿とミミックの仲がよかったです!」
「そ、そうか」
「なぁ、ギルドマスター、浮竹さんほんとに大丈夫か?ミミックになると目の色かえちまうが」
「まぁ、十四郎はミミックを構っていても、後ろから襲われても対処できるからの。Aランク冒険者としてそれなりにダンジョンを踏破しておるしな」
「いやぁ、早速奥の部屋で素材になるモンスター出すから解体よろしく。他の財宝も奥に一度出すから、売る売らないを区別して4等分しよう」
一護とルキアが顔を輝かせる。
かけだしのAランクだったが、はじめて挑んだAランクダンジョンを踏破できた上に、財宝が多かった。
結局、一人星金貨30枚になった。
金貨3千枚分だ。
「ブラックワイバーンの肉は、もらっていいか?牧場のミミックたちにも食べさせてやりたい」
「はい!浮竹殿と京楽殿のお陰でダンジョンクリアできましたので、どうぞ持って行ってください」
一護とルキアが食べる分だけ残して、残りの肉は浮竹が引き取った。
家に帰ると、浮竹はブラックワイバーンの肉をバーベキューで焼くことにした。
「きしきしいいい」
「きしいいい」
牧場に、ポチとタマとタロウとジロウ、それにこの前うまれた子ミミックも混ぜて、バーベキューでブラックワイバーンの肉を焼いて、牧場のミミックたちにも食べさせる。
「きしいい!!!」
おいしいおいしい。
ミミックたちは、まだ食べていないミミックは涎を垂らして、食べ終えたミミックはおかわりがほしいと浮竹に甘える。
京楽は、浮竹と一緒に肉を焼いてミミックにあげていく。いつもは噛みつかれるのが、今日はご褒美にあげているので京楽もミミックに甘噛みされて、ミミックがかわいく思えた。
ちなみに、ラッキーディの反動の日のアンラッキーディが1週間後にきて、京楽は股間を牧場のミミックにかじられて悶絶するのであった。
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