忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
10 2025/11 3 4 5 6 7 8 10 12 13 14 1516 17 18 19 20 21 2223 24 25 26 27 28 2930 12

黒猫と白猫の亜人66

「京楽、苦しい」

「がんばって。あんまり傍にはいられないけど、早く治すためにもよく寝て、薬のんでね?」

浮竹は、インフルエンザにかかっていた。

もともと恋次がひいていたのが白哉にうつり、白哉から浮竹にうつった。

京楽はインフルエンザがうつるといけないので、浮竹は白哉の屋敷で面倒を見られていた。

浮竹は高熱を出し、医者に診てもらい、解熱剤をもらった。

朝のお粥のあとに白湯と一緒に飲んだが、まだ熱が高い。

昼も少しだけお粥を口にして、解熱剤を飲んでやっと40度近くあった熱が38度くらいになったが、まだ体温が高い。

白哉はもう回復していて、同じインフルエンザにはもうかからないので、浮竹の傍にいてくれた。

「白哉、俺は死ぬのかな?」

「兄は、この程度では死なん。ただのインフルエンザだ。栄養をとって薬を飲んで安静にしていれば、1週間もあれば完治する」

「京楽に会いたい」

「京楽はインフルエンザにかかっていないので、うつる可能性があるから、治るまでは少しだけの面会しか無理だ」

「白哉、遺書を書きたい」

「何を弱気な。案ずることはない。眠れ」

白哉が浮竹に眠剤を飲ませて、眠らせると浮竹は静かに眠り始めた。

「猫の亜人故か、人の病気にかかると大変だな」

白哉はすぐ治ったが、恋次もだが浮竹も治るのが遅い。

猫の亜人を診れる医者にも診てもらって、シロップの薬をもらった。

「白哉、面倒をかけてすまん」

「気にすることではない。私からうつってしまったのだ。私が詫びるべきだ」

「白哉も好きでなったわけじゃないだろう」

「あのアホ恋次が悪い」

浮竹は、熱が微熱まで下がり少し元気が出てきたのか笑った。

食事も粥ではなく、普通の食事がとれるまで回復した。

ただ、まだ喉の痛みと咳と微熱があるので、あと3日は休養をとる必要がある。

それを京楽に伝えると、京楽はずっと会えなくて心配していたので、安堵した。

「ああ、よかった」

猫の亜人は猫風邪もひく。

猫風邪はすぐに治るが、インフルエンザとか人の病気はなかなか治らない。

やがて予定より3日遅く、10日経って浮竹は完全に回復し、京楽と一緒に住んでいる一軒家に戻る。

「ただいま、京楽」

「おかえり、浮竹」

まだ病み上がりなので無理はさせれなくて、京楽はしっぽりを我慢する。

「そうそう、3日くらい前に魔王の君が遊びにきてたよ。君がインフルエンザだって聞くと、寂しそうに去っていってしまったけど」

「もう治ったし、魔王城まで行こうかな」

「そうだね。元気になたって知らせないとね」

浮竹と京楽は魔王城に来ていた。

「魔王の俺!元気になったぞ!」

『お、白猫の俺!インフルエンザはもう大丈夫なのか?』

「ああ。すっかりよくなった」

『浮竹ってば、君と会えないからすねちゃってね』

幽鬼の京楽の言葉に、魔王の浮竹は赤面しながらも浮竹を抱きしめる。

『猫の亜人にとって、人の病気は重症になりやすい。健康でいろよ?』

「ふふ、くすぐったい」

浮竹は猫の姿になって、魔王の浮竹に抱かれる。

京楽も猫の姿になった。

『新作のチュールがあるんだよ。食べる?』

幽鬼の京楽がチュールを差し出すと、浮竹と京楽は交互にチュールを食べた。

「いい味がする。うまい」

「今までにない味だね。おいしいよ」

チュールを二人で3つ食べたあとは、水分の多いウェットフードをもらい、浮竹と京楽は魔王の浮竹でおもちゃで遊んでもらった。

猫らしく機敏に動く姿は愛らしい。

「にゃ!」

「にゃにゃ!」

ボールを追いかけて、走りまわる。

浮竹は見た目がまだ生後4か月くらいの子猫なので、余計に愛らしい。

京楽はやや大きめの黒猫だ。

いっぱい遊んでもらった後は、昼寝をする。

魔王の浮竹と幽鬼の京楽も昼寝をした。その膝の上で丸くなって、浮竹も京楽も眠る。

猫生は食べて寝て遊んで、愛されてはじめて幸せになる。

猫の亜人は人の姿になれるので、猫にはない娯楽を楽しめるが、猫でいる時間も多いので、猫人生を謳歌中であった。

1日15時間は寝るので、たくさん昼寝をする。

魔王の浮竹と幽鬼の京楽は、二人を起こさないように気をつけて、仕事やら花の世話やらに出かける。

「ワハハハハ!我は悪魔王猫サタンなり!」

いきなり魔王城に降臨した猫のサタンが、魔王の浮竹と幽鬼の京楽を困らせた。

「おいしい味のチュールやらキャットフードを開発していると聞いた。苦しゅうない、我もその味を吟味してやろう」

『偉そうだね』

『帰れ』

「な、なに!?我にご飯を食べさせない気か!」

『このまま放置したらうるさそうだし、仕方ないね』

『食べたら帰れよ』

そう言われて、新作のキャットフードとチュールを食べて、お土産によこせと言い出すサタンを、浮竹と京楽がなだめる。

「ボクらがお土産に持って帰ってあげるから」

「あまり騒ぎをおこすなよ?」

「むううう。我にお土産をよこさぬのは許しがたいが、何せ我は猫の体。人の体をもつお前たちに新作のキャットフードとチュールを頼むぞ」

サタンはワハハハハと笑って白哉の家に戻っていく。

どうやって来たのかと思うと、魔王城にこれる札を1枚勝手に使ってしまったようであった。

浮竹と京楽は、今ではお札なしで魔王城にこれる。

お札を安易に使わせぬように、厳重に管理しようと思う浮竹と京楽だった。



拍手[0回]

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(11/11)
(11/11)
(11/09)
(11/02)
(11/02)
"ココはカウンター設置場所"