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7~8話補完小説

卍解を奪われた。

千本桜の奥の刃を受けて、白哉は傷だらけになりながら壁にめりこんだ。

「隊長!」

「くるな!恋次!」

「卍解!」

「卍解はするな!お前まで、卍解を奪われる!」

名も分からぬ敵だった。

ただ、滅却師であるとは分かった。

また、億の刃に切り刻まれる。

「私は・・・もう、無理だ。戦えぬ。恋次、お前だけでも生き延びて・・・・・」

がくりと、白哉の意識はそこで一度途絶えた。

「うおおおおおおおお!」

敵にむかって、卍解せぬまま切りかかる。

千本桜の奥の刃を受け止め切ることができず、全身に酷い怪我をした。

ああ、この敵は本当に隊長の卍解を奪ってしまったのだと思った。

「とどめだ・・・・・」

ああ、ここで死ぬのか。

隊長と一緒なら、それもいいかもしれない。

けれど、敵は引いていった。


一護がかけつけてきた。

「白哉!」

「・・・・・尸魂界を、守ってくれ・・・・・・」

白哉の怪我は酷いものだった。酷過ぎて、どうすればこんなに傷つくことができるのか分からないほどだった。

「尸魂界を・・・・兄の力で・・・・」

「俺は!」

一護が叫ぶ。

「俺は誰も守れなかった!俺は!」

「それでも。兄の力は、必要だ・・・・・ごほっ」

ぼたりと、大量の血をはいた。

「隊長・・・・・」

白哉の傍で、恋次も力尽きた。


「うおおおおおおおおおおおお!」

しとしとと雨が降り出した。

傷にしみた。

でも、それよりも心の傷が痛んだ。

じくじくと血を流している。


ああ。

もっと早くに尸魂界についていれば。

もっと俺が強ければ。


4番隊の手によって、白哉と恋次は運ばれ、施術を施されたが、どうにもならない状態だという。その中には、ルキアの姿もあった。

やがて、0番隊が現れ、意識のない白哉、恋次、ルキアと一人重症のわりには元気一護を連れて
湯治がされた。

白哉も恋次も、ふと少しだけ意識を取り戻した。

「生き延びたか、恋次・・・・」

「隊長を一人にして死ぬことなんて、できるはずがないでしょう!」

湯の中に沈んでいるのに、呼吸もできたし言葉も交わした。

「少し、眠る・・・・・」

「俺も・・・・」

流れ出る濁った血と霊圧。

それを、湯治で入れ替えるのだ。

湯の中は、まるで母の胎内にいるようで心地よかった。

二人は微睡む。

まだ、生きている。

生きている限り、挽回の余地はある。

生きて生きて生き延びて、醜くてもいいから敵の喉笛にかみつけ。

そう思った。

卍解を奪い返し、今度敵と会ったら無様に一方的にやられたりせず、せめて一太刀でも浴びせろ。


尸魂界は揺れていた。

山本元柳斎重國の死。

尸魂界は泣いていた。

ユーハバッハによる侵攻と侵略。


ああ。

私は、きっとまた戦える。


ああ。

俺は、きっとまた戦える。


だから、今は黙して傷を癒そう。


世界は廻る。

軋む音を立てて。

次の侵攻までに、力を取り戻せ!



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