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ティアドロップ2(3期)

ティアドロップ。
それは天使の涙。雨は、天使が零した涙でできているんだ。
ティアドロップ。甘そうな名前だけど、食べられない。だって雨だから。

「あ、ティアドロップだ」

天が泣き出した。ティエリアは空を見上げて、両手を広げてぽつぽつと降り出した雨を、その掌に受け止める。
ポツポツと、泣き出した天はお日様を背に笑うことなく、泣き続けている。
もっていた傘を開いて、くるくると回す。先を歩むロックオンの傘の模様が、雪のようで綺麗だとそんなことを考える。
まだ本格的には降り出していないので、傘をささない人もまばらに見受けられた。だが、半分の人は傘をさすか建物の下にもぐりこんで、雨をやり過ごそうとしている。

「どうした、ティエリア」
「いいえ。ティアドロップだなと思って」
「ああ、雨のことな。そんな呼び方するのティエリアくらいじゃないか」
「そうだろうか」

真剣な表情で、ロックオンの隣に並ぶ。
すでに午前中も雨だったため、地面はぬかるんでいて、水たまりができていた。
それをわざとパシャンと踏んで、音を楽しむ。コンクリートの上にできた水たまりだから、泥がずぼんの裾を汚すようなことはなく、皮でできたブーツの先を少し濡らしただけだった。

「ロックオン、レインコート着てきて正解でしたね」

明るい色のペアのレインコートを二人は着ていた。
天気予報で、今日は一日中雨で、たまに天気になるといっていた。

天がぐずついてきた。大泣きだ。

本格的に降り出した雨の中、二人は傘をくるくる回しながら歩いていく。
目的地なんてない。
ただの散歩だ。地上が嫌いなティエリアだが、ロックオンといるとそれも忘れられた。それに、今は水の匂いがする。雨は、嫌いではない。雪のほうが好きだけれど。

「ティアドロップは、天使の涙。天(そら)が泣いている」

まるで、何かの詩のような言葉だった。

「ま、どしゃ降りになる前に、刹那の家に帰るか」

今滞在している区域は、日本の経済特区東京だ。そこの刹那の家で厄介になっている。刹那自身は宇宙にいるので、貸し切りなのだが。
隣の家にいた沙慈・クロスロードという人物は、CBと大きく関わった後、宇宙技師として普通の会社で働いている。
まさか、まだ隣の家がCBのメンバーが使っているとは想像もしないだろう。
刹那は家を借りたのではなく購入していた。勿体ないからと、ティエリアとロックオンがたまに借りて、東京に滞在する。

「今度は、刹那やアレルヤやライルも連れて、山登りでもしようか。ピクニックってやつだ」

今のCBには、武力で戦闘介入を世界にしなくなった分、余裕があった。ガンダムマイスターたちも、平和を持て余している。

「山は好きです。緑の匂いがするから。でも、登るのは大変なので嫌いです。でもピクニックにいくのはいい考えです。なんならガンダムで山に降りたてば・・・・・」
「それは外道だろう。ピクニックになりゃしねぇ」
ロックオンが、面白そうに笑った。

くるくると、傘が回る。
くるくると、つられてティエリアの傘も回る。

「いっそのこと、みんな誘うのはどうだろう」
「それだとCBのトレミーが空になっちまう。ガンダムマイスターだけのピクニックもありだろう」
「じゃあ、リジェネも一緒でもいい?」
「ああ、いいさ」

リジェネは、ティエリアと同じように意識をヴェーダの中に置き、新しい肉体に意志を宿して今はCBの中の、ガンダムマイスターとして存在する。
ティエリアがを巡って、よくロックオンとケンカをしていた。
本当に、今はなんて幸せなのだろうか。

ヴェーダを掌握しきり、新しい肉体を手に入れた。
ロックオンは一度、本当に死んだ。それをリジェネが肉体を再構築させ、意志を復活させることに成功し、彼はフェニックスとなって生き返った。
ロックオンが隣にいる。それだけでも幸せなのに、みんな生き残ってくれた。
新しい意志との遭遇もあったが、今のところ何も問題はない。

幸せすぎて、瞳からティアドロップが零れてしまいそうだ。

空を、GN粒子の光が横ぎった。

「あれは刹那のクオンタか。ああ・・・メールが入ってた。迎えにきたらしい」
「そうか。では戻ろう。宇宙(そら)へ」

あくまで、地上へは休暇で降りるだけだ。
彼らCBの拠点は宇宙にある。
トレミーは、今も地球を見守りながら運行を続けて、いつでも武力介入できるようにしている。だから、とりあえず今週の休暇は終わりらしい。

「戻ろうか」
「戻るか。やはり地上は重力が鬱陶しいからな。宇宙のほうが気が楽でいい」

ティエリアの地上嫌いは、まだ治っていないようだった。




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