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ヴェーダ(3期)

ヴェーダの中でティエリアは微睡んでいた。
アクセスされる音でゆっくりと瞼をあげ、目覚める。大量の情報いう波に押し寄せられるように、ヴェーダの河岸でゆっくりと起き上がる。

「また君か、刹那」

トレミーのパソコンを使って、刹那がヴェーダに直接リンクをしかけてきたのだ。

「元気にしているか。ティエリア・アーデ」

ティエリアは、パソコン上に画像として現れて、悪態をつく。

「いつも通りだといっているだろう」

そして、パソコンの中からティエリアの画像が消える。

イノベイターとして、裸身のまま透けた体で刹那の眼前に現れたティエリア。

「ティエリア・・・・服を」

「ああ。忘れていた」

半分透明な姿で、まるで幽霊のようだけれど、イノベイターでもヴェーダの中に完全に取り入れられたティエリアは、時折そうやって姿を現すが、いつも裸身だった。

絶対的な美貌はそのまま。
性別のない中性の体は、性別を現すものをもたない。
裸身でも、まったく構わないのだがと、ティエリアはいつも思う。だが、いつも服を着てくれと言われる。

ヴェーダーの情報を少しいじり、ティエリアはいつもの制服姿で刹那の前に立った。

「前のように、肉体をもって現れないのか」
「少し時間がかかる。しばらく映像だけで我慢してくれ」
「そうか」

ヴェーダの中で意識だけを宿らせたティエリアは、別の肉体を纏ってトレミーに時折現れる。イオリア計画のために、いくつものスペアの肉体を持っているティエリアだからこそ、なせることだろう。

刹那は、透けるティエリアの体に寄り添うように立って、触れることもできないキスをする。

「やはり、肉体があったほうが便利だ」
「なるべく早く、肉体という器に宿って現れよう。刹那のアクセス数が多すぎて、おちおち眠ることもままならない」
「すまない。だが、身近にいてくれないと本当に失ったような気がして」
「分かっている。ヴァーチェでまた帰ってくるさ」

今、ガンダムゼラヴィは地球にある。
ティエリアが、いつでもトレミーに帰還できるようにと。

「しばらくまた眠る。次に起きた時は、肉体を持っているだろう。それまで僕は静かに微睡む。アクセスの拒否はしないが、1日に何度もアクセスしないでくれ。では」

ふわりと、ティエリアの半分透けた体が、刹那の頬を愛しそうに撫でてトレミーから消えていった。

「約束だから、ティエリア・・・・」

刹那は、またヴェーダーにアクセスしたい気分をおさえて、パソコンを閉じるのであった。

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