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彼はきたれり(3期劇場版設定)

ヴェーダへのアクセスをしなくとも、パソコンを開けるとそこには小さなティエリアの画像があり、こちらが言葉をかける暇もなく悪態をついてきた。

「暇だ。ヴェーダの中にいるのもいいが、刺激がない」
「ヴェーダを選んだのはお前だろう?」

刹那が苦笑する。誰でもない、ヴェーダと意識を共有することを選んだティエリア。けれど、情報が頭にはいってくるだけで、新しい情報もこれといって共感するものはなった。
ふっと、パソコンの中からティエリアの画像が消えた。

「ティエリア!?ティエリア?」

刹那が何度呼びかけても、ティエリアの反応はなかった。

それから3日後、なんとティエリアは生身の姿で刹那の前に現れた。
「よかった。消えたわけじゃなかったんだな」
「僕の意識、記憶の全てはヴェーダが掌握している。こうやって生身の姿になったからといって、ヴェーダから消えたわけではない」

ティエリアが、イノベイドの身体で生きるのはこれで三度目だ。一度目はリボンズに撃たれてしに、二度目は地球外生命体から刹那を守るために死んだ。

それでもまだイノベイドのままのティエリアは、イオリア・シュヘンベルグの秘密基地に何体も眠っている。3代目が死ねば、次は4代目が現れるのかもしれない。

「会いたかった。ずっと」
「変なことを言うな、君は。僕は毎日パソコンを通じて話し合っていたではないか」
「それはそうだが。やはり生身のティエリアに会いたかったんだ」

いきなり、ぎゅっと抱きしめられて、制服に身を包んだままのティエリア身じろぎした。

「今度こそ、失いたくない」
「刹那・・・・」

唇が重なり合う。

そこへ、少女の域を脱したミレイナがやってきた。

「うわぁ、アーデさんセイエイさんとラブラブですう。これはぜひ皆に知らせなけれな」
「ま、まて。ミレイナのことも忘れていない。どんな姿になっても好きといってくれたあの言葉今でも覚えている」

ミレイナは頬を染めて、いやいやと首を振った。

「ミレイナはアーデさんの一番でいたいんです。でもセイエイさんがいる限りかないません。悲しいですう」

芝居がかった行動で、いやいやと首を振るミレイナの頭を撫でて、ティエリア・アーデは再び肉体をまとって帰還したことを皆に告げるべく、刹那の手をとって操舵室に向かう。
アレルヤとライルにもたくさん迷惑と心配をかけた。

彼らには謝らないといけない。

イノベイターの上種であるイノベイドでいる限り、ティエリアが死ぬことはないだろう。肉体のスペアが続く限り。
スペアが一体なくなれば、自動的に同じDNAでできたティエリアが作られる。だから、これは永遠に続く連鎖なのだ。
それが嫌で、ヴェーダの中にいたのだけれど。
刹那に会いたくなって、スペアに宿りこうしてやってきた。

「そういえば、言ってなかったな」
「何をだ」


「おかえり」
「ああ・・・・ただいま」

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