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不良とお嬢様

ルキアは、朽木財閥の令嬢だった。朽木財閥といえば、数えきれない会社をもっていて、朽木ルキアはその朽木家の令嬢で、兄に白哉という名の美しい青年がいる。

朽木白哉には、かつて妻がいた。朽木緋真といって、ルキアとよく似た女性だった。

とにもかくにも、ルキアはお嬢様で中学まで名門校に通っていた。

高校になって、普通の高校に通い出した。

「うわ、リムジンきてる。今日もルキアちゃんかわいいなぁ」

「ルキアちゃんと結婚できれば、将来約束されたようなもんだよな。俺、あたっくしてみようかな」

「やめとけよ。お前の顔じゃ、まず無理」

「なんだとーー」

そんな男子の会話を遠巻きに聞きながら、ルキアは下駄箱をあけた。

ドサドサと、ラブレターの山が落ちてきた。

ルキアは、全てゴミ箱に入れて処分した。

そして、一護の姿を見つけて名前を叫ぶ。

「一護!!!」

「んあ?なんだ、ルキアかよ」

黒崎一護。ルキアの幼馴染で、最近暴走族のグループに入ったとか噂されてる、いわゆるヤンキーだった。

「俺と話してると、いろいろとあらぬ誤解受けるぜ」

「構わぬ」

ルキアは、一護と並んで歩きはじめる。

一護の髪の色はオレンジで、染めているだろうとよく生徒指導の京楽先生に怒られるのだが、地毛だった。

ルキアと一護は、同じクラスだった。しかも、特進クラスだ。

ルキアならまだ分かるが、なぜ一護のような生徒が特進クラスに居るのか謎に思う生徒や教師も多い。

ちなみにAクラスである特進クラスの担任は浮竹といって、生活指導の教師である京楽とは幼馴染であった。

授業中、寝ている一護があてられそうになって、ルキアが消しゴムを一護の頭に投げる。

「んー、昼飯?」

起き上がった一護に、数学を教えていた京楽は、にこにこと微笑む。

「一護君、後で職員室ね」

「うげ‥‥‥おい、ルキアのせいだからな」

「私は寝ていた貴様を哀れだと思って起こしただけだ」

「それがいらん世話っていうんだよ」

こそこそと言い合う二人を見て、京楽はまたにこにこする。

「ルキアちゃんも、後で職員室ね」

「な、一護、貴様のせいで私も呼び出しを食らったではないか!」

「自業自得だろ」

ふんと、窓側を見て体育のクラスの授業を一護は見ていた。

それに気づいた井上が、一護に手を振る。一護も手を振り返した。

井上織姫。一護の彼女として有名だが、実は付き合ってはいない。井上が一護に告白したのだが、一護は好きな子がいると一度振ったのだ。それでも、井上はめげることなく一護にアタックしてくる。

「ああ、もう何もかもめんどくせ‥‥‥」

ルキアと一護は、放課後職員室に呼び出されて、ルキアは口頭で注意されるだけで、一護は数学の授業を最近さぼっていたので、課題を出された。

「あーあ、ついてねぇ。パチンコでもいこうかな」

「ぱちんこ?私も行っていいか?」

「なんでお前がついてこようとするんだよ。大体18歳未満は入場禁止だぞ」

「それなら、16の貴様も入れぬではないか」

「俺は18以上に見えるからいいんだよ。お前はどう見ても16どころか中学生に見えるからな」

「失礼な!」

ルキアはぷんぷん怒って、重い鞄を一護の尻に叩きつける。

「いってぇ」

「貴様なぞ、一文無しになってしまえ」

ルキアは、そのまま帰宅用にきたリムジンに乗って帰ってしまった。

一護は、不良と言われる原因のように、不良がたむろする喫茶店にやってきて、自分より年上の不良どもに挨拶する。

「なぁ、黒崎。あの、朽木っていう女の子連れてこいよ」

「だめっすよ。あいつは朽木家の令嬢でいろいろやばい」

「ああ、ちょっとさらって金出してくれねぇかな」

げらげらと、不良どもが笑う中、一護は真剣な表情で言う。

「ルキアに何かしたら、俺が許さねぇ」

「おい、黒崎、最近お前生意気だな。ああん?」

殴りかかってくる先輩の拳をひらりと避けて、一護は言い放つ。

「そろそろ、こういうのも飽きてきたし、俺、抜けます」

「おいおい、本気で言ってるのか黒崎」

「うっせぇなぁ。抜けるって言ってるんだよ」

「野郎ども、やっちまえ」

中には、仲のいい茶渡もいて、二人で不良たちをのしてしまった。

「チャド、ちょっとやべぇ。ずらかろうぜ」

「うむ」

次の日、一護は絆創膏だらけに額には包帯を巻いて登校した。

不良どもとのケンカで、額を3針縫うけがをした。黒崎家は小さな病院をしており、手当ては父親にしてもらった。

茶渡は同じ学校の、違うクラスの生徒だが一護の友人で、強いので昨日のケンカでもけがをせず、普通に帰っていた。



「知ってる?黒崎君、族を抜けてケンカになったらしいよ」

「やだ、こわーい」

「でも、不良仲間と縁切ったんでしょ?かっこいいし、何気にねらい目かも」

「やだー、黒崎君には井上さんがいるじゃない」

「ああ、それもそうかー」

そんな女子たちの会話を耳にして、一護は話をしている女子たちに近づく。

「俺と井上はなんでもねぇよ」

そう言い放って、一護は屋上に消えてしまった。

「きゃあ、黒崎君と口きいちゃった」

「井上さんと付き合ってないってことは、今フリーってこと?」

一護の後を、ルキアが静かについていき、屋上に消えていくのを見る者は誰もいなかった。

「一護」

「なんだ、ルキアかよ」

「井上とは、その、本当になんでもないのだな?」

「んあ?そうだけどなんだ?」

「よ、よければ、わ、私と付き合わぬか?」

一護は目をぱちくりさせた後、笑った。

「ルキア、お前自分の身分考えろよ。朽木財閥のご令嬢が、俺みたいな不良と付き合ってちゃやばいだろ」

「貴様のことが、子供のころから好きだった。それでもだめか?」

一護は、頭をがしがしかいて、頬を赤くする。

実は、一護はルキアに子供の頃一目惚れしたのだ。でも、財閥の令嬢であるからと、幼いなりにただの幼馴染としてふるまってきた。

「俺も、お前のこと好きだけど‥‥‥その、後悔したりしねぇか?俺はやめたつもりだけど、不良って言われてる」

「不良でもよい。貴様が好きなのだ」

真摯な目で見つめられて、一護はルキアのスカートをめくった。

「きゃあ!?」

「うさぎ柄か‥‥‥」

「な、何をするのだ!」

「俺は男だから、こういうエッチなことにも興味があるんだよ!」

「童貞のくせに!」

ルキアの言葉に、一護は赤くなってむきになる。

「うっせ!こちとら、特進クラスでやっていくのでせいいっぱいなんだよ!」

「不良仲間とつるんで遊び歩いたり、さぼったりするからだ」

「もう、それはない。不良グループか抜けたから」

「では、命令だ。私と付き合え」

「命令って何様だよお前。へーへー、付き合えばいいんだろ。好きにしろよ」

一護は、もうどうにでもなれと答えると、ルキアは顔を輝かせた。

「では、今日は早速リムジンで貴様を連れて兄様と会う。兄様に、付き合う許可をいただかなくては」

「お前のブラコン、まだ直ってねぇの?」

「う、うるさい」

教室に戻ると、古典の授業の最中だった。

「朽木、黒崎、俺の授業に遅刻で途中から参加とはいい度胸だな。後で、課題だすからな」

「すみません、浮竹先生」

ルキアは遅刻に謝罪したが、一護は無視して自分の席に座る。

「では、103ページから。黒崎、訳してみなさい」

「私は、かの人を思い、手紙を書く。どうか、愛しい方に届けと、夢を見る。かの人は言った。すまないが、他に愛しい人ができたと。私はただ泣いた。乳母は心配して、私の好物の干し柿をもってきてくれた」

一護は、古典をすらすらと現代語で訳す。

浮竹は、しぶい顔をして一護に座れという、

一護は確かに不良で悪さをしたり、授業をさぼったりするが、頭はよかった。

IQが高いのだ。それも、ずば抜けて。

「では、今日の授業はここまで。105ページから110ページを訳すのを宿題とする」

えーという声を聴きながら、一護はその日は素直に最後まで授業に出た。

ふと校門を見ると、不良仲間だった者たちがたむろしていた。

「あいつら‥‥‥」

「ここは、私に任せておけ」

「おい、ルキア!!!」

一護が慌てて後を追うが、ルキアは一足先に不良グループの方へ行ってしまった。

「ルキア!」

「ていや!とう!」

息を切らしてやってきた一護が見たものは、護身術を身に着けて師範代にまで上り詰めている、ルキアの蹴りやら拳でやられて倒れている不良グループだった。

「あ、一護、代わり成敗しておいたぞ。さぁ、リムジンに乗って、兄様に会いに行くのだ」

「まじかよ‥‥‥いつの間にあんなに強く」

ルキアが、一護の手を引っ張って、無理やりリムジンに乗せる。

「お嬢様、自宅ではなくお坊ちゃまのいる会社へ?」

「うむ」

「おい、ルキア!」

一護とルキアを乗せたリムジンは、白哉が社長をしている会社までついた。

エレベーターで最上階まで案内されて、数日ぶりに見る兄の白哉にルキアが抱きつく。

「兄様!おかわりは、ありませんでしたか」

「ルキアか。どうした」

「私が伴侶にと決めた者を連れてきました」

「ルキア、お前はまだ16だぞ?そんなに急がずともよい。そっちのオレンジ頭が、ルキアの選んだ伴侶か?」

「はい、兄様」

「兄の名は?」

「黒崎一護」

「黒崎一心の息子か。まぁ、よいであろう」

「親父のこと、知っているのか?」

「昔の知り合いだ」

こうして、ルキアは一護と親代わりである白哉に許可されて、ルキアと付き合うことになった。

あれから不良グループがやってくることはなく、一護はルキアの夫となるためにテーブルマナーなんかを学ばせられたが、音をあげずに学校にも毎日きていた。

ルキアの見合いにと送ってこられる見合い写真を、白哉は全部処分する。

「それにしても、一護君がルキアちゃんみたいな令嬢の婚約者とはねぇ」

職員室で、茶を飲んでいた京楽が浮竹を見る。

「担任だが、仲は良いようだ」

浮竹も、京楽に進められてお茶を飲む。

「不良と令嬢がねぇ」

「今の黒崎はもう不良じゃない」

「そうかもねぇ」

ちょうど、ルキアが課題を提出にきた。

「ルキアちゃん、一護君とうまくいってる?」

「おい、京楽!」

「ばっちりうまくいってます。大学は二人そろってハーバード大学へ留学して通うつもりです」

「へぇ」

「そうか。朽木は当たり前として、黒崎はIQが高いからな」

「今年ももう終わりですね。浮竹先生も京楽先生も、よいお年を。来年と再来年の卒業までお世話になります」

ルキアは、ぺこりとお辞儀した。

「おーいルキア、迎えのリムジン来てるぞー」

「今いく、一護!」

仲良く歩き出す二人を見て、教師である浮竹と京楽は若いっていいなぁとついため息を零すのであった。

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