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ルキアの墓参り

「ここに、海燕殿が眠っておられるのだ」

ルキアは、大学生になった一護を呼び出して、一緒に志波海燕の墓参りにきていた。

「えっと、確か前の副隊長だった人だったっけ」

「そうだ。私の師匠でもあられる」

「俺に、似ているんだってな」

「うむ。貴様は一心殿の子。一心殿は志波家の出だからな。血が、繋がっている」

「ちょっと遠い親戚みたいなもんか」

ルキアは、墓の前で手を合わせて祈り、花束をささげて、線香に火を灯して墓前に置く。海燕が生前好きだったおはぎをそなえた。

「一護、貴様も手を合わせんか」

「ああ、うん」

一護にとって、海燕は会ったこともない人なので、どうにも墓参りにきても何も感じない。

「都殿と、天国で見守っていてください。この一護というたわけ者と、幸せになります」

ルキアは、一護との婚姻を控えていた。

死神と人間といういろいろと問題はあったが、一護が本当の死神になるということで、白哉からルキアとの婚姻を許された。

一護もルキアも死覇装を着ていた。

黒いので、喪服にもなる。

「さて、貴様は13番隊の副隊長になることが決まっている」

「え、まじかよ」

「大学卒業まであと半年ほどか。進路先は尸魂界の13番隊への就職だ」

「いや、勝手に決めんなって」

「すでに一心殿にも、妹たちにも知らせてある。あとは井上と石田と茶渡と」

「手を回すのがはええな、おい」

ルキアは、墓参りからの帰り道で、一護を追い詰めるように続ける。

「私の位置を、お前が継ぐのだ。私は13番隊の隊長になることが決まっている」

「ルキアと同じ隊なら、死神として働いてもいいか」

「ふふ、そういうと思っての、京楽総隊長と兄様の判断だ」

一護は、ため息をついたかと思うと、ルキアを抱き寄せた。

「一護?」

「ただの墓参りじゃなかったんだな。結婚の報告も兼ねてたのか?」

「う、うむ」

「で、この後は浮竹さんの墓参りだろ?」:

「そうだ」

「浮竹さんには俺もいろいろと世話になったからなぁ。生きててほしかったなぁ」

「うむ‥‥‥惜しい人を亡くした」

ルキアは涙を滲ませる。

とても、優しい人だった。副官になったルキアを一番に褒めてくれた。

「浮竹さんの好物もおはぎでいいんだよな?」

雨乾堂の後に建てられた立派な浮竹の墓に、墓参りする人は多い。

それだけ慕われていたのだ。

浮竹の墓の前にくると、ルキアも一護も無言で線香に火をつけて、花束を供えて好きだったというおはぎを備えた。

「あれ、一護君にルキアちゃんじゃない」

「京楽総隊長?」

「京楽さんも、浮竹さんの墓参りですか?」

「ああ、そうだよ。君たちが結婚する報告をしようと思っていたんだけど、先をこされたね」

穏やかに微笑む京楽だが、その隻眼の鳶色の瞳には悲しみの色がにじんでいた。

「浮竹も、生きてルキアちゃんと一護君の結婚式出たかっただろうねぇ」

「天国から見守っていてくださいます」

「天国かぁ。そんな場所が本当にあればいいのにね。地獄は本当にあるけど、死ねば霊子に還るだけだから」

「京楽総隊長、酔ってます?」

ルキアが、京楽を見る。

「ああ、浮竹と一緒に酒を飲もうと思ったんだけど、その前に少し飲んじゃった」

京楽は、高い酒を浮竹の墓にかける。

「浮竹。ルキアちゃんは、今度一護君と結婚するんだ。そして、君の後を継いで、13番隊隊長になるんだよ」

浮竹と京楽は非常に仲がよかった。

京楽は、浮竹の墓を撫でて、少し寂しそうに笑ってから、一護とルキアを見る。

「結婚式には、もちろんボクも呼んでね?」

「はい、当たり前です」

「京楽さんも、浮竹さんの分まで見にきてください」

そこで、京楽と別れてルキアと一護は、一護が滞在すると決まった朽木邸に戻っていく。

「ふふ‥‥‥時が過ぎるのは早いねぇ。結婚かぁ」

君と見たかった。

京楽は、静かに目を閉じて祈るのだった。




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