肉(1期)
そこはティエリアが大嫌いな地上だった。
スメラギ・李・ノリエガが考えたミッションプランに必要な情報を仕入れるために、ロックオンとティリアの二人は中国とかつては呼ばれていた大地に足を踏み入れた。
市をぬけた場所で、ソレスタルビーイングの、ある情報を持った一人と落ち合うことになっていた。
しかし、その商店街が並ぶルートが、ロックオンには平気でも、ティエリアには恐怖そのものの場所になっていた。
首のない鶏。豚。牛。もしくは首がついたままの。
逆さになって、商店街の軒先にぶら下がっている。
魚だって、市の中に新鮮そうなものがずらりと並んでいる。
ギクシャクと、ティエリアは涙目で足を進める。
「大丈夫か、お前さん」
「へ、へへへへへへへ平気だ」
へという数が多すぎる気がする。よほど気が動転しているのであろう。
ティエリアとて、地上でも生活するようになって、原型を留めた魚料理や、海鮮類にはある程度なれた。だが流石に鶏や牛や豚まで慣れたわけではない。
そんなものが、市の軒先にさかさまになってぶら下がっている光景など、考えたこともなかった。
一生見る機会がないものと思っていた。
「ロ、ロックオン手をつないでも?」
「ああ、構わねぇけど。ほんとに大丈夫か?顔色悪いぜ」
「へ、平気です」
ガタガタ。
手から伝わる、震え。
「しゃーないな」
ロックオンは、ティエリアを横抱きにすると、いきなり駆け出した。
「ロックオン!?」
「しっかりしがみついてな!」
「はい」
ティエリアは目をぎゅっとつぶって、ロックオンの背中に手を回す。
そして、ロックオンは行きかう人を器用によけて、市の外まで駆けた。
けっこうな距離を走ったが、ティエリアの軽い体重を持ち上げて走るくらい、ロックオンには難なくできることであった。
「ああ、あそこにいるのがCBの情報屋だ」
ティエリアは、それでもぎゅっと目をつぶって、ロックオンにしがみついたままだ。
「お前さん。ほんと怖かったんだな」
「僕にこわいものなどありません!」
「はいはい」
そっと降ろされて、ティエリアはきょろきょろと辺りを見回し、もう市から完全にぬけたた居住区の地域に入ったことを確認すると、ため息を長くついた。
「もう、二度とこんな地域の市には足を踏み入れるものか」
はぁ~~。
まだ涙目だ。
その目をロックオンの手で払われて、ティエリアの体の震えがおさまった。
「さて、ミッションといこうぜ」
「はい」
こうして、ティエリアの人生で初めてみた、逆さのなった鶏、豚、牛はその日の悪夢にまで出てくるほどショックな出来事であった。
悪夢を見た。
そういうと、ロックオンはティエリアを優しく包み込んでくれた。
もう一生、あんな光景を目にすることはないだろう。
海鮮類でも、未だに原型の留めているものに固まることがあるのに、鶏とか豚とか・・・・逆さになってるなんてありえない。
そういう文化圏だと理解しても、許容できないものがある。
いっそ、武力介入して軒先に並ばないようにしたい。
そんな馬鹿なことを一人考える。
「ちゃんとついててやるから。いい夢見ろよ」
「はい。おやすみなさい」
ロックオンの部屋のロックオンのベッド。決して広くないその寝台。布団からはロックオンの匂いがした。
ティエリアは、ジャボテンダーをベッドから落として、ロックオンに包み込まれたまま、二人で丸くなって眠るのだった。
スメラギ・李・ノリエガが考えたミッションプランに必要な情報を仕入れるために、ロックオンとティリアの二人は中国とかつては呼ばれていた大地に足を踏み入れた。
市をぬけた場所で、ソレスタルビーイングの、ある情報を持った一人と落ち合うことになっていた。
しかし、その商店街が並ぶルートが、ロックオンには平気でも、ティエリアには恐怖そのものの場所になっていた。
首のない鶏。豚。牛。もしくは首がついたままの。
逆さになって、商店街の軒先にぶら下がっている。
魚だって、市の中に新鮮そうなものがずらりと並んでいる。
ギクシャクと、ティエリアは涙目で足を進める。
「大丈夫か、お前さん」
「へ、へへへへへへへ平気だ」
へという数が多すぎる気がする。よほど気が動転しているのであろう。
ティエリアとて、地上でも生活するようになって、原型を留めた魚料理や、海鮮類にはある程度なれた。だが流石に鶏や牛や豚まで慣れたわけではない。
そんなものが、市の軒先にさかさまになってぶら下がっている光景など、考えたこともなかった。
一生見る機会がないものと思っていた。
「ロ、ロックオン手をつないでも?」
「ああ、構わねぇけど。ほんとに大丈夫か?顔色悪いぜ」
「へ、平気です」
ガタガタ。
手から伝わる、震え。
「しゃーないな」
ロックオンは、ティエリアを横抱きにすると、いきなり駆け出した。
「ロックオン!?」
「しっかりしがみついてな!」
「はい」
ティエリアは目をぎゅっとつぶって、ロックオンの背中に手を回す。
そして、ロックオンは行きかう人を器用によけて、市の外まで駆けた。
けっこうな距離を走ったが、ティエリアの軽い体重を持ち上げて走るくらい、ロックオンには難なくできることであった。
「ああ、あそこにいるのがCBの情報屋だ」
ティエリアは、それでもぎゅっと目をつぶって、ロックオンにしがみついたままだ。
「お前さん。ほんと怖かったんだな」
「僕にこわいものなどありません!」
「はいはい」
そっと降ろされて、ティエリアはきょろきょろと辺りを見回し、もう市から完全にぬけたた居住区の地域に入ったことを確認すると、ため息を長くついた。
「もう、二度とこんな地域の市には足を踏み入れるものか」
はぁ~~。
まだ涙目だ。
その目をロックオンの手で払われて、ティエリアの体の震えがおさまった。
「さて、ミッションといこうぜ」
「はい」
こうして、ティエリアの人生で初めてみた、逆さのなった鶏、豚、牛はその日の悪夢にまで出てくるほどショックな出来事であった。
悪夢を見た。
そういうと、ロックオンはティエリアを優しく包み込んでくれた。
もう一生、あんな光景を目にすることはないだろう。
海鮮類でも、未だに原型の留めているものに固まることがあるのに、鶏とか豚とか・・・・逆さになってるなんてありえない。
そういう文化圏だと理解しても、許容できないものがある。
いっそ、武力介入して軒先に並ばないようにしたい。
そんな馬鹿なことを一人考える。
「ちゃんとついててやるから。いい夢見ろよ」
「はい。おやすみなさい」
ロックオンの部屋のロックオンのベッド。決して広くないその寝台。布団からはロックオンの匂いがした。
ティエリアは、ジャボテンダーをベッドから落として、ロックオンに包み込まれたまま、二人で丸くなって眠るのだった。
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