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黒猫の皇妃7

ルキアが一護の元にきてから、一年が過ぎた。

一護は法を変えて、何とかルキアを皇妃にしたがっていたが、家臣たちに大反対されてルキアを皇妃にできぬまま、寵姫として留めていた。

「一護、無理をせずともいいのだぞ。私を寵姫のままで傍にいさせてくれるだけで、私は幸せなのだ」

「俺は、ルキアを娶りたい。正式な妻にしたい」

もう、ルキアは一護にとってなくてはならない存在になっていた。

「その気持ちだけで私は十分幸せだ」

ルキアが、病に倒れたのは、それから一週間後のできごとだった。



「ルキア、ルキア、しっかりしろ!」

「一護‥‥?うつってしまう。傍にくるな」

「調べたら、この病は亜人だけにかかる病だって。俺は大丈夫だ。同じ白猫の亜人の浮竹さんはやべぇから遠ざけてるけど、こんな病で死ぬな、ルキア!」

ルキアは高熱を出し、生死の境をさまよう。

一護は、金をおしまずエリクサーという神の秘薬と呼ばれる薬を入手してルキアに飲ませたが、病は癒えなかった。

「ちくしょう、どうすればいいんだ!」

「一護くん、落ち着け」

「でも、浮竹さん!」

「この病は亜人病という。俺も幼い時にかかったが、こうして生き延びている。抗体ができているのだろう。俺の血を輸血すれば、あるいは助かるかもしれない」

浮竹の言葉に、京楽が反対する。

「だめだよ、浮竹!君の、白猫の亜人族の血は、一種の毒だ。命を逆に落とすかもしれない」

「だが、このままでは確実にルキアちゃんは死んでしまう」

「浮竹さん、血を分けてくれ。ルキアに輸血する」

このままルキアの死を待つよりも、可能性があるならと、一護は抗体をもつ浮竹の血をルキアに輸血した。

ルキアは、そのまま数日また生死の境をさよったが、熱はしばらくしてひいていき、病は癒えていった。

「ルキア‥‥‥助かってよかった」

「一護‥‥‥浮竹殿が、血を分けてくれたおかげで助かったと聞いた」

「ああ。浮竹さんが、幼い頃同じ病にかかり、全快していたんだ。ただ、白猫の亜人の血は毒になりうるから、助かるかどうかは天任せだった。本当に、治ってよかった」

「浮竹殿に、大きな恩ができたな」

「ああ。京楽さんと一緒に、貴族の爵位と領地をあたえた」

「そうか。報酬は、もう形にしたのだな」

「ルキア、まだ寝てないとだめだ。熱は下がったが、まだ病が完全に言えたわけじゃない」

ルキアは、ベッドに半身を起こして、一護に抱きしめられた。

「ルキア、お前を失うかと思ったら、目の前が真っ暗になったんだ。エリクサーでも病は癒えなかった。もうだめかと思った」

「一護‥‥‥」

「助かってよかった。後遺症でしばらく頭痛がするかもしれないらしいが、薬はあるから大丈夫だ」

「そうか」

「もしものこともあるかもしれないと、白哉を呼んでいたんだ。まだ帝国に滞在しているから、会うか?」

「兄様が!?会いたい!」

ルキアが、白哉と会うのは実に半年ぶり以上だった。

一護は、宮殿に白哉を呼んだ。

「ルキア、心配していたのだ。そなたの身に万が一のことがあるかもしれないと、覚悟していたが、無事助かってよかった」

「兄様、会いたかったです!」

ルキアは黒猫の耳を動かして、尻尾をゆらりと揺らす。

「兄様、会いに来てくださってありがとうございます」

「黒崎一護が、そなたの身が危ないと知らせてくれてな。居ても立っても居られず、貴族としての執務を放置して、ソウル帝国にやってきた。そろそろ帰らねば、領地で問題が起こるかもしれぬ」

「兄様」

「領民たちも心配していたぞ」

「そうですか。会いにいきてくださり、私はとても嬉しいです、兄様」

「しかし、もう帰らねば。また、会いにくる。約束だ」

「はい、兄様」

ルキアは、病も言えて白哉を見送ると、一護がルキアを独占した。

「一護、なぜ一緒に湯あみをするのだ」

「ルキアが心配だから」

「もう、私の病は癒えたのだぞ」

「それでも心配だから」

また、前のようにただ同じベッドで眠る時間が増えた。

一護は、ルキアを壊れ物のように扱い、性的な意味で抱くことがなくなった。

ルキアは体が疼いて、自分から一護を誘った。

一護は、優しく優しくルキアを抱いた。

毎度毎度そんなので、ルキアは満足できず、一護にこう言う。

「もっと、乱暴に激しく愛してほしい」

一護の我慢の糸が切れるには、十分な言葉で、その日はルキアは意識を飛ばすまで一護に抱かれるのであった。


「ふう‥‥‥」

ある日、ルキアは後宮の自分の部屋の窓から空を見上げていた。

雨が降った後で、虹がでていた。

「一護の寵姫で、ずっといられるのだろうか」

季節はうつろいゆく。

いつか、一護が皇妃を子迎えねばならぬ時がくるだろう。

子を産めない黒猫の亜人のルキアには縁のない話だ。

「いやだな‥‥」

違う誰かが、一護の傍で皇妃として笑うのが、想像しただけでもいやだった。

「ルキア?」

「一護?どうしたのだ」

「お前が宮殿にこないから、迎えにきた」

「今日は、会わぬ約束ではなかったか?仕事が多いからと」

「お前に会いたいから、全力で仕事片付けてきた」

一護は、ルキアを抱きしめる。

その温かさに、ルキアは瞳が潤む。

涙が流れた。

一護を愛しすぎた。

でも、もう後には引けない。

いつか、黒猫の皇妃になる。ルキアはそう決意するのであった。





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