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黒猫の皇妃8

その日は、一護の誕生日パーティーがあった。

国中の貴族、皇族、近隣諸国の王侯貴族がきていた。

一護は、隣にルキアを立たせた。

「一護、このような式典に私など」

「いいんだよ。それに一人じゃあつまんねーし、他の国の王侯貴族の娘を紹介されて、皇妃にしないかってうるせーんだよ。俺が皇妃にするとしたら、ルキア、お前しかいねぇ」

「でも、私は黒猫の亜人だ。子を産めぬ故、皇妃にはなれぬ」

「今、裏でいろいろ法律かえてるんだよ。大反対する家臣たちちも説得してる」

「一護‥‥‥」

ルキアが一護の隣に立っているのを見て、隣国の王侯貴族たちはまだ皇妃が決まっていないのだと安堵する。

「これこれは一護陛下、ご機嫌麗しゅう。私はアズア王国の王、トレッド・アズアにございます。この度は18歳の誕生日ということで、皇妃候補に、我が娘ドリッドを紹介したく」

「アズア王国の第王女、ドリッド・アズアにごいます」

「ああ、そうか。じゃあな」

「ちょ、陛下!」

「どけどけ。俺はルンバ公国のイルガデス。皇妃には、我が娘リリーを」

「興味ねぇ」

一護は、ルキアを連れて玉座に座ると、隣の皇妃の席にルキアを座らせたかったができないので、そのすぐ近くに椅子を設置して、それにルキアを座らせた。

「皆、俺の誕生日の式典に集まってもらってすまない。俺は皇妃はまだもたない。候補として後宮に娘を入れるなら、それも拒否しない。だが、俺はルキア以外を寵愛するつもりはない」

「陛下、黒猫の亜人の寵姫を妃のように扱うなど、前代未聞ですぞ」

「かまわねぇ。この国の皇帝は俺だ。俺が法だとは言わないが、皇妃に関しては、俺の意思を尊重してもらう。皇妃は一人だけ。側室ももたない。今はこれ以上は言えない」

近隣諸国の王侯貴族はざわついた。

帝国の貴族たちは、一護とルキアのことを知っているので、後宮に娘をいれようとする者はいなかったが、近隣の王侯貴族は、ここまではっきり一護が、ルキアだけを寵愛すると言ったのに、自分の娘を後宮に入れる算段をしはじめた。

「ではドリッド、うまくやるのだぞ」

「はい、父様」

「リリー、お前の美貌なら皇帝を落とせる。後宮に入るのだぞ」

「分かりました、父上」

一護の誕生日の式典は華やかに行われたが、同時に5人ほどの近隣諸国の王族の姫君などが後宮入りした。

ソウル帝国は、今一護の統治の元、黄金時代を迎えようとしていた。

領土は広くなり、和平条約も進み、ソウル帝国が魔術師を3人ももっているということで、敵対関係にあった隣国とも、休戦協定を結んでいた。

ソウル帝国を脅かす存在など、もうどの国にもなかった。

一護は酒を飲み、酔っていた。

ルキアは、先に後宮へと戻る。

一護が、後宮入りしたルンバ公国のリリー姫に、酔った勢いで手を出してしまったという情報は、すぐに後宮中に知れ渡り、ルキアは耳を疑った。

「一護」

「すまねぇ、ルキア。薬盛られて、抱かされた。子供、身籠ったかもしれない」

「卑怯だぞ、リリー姫!」

「あら、なんのことかしら。あたしは一護陛下の寵愛を受けただけよ。激しい夜だったもの。きっと、陛下の子を孕んだわ。陛下の子を産めば、皇妃になれるのよ」

今の法律では、身分に関係なく一護の子を産めば皇妃になれるとなっていた。

その母親が平民や奴隷でなく、貴族以上の娘なら、家臣たちも納得するし、リリー姫は領土は狭いものの、金がよく産出する大金持ちのルンバ公国の第一公女だ。

皇妃にするには、まさにとてもよい条件であった。

子が生まれれば、一護の意思など関係なく、皇妃になってしまう。

たとえその仲が冷めきっていたとしても、ルキアを側室におくことはできる。

リリー姫は、はなからそのつもりで、一護の飲む酒に薬を入れたのだ。

ルキアに手を出せば、きっと追放される。

だから、あえてルキアを放置した。ルキアだけなら、なんの力ももたない。そう思っていた。

「寵姫のルキアとやら。元奴隷の卑しい身分のあなたに、一護様はふさわくないわ」

「私は、貴族だ」

「あら、今頃そんな嘘をつくの?」

「私は、ソサエティ王国の四大貴族、朽木家の娘。朽木ルキアだ」

ルキアの素性を調べると、王族の血の流れを受け継ぐ、れっきとした大貴族の娘だと分かった。

だが、それでもリリーは焦らなかった。

リリーは、一護の子を孕んだかどうか分からぬうちに、幾人もの男と交わり、懐妊していた。

一護が手を出した事実と子さえいれば、父親の血筋などどうでもいいと考えていた。

それが間違いだった。

後宮にきて腹が膨らみ始めると、さすがの一護もリリーを皇妃にすることを承諾する他なかった。

ルキアは泣いたが、側室として絶対に寵愛すると言われて、皇妃の座を諦めていた。


やがて、生まれてくる子が、本当に一護の子なのか鑑定された。

結果、同じ黒崎家の血筋の皇族の子であるが、父親は一護ではないと分かり、リリーは堕胎させられ、後宮から追放された。

極刑にならぬだけ、ましであった。

「ルキア、すまねぇ。もう、大丈夫だ」

「一護‥‥‥‥」

「俺は、もう絶対にルキア以外を抱かない」

「一護、愛している」

「俺も愛してる、ルキア」

一護とルキアは、何度も肌を重ねた。

けれど、黒猫の亜人であるルキアには月経もなく、一護の子を身籠ることはなかった。

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