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聖夜

「今宵は神聖なる日。ってことでシェラ君、デートだ!」
もう12月24日もふけようかという時。
遊撃士ギルドに待機していたシェラザードを、オリビエは町の中の一番高級レストランとして有名な場所に誘った。お金がないと、そうそうに入れない場所。
いつもの白いコートに赤いスカーフ姿のオリビエは、髪を一つに後ろで結んで、シェラザードを案内していく。
手には真っ赤な薔薇の花束。
それを、レストランで手渡された。
「どういう風の吹き回し?」
「心外だなぁ、シェラ君。僕と君とのムフフフな仲ではないか」
「まぁいいか」

誘ってもらって、独り身のシェラザードに悪い気はしない。
演奏家として、そのホテルに置いてあったピアノを、シェラザードのために一曲弾き終わると、惜しみのない拍手があちこちから聞こえた。
飄々としてはいるが、音楽の腕は確かだ。

「では、乾杯」
「乾杯」
チン、とグラスを鳴らしあわしたの合図だった。
酒豪で名の高いシェラザード、飲むこと限りなし。
「シェ、シェラ君僕は君を口説きにきたんだよ!」
「いーからあんたも飲みなさい!」
ボトルのまま口につっこまれて、その中身を飲み干す羽目になった。シェラザードはざるだが、今日はかなり羽目を外しているのかもう酔っている。

これはチャーンス!
とオリビエは目を輝かせた。
「酔ったシェラ君を介抱して、僕の株は急上昇というわけさ!」
「聞こえてるわよ。さぁ、ホテルに帰りましょう」
「ええっ!もう!?」
散々飲み食いをして、シェラザードはアルコールを摂取したことにより、眠気を感じていた。
酔いつぶれたシェラザードを背負って、ホテルに戻り、彼女をベッドに寝かせると、オリビエはさも当たり前のように彼女の隣の寝台に横になって、同じように眠ることにした。自室に戻るには、幼い表情のあどけないシェラザードの寝顔を見れないので、愛しいシェラ君と同じ部屋に泊まったというわけさ。
「愛しのシェラ君。愛しているよ」
そう呟いて、バンバンとベッドを叩いて、自分で受けている。
阿呆だ。

翌日、目を覚ましたシェラザードが、隣で寝ているオリビエに必殺技のクイーンビュート、鞭の技をかました。
「酷いわ、シェラ君!あんなに愛し合ったのに!」
「もう一発かまされたいようね」
「嘘です。ゴメンナサイ」
しゅんと、しおらしくなるオリビエの顎をつかんで、シェラザードは頬にキスをした。
「へ?」
「昨日のお礼よ。ありがとうね」

「やっほーい!シェラ君の心を掴んだぞ!」
そう自惚れてリュートを取り出して、愛を語りだす演奏家にして詩人の歌声と楽器の音に、シェラザードは耳を傾けるのであった。
シェラザードとて、オリビエが好きなほうだ。
でも、色事に疎いシェラザードには頬にキスが精一杯。

でも、それが自然体で愛しいのだと、オリビエは思うのだった。

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