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浮竹死んだけど幽霊です憑いてます21 大浴場

「ふんふーん」

京楽はご機嫌だった。

大浴場を貸し切りにできたのだ。いつもは人が多くて入る気はしないが、貸し切りなら話は別だ。

「京楽、髪を洗ってくれ」

「はいよ」

浮竹も、久し振りに実体化して風呂に入った。

別に霊体のまま汚れるというわけではないし、実体化してついた汚れは霊体化して波長を変えれば消えるので、風呂に入る必要がなかった。

でも、幽霊のままではじんわりとした温度しか感じられず、物足りない。

大浴場を貸し切りにしたと聞いて、浮竹も実体化して風呂に入ることにした。

いつものシャンプーで、京楽が浮竹の長い髪を洗ってくれる。気持ちよかった。

その後、リンスをされた。

いつもはしないのだが、今日は風呂のために実体化したのだし、いいかと思った。

「これで、浮竹の髪はつやつやだよ」

「俺は、別にシャンプーだけでいいんだがな」

「シャンプーだけでもサラサラだけと、リンスをすればもっと艶が出るよ」

「別に髪に艶なんて求めてないんだが」

「だめだめ!せっかくこんな綺麗な長い白髪をもってるんだから、大切にしないと」

京楽は、浮竹の長い白髪が大好きだった。

いつも、甘い花の香をさせている浮竹に、シャンプーと石鹸の匂いを与えると、なんともいえぬよい芳香となって、京楽を刺激する。

「言っとくが、今日は風呂に入るだけだからな。変なことはするなよ」

「分かってるよ」

いつも、京楽は浮竹が実体化すると手を出してくる。

なので、念を押しておいた。

「ふんふーん」

京楽の長いくせのある黒髪を、浮竹が洗ってやった。シャンプーは浮竹のとは別のものだ。浮竹の髪は女性用のシャンプーで、いい匂いがするやつで、京楽のシャンプーはメンズものの薬用シャンプーで、香は控えめだった。

「お前も髪が長くなったなぁ」

「そろそろ切ろうかと思ってるよ」

「俺が切ってやろうか?」

「勘弁して!10円はげはもうごめんだよ!」

昔、京楽の髪を切って10円禿をいっぱいこさえた。

さすがに浮竹も悪いと思って京楽に詫びて、涅マユリから育毛剤なるものをもらい、はげになったところに塗ったら、うねって長い黒髪が伸びた。

その気味の悪さに、浮竹はもう二度とあの育毛剤は使うまいと決めていた。

「はぁ。久しぶりの風呂は生き返る・・・・」

新婚旅行で温泉を味わったが、あれから数か月経過していた。

湯船に肩まで浸かり、長い髪は結い上げてまとめていた。京楽も髪が長いので、結い上げていたのだが、その姿の似合わないことこの上ない。

「お前は、あれだな。髪を下ろしたままのほがいい。結い上げると、なんというか奇妙だ」

「そういう君は、結い上げるとうなじが見えてセクシーだねぇ」

「変なことはするなよ!」

「しないって。たまには僕を信用してよ」

そのまま、京楽は風呂からあがった。

「浮竹も、早めに出てね。貸し切りの時間、2時間だから」

「ああ」

一向に出てこない浮竹を不思議に思い、大浴場をのぞくと風呂の上に浮かんでいた。

「浮竹!?」

「ほにゃら~。のぼせた~~~」

「ああもう、言わんこっちゃない・・・・・」

浮竹を風呂からあがらせて、髪の水分やらをバスタオルで吸い取り、服を着せていく。

いつもの死覇装に、13番隊と書かれていない、ただの白い羽織だった。

今は13番隊の隊長には、ルキアがついている。

実体化した時、時折間違われるので、隊長羽織は着ないことにした。でも、羽織がないと何か落ち着かないので、白いだけの羽織を着ていた。

「うー世界が廻る~」

「まってて、今つめたいスポーツドリンク買ってくるから」

尸魂界も大分近代化が進み、自販機が置かれるようになった。

念のためにもってきた財布から小銭を出していれて、スポーツドリンクを押すと、売り切れだった。

「ああもう、こんな時にうりきれとか」

とりあえず、冷たいものならなんでもいいかと、適当にボタンを押した。

ガチャン。

出てきた物体をみて、これはないかもと思った。

超健康、ビタミンカルシウムたっぷり健康エナジードリンクスーパーZとかいてあった。

「まぁいいか」

浮竹が待っている。

そう思って、そのドリンクを手に、浮竹のところにくると、のぼせて水を求めていた。

「水を・・・・」

「水じゃないけど、これ・・・・」

その健康ドリンクを飲ませると、浮竹はかっと目を見開いた。

「おいしい?」

「激まずい。のみこめない」

風呂場にもどり、口の中のものを吐き捨てて湯で流した。

「なんだこれは・・・・冷たいことは冷たいが、ドロリとしてねばついて・・イガイガしていて、味がとんでもない」

「そんなに不味いの?」

京楽は、自分でも飲んでみた。

「うへぇ、よくこんなの売ってるね」

一口、口にしたが、でもなんかパワーが溢れてきた。

「なんだろう。すごいやる気出てきた。これ、意外と効くかも?」

浮竹に無理やり飲ますと、浮竹は顔を赤らめた。

「これ、精強剤じゃないのか・・・・・」

「あ、ほんとだ。そう書いてある・・・・・」

「そんなもの買ってくるなんて、やはりいかがわしいことをしようと・・・」

「違う!不可抗力だよ!でもどうしよう、ビンビンだ」

「俺もだ。仕方ない、風呂場で抜くか」

二人は、浮竹が実体化していられる時間が少ないので、睦みあうことはせずに互いに抜きあった。

「味は不味いけど、使えるかも?」

「俺を抱く前に飲むなよ!」

「いやあ、一度ぜひとも試してみたいね」

「京楽のアホ!」

衣服を着たところで、時間がきて浮竹は幽霊に戻った。

すーっと、体がすけていく。

「今度ためしてみようよ」

「絶対に嫌だ!お前、さっき6回も抜いてただろう!」

「そういう浮竹だって5回は抜いてたじゃない!」

ぎゃあぎゃあ言い合っていると、貸し切りの時間が終わって、一般客が入ってきた。

「とりあえず、戻るか・・・水がほしい」

「1番隊の執務室の冷蔵庫に、冷えた麦茶があるから、そこにいくまで我慢してよ」

結局、超健康、ビタミンカルシウムたっぷり健康エナジードリンクスーパーZは今度浮竹が実体化した時に京楽が飲んで、5回もしてしまい不興を買うのだった。



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