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それじゃない

「ロックオン、それとってください」
「はいよ」

いつもの食堂での出来事。昼食をとりにきた二人は、いつものようにカウンターの席に座ってBランチを注文した。
ロックオンの隣にティエリア、その隣にはジャボテンダー。
ジャボテンダーの席の前には、いつもの如く、彼が飲むとティエリアが定義づけたメロンソーダがしゅわしゅわと、炭酸飲料独特の音を立てている。

「違う。これじゃない。それっていったら、ソースでしょう!」
「それっていったら、塩だろ!?」
二人は、いつもの仲の良さはどこにやら、いがみ合うが、すぐに元の調子に戻った。

カチャカチャと、フォークやスプーンが動く音だけが定期的に響いた。

「ティエリア、あれとってくれ」
「はい」
「おい、これコショウじゃないか!あれっていったら、醤油だろ!」
「あれっていったら、醤油かマヨネーズかジャボテンダーさんでしょう!」
「最後の選択肢、なんか違うくね?ジャボテンダーB定食にかけるのか!?かけれるのか!?」
「かけれます」
真剣な顔で、そう頷いたので、その場にいたロックオンを含めたアレルヤ、刹那、他のクルーたちまで、そうか、ジャボテンダーって、料理にふりかけて食べることできるんだとか、阿呆な納得をした。

ジャボテンダー汁かな?
緑すぎて更に苦そうな汁だな?
案外美味しいかも?

人それぞれが、脳内で阿呆なことを考えている昼。

「あっちのあれとってください・・・・違う、もう、どうしてロックオンは!」
「おう、なんだ!」

立ち上がったティエリアの怒りを受けて立つとばかりに、ロックオンも席を立った。二人には身長差があるので、背が高めなティエリアでもロックオンと目を合わせようと思ったら、顔をあげなくてはならない。

「二人とも、仲良くしようよ。ね、刹那」
「俺はガンダムガンダムガンダムだ」

刹那は違う世界にいっているらしい。戻ってくることもなさそうだ。
二人を止めようとしたアレルヤは、どうしていいのかわからずに、お決まりの台詞を決めて座った。

「ど、ドンマイ☆」

あいた~~。
いたいな、アレルヤ毎度。

その場にいた、アレルヤ以外の全ての人がそう思った。

「どうしてロックオンは・・・・・・」
ティエリアの瞳が金色になって、伏せられた。
その場にいた、誰もがあーあ、ロックオンてばティエリア泣かせた~と心の中で十字を切った。
「どうしてそんなにかっこいいんですか!」


「だぁ!」


誰もが、床にこけた。

痴話喧嘩にもならないのか、この二人は。
ロックオンといえば、満更でもなさそうに少し照れて、ティエリアの頭を撫でている。

「ありがとな。ジャボテンダーをB定食にかけても食えるように精進するわ」

無理だから。
無理無理。

皆の心のツッコミなど、恋という名の魔法に耄碌したロックオンには気づくことはないだろう。


勝手に精進してろ。
早めに昼食をとったメンバーたちが、二人の世界に浸りだしたロックオンとティエリアを残して去っていく。二
人は、仲良く昼食をとったあと、ジャボテンダーのメロンソーダをいつものように、ティエリアが飲み干して、そして食堂を後にした。
ジャボテンダーを背中にしょって、ティエリアは甲板に出るのだと走り出す。その後を、ロックオンが甘い空気を周囲に散らせながら追いかけていく。

あははは、うふふふ☆

そんなかんじだ。
どんなんだ。

一人残されたアレルヤは、二人の門出(?)を見送ってから、涙を流した。

「ドンマイ、僕」



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