ダージリン(3期)
トレミーは今も地球の周囲を回ってその存続を、平和が続くことを見守るように運行している。
今日も食堂で、ティエリアはジャボ子さんと名付けたジャボテンダーの抱き枕を指定の位置に座らせて、そのまえにはただの水を置いた。
「今日は水で我慢してください」
相変わらず、その行動をみている刹那とアレルヤ、それに他のクルーたちは笑うのを必死でこらえている。隣にいるロックオンは、もう慣れたのでその言動と行動を奇妙に思うことはなく、当たり前のこととしてとらえていた。
ああ、賢いのかただの阿保なのか分からないティエリア。
そうして食事を終えて、ロックオンの部屋に戻ると、勝手にリジェネがソファーに座っていた。
「お前なんで!ちゃんとロックかけておいたのに!」
「はん、僕をのけものにしようったってそうはいかないよ。ティエリアの独り占めは関心できないな」
ロックを確かにかけて食堂にいったのに。
でも、リジェネにはロックを解除するハックなど当たり前にできることだった。
「まぁ座りなよ」
椅子をすすめられて、ここは俺の部屋なのにとか呟きつつもロックオンが座る。
ティエリアも、ジャボテンダーをベッドの上に投げ置いて(そんな扱いでいいのか)、椅子に座った。
「紅茶いれますね」
座っていたティエリアは、すぐに立ち上がって、地上で買ったアッサムではなくダージリンの紅茶をいれると、それを3つのカップに注いだ。
自分とロックオンと、リジェネの分だ。
椅子は2脚しかなかったため、リジェネはソファーに座りながらティエリアが入れてくれたお茶を飲む。
「いい味だね。ダージリンよりアッサムのほうが好きだけど、ティエリアは紅茶の入れ方がうまいから」
カットしたレモンまで、紅茶のカップに添えてある。
「そうだろうか?」
ティエリアの口調が変わる。
「いつも普通にお茶を淹れているだけなのだがな」
「でも美味しいよ。自分で淹れるよりも、他の人に淹れもらうより、一番美味しい」
「そう言ってもらえると嬉しい」
自分の分の紅茶を一口口に含む。優雅な味が舌の上で踊った。
「ティエリア!おかわり!」
「はい」
「負けるものか。僕ももういっぱいもらうよ!」
バチバチとティエリアをめぐって火花を散らす二人に気づかない鈍感さで、ティエリアはダージリンの紅茶を二人分ついで、ついでにでがらしでジャボテンダーさんの分まで注ぐのであった。
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