21話補完小説「ペイン」
「このは間は悪かったな。感情的になりすぎた」
ライルは、ガンダムOOライザーのコックピットに向かう途中の刹那にそう詫びた。
「マイスター失格だ」
「ライル、俺は!」
「戦うぜ。俺は、戦う」
「分かった」
刹那は、その言葉を残して宙を蹴り、コックピットに向かう。その背後で、ライルが自分に向けて銃の標準を合わせているとも知らずに。
(ああ、そうさ。イノベイターの野郎をぶっつぶす。カタロンでもなく、CBでもなく、俺は俺の意志で奴らを叩く。だがな・・・・)
「だがな・・・今は刹那、お前を俺は」
許せない。
愛していたアニューを殺した刹那が。
刹那が間違った行動をとっていないことは知っていた。でもこれは倫理的な問題でもなんでもない。単純に、愛する人を殺した刹那が憎かった。
その引き金を引きさえすれば、簡単にアニューの仇を打てるだろう。
カタカタ。
銃を手にした手が震えていた。
「撃たないのか」
「ティエリア!いつからそこに」
「あなたが銃を刹那に向けた時から。その通路の角にずっといた」
ティエリアは、落ち着いた態度で銃を下ろしたライルから、その銃を受け取った。
「はっきり言っておく。もしも、あなたが刹那を撃てば、その時は僕があなたを撃つ」
「はは・・・・教官殿は相変わらずだな。刹那にベタ惚れか?」
「そういう問題ではない」
きっぱりと否定して、ティエリアは紫紺の髪をかき上げた。
「あの時のアニューは別のイノベイターに支配されていた。この前もいっただろう。あの時の彼女は、アニューではなかった。そして、刹那が引き金を引かなければ、ライル、あなたが死んでいた」
「分かってる!そんなこと、分かってるさ・・・・だがな、感情まで押し殺せねぇんだよ!」
ドンと壁を右手で叩くライル。
その手に手を重ねて、ティエリアは呟く。
「泣けばいい。泣きたい気持ちまで、押し殺す必要はない」
「・・・・・うわあああ」
ずっと、アニューが死んでから泣くことがなかったライルは、子供のように泣いた。
大きな声をあげて。
涙がぽつぽつと、トレミーの廊下に滴ることなく、宙を漂いそれは光に輝いてとても綺麗に見えた。
「アニュー!」
ティエリアの体を強く抱きしめて、いなくなってしまったアニューを探すように、ライルは目を瞑った。どれくらいそうしていただろうか。ふと、腕の中のティエリアが身動ぎをした。
「少しは落ち着いたか?いつ出撃許可が出るとも分からない。感情を乱したままでは、戦況に響く」
「ああ。お蔭で、少しすっきりした」
一番年長のガンダムマイスターなのに、一番年下と思われるティエリアに慰められ、ライルは涙を袖で拭いながら落ち着いた声を出した。
「もう刹那を撃つような真似はしねえよ。安心するといい」
少し気恥ずかしい。
ライルは、ティエリアをそっと離すと、宙を蹴って去って行った。
ティエリアの手に残された銃は、ライルの涙の分まで重くなっている気がした。
ライルは、ガンダムOOライザーのコックピットに向かう途中の刹那にそう詫びた。
「マイスター失格だ」
「ライル、俺は!」
「戦うぜ。俺は、戦う」
「分かった」
刹那は、その言葉を残して宙を蹴り、コックピットに向かう。その背後で、ライルが自分に向けて銃の標準を合わせているとも知らずに。
(ああ、そうさ。イノベイターの野郎をぶっつぶす。カタロンでもなく、CBでもなく、俺は俺の意志で奴らを叩く。だがな・・・・)
「だがな・・・今は刹那、お前を俺は」
許せない。
愛していたアニューを殺した刹那が。
刹那が間違った行動をとっていないことは知っていた。でもこれは倫理的な問題でもなんでもない。単純に、愛する人を殺した刹那が憎かった。
その引き金を引きさえすれば、簡単にアニューの仇を打てるだろう。
カタカタ。
銃を手にした手が震えていた。
「撃たないのか」
「ティエリア!いつからそこに」
「あなたが銃を刹那に向けた時から。その通路の角にずっといた」
ティエリアは、落ち着いた態度で銃を下ろしたライルから、その銃を受け取った。
「はっきり言っておく。もしも、あなたが刹那を撃てば、その時は僕があなたを撃つ」
「はは・・・・教官殿は相変わらずだな。刹那にベタ惚れか?」
「そういう問題ではない」
きっぱりと否定して、ティエリアは紫紺の髪をかき上げた。
「あの時のアニューは別のイノベイターに支配されていた。この前もいっただろう。あの時の彼女は、アニューではなかった。そして、刹那が引き金を引かなければ、ライル、あなたが死んでいた」
「分かってる!そんなこと、分かってるさ・・・・だがな、感情まで押し殺せねぇんだよ!」
ドンと壁を右手で叩くライル。
その手に手を重ねて、ティエリアは呟く。
「泣けばいい。泣きたい気持ちまで、押し殺す必要はない」
「・・・・・うわあああ」
ずっと、アニューが死んでから泣くことがなかったライルは、子供のように泣いた。
大きな声をあげて。
涙がぽつぽつと、トレミーの廊下に滴ることなく、宙を漂いそれは光に輝いてとても綺麗に見えた。
「アニュー!」
ティエリアの体を強く抱きしめて、いなくなってしまったアニューを探すように、ライルは目を瞑った。どれくらいそうしていただろうか。ふと、腕の中のティエリアが身動ぎをした。
「少しは落ち着いたか?いつ出撃許可が出るとも分からない。感情を乱したままでは、戦況に響く」
「ああ。お蔭で、少しすっきりした」
一番年長のガンダムマイスターなのに、一番年下と思われるティエリアに慰められ、ライルは涙を袖で拭いながら落ち着いた声を出した。
「もう刹那を撃つような真似はしねえよ。安心するといい」
少し気恥ずかしい。
ライルは、ティエリアをそっと離すと、宙を蹴って去って行った。
ティエリアの手に残された銃は、ライルの涙の分まで重くなっている気がした。
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