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アイスバーズ恋白 恋次の場合

白哉はジュースだった。反対に恋次はアイスだった。

アイスの者は、ジュースに愛を告げると溶けて死んでしまう。

それを知っていたので、白哉は恋次に厳しく接していた。

恋次は、白哉に憧れていた。

その強さに。その精神に。

やがて、恋心を抱くようになった。

「私はジュースで、兄はアイスだ。この意味は分かるな?」

アイスの恋次が決して告白などしないように、そう冷たく告げると白哉は恋次の上官である以外はかかわらないことにした。

「隊長、俺は‥‥」

「やめよ。私は兄のことをなんとも思っていないのだ。いうだけ無駄だ」

「でも」

「兄は、自分の命が大切ではないのか?」

「そりゃあ、大切にしたいですけど、あんたに言いたいことがある」

白哉はため息をついて、恋次を抱き寄せる。

「これが、答えだ。言葉にせずともいい」

「隊長、俺」

「やめよ。兄の気持ちはわかっている」

一度だけ抱きしめただけで、その後の白哉はいつも通りそっけなかった。

「やっぱ、俺の気持ちあんたに伝えたい、隊長」

白哉のいないところで、恋次はそう言って白哉の温もりを思い出す。


「ルキア、そなたなら恋次のことをなんとかできぬか」

「恋次が兄様を好きなのは、ずっと知っていました。まさか兄様がジュースで恋次がアイスだなんて」

「恋次は、このままでは私に告白して溶けて消えてしまう」

「はい。私も恋次が好きです。私が、恋次を愛します。兄様の分まで」

ルキアは、恋次に告白した。

答えはNOだったが、ルキアは恋次を愛して、一緒に行動することが多くなった。

「好きだ、恋次」

「俺は」

「よいのだ。私は貴様の側で、貴様を愛せるだけでいいのだ」

「ルキア、こんなの間違ってる」

口づけしてきたルキアを押しのけて、恋次は顔を俯ける。

「俺は、隊長が好きなんだ。隊長を愛している」

「恋次、貴様はアイスだ。兄様はジュースだ。その意味は分かっているな?」

「分かってる。でも、好きなんだ」

恋次は、もう恐れなどしなかった。

白哉を呼び出し、桜の木の下で恋次は白哉に口づける。

「やめよ、恋次。私は、兄とは」

「好きです、隊長。愛してます」

「恋次!!!」

言ってはいけない言葉を言ってしまった。

白哉の答えは分かっていた。

ぽろぽろと涙をこぼして、白哉は恋次を抱きしめて、告げる。

「私も兄が好きだ、恋次。だから、溶けていなくなってしまわないでくれ」

「ああ、隊長もやっぱり俺のこと好きだった。それだけで、俺は幸せです」

「愚か者!私と共に歩く道は死を意味するのだぞ」

「それでも、伝えたかったんです」

恋次は、足元から少しずつ溶けていく。

「恋次、いくな!」

白哉は、もう立っていられない恋次の頭を膝の上にのせて、恋次を抱きかかえる。

「恋次、恋次、愛している。私を残して先にいくな」

白哉の涙が、ぽつぽつと恋次の顔に降ってくる。

「恋次」

「俺、幸せです。隊長に思いを告げれて、受け入れてもらえて。俺、アイスだけど生まれてきてよかった。こんな幸せな気分でいけるんだから」

「溶けるな、恋次。私を独りにするというのか」

「いつかまた、あんたに会いにいきます」

「恋次!」

「愛してます、隊長。さよなら‥‥‥」

恋次は水になって溶けてなくなってしまった。

白哉は、桜の雨が降り注ぐ中、恋次の死覇装を手にいつまでも泣いているのだった。




それから、200年が経過した。

白哉は相変わらず美しく、200年前とほとんど変わらぬ姿をしていた。

ある日、ふと流魂街を訪れた。

小さな赤い髪の子供が、白哉とぶつかる。

「あ、すみません」

「いい。兄の名は?」

「恋次っていいます」

白哉は微笑む。

あまりに綺麗な笑顔だったので、恋次と名乗った子供は白哉に見惚れた。

それから、その恋次という子供は孤児だってので、白哉が引き取った。

「何度でも、何度でも、兄と出会う。私は朽木白哉。兄が愛した者だ」

恋次は成長し、朽木恋次と名乗り、白哉の側にいた。

霊圧があり、真央霊術院に入学して死神になった。

やがて6番隊の副隊長になる。

「兄を愛している、恋次」

「俺も、隊長のこと愛してます」

一度は失ったけれど。

また巡り会えた。

白哉は、恋次に口づける。

「んっ」

恋次は白哉と舌を絡ませあう。

「そんなこと、どこで覚えてきたのだ」

「さぁ。自分でも分かりません。でも、ずっと前から隊長とこうしたかった。そんな気がします」

「恋次、兄を愛している。もう、私の前からいなくなるな」

「はい」

白哉は、再び恋次と巡り会い、数百年の時間をそのまま過ごしていくのであった。

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