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黒猫と白猫の亜人40

「あ、蒼結晶だ」

「あっちには赤結晶があるよ?」

「こっちには紫水晶‥‥‥にゃあああああああああ」

浮竹と京楽は、猫の姿で人のしかけた罠にはまってしうまい、捕まってしまった。

「へっへっへ、珍品と名高い黒猫と白猫の亜人だ。これを魔王様に捧げれば、俺は大金持ちだ!」

浮竹と京楽は、大人しくするように睡眠ガスで眠らされてしまい、気づいた時には魔王城の謁見の広間だった。

「魔王様!世にも珍しき白猫と黒猫の亜人です!どうぞ、奴隷としてお納めください!」

「魔王の俺ー助けてー」

「幽鬼のボク、助けてー」

目の前の魔王は、にっこり笑ったあと、浮竹と京楽を捕まえた人間を串刺しにする。

「ま、魔王様、何故」

『俺の友人を、こんな目に合わせせて奴隷として献上するからだ。この黒猫と白猫の亜人は、俺のお気に入りの友達だ』

そのまま、魔王の浮竹は人間を灰にしてしまった。

『大丈夫か、白猫の俺、黒猫の京楽』

「まいったねぇ。光ものに目がいってたら、罠にかかちゃった」

「宝石が散らばっていたんだ。先に先に進むと、罠があった」

『気をつけなよ?君たちを欲しがる人間はごまんといるんだから』

幽鬼の京楽が、檻から浮竹と京楽を出してくれた。

猫の姿のまま、不満をもらす二人を、魔王の浮竹が抱き上げてもふる。

『ん-いい毛並みだ。ブラッシングはちゃんとされてあるな。あといい匂いもする』

「白哉に猫用シャンプーの新しいの買ってもらったんだ!白哉に風呂に入れてもらって、ブラッシングもしてもらった!」

白哉も浮竹と京楽のことがお気に入りなので、二人の世話はよく白哉がしてくれた。

『せっかくだから、泊まっていくか?』

「ああ」

「うん」

魔王の浮竹と幽鬼の京楽は、浮竹だけでなく京楽も甘やかした。

おいしいキャットフードに、お風呂にいれてもらってブラッシングをしてもらった後、チュールをもらってねずみのおもちゃとか猫じゃらしで遊んでくれた。

「ん-、眠くなってきた」

「ボクも」

いつも昼寝をする時間なので、魔王の浮竹は机の上に京楽を、膝の上に浮竹をのせながら書類仕事をしていた。

「にゃーん」

浮竹が起き出して、体を伸ばす。

すると、ぱちりと京楽の目があいて、鳶色の目を瞬かせた。

「そっか。ボクたち捕まって魔王の君のところへ連れてこられたんだった」

『ほんとに、気をつけろよ?今回は俺のところに献上したバカでよかったが』

「うん。気を付ける。チュールちょうだい」

「あ。俺も!」

おいしいチュールを食べて、浮竹と京楽は猫の姿のまま中庭で互いでおかけっこを始める。

『和むねえ』

『ああ。人の姿でもいいが、猫の姿でいられるとかわいくてたまらん』

『浮竹、でもうちの子にはできないよ?』

『むむむ‥‥‥‥‥』

魔王の浮竹は、なんとかうちの子にしたいと考えていたが、浮竹と京楽は白哉を主と認めているし、奪ってもなんだからと諦める。

魔王の浮竹のところへ、手紙をつけた鳩が飛んでくる。

相手は白哉からだった。

浮竹と京楽が拉致されててしまい、至急応援を求むという内容だったので、救出して魔王城にいると返信の手紙をくくりつけて、鳩を離す。

「白哉からの手紙か?」

『ああ、そうだ。お前たちが攫われたから、応援を求めるという内容だった』

「夜はここに泊まるから、一度、白哉の家に戻るな?心配をかけたままじゃあれだから」

『一応、無事だという返信をしておいたんだが、手紙が届くよりお前たちが直接帰ったほうが早いな。白哉に無事な姿を見せてくるといい』

「ありがとうね、魔王の浮竹」

「ありがとう、魔王の俺」

浮竹と京楽は、テレポートの魔法で一度白哉の家に戻った。

「浮竹、京楽!無事であったか!」

焦っていた様子の白哉が、安堵のため息を零す。

「宝石につられて、人間の罠にかかって眠りのガスで眠らされた。献上先が魔王城で、魔王の俺に助けてもらった」

「そうか。献上先が、魔王の元でよかった。コレクターのところに運ばれていたら、剥製にされていたかもしれぬ」

それを想像して、浮竹と京楽は蒼くなる。

「猫の姿を剥製にするのかな?」

「分からぬ。だが。亜人の姿のまま剥製にするわけもにいくまい。多分、猫の姿で殺されて毛皮をはがされて、肉や臓物は京楽の場合は悪魔崇拝の手に、浮竹は剥製にされずに白涙石を目的に虐待され続けていたかもしれぬ」

「人間って怖い」

「怖いね」

もう大分慣れてきたが、それでも自分たち黒猫と白猫の亜人を狙う輩が多いのだと、改めて知らされた。

「まぁ、ボクらは魔法が使えるから。なんとかなるんじゃない?」

「その割には、今回簡単に捕まってしまったな。慢心はいかんぞ」

「うん、気をつけるよ」

「気をつける。なぁ、白哉、紫水晶の結晶もってないか?」

「あるにはあるが。そんなもの、どうするのだ?」

「罠に綺麗な紫水晶があったんだ。欲しくなったから」

白哉は、使用人を呼んで、加工前の紫水晶をもってくる。

「俺の首輪につけれるか?」

「ぶら下げる形でいいのか?」

「うん、それでいい」

「しばし待て」

白哉は、魔法で浮竹の純金の首輪に小さな紫水晶の欠片をぶら下げた。

「ありがとう、白哉!」

ごろごろと喉を鳴らして、浮竹は白哉にすり寄る。

「たやすい用事だ」

「浮竹、魔王城には行かないの?」

「あ、行く。白哉、今日は魔王城で泊まってくる!」

「うむ。気をつけていくように。京楽もだぞ」

「は~い」

二人は、魔王城までテレポートすると、猫の姿になって、魔王の浮竹の腕に飛び込む。

『お、戻ってきたか。おや、白猫の俺は、アメジストの原石をぶら下げているな。白哉にしてもらったのか?』

「そうなんだ。罠に、紫水晶がおいてあって、どっても綺麗だったから、同じ紫水晶の欠片を首からぶら下げれるように頼んだんだ」

『そうか。他に欲しくなった宝石があればなんでもいうといい。宝物庫にないものは取り寄せよう』

「魔王の俺、これあげる!」

浮竹は、桜色の貝殻を魔王の自分にあげた。

「これは?」

「この前、市場で売ってたんだ。魔王の俺に似合うと思って、お小遣いで買った!」

『そうか。綺麗だな。大切にする』

「幽鬼のボクには、アイスのあたりくじあげるね?」

『差が激しくて微妙だけど、もらっておくよ』

ふと、浮竹が貝殻を見てこう言う。

「今度、海に遊びに行きたい。浜辺のあるとこに」

『ふむ。プライベートビーチにでも、連れていってやるか』

「わーい」

素直に喜ぶ浮竹がかわいくて、京楽は猫の姿のまま浮竹にすり寄る。

そんな浮竹と京楽を、魔王の浮竹と幽鬼の京楽はもふるのであった。

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