エンシェントエルフとダークエルフ25
ケルピー。
水属性の馬のモンスターであった。水魔もしくは水霊の一種ともいわれていた。
そのケルピーが、馬の牧場を襲い、雌馬を妊娠させてしまうのだという。
牧場の主は、ケルピーに誘われて、川で溺死体として見つかった。
牧場が襲われている時点で対処すればよかったのだが、高ランクの冒険者がおらず、Cランクの冒険者が討伐に向かったのだが、ケルピーにやられて半死半生で戻ってきた。
Bランクの依頼であったが、他にぱっとする依頼もなく、Aランクの浮竹と京楽が引き受けることとなった。
「あらん、ケルピー退治?ケルピーはセイレーンみたいに人を惑わせて、食わないけど溺死させることがあるから、注意してねん?♡」
セイレーンの歌声に惑わされて、幸福な夢を見ながら昏睡状態に陥ったことのある浮竹は、顔を引き締めた。
「ケルピーの惑わしには、気をつけるぞ。お互い、注意していこう」
「そうだね」
ケルピーが出るのは、イアラ帝国から少し離れた、ウア王国だった。
ウア王国でも冒険者ギルドはあるが、ケルピーの退治を失敗して死人を出しており、急遽イアラ帝国にも依頼書が届いたのだ。
「ウア王国にはいったことないからね。帰りは転移魔法で帰れるけど、行きは辛抱してね」
「ああ、分かった」
「くくるーー!」
今回も、ブルンと一緒だった。
3日かけてウア王国まで馬車で到着すると、そこからまた場所を乗りついで、半日かけてそのケルピーが出僕するという馬の牧場までやってきた。
「ああ、冒険者の方ですか。私は今この牧場を管理している者です。兄がケルピーに殺されて、それからも雨の日になるとケルピーが牧場に現れて、雌馬を襲うんです」
「確か、天気予報では明日が雨だったね」
「はい。明日、ケルピーが出没すると思いますので、今夜は宿の代わりに我が家をご使用ください」
ケルピーに溺死させられた牧場主の弟だという人物に、一晩の宿を借りることになった。
「どう思う、浮竹?」
「ケルピーは、普通ケルピー同士で結ばれて仔馬を産む。メスが乱獲されて数が激減しているのかもしれないな」
「ケルピーは食用にもなるからね。雌馬のほうがうまいってされてあるから、乱獲されたのかもね」
実は、影の暗躍者がケルピーのメスを大量に乱獲して、研究素材にしているのだが、その事実を浮竹と京楽は知ることはなかった。
翌日は大雨だった。
近くの川が増水して、氾濫の恐れがあったが、浮竹と京楽は仮眠をとって、モンスターが出るであろう夜に備えた。
「HIHINNN」
「出た、ケルピーだ!」
馬の鳴き声が外から聞こえてきて、急いで浮竹と京楽は厩(うまや)のある方へ向かった。
厩では、雌馬が怯えていた。
ケルピーの数は全部で15匹。
思っていたよりも多かった。
3~4匹を想像していた。牧場主の話でも、現れたのは3匹程度と言っていたので、その数の多さに、まずは魔法で足止めをする。
「エターナルアイシクルワールド!」
地面を凍らせて、ケルピーの足も凍らせた。
ケルピーは水の玉を使って、こっちに射撃してくる。
もしくは、水の玉で顔を包み込んで、溺死させようとしてきた。
「HIHIHINN」
「ヒヒーン」
「なんだ?」
浮竹と京楽は、水の玉を火の魔法で相殺させながら、苦しみ出した普通の雌馬をみた。
その雌馬の腹から、仔馬のケルピーが腹を食い破って出てきた。
「この子を、迎えにきたんだろう」
仔馬は、すぐにケルピーの元にいき、水の散弾を飛ばしてきた。
「フレアサークル!フレイムロンド!ファイアフェニックス!」
「HIHIHINN!!」
ケルピーたちは、炎の魔法で焼かれて、身に纏っている水分を蒸発させられて、倒れていく。
「炎の魔法が有効だよ」
「そんなの、始めから知ってる。産まれてきたばかりで悪いが、あの世にいってもらおう。エターナルゴッドフェニックス!!」
炎の高位呪文を浮竹が放つ。
ケルピーたちは、浮竹と京楽を溺死させるために人を操る鳴き声を出した。
「HIHINN~~」
京楽が、ケルピーの元に行こうとするのを、浮竹が剣の鞘を頭に投げて、正気づかせた。
「はっ、僕は!?」
「ケルピーの誘いの鳴き声に惑わされていた」
「ありがとう、浮竹。お陰で正気に戻ったよ。たんこぶできたけど」
「溺死に比べれば、たんこぶの100や200、軽いもんだろ」
京楽が正気に戻る頃には、ケルピーたち浮竹の魔法で焼かれて倒れていた。生まれたばかりのケルピーの仔馬も死んでいた。
「かわいそうだが、こうするしかない。雌馬のほうは?」
「だめだよ。腹を食いう破られていて、即死だよ」
「そうか・・・・・」
他の雌馬たちは無事だった。牡馬ももちろんのこと、仔馬も元気だった。
「ヒヒーン」
「ブルルル」
この騒ぎで起き出した馬たちが、神経過敏になっていた。
牧場主を起こして、ケルピーの退治が済んだことを知らせると、一頭の白馬の牡馬を連れてきた。
「この子、馬車を引くのにいいんです。ただ、その馬車が事故にあちゃって、返品されちゃって。よければ、連れていってやってください」
「家で飼うことはできないから、冒険者ギルドの厩で暮らすことになるけど、いいの?」
「放牧すると、他の牡馬にいじめられるんです。雌馬もよりつかなくて。冒険者ギルドの厩ってことは、しっかりしたものなのでしょう?」
「ああ、まぁな。馬車の貸し出しも行っているから、専門の職の人もいる」
「じゃあ連れて行ってやってください」
「ケルピーの死体はどうするの?」
「馬肉して、近所に差し入れます」
「ケルピーは確かに食用にもなるしな。分かった、じゃあ死体はこのままにして・・・・」
「解体、手伝ってくださあああいい」
「冒険者ギルドの解体工房の人を呼んだほうがよさそうだね。ちょっと、呼んでくるよ」
京楽は空間転移の魔法でイアラ帝国の冒険者ギルドにいくと、解体工房にいた解体作業人を連れて戻ってきた。
「この15体のケルピーの解体を頼む」
「出張サービスなんて久しぶりですね。任せてください。食用にするんですね?」
「ああ、頼む」
「お願いします」
浮竹と京楽も手伝たが、浮竹と京楽はそれぞれ1匹ずつ解体している間に、解体作業人は13匹と仔馬のケルピーの解体を終えてしまった。
「食肉用なら、金貨40枚で買取りますが」
「どうする。ここは、牧場主であるあなたの判断にゆだねる」
「あ、じゃあ買いとってください。20枚をこちらに、残りの20枚を冒険者さんにあげてください」
「毎度あり!」
解体作業人は、アイテムポケットにケルピーの肉を入れて、金貨20枚をそれぞれ、牧場主と浮竹と京楽に渡した。
「くくるーー!」
ブルンが、解体して余った骨やいらない部位を、ごみとして溶かして食べていった。
「じゃあ、僕たちは帰るね?」
「あ、本当にありがとうございました。ケルピーの子を宿した雌馬には、流産してもらおうと思います」
「ああ、がんばってくれ」
ブルンを頭の上に乗せて、浮竹は京楽と手をつなぐ。京楽は白馬に手を置く。解体作業人も、白馬に手を置いた。
一人分の転移魔法で、手を繋いでいたり触れていたりすると、移動できるのだ。全員に空間移動の魔法を使うのは魔力がいる。
冒険者ギルドに戻ると、キャサリンが怒っていた。
「もう、勝手に解体工房の解体作業人を連れ出さないでちょうだい!」
「ああ、ごめんね。青髭オカマ」
「ブス」
「何か言ったかしら?」
浮竹の悪口に、ポキポキと関節を鳴らすオカマのギルドマスターは、ケルピーの新鮮が肉が手に入ったので酒場で馬刺しを食べようという声につられて、行ってしまった。
「浮竹、いくら本当のことだからって、ブスはまずいよ」
「ブスにブスと言って何が悪い」
浮竹はけっこう毒舌だった。
ギルドの厩に、白馬を連れて行き、餌や水やり、ブラッシングとか蹄の手入れとかもろもろを頼みこむ。特別にかまってやってくれと話をつけて、金貨5枚を厩の職人に払った。
冒険者ギルドに戻ると、ブルンの様子がおかしくなった。
「くくるー・・・・・・」
「ブルン?具合でも悪いの?」
「くくう・・・」
ぱっと、眩しい光が満ちた。
その中心には、ブルンがいた。
「存在の進化か!ケルピーの骨とかを食べたんで、LVUPしたんだ」
「エンジェリングスライムかい?」
「くくるーー!!」
ブルンは、以前と大きさが変わらないが、頭の上の輪っかが光っており、翼が背中にはえていた。
ぱたぱたと、飛んだ。
まだぎこちなく、天井にぶつかって落っこちてきた。
「ブルン、大丈夫?」
「くるるー!!」
「大丈夫みたいだな。魔石を買い取ってもらって、報酬金を受け取って帰ろう」
ケルピー15匹+ケルピーの仔馬の魔石で金貨25枚。報酬金はBランクの依頼であったので、金貨150枚だった。
「まぁまぁだね」
「うん、まぁまぁだ」
Bランクの依頼としては、普通なほうだった。
「僕らも、久しぶりに酒場で食事していかない?ケルピーの解体してたら、馬刺しが食べたくなちゃった」
「仕方ないな、京楽は」
二人は、酒場で新鮮な馬刺しを食べて、酒を飲むのだった。
----------------------------------------------------------
「ケルピーのメスを使った実験は終わりだ」
ワイングラスに真っ赤な血のようなワインを注ぎ込み、影の暗躍者はワインを飲み干した。
「さて、次は何を実験に使おうか?」
男の背後では、水槽の中に光る物体が蠢いていた。
地下に降りる。
ケルピーのメスが、黄金の試験官の中に並んでいた。
その黄金の液体を捨てると、試験官の中でケルピーのメスたちは声もなく液体化して崩れていくのだった。
水属性の馬のモンスターであった。水魔もしくは水霊の一種ともいわれていた。
そのケルピーが、馬の牧場を襲い、雌馬を妊娠させてしまうのだという。
牧場の主は、ケルピーに誘われて、川で溺死体として見つかった。
牧場が襲われている時点で対処すればよかったのだが、高ランクの冒険者がおらず、Cランクの冒険者が討伐に向かったのだが、ケルピーにやられて半死半生で戻ってきた。
Bランクの依頼であったが、他にぱっとする依頼もなく、Aランクの浮竹と京楽が引き受けることとなった。
「あらん、ケルピー退治?ケルピーはセイレーンみたいに人を惑わせて、食わないけど溺死させることがあるから、注意してねん?♡」
セイレーンの歌声に惑わされて、幸福な夢を見ながら昏睡状態に陥ったことのある浮竹は、顔を引き締めた。
「ケルピーの惑わしには、気をつけるぞ。お互い、注意していこう」
「そうだね」
ケルピーが出るのは、イアラ帝国から少し離れた、ウア王国だった。
ウア王国でも冒険者ギルドはあるが、ケルピーの退治を失敗して死人を出しており、急遽イアラ帝国にも依頼書が届いたのだ。
「ウア王国にはいったことないからね。帰りは転移魔法で帰れるけど、行きは辛抱してね」
「ああ、分かった」
「くくるーー!」
今回も、ブルンと一緒だった。
3日かけてウア王国まで馬車で到着すると、そこからまた場所を乗りついで、半日かけてそのケルピーが出僕するという馬の牧場までやってきた。
「ああ、冒険者の方ですか。私は今この牧場を管理している者です。兄がケルピーに殺されて、それからも雨の日になるとケルピーが牧場に現れて、雌馬を襲うんです」
「確か、天気予報では明日が雨だったね」
「はい。明日、ケルピーが出没すると思いますので、今夜は宿の代わりに我が家をご使用ください」
ケルピーに溺死させられた牧場主の弟だという人物に、一晩の宿を借りることになった。
「どう思う、浮竹?」
「ケルピーは、普通ケルピー同士で結ばれて仔馬を産む。メスが乱獲されて数が激減しているのかもしれないな」
「ケルピーは食用にもなるからね。雌馬のほうがうまいってされてあるから、乱獲されたのかもね」
実は、影の暗躍者がケルピーのメスを大量に乱獲して、研究素材にしているのだが、その事実を浮竹と京楽は知ることはなかった。
翌日は大雨だった。
近くの川が増水して、氾濫の恐れがあったが、浮竹と京楽は仮眠をとって、モンスターが出るであろう夜に備えた。
「HIHINNN」
「出た、ケルピーだ!」
馬の鳴き声が外から聞こえてきて、急いで浮竹と京楽は厩(うまや)のある方へ向かった。
厩では、雌馬が怯えていた。
ケルピーの数は全部で15匹。
思っていたよりも多かった。
3~4匹を想像していた。牧場主の話でも、現れたのは3匹程度と言っていたので、その数の多さに、まずは魔法で足止めをする。
「エターナルアイシクルワールド!」
地面を凍らせて、ケルピーの足も凍らせた。
ケルピーは水の玉を使って、こっちに射撃してくる。
もしくは、水の玉で顔を包み込んで、溺死させようとしてきた。
「HIHIHINN」
「ヒヒーン」
「なんだ?」
浮竹と京楽は、水の玉を火の魔法で相殺させながら、苦しみ出した普通の雌馬をみた。
その雌馬の腹から、仔馬のケルピーが腹を食い破って出てきた。
「この子を、迎えにきたんだろう」
仔馬は、すぐにケルピーの元にいき、水の散弾を飛ばしてきた。
「フレアサークル!フレイムロンド!ファイアフェニックス!」
「HIHIHINN!!」
ケルピーたちは、炎の魔法で焼かれて、身に纏っている水分を蒸発させられて、倒れていく。
「炎の魔法が有効だよ」
「そんなの、始めから知ってる。産まれてきたばかりで悪いが、あの世にいってもらおう。エターナルゴッドフェニックス!!」
炎の高位呪文を浮竹が放つ。
ケルピーたちは、浮竹と京楽を溺死させるために人を操る鳴き声を出した。
「HIHINN~~」
京楽が、ケルピーの元に行こうとするのを、浮竹が剣の鞘を頭に投げて、正気づかせた。
「はっ、僕は!?」
「ケルピーの誘いの鳴き声に惑わされていた」
「ありがとう、浮竹。お陰で正気に戻ったよ。たんこぶできたけど」
「溺死に比べれば、たんこぶの100や200、軽いもんだろ」
京楽が正気に戻る頃には、ケルピーたち浮竹の魔法で焼かれて倒れていた。生まれたばかりのケルピーの仔馬も死んでいた。
「かわいそうだが、こうするしかない。雌馬のほうは?」
「だめだよ。腹を食いう破られていて、即死だよ」
「そうか・・・・・」
他の雌馬たちは無事だった。牡馬ももちろんのこと、仔馬も元気だった。
「ヒヒーン」
「ブルルル」
この騒ぎで起き出した馬たちが、神経過敏になっていた。
牧場主を起こして、ケルピーの退治が済んだことを知らせると、一頭の白馬の牡馬を連れてきた。
「この子、馬車を引くのにいいんです。ただ、その馬車が事故にあちゃって、返品されちゃって。よければ、連れていってやってください」
「家で飼うことはできないから、冒険者ギルドの厩で暮らすことになるけど、いいの?」
「放牧すると、他の牡馬にいじめられるんです。雌馬もよりつかなくて。冒険者ギルドの厩ってことは、しっかりしたものなのでしょう?」
「ああ、まぁな。馬車の貸し出しも行っているから、専門の職の人もいる」
「じゃあ連れて行ってやってください」
「ケルピーの死体はどうするの?」
「馬肉して、近所に差し入れます」
「ケルピーは確かに食用にもなるしな。分かった、じゃあ死体はこのままにして・・・・」
「解体、手伝ってくださあああいい」
「冒険者ギルドの解体工房の人を呼んだほうがよさそうだね。ちょっと、呼んでくるよ」
京楽は空間転移の魔法でイアラ帝国の冒険者ギルドにいくと、解体工房にいた解体作業人を連れて戻ってきた。
「この15体のケルピーの解体を頼む」
「出張サービスなんて久しぶりですね。任せてください。食用にするんですね?」
「ああ、頼む」
「お願いします」
浮竹と京楽も手伝たが、浮竹と京楽はそれぞれ1匹ずつ解体している間に、解体作業人は13匹と仔馬のケルピーの解体を終えてしまった。
「食肉用なら、金貨40枚で買取りますが」
「どうする。ここは、牧場主であるあなたの判断にゆだねる」
「あ、じゃあ買いとってください。20枚をこちらに、残りの20枚を冒険者さんにあげてください」
「毎度あり!」
解体作業人は、アイテムポケットにケルピーの肉を入れて、金貨20枚をそれぞれ、牧場主と浮竹と京楽に渡した。
「くくるーー!」
ブルンが、解体して余った骨やいらない部位を、ごみとして溶かして食べていった。
「じゃあ、僕たちは帰るね?」
「あ、本当にありがとうございました。ケルピーの子を宿した雌馬には、流産してもらおうと思います」
「ああ、がんばってくれ」
ブルンを頭の上に乗せて、浮竹は京楽と手をつなぐ。京楽は白馬に手を置く。解体作業人も、白馬に手を置いた。
一人分の転移魔法で、手を繋いでいたり触れていたりすると、移動できるのだ。全員に空間移動の魔法を使うのは魔力がいる。
冒険者ギルドに戻ると、キャサリンが怒っていた。
「もう、勝手に解体工房の解体作業人を連れ出さないでちょうだい!」
「ああ、ごめんね。青髭オカマ」
「ブス」
「何か言ったかしら?」
浮竹の悪口に、ポキポキと関節を鳴らすオカマのギルドマスターは、ケルピーの新鮮が肉が手に入ったので酒場で馬刺しを食べようという声につられて、行ってしまった。
「浮竹、いくら本当のことだからって、ブスはまずいよ」
「ブスにブスと言って何が悪い」
浮竹はけっこう毒舌だった。
ギルドの厩に、白馬を連れて行き、餌や水やり、ブラッシングとか蹄の手入れとかもろもろを頼みこむ。特別にかまってやってくれと話をつけて、金貨5枚を厩の職人に払った。
冒険者ギルドに戻ると、ブルンの様子がおかしくなった。
「くくるー・・・・・・」
「ブルン?具合でも悪いの?」
「くくう・・・」
ぱっと、眩しい光が満ちた。
その中心には、ブルンがいた。
「存在の進化か!ケルピーの骨とかを食べたんで、LVUPしたんだ」
「エンジェリングスライムかい?」
「くくるーー!!」
ブルンは、以前と大きさが変わらないが、頭の上の輪っかが光っており、翼が背中にはえていた。
ぱたぱたと、飛んだ。
まだぎこちなく、天井にぶつかって落っこちてきた。
「ブルン、大丈夫?」
「くるるー!!」
「大丈夫みたいだな。魔石を買い取ってもらって、報酬金を受け取って帰ろう」
ケルピー15匹+ケルピーの仔馬の魔石で金貨25枚。報酬金はBランクの依頼であったので、金貨150枚だった。
「まぁまぁだね」
「うん、まぁまぁだ」
Bランクの依頼としては、普通なほうだった。
「僕らも、久しぶりに酒場で食事していかない?ケルピーの解体してたら、馬刺しが食べたくなちゃった」
「仕方ないな、京楽は」
二人は、酒場で新鮮な馬刺しを食べて、酒を飲むのだった。
----------------------------------------------------------
「ケルピーのメスを使った実験は終わりだ」
ワイングラスに真っ赤な血のようなワインを注ぎ込み、影の暗躍者はワインを飲み干した。
「さて、次は何を実験に使おうか?」
男の背後では、水槽の中に光る物体が蠢いていた。
地下に降りる。
ケルピーのメスが、黄金の試験官の中に並んでいた。
その黄金の液体を捨てると、試験官の中でケルピーのメスたちは声もなく液体化して崩れていくのだった。
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