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エンシェントエルフとダークエルフ32

Sランクの依頼を受けた。

Sランク試験まであと2年を切った。できる限り実績を踏み、力をつけておきたかった。

今回は、漁場を荒らし回っているクラーケンの退治だった。

敵が巨大なので、剣は使わずに魔法で倒すことになった。

大きな船に乗って戦うことも考えたが、船がだめになる可能が高いので、京楽の魔法でフライウィングという空を飛ぶ魔法で海に出て、浮かんできた巨大なクラーケンに、二人は雷の魔法を放った。

浮竹は、師匠の修行のお陰か、火、水、氷の他に風と雷の魔法を使えるようになっていた。

「「サンダーボルテックス」」

二人は、雷の禁忌を使った。

クラーケンはこんがり焼けて、ぷかぁと浮かんできた。

それだけならまだ良かった。

周りの魚たちも感電死して、ぷかぁと浮かんでいた。

その数たるや大量。

「ちょっと、冒険者さん、クラーケンを退治してくれたことには感謝しますが、やり過ぎですよ!港に近い場所じゃ魚とれなくなったじゃないですか!」

漁業に携わる者たちは、とりあえず浮かんでいる魚の死体を全部回収して、近隣の住民に分けあたえたりして、なんとか無駄にならないようにしていた。

「クラーケンの死体は、あなたたちが責任をもってなんとかしてくださいね!」

報酬金は金貨600枚だったが、被害が多かったので半額の300枚にされた。

「浮竹ー今度からはオーバーキルになるのはよそうね」

「そうだな」

報酬金を半額にされたことに嘆きながら、とりあえずクラーケンの巨大な体を輪切りにしてアイテムポケットにいれた。

そして一言。

「イカ焼きが食いたい」

「クラーケンでイカ焼きできるかな?」

「文献では、クラーケンの肉というか身は食えるらしい」

京楽が空間転移の魔法を使い、冒険者ギルドで半額の報酬の金貨300枚と魔石の買取金25枚を受け取ると、キャサリンは解体工房にクラーケンを出せと言い出した。

「輪切りになってるよ」

まさか提出になるとは思わず、輪切りにされてこんがり焼かれたクラーケンが出された。

めっちゃイカ焼きの匂いがして、浮竹は齧ってみた。

「うん、うまい。イカ焼きになってる」

「ちょっと、解体工房に出したのに何食べてるの。でもおいしそう、僕も」

京楽はナイフを取り出して、一番おいしそうなゲソを一口食べた。

「おいしい」

「な?」

「ちょっとあなたたち!ギルドで買わなくていいのね、このクラーケン。随分こげちゃってるし、素材としてはだめだわ」

「今回はクラーケンの買取りはなしということで」

京楽は、クラーケンをアイテムポケットに直した。

ちなみにアイテムポケットには、海に浮かんでいた魚やエビといった、新鮮な魚介類がたまっていた。

責任をもてと、買いとらされたのだ。

金貨50枚分はふっとんでいった。

アイテムポケットには時間の流れはない。魚介類を置いていても、腐ることはなかった。

一度家に帰り、浮竹と京楽はクラーケンでイカ焼きを作った。

次に買いとった海老や魚を、クラーケンを小さく切った身をいれてパエリアを作った。

さらについで、海鮮丼もつくった。

全部、4人分である。

「よし、師匠たちにも食べてもらおう」

「くくるーー」

ブルンは、海老の皮やら、酒の骨などを大量に食べてもらった。

早速出来上がったあつあつのまま、アイテムポケットに夕飯となる飯をいれて、京楽は空間転移の魔法で剣士の京楽の家にきた。

チリンチリン。

べるを鳴らすと、剣士の京楽が出てきた。

『どうしたの』

「師匠、夕飯の差し入れです」

『ええっ!今作ってる途中なんだけど』

「それは明日にでもまわして、今夜はこれを食べてよ」

京楽と浮竹は、イカ焼き、パエリア、海鮮丼を出していった。

「お、うまそうな匂いがするな」

精霊の浮竹がつられて玄関に置かれた料理のイカ焼きを手に取って、食べる。

「なんだこのイカ焼き!人生で食べてきたイカの中で一番うまい!」

「それ、クラーケンのイカ焼きだよ」

『クラーケン!食べるのは初めてだ』

「それは僕もだったんだけど、普通のイカよりおいしくてびっくりしたよ」

京楽が、おみやげだと、魚やエビ、貝類をくれた。

『そうか、クラーケン退治して、雷の禁忌でも放って、やりすぎたんだね?』

「「ぎくっ」」

ブルンが、部屋に奥にいるプルンに会いに入って行ってしまった。

「ププウ!」

「くくる~~」

『まるで出前だね。まぁ、玄関でいるのもなんだし、料理もってリビングルームにでもおいでよ』

剣士の京楽の許可が出たので、家に上がらせてもらった。

精霊の浮竹は、クラーケンのイカ焼きが気に入ったようで、さっきからおかわりばかりしていた。

「くくる~~~」

「ププウ」

2匹にも、プルンには林檎を大量と、魚介類のゴミをブルンに与えた。

エルフ浮竹と京楽も、パエリアと海鮮丼を食べていく。イカ焼きはここに来るまでけっこう食べたからだ。

「もうだめ、食べれない」

「勿体ない。まだこんなに残っているぞ。俺が残りを食おう」

「浮竹の胃って、ブラックホール?」

『ふふ、精霊の浮竹と一緒だね。よく食べるよ』

『俺は普通だ!』

イカ焼きだけですにで3人前を食べての意見だったので、みんなそういうことにしておいた。

「ププウ!!」

「くくるうーー」

見ると、遊んでいた2匹のプルンの王冠に、ブルンがはまってしまっていた。

「また、厄介なことを」

京楽が力の限りブルンをひっぱると、ブルンはすぽっと抜けたが、王冠の形になっていた。

『あははは、変な形!』

精霊の浮竹に笑われて、ブルンは「くるるー」といって、浮竹の頭の上に乗った。

「変な形のエンジェリングスライムだね、ブルン」

「くくう」

この形からなかなか治らない。ブルンはそう言った。

「ヒールしてみればどうだ」

エルフの浮竹の言葉に、ブルンは自分にヒールを使った。

歪な姿になっていたブルンの体系が、元の丸いスライムのものに戻った。

「くくるーー!!」

ブルンは喜んで空を飛び回り、照明にぶつかって墜落してきた。

「ぷぷう!」

お兄ちゃん、危ない!

すぽっ。

また王冠の中にはまってしまい、最初に逆戻りするのであった。

『結局、そうなるのね』

『王冠の上に着地しなければいいんじゃないのか』

もっとも精霊の浮竹の言葉に、2匹はびっくりするのであった。


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「最近、モンスターの活動が活発化している気がするんだけど、気のせいじゃないよね」

『そうだね。藍染の件もあるし、人工モンスターが暴れたりしている』

「藍染って何者なんだ?」

『僕と同じ不老不死。ただし、条件つきだけど。神人の失敗作で、定期的に人間の生き血を必要としている。自分が神になると思っている』

「なんとも、物騒な話だ」

「そうだね」

『君たちも、見かけたら注意するんだよ』

『そうだぞ」

「肝に銘じておくよ」

「分かった」

「ププウ」

「くくるー」

プルンとブルンは、また離れ離れになるこを嘆いたが、またすぐ会えると4人が言ってくれたので、悲しまずにお別れをした。

「じゃあ、こっちで何か情報が入り次第届けるよ」

『うん、そうしてくれると助かるよ』


こうして、クラーケン退治は4人の胃におさまり、終わるのであった。

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