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エンシェントエルフとダークエルフ36

緊急クエストだった。

イアラ帝国の北部にある、イエクとう町にメデューサが3匹現れ、町の住民はみんな石化されて滅ぼされてしまったというのだ。

イエクの町から帝都アスランはそう遠くなく、このままいけば帝都アスランまでくるということで、緊急クエストになった。

Sランクの依頼で、浮竹と京楽が引き受けた。

大金貨をつみあげて、錬金術士から絶対に石化しないお守りを手に、馬車でイエクの町にむかった。

2時間ほど馬車で走ったところに、イエクの町はあった。

みんな、住民は石像と化していた。

「あらぁ、まだ石化していない人間がいたの」

「おねえさま、こいつエルフよ。おいしそうだわ」

「おねえさま、こっちはダークエルフよ?食べればきっと肌艶がよくなるわ」

闇の種族には、京楽がダークエルフだと分かるようだった。

メデューサはモンスターだが、知性があるために闇の渾沌の眷属でもあった。

メデューサ達は、散々好き勝手なことをしゃべって、浮竹と京楽を石化させようとした。

「どうして!?石化の呪いが効かない!」

「石化すると分かっていて、対策もなしに乗り込んでくるよなあほは、いないよ」

「なら、その石化の対策とやらを壊さすだけよ!」

メデューサの髪の蛇が伸びて、攻撃してきた。

それを、浮竹はミスリル銀の魔剣で切り落とす。

「おのれええ、エルフがあああ」

「おねえさま、魔法を使いましょう」

「そうよ、おねえさま」

「「「三重詠唱〈トリプルフレア〉」」」

すごい灼熱の炎が襲ってきたが、京楽が魔法を唱える。

「カウンターマジックシールド」

「魔法が反射されて・・・きゃああああ!!」

「いやああ、あたくしの美しい顔が」

「おねえさま、このエルフたちの魔力、恐ろしいわ!」

メデューサ達は、石化光線を何度も浴びせるが、一向に石化しない浮竹と京楽をぐるりと取り囲んだ。

「よくも、わたくしたちの魔法を反射してくれたわね。生きたまま食ってやるわ!」

メデューサは蛇の下半身で、浮竹と京楽を締め上げた。

「さぁ、最後に言い残すことはあるかしら?」

「ブス」

浮竹は、そう言ってミスリル銀の魔剣で蛇の下半身を切り裂いた。

「ぎゃああああ!!!」

出血がおびただしく、治癒魔法も再生も使えないメデューサは、そのまま死んでしまった。

「おのれ!よくもおねえさまを!こいつがどうなってもいいの!」

残っていた2匹のメデューサは、蛇の尾で捕らえられている京楽の首に、頭の蛇をけしかけて噛んでしまった。

「ふふふ、もう終わりよ。猛毒で、こいつの命ももってあと半日・・・・・・」

「だそうだぞ、京楽」

「普通なら、美女に囲まれて嬉しいところなんだけど、こんな蛇の頭をもった美女なんていらないね。ソニックブーム!」

スパスパっと、京楽が放った音速を超える刃で、メデューサ2体の首は、胴と離れていた。

「なぜ、エルフ如きが上位悪魔にも匹敵する、わたくしたちを、こんなに簡単に・・・」

「それは、僕たちがSランク冒険者だからだよ」

京楽の言葉に、メデューサ達は戦慄した。

「Sランク・・・世界に150人もいないと言われる、伝説の冒険者・・・・」

「頭と胴を切り離したのにしぶといな。灰となれ、フレイムロンド!」

「ぎゃあああああ!」

「いやああああ!!」

残っていたメデューサ2匹も死んでいった。

「さて、ここからが大変だよ。ブルン、大仕事だ。町の住民全員の石化を解かないと」

「これだけ規模の数になると、1日では無理か・・・・ブルン、とりあえず京楽の毒を中和してやってくれ」

「くくるーー」

ブルンは光って、京楽に神ヒールをかけた。

「お、体が楽になった。ありがとうね、ブルン」

「くくるーーー」

アークエンジェリングスライムになったブルンは、魔法の範囲も広くなっていた。10メートル範囲にいる者全ての石化した住民を、神ヒールで解いていく。

ブルンのもつ神ヒールは特殊で、呪いや毒も消せた。

「あれ、俺たちは確かメデューサに・・・・・」

「あああ、助かった。あんたたちが助けてくれたのか」

「ありがとう、ありがとう」

10メートル範囲といっても、広い町だ。

全員の石化を解く頃には次の日の昼頃になっていた。

ブルンは、浮竹と京楽が仮眠をとっている間も、ひたすら神ヒールを唱え続けていた。

「このスライム・・・へへへ」

「くくるーーー!!」

町の住民の一人が、ブルンを布で包みこみ、攫って売り飛ばそうと考えていた。

「ぎゃああああああ!!」

ブルンは炎のブレスを吐いていた。

「どうしたんだ、ブルン!」

「くくるーくるー」

「何、こいつが攫って売り飛ばそうとしていた?けしからんな、火傷の治療はしなくていいぞ。町長はいるか」

浮竹は、町長を呼び出し、男が犯罪行為に走ったことを告げて、男は捕まった。

「なんてやつだ!町を助けてくれた英雄のスライムさんを、攫おうだなんて!」

ちなみに、浮竹と京楽は適度に感謝された。

ブルンがゴミを食べると言い出すと、住民たちは喜んでゴミをもってきて、ブルンに食べてもらた。

「くくるーー」

町中のゴミを食べて、ブルンは満足したようだった。

「ありがたい。町の中心に、ブルン様の銅像を建てよう!」

「くくるーーー!!」

ブルンは、アークエンジェリングスライムになったことで、七色から白い色になっていた。

翼も2枚から4枚に増えていた。

頭の輪っかは光り輝き、まさにスライムでなければ天使で通る。

「ブルン、お疲れさま。休憩、とってもよかったんだぞ?俺たちが仮眠してる間もヒール唱えてただろう」

「くくるーーー」

「1日や2日くらい寝なくても平気だって?まぁそうかもしれないが、今は休んでくれ」

「くくるう」

ブルンは、浮竹の頭の上に乗り、早速眠りはじめるのだった。

「あの、これ少ないですが、受け取ってください」

町の町長が、かき集めた金貨をさしだしてきた。

冒険先で報酬をもらうのは違法ではないため、ありがたくいただいておいた。

金貨400枚ほどが入っていた。

メデューサの石化を防ぐお守りを錬金術士に作ってもらうために、大金貨300枚を出したのだ。それを2個で、大金貨600枚になった。

メデューサの魔石もちゃんと採取しておいて、死体は火葬にしておいた。

「もうないと思うが、何かあったら冒険者ギルドまで依頼を出してくれ」

「ありがとうございました、ブルン様!!」

みんな、浮竹と京楽ではなくブルンにばかり礼を言う。

まぁ、命の恩人であるのだから仕方ない。

冒険者ギルドに戻り、報酬の大金貨500枚をもらい、魔石を鑑定してもらって、魔石の買取り額は大金貨50枚だった。

何気に赤字だった。

錬金術士の知り合いは少なく、コネもないことで代金をふっかけられた。

ずっと使えるならいいが、有効期間は1年。

それで大金貨300枚は、高いのか安いのかわからないが、命の無事を保証してくれるなら安いほうだろう。

「ブルン、今日は特別だぞ。帝都アスランのゴミ処理施設に連れてってやる」

「くくるううう!!!」

ゴミ処理施設と聞いて、ブルンは涎を垂らしそうになっていた。

「くくる!」

「はいはい、今から連れてってあげるから。そんなに急かさないの」

ブルンは、結局食いだめができるため、帝都アスランのゴミ処理施設にあったゴミを、綺麗なまでに食べてしまうのだった。




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