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オメガバース京浮読み切り短編

学院で、1年に1回検査がある。

それは、オメガかアルファかベータであるかという検査だ。

先天的なものが多いが、まれに後天的にオメガになったり、アルファになったり、ベータになったりすることがあるので、検査はかかせなかった。

浮竹は、ずっとベータだった。

検査の結果、オメガと分かり、特進クラスの者はほぼアルファなので、オメガの浮竹は抑制剤を飲んで、首に番にされないように首輪をつけることが義務づけられた。

「なんで、俺はオメガなんだ‥‥」

浮竹は、自分を責めた。

「ボクは、君がオメガだろうとアルファだろうとベータだろうと好きだよ?」

「京楽‥‥‥」

ベータ時代から、浮竹はアルファである京楽と付き合っていた。

付き合うといっても、友達の延長線みたいなかんじで、いつも一緒にいて、キスやハグをするくらいだった。

「君がオメガってことは、君を正式に娶れる。ボクと結婚しよう、浮竹」

「京楽、俺は‥‥」

「オメガであることが苦しいんでしょう?ボクと番になろう」

「京楽、いいのか?俺は下級貴族で、病弱で肺の病を患っている」

浮竹は、自分の首につけられた首輪に触れた。

「大丈夫。薬代もほとんどボクが出してるし、体調のかんばしくない時は無理強いしないし、番になろう。オメガで貴族で死神だと、君はきっと上級貴族の子を産むために番にさせられる。そうなる前に、ボクと番になろう」

「京楽も上流貴族だろうが」

浮竹が、クスリと笑った。

「君が他の男の番になるなんて、ボクは嫌だよ」

「俺も嫌だ。京楽がいい」

「じゃあ、ヒート期間がきたら、番になろう」

「分かった」

オメガと分かって半年経っても、浮竹にヒート期間は訪れなかった。

ある日、放課後にアルファの男たちに取り囲まれて、浮竹は恐怖していた。

性欲の対象として見られていたからだ。

「浮竹、抑制剤飲んでるんだろうけど、フェロモンが出てるんだよ。アルファをおかしくさせる」

「すまない、すぐに帰る」

「まぁまぁ、オメガなんだし、アルファの俺らと楽しもうぜ?」

首の首輪に触れられて、浮竹は心の中で京楽を呼んだ。

「俺は、オメガだが番になる予定の相手がいる。お前たちと遊ぶつもりはない」

「まぁ、そう固いこと言わずにさ」

院生の衣服に手をかけられて押し倒されて、浮竹は京楽の名を呼んでいた。

「京楽!!!」

「大丈夫、今きたよ。君たち、上流貴族であるボクの未来の伴侶に、何するつもりだったの。こととしだいによっちゃ、許さないよ?」

「げ、番の予定って京楽かよ」

「逃げろ、退学にさせられるぞ!」

「もう遅いんだけどね?顔覚えちゃたから」

男たちが去り、浮竹は地面に蹲る。

「浮竹、大丈夫かい?」

「怖かった。性欲の対象として見られてた」

「うん。でも、ボクも浮竹を性欲の対象として見てるよ?」

「何故か、京楽なら平気なんだ」

浮竹は、京楽の顔を見た。

「そう。性欲剤飲んだ?フェロモンがすごいよ」

「熱で、くらくらする」

「きっと、ヒートがきたんだね。部屋に戻ろう」

浮竹は、その日はなんとか寝れたが、次の日から人生で初めてのヒート期間がきて、熱にうなされる。

「浮竹、番になろう。抱くよ?」

「あ、京楽‥‥‥」

京楽は、浮竹を抱きしめて、キスをした。

「いやじゃ、ない?」

「ああ。お前なら、平気だ」

「もう、後戻りはできないからね」

京楽は、よく鍛えられた体を見せる。浮竹の衣服も脱がされたが、あまり筋肉がついていなくて浮竹は京楽の体が羨ましいと思った。

「京楽は、いい体をしているな。俺なんて、痩せっぽっちで‥‥‥」

「君はそのままでいいよ。白いきめ細かい肌が綺麗だね。少し長くななった白髪も、翡翠の瞳も大好きだよ」

「あっ」

胸の先端をつままれて、浮竹は声を出してしまい、手で口を塞ぐ。

「声、聞かせて?興奮するから」

「あ、春水‥‥あああ!」

初めて、浮竹は他人の手でいかされた。

「指、いれるよ?」

「んあう」

ぐちゅぐちゅと、潤滑油をまとった指が、浮竹の蕾を解していく。

「あ、なんか変だ。そこ、やだ」

「ああ、ここは前立腺がある部分なんだろうね。オーガズムでいってみる?」

京楽は、浮竹の弱いところを指で攻める。

「あああああ!!」

浮竹は、女のようにオーガズムでいくことを覚えた。

「あ、来い、春水」

浮竹は、自分から足を開く。

「はじめてだから、優しくしたいけど、ボクはずっと君にこんなことをしたいと思っていたからね。ちょっと激しくなるかも」

「あ、あ、あ、春水」

「もっと名前呼んで、十四郎」

浮竹と京楽は、ゆっくり交わった。

「あ、そこやぁ。変になるうう」

「奥、好きなの?」

「あ、分からない」

京楽は、ゆっくりと浮竹の奥に侵入する。

「あ、もっと激しくして平気だ」

「分かったよ」

京楽は、勢いつけて浮竹の奥を抉る。

「ひあああああ!」

「気持ちいい?」

「あ、気持ちいい。もっとおお」

「素直な十四郎はかわいいね」

「あ、春水」

京楽は、何度も浮竹の中を行き来して、浮竹の子宮の奥で精液を出した。

「ああああ!熱い」

「番にするよ?」

浮竹の首輪を外して、うなじを思い切り噛む。

お互い電流が走ったようなかんじがして、番になったのだと分かった。

「ボクは、君を正式な伴侶にする。親や山じいが何を言っても」

「春水、愛してる」

「ボクも愛してるよ、十四郎」

番になった二人は、ヒート期間学院を休み、睦み合った。

「アフターピルはどこ?」

浮竹は、まだ子どもを生みたくないので、あらかじめ用意されてあったアフターピルを探す。

「飲ませてあげる」

「ん‥‥‥‥」

京楽は、アフターピルと水を口に含むと、口移しで浮竹に飲ませた。

「ボクと番になったこと、後悔してない?」

「してない。するくらいなら、はじめから拒否する」

浮竹の頭を撫でて、京楽は浮竹が眠りにつくのを見ていた。

「君はボクのものだ。誰にも、渡さない」

番となった二人は、やがて卒業し死神になり、周囲の反対を押し切って籍を入れた。

浮竹は、京楽の子を二人産んだ。

兄がなくなり、京楽家の跡を継ぐ気のない京楽は、子を後継者とした。



「十四郎、ボクとこうなったこと、後悔してない?」

「してない。してたら番を解消するし、お前の子を産んだりしていない「

「そう。よかった」

二人は寄り添いあいながら、乳母を雇って子の面倒を見てもらいながら死神を続け、やがて隊長になるのであった。


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