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オメガバース京浮読み切り短編11

ある花街。

そこ一番の桜妓楼は、遊女も花魁が多く、とても美しい娘たちをそろえていた。

そんな中に、化粧を施された15歳くらいの花魁がいた。

「かわいいね?名前はなんていうの」

常連客の上流貴族出身の京楽は、初めて見るその花魁に興味をもった。

「違う。俺は花魁にされているが、遊女じゃない。色子だ」

「へ?色子の花魁?‥‥‥しかも君、オメガだね」

びくりと、15歳くらいの少年‥‥‥浮竹は、うなじを噛まれないように保護している首輪に触れる。

「面白いね。今日は君を指名するよ」

「本気か?俺は色子だぞ」

「色子とだって寝たこと何度もあるから大丈夫」

「でも、オメガだ。見たところ、お前はアルファだろう。上流貴族のアルファが、オメガの色子を買うなんて‥‥‥家の者が知ったら、嘆くぞ」

浮竹は、その日はじめて客をとる日だった。

花街でも常連の上客の京楽に指名されて、他の遊女たちが嫉妬する。

「だんな、こんな淫乱のオメガの色子なんてほっといて、あちきと遊びましょうよ」

「京楽様は私のものよ!この前、買ってくださったんだから!」

そんな醜い争いを続ける遊女や花魁を無視して、京楽は揚げ代をしこたま払い、浮竹を指名した。

「好きにするといい」

褥で、大の字になって動かない浮竹に、京楽が笑う。

「初めてなんだね。優しくするよ」

京楽の慣れた手つきと手管で、浮竹も反応してやるものかと決め込んでいたのに、気づけば啼いて京楽を喜ばせていた。

「あ、やだぁ、そこお」

「ここ、いいんだね?」

何度も奥を貫かれて、浮竹は中いきをする。

「んっ‥‥‥ボクももうもたない。中で出すよ?」

「ひああああ、だめぇ、子供できちゃう」

「アフターピル飲むんでしょ?」

「だめぇ、もしも子ができちゃったら‥‥‥‥」

「ボクが責任とるよ。だから、出すよ?」

京楽は、浮竹の子宮に子種をぶちまける。

「ひああああん!!!」

浮竹は初めてだというのに、乱れた。

夜があけて、朝になる。

「俺をまた買いにきてくれ。お前以外の男に抱かれるのはなんだかいやだ」

「ボクも同じこと考えていたよ。ボクだけの花魁でいて。金はまとめて支払っておくから、ボク以外の客をとっちゃだめだよ」

桜妓楼の女将に、大金をもたせて浮竹をもう、色子の花魁として見世に出さないように言いくるめた。

それから、京楽は3日に一度はやってきて、浮竹を抱いた。

「京楽」

「ごめん、今日は君を買えない。前に贔屓にしてた花魁の誕生日なんだ」

「そうか」

それだけを言い残して、浮竹は自分の部屋に戻る。

他の遊女たちから、繰り返し嫌がらせをされていた。

色子で、しかもオメガで、花魁にされたからと京楽ばかり独り占めしてずるいと。

今日の夕飯にも、虫が混じっていた。

「はぁ‥‥京楽は、俺を身請けなんてしてくれないだろうな。ただ珍しいから抱いてるだけで」

次の日、京楽の相手をしていた遊女が、女将に訴えた。

浮竹が、足抜けしようとしていると。

相手は、浮竹に惚れた男衆の一人だと。

女将は、男衆のざれごとを本気にして、遊女の言葉を信じて浮竹を折檻した。

「ちょっと、どうしたのその傷!」

京楽が浮竹を買いにいくると、傷を作った浮竹を見て驚く。

「足抜けしようとしていると疑いをかけられて、折檻された。言い出したのは菊花だ」

「昨日、ボクが買った花魁じゃないか。他には何かされた?」

「黙っていたが、遊女たちから嫌がらせを受けている。ご飯に虫を混ぜられたり、階段から突き落とされたり、他の男に犯されそうになったり」

浮竹の言葉を聞いて、京楽は顔色を変える。

「決めた。君を身請けする」

「京楽?」

「ボクは、これでも京楽家の当主だからね。ボクの決定には、この廓の女将も逆らえないよ」

「でも、俺は色子のオメガで」

「関係ないよ。君が好きなんだ。素直に、ボクのものになって」

京楽は浮竹を抱きしめた。

「京楽、俺もお前のこと好きだ。一緒にいたい」

「じゃあ、もう話つけてくるね。その前に、菊花のところにいこうか」


「あら、京楽様‥‥‥」

「浮竹に、足抜けしようとしているって嘘を女将に言ったんだってね」

「そ、そんなこと言ってないわ!それに、それは色子のくせに花魁の地位にいる、卑しい淫乱のオメガよ!」

「君から、そんな言葉を聞きたくなかった。浮竹はボクが引き取る」

菊花は、形相を変えて浮竹に詰め寄る。

「おのれ、あたしの客を奪うだけでなく身請けされるだって!」

浮竹の首を締めあげようとしたところで、京楽に阻まれた。

「京楽様、これは誤解です!」

「もう遅いよ。この廓の色子の花魁は、今日をもっていなくなる」

「京楽?」

浮竹が首を傾げる。

「もう、身請けの代金は払っておいたから。菊花には、さよならを告げるために昨日指名したんだ」

「俺を、身請けしてくれるのか?」

「こんな環境で客を取り続けていたら、君は多分死ぬよ?」

「同情か?」

「違う。君が好きだよ。君を買うたびに、愛らしく思っていた」

「京楽、俺もお前が好きだ」

浮竹は、京楽に抱きしめられた後、身請けの手続きをしにいった。



「これで、君は自由だ。まぁ、ボクのものなんだけど」

「俺はそれでかまわない」

「君は、どこまでもかわいいねぇ」

京楽は、浮竹にキスをして、自分の館に連れていくと抱いた。

「あ、京楽」

「春水って呼んで?」

「あ、春水、そこだめぇ」

「十四郎、番になろう。ボクの正式な妻になってほしい」

「ひああああ!!!あ、なるうう」

京楽は、浮竹の奥を突きあげながら、浮竹の首輪をとった。

「噛みつくよ?番にするからね?」

「ああああ!!!」

うなじに噛みつかれて、浮竹は京楽の番になった。

「あ、体が熱い。ヒートがきたみたいだ」

「年のわりにヒートこないからどうなってるんだろうと思ってたけど、薬飲んでたんだね」

「フェロモンで、アルファを無駄に誘惑しないようにと‥‥」

「そんなの、今は不要だからね。さぁ、子種をたくさんあげるから、ボクの子孕んでね?」

「ひああああ!!!」

京楽は、浮竹を突き上げる。

浮竹は、背をしならせて、いってしまう。

浮竹の長い白髪をいじりながら、京楽は浮竹の心も手に入れられたと、誇らしげだった。

「お前は、俺の初めで最後の客だ」

「うん」

「お前の番として、余生を送る」

「結婚しよう」

突然の言葉に、浮竹が目を見開く。

「せ、籍を入れるのか?俺はオメガとはいえ、元花街の住民だぞ?」

「ボクは当主だよ。ボクに逆らえるものは、ほんの一握りしかいない」

「そうか‥‥」

次の日から、浮竹はヒートになって京楽と一緒に過ごした。

寝る、食べる以外は、ほとんど交わっていた。

浮竹はアフターピルを与えられなかったので、ほどなく懐妊した。

「ボクたちの愛の結晶だ。大事に育てようね」

「お腹の子はアルファだそうだ。オメガじゃなくってよかった」

「ボクは、たとえオメガの子が生まれてきても、純粋に愛するよ?」

「俺のようになってほしくないからな。俺は、元貴族だ」

浮竹の言葉に、京楽が驚く。

「え、本当に?」

「ああ、下級だがな。借金のかたに売られてしまって、桜妓楼に買われた」

「でも、お陰で出会えて番になれた。いろんなことに感謝しないと」

「ふふ、お前は前向きなやつだな」

「十四郎、好きだよ。生まれてくる子には、なんて名づけよう?」

「そうだな‥‥‥」



浮竹十四郎は、京楽春水に身請けされ、ほどなく双子の男児を産んだ。

どちらもアルファで、浮竹をそしる者がいれば京楽が許さなかった。

花街で出会ったが、浮竹は上流貴族となり、子は双子以外生まれなかったが、京楽と子供たちに囲まれて、幸せに生きるのだった。

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