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ドラゴン族の子とミミック3

クロイツェル王国の王都アルカンシェルで、浮竹と京楽は魔法大学のアカデミーで、モンスター生物学のミミックについてを教えることになってしまった。

給金がよかったので京楽が引き受けたのだが、ミミックの解剖も入っていて、浮竹は拒否した。

交渉の末、ミミックの解剖はなしになり、代わりにレッドスライムの解剖になった。

レッドスライムはいいのか、浮竹もそれならとOKした。

「であるからして、ミミックはモンスターだが植物なんだ。しかし、オスメスがいて、交尾後メスが体内で卵から孵化させて赤ちゃんミミックを産む」

浮竹は、大勢の前でてきぱきとミミックについて教えていく。

「ダンジョンという過酷な環境で、宝を守りながら生きていくのは難しく、平均寿命は5年と短い。そして、最近までミミックを殺してはいけないというルールがなかったため、冒険者はミミックを見ると宝目当てで乱獲するので、ダンジョン内におけるミミックの生息数は非常に少なくなり、今はミミックは見つけて宝をドロップさせてもいいが、殺してはいけないルールになっている。殺すと自動的にダンジョンマスターからギルド支部まで連絡が入るようになっていて、殺した冒険者は罰金を払わないといけない」

「へぇ~」

京楽は、浮竹の傍にいたけれど、ミミックを殺してはいけないことは知っていたが、殺した場合ダンジョンマスターから冒険者ギルドまで連絡がいくなど知らなかった。

「ミミックはLVが低いモンスターだが、個体差があり、Bランク以上のダンジョンのミミックはそれなりにLVが高い。中には人食いミミックという種類もあり、このミミックは非常に狂暴で肉食性で、火が弱点だが酸性の体液を持っているので、もしも遭遇しても逃げることをおすすする。人食いミミックは宝をドロップしない」

「へぇ~」

京楽も勉強になっていた。

「さて、ミミックについて質問のある方は?」

「はい」

一人の男子学生が、手を挙げる。

「では、そこの君」

「ミミック牧場で、生息数が増えているらしいんですけど、生息数がオーバーになっても殺してはいけないんでしょうか」

「ミミックの数が生息数オーバーになることはありえない。ミミックは自然下では繁殖力が弱く、そのせいでなかなか生息数が回復しない。ミミックは個体の上限数で子を生む数が減るモンスターなので、生息数がオーバーしそうになると子を生まない」

「そうなんですね」

学生は納得したようだった。

「他にミミックについて質問がある方はいないか?」

「先生」

「はい」

浮竹が女子学生に声をかけられて、そちらを向く。

「連絡先教えてください!美人でめっちゃタイプです!」

「あー、プライバシーに関係することはなしで。俺とどうしてもコンタクトがとりたい場合は、王都の冒険者ギルドに問い合わせてくれ」

「じゃあ、今からレッドスライムの解剖をするね~」

京楽の出番だった。

「スライム系は核を壊さないと死なない。毒はききにくく、倒すなら火属性の魔法がおすすめだよ。今から、レッドスライムの核を破壊するね?」

京楽は、短剣でレッドスライムの核を切り裂く。

「このように、死ぬとゲル状から液体になる。素材にはならないので、魔石だけ回収する。冒険者になりたての者はスライムなんてと思うが、核を正確に壊すのはけっこう難しいよ。スライムは大量にわくし、もしも口と鼻を塞がれたら窒息死してしまうから、たかがスライムとあなどるのは禁物だよ」

京楽は、レッドスライムの魔石をとって、液体状になったレッドスライムの死体を学生に見せる。

「先生たちは現役の冒険者なんですよね?Aランクの」

「それがどうしたんだ?」

浮竹が首を傾げる。

「ドラゴン倒したことありますか!」

その質問に、浮竹と京楽も顔をしかめるが、冷静を装う。

「ドラゴンはSランク以上の冒険者じゃないと倒せない。あと。普通のドラゴンと竜人族のドラゴンは違う。竜人族のドラゴンは人になれる。というか、人の姿をした者がドラゴン化するので、正確には純粋なドラゴンではない」

他にも質問をしていた者がいたが、浮竹と京楽はそのあたりで切り上げて、授業は終わりになった。

「竜人族のボクらにドラゴン倒したことあるかって言われてもね。ドラゴンは親戚みたいなもんだから、倒せないけどね」

「まぁ、人の言葉を理解できないドラゴンなら倒す可能性もあるがな。どのみち、Sランクになってからの話だ。俺たちはAランク。まだまだ先は長いな」

浮竹と京楽は給料を受け取って、帰宅した。



「んー、タマ、もうすぐ子が生まれそうだな」

「きしきしぃ」

「ポチとの子だろう?」

「きしきし」

「なんで分かるの、浮竹」

「え、だってポチとタマはいつも一緒にいるじゃないか」

「え。タマの横にいたの、タロウじゃないの?」

京楽は、未だに家で飼っている三ミックの見分けがつかない。

仕方ないので、浮竹はポチ、タマ、タロウ、ジロウにそれぞれ色のついたリボンを結んだ。

「ああ、これならわかりやすい」

タマはピンクのリボン、ポチは水色、タロウは青でジロウは紫だった。

それから一週間くらいが経過して、朝起きると三ミックの数が増えていた。

8匹も。

「え、タマだけじゃなくってジロウもメスだったって?それで一緒に妊娠していて一緒の時刻に産んだって?」

「きしきしきし」

「きしきしきしぃ」

赤ちゃんミミックが8匹、二人で暮らすには広い一軒家を飛び跳ね廻る。

「ピィピィ」

「はぁ‥‥‥‥やっと全部捕まえた」

「ピィピィ」

「はいはい。お腹減ってるんだね」

京楽は、暖炉の奥に隠れようとする赤ちゃんミミックを捕まえる。

「京楽、ホットミルクを8つのカップに入れてもってきてくれ」

「分かったよ」

赤ちゃんミミックたちは、それぞれのカップのホットミルクをおいしそうに飲む。

「ん-、やっぱ三ミックでも赤ちゃんはかわいいなぁ」

「そうだろう。それにしても、ジロウがメスだったなんて。口のとこピンクじゃなかったし、赤みががってなかった」

「ミミックにも個体差があるように、稀な子もいるんじゃないかな。タロウが、金蔵の武具を体内に入れれば新品同様にしてくれるように」

この前、浮竹が銀貨2枚で買った魔剣は、タロウのおかげで新品同然になり、浮竹の腰に帯剣させられていた。

「まだ赤ちゃんだから、まだいいが、大きくなったら流石に飼えないから牧場に移すか」

「そうだね」

といえあえず、浮竹と京楽は赤ちゃんミミックに囲まれてほっこりする。

「ピィピィ」

「かわいいなぁ」

「あんまりかわいがると、牧場に移せなくなるからほどほどにね」

京楽が、赤ちゃんミミックを溺愛する浮竹に注意を促す。

「う‥‥‥やっぱ、家で飼うのは4匹くらいが限界か」

「そうだよ。ミミックだけど、飼ってる子たちはボクらと同じような食事をとるんだよ?食費もかさむし」

「はぁ。もっと金持ちになりたい」

「じゃあ、早くSランク冒険者にならないとね」

「いっそ、血を流して宝石を作って売るか?」

「その方法はダメだよ!王都に着いた時、約束したじゃない。お互い、自分を傷つけて血の宝石で稼ぐのはなしにしようって」

「ああ‥‥…そうだったな」

浮竹の瞳が暗くなる。

里を追われる前、ドラゴン化できないので親に捨てられて、己を傷つけて宝石を作り出して、それを近くの村に売ってなんとか食いつないでいたのを思い出す。

京楽はダークドラゴンになれたが、狂暴で己をコントロールできなくて、浮竹よりも遅くだが、親に捨てられた。

二人は、里の中で二人きりで住んでいた。

邪魔者としてついに里を追い出されて、二人は冒険者として人の世界で生きていく道を選んだ。

三ミックと出会ったのは、Dランク冒険者になった、まだかけだし冒険者だった頃だ。

ポチと出会った。

Dランク冒険者の稼ぎなんてたかがしれていて、自分の食べる分を我慢してパンを分けてあげたことを思い出す。

「ポチとは、長い付き合いだよなぁ、そういえば」

浮竹は、お腹いっぱいになって眠ってしまった赤ちゃんミミックたちに囲まれながら、ポチを呼んでその頭を撫でた。

「きしきし」

ポチは、嬉しそうに浮竹に体をこすりつける。

「明日、またダンジョンに行こう。Sランク冒険者になって、もっと牧場を広げたい」

「そうだね。ボクたちの夢は、Sランク冒険者になって、名前を世界中に轟かせて、里のやつらを見返してやることだからね」

「ああ」

果てしない未来へと、夢を抱く。

消えてしまうような儚い夢ではなく、時間はかかるかもしれないが、人の10倍以上を生きる二人には、いつかきっとかなえられる夢であった。



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