ドラゴン族の子とミミック5
浮竹と京楽は、Sランクの冒険者だというもう一人の浮竹と出会った。
ちょうどミミック牧場で仕事をしていたら、浮竹宛だという魔法書をもって、Sランクの浮竹が現れた。
京楽は、Sランクの浮竹に見惚れて、浮竹に思い切り足を踏んづけられていた。
浮竹自身も、自分を鏡で見ているようなものに近いが、かなり美人で、まさに麗人というかんじで自分とは雰囲気が全然違うくて、赤くなっていた。
『じゃあ、ヤトの町にいつでもおいで』
そう言って、去ってしまった浮竹と、刀であろう精霊の京楽の存在を感じながら、浮竹はてきぱき仕事を終えて、次の日には京楽と一緒にヤトの町にきていた。
「たのもうーーー」
「たのもーーーー」
浮竹と京楽は、町で聞き込みをして、ヤトの町のSランクの浮竹と刀の京楽のところまでやってきた。
『よくきたな。まぁ、立ち話はなんだからあがってくれ』
情事の後のなのか、やや潤んだ瞳に上気した頬のSランクの浮竹を見て、京楽は赤くなった。浮竹もつられて赤くなる。
「きしきし」
浮竹は、ポチを連れてきていた。
『かわいいな。触っても大丈夫か?』
「あ、ああ」
ポチは、Sランクの浮竹に頭を撫でられて、その手を甘噛みする。
『噛まれたのだが』
「甘噛みだ。懐いている証拠だ。痛くないだろう?」
『そうだな』
『ちょっと、ボクの浮竹に‥‥‥』
刀の姿のままの京楽が声を出すが、浮竹と京楽には聞こえない。ただ、桜色の刀身が震えているように見えた。
「その霊刀、京楽なんだな」
『ああ、その通りだ。気分屋でな。なかなか人の前では姿を現さない。おい、人型になれ京楽』
『言っとくけど、京楽はボクのものだからね』
人型になったとたん、Sランクの浮竹を抱きしめる刀の精霊の京楽を、Sランクの浮竹が殴る。
『殴ることないじゃない!』
『客人の前だ!』
「その‥‥‥Sランクになるには」
『努力かな』
「やっぱりか」
浮竹は、分かってはいたがSランクまで遠いなぁと京楽と共に思う。
『でも、力があればけっこうすぐになれる。お前たちを見る限り、力もあるようだし、普通の冒険者よりずっと早くSランクになれるんじゃないか』
『浮竹の言う通りだね。禁忌の魔法をぶっぱできるようになれば簡単だよ』
「禁忌の魔法は、覚えているが何度も使えるようなものじゃないのであまり使わない」
『ちなみに、冒険者になって何年目?』
刀の精霊の京楽が、Sランクの浮竹を抱きしめながら聞いてくる。
「3年目だが」
『Eランクから始めたの?』
「そうだよ」
Sランクの浮竹と、刀の精霊の京楽は顔を見合わせた。
かけだしのEランクから始めて、もうAランク。
記録としてはかなり早い。相当強い。
『心配しなくても、Sランクにはなれるだろう』
『そうだね』
「Sランクの俺に言われると、そんな気になってきた」
「そうだね。ボクら、何年もかかると思ってたけど、そんなにかからない気がしてきたよ」
Sランクの浮竹は頷いて、甘噛みしてくるポチを撫でる。
「きしきしきし」
『ほら、紅茶』
刀の精霊の京楽が、紅茶をいれてくれた。
京楽の分の紅茶を、ポチが飲んでしまった。
「あ、ポチ!」
「きしきしきし」
ざまーみろという顔をするミミックのポチに、京楽が怒る。ポチは、京楽の頭をかじった。
「暗いよー狭いよー息苦しいよー」
「何しているんだ、京楽!恥ずかしいからやめろ!」
浮竹が、ポチから京楽を引きはがす。
「ポチが!」
「はいはい。ポチ、こんな京楽なんてかじってばかりいるとアホがうつるから、ほどほどにな?」
「きしきし?」
浮竹は、飼っているミミックと意思疎通ができる。
「紅茶を気に入ったそうだ。もう一杯、ポチの分をもらえるか」
『いいけど。まぁ、ついでだからそっちのボクの分も出すよ』
二人?分の紅茶を入れて、刀の精霊の京楽がテーブルの上に紅茶を置くと、ポチが凄まじいスピードで自分の分を飲み、京楽の分まで飲んでしまった。
「ポチいいいいい」
「きしいいいいい」
ばちばちと、京楽とポチは目線で火花を散らす。
「はいはい、ポチ、そこまでだ」
「きししし」
京楽に大きくあっかんべーをして、ポチは大人しくなった。
「ぐぬぬぬ、ポチめ。明日の予定のハンバーグ、ポチだけ豆腐ハンバーグにしてやる」
『はははははは』
『くすっ』
楽しそうに、Sランクの浮竹と刀の精霊の京楽は、京楽とポチのやりとりを見て笑っていた。
「す、すまん。俺の家のポチが失礼した」
『なんでミミックなの?』
「え?」
『牧場まで経営してるんでしょ?なんでミミックなの?』
「かわいいから。このつぶらな瞳、大きな口、全然体温のない体、軽いしもの入れれるし、何より見た目よりも懐くし愛情表現もいろいろある。なんでミミックを選んだのかというと、その、はじめて魔法書をドロップしてくれたのはミミックだったから」
『あははははは』
『はははは』
Sランクの浮竹も、刀の精霊の京楽も笑っていた。
浮竹は真っ赤になる。
『いや、おもしろいから。いいな、そういうの』
「ペットが飼いたかったんだが、俺たちは冒険者だ。何日か留守になることがある。ミミックなら、数週間何も食べなくても飲まなくても生きていけるからな」
「ほんとは、犬か猫が飼いたかったんだよね、浮竹は」
「ああ。だから、名前もポチとかタマとか」
『でも、ミミックを好きになって牧場まで経営して‥‥‥変わってるけど、素敵な生き方だと俺は思うぞ?』
「そ、そうか?」
浮竹は赤くなりながら、紅茶を飲む。
京楽も飲もうとして、ポチに飲まれたことを思いだしてカップを元に戻す。
『俺たちでよければ、Sランクになることへの助言やサポートをしよう』
「助かる。じゃあ、今日はこのへんで」
「きしきしきし」
「ポチが、紅茶おいしかったごちそうさまって」
『ふふ。ありがとう』
「浮竹、ポチは今度から連れてこないでね!」
「いいじゃないか。今度は、タマを連れてこようかな」
そんな会話をしながら、浮竹と京楽はヤトの町を後にして、王都アルカンシェルに戻っていくのであった。
ちょうどミミック牧場で仕事をしていたら、浮竹宛だという魔法書をもって、Sランクの浮竹が現れた。
京楽は、Sランクの浮竹に見惚れて、浮竹に思い切り足を踏んづけられていた。
浮竹自身も、自分を鏡で見ているようなものに近いが、かなり美人で、まさに麗人というかんじで自分とは雰囲気が全然違うくて、赤くなっていた。
『じゃあ、ヤトの町にいつでもおいで』
そう言って、去ってしまった浮竹と、刀であろう精霊の京楽の存在を感じながら、浮竹はてきぱき仕事を終えて、次の日には京楽と一緒にヤトの町にきていた。
「たのもうーーー」
「たのもーーーー」
浮竹と京楽は、町で聞き込みをして、ヤトの町のSランクの浮竹と刀の京楽のところまでやってきた。
『よくきたな。まぁ、立ち話はなんだからあがってくれ』
情事の後のなのか、やや潤んだ瞳に上気した頬のSランクの浮竹を見て、京楽は赤くなった。浮竹もつられて赤くなる。
「きしきし」
浮竹は、ポチを連れてきていた。
『かわいいな。触っても大丈夫か?』
「あ、ああ」
ポチは、Sランクの浮竹に頭を撫でられて、その手を甘噛みする。
『噛まれたのだが』
「甘噛みだ。懐いている証拠だ。痛くないだろう?」
『そうだな』
『ちょっと、ボクの浮竹に‥‥‥』
刀の姿のままの京楽が声を出すが、浮竹と京楽には聞こえない。ただ、桜色の刀身が震えているように見えた。
「その霊刀、京楽なんだな」
『ああ、その通りだ。気分屋でな。なかなか人の前では姿を現さない。おい、人型になれ京楽』
『言っとくけど、京楽はボクのものだからね』
人型になったとたん、Sランクの浮竹を抱きしめる刀の精霊の京楽を、Sランクの浮竹が殴る。
『殴ることないじゃない!』
『客人の前だ!』
「その‥‥‥Sランクになるには」
『努力かな』
「やっぱりか」
浮竹は、分かってはいたがSランクまで遠いなぁと京楽と共に思う。
『でも、力があればけっこうすぐになれる。お前たちを見る限り、力もあるようだし、普通の冒険者よりずっと早くSランクになれるんじゃないか』
『浮竹の言う通りだね。禁忌の魔法をぶっぱできるようになれば簡単だよ』
「禁忌の魔法は、覚えているが何度も使えるようなものじゃないのであまり使わない」
『ちなみに、冒険者になって何年目?』
刀の精霊の京楽が、Sランクの浮竹を抱きしめながら聞いてくる。
「3年目だが」
『Eランクから始めたの?』
「そうだよ」
Sランクの浮竹と、刀の精霊の京楽は顔を見合わせた。
かけだしのEランクから始めて、もうAランク。
記録としてはかなり早い。相当強い。
『心配しなくても、Sランクにはなれるだろう』
『そうだね』
「Sランクの俺に言われると、そんな気になってきた」
「そうだね。ボクら、何年もかかると思ってたけど、そんなにかからない気がしてきたよ」
Sランクの浮竹は頷いて、甘噛みしてくるポチを撫でる。
「きしきしきし」
『ほら、紅茶』
刀の精霊の京楽が、紅茶をいれてくれた。
京楽の分の紅茶を、ポチが飲んでしまった。
「あ、ポチ!」
「きしきしきし」
ざまーみろという顔をするミミックのポチに、京楽が怒る。ポチは、京楽の頭をかじった。
「暗いよー狭いよー息苦しいよー」
「何しているんだ、京楽!恥ずかしいからやめろ!」
浮竹が、ポチから京楽を引きはがす。
「ポチが!」
「はいはい。ポチ、こんな京楽なんてかじってばかりいるとアホがうつるから、ほどほどにな?」
「きしきし?」
浮竹は、飼っているミミックと意思疎通ができる。
「紅茶を気に入ったそうだ。もう一杯、ポチの分をもらえるか」
『いいけど。まぁ、ついでだからそっちのボクの分も出すよ』
二人?分の紅茶を入れて、刀の精霊の京楽がテーブルの上に紅茶を置くと、ポチが凄まじいスピードで自分の分を飲み、京楽の分まで飲んでしまった。
「ポチいいいいい」
「きしいいいいい」
ばちばちと、京楽とポチは目線で火花を散らす。
「はいはい、ポチ、そこまでだ」
「きししし」
京楽に大きくあっかんべーをして、ポチは大人しくなった。
「ぐぬぬぬ、ポチめ。明日の予定のハンバーグ、ポチだけ豆腐ハンバーグにしてやる」
『はははははは』
『くすっ』
楽しそうに、Sランクの浮竹と刀の精霊の京楽は、京楽とポチのやりとりを見て笑っていた。
「す、すまん。俺の家のポチが失礼した」
『なんでミミックなの?』
「え?」
『牧場まで経営してるんでしょ?なんでミミックなの?』
「かわいいから。このつぶらな瞳、大きな口、全然体温のない体、軽いしもの入れれるし、何より見た目よりも懐くし愛情表現もいろいろある。なんでミミックを選んだのかというと、その、はじめて魔法書をドロップしてくれたのはミミックだったから」
『あははははは』
『はははは』
Sランクの浮竹も、刀の精霊の京楽も笑っていた。
浮竹は真っ赤になる。
『いや、おもしろいから。いいな、そういうの』
「ペットが飼いたかったんだが、俺たちは冒険者だ。何日か留守になることがある。ミミックなら、数週間何も食べなくても飲まなくても生きていけるからな」
「ほんとは、犬か猫が飼いたかったんだよね、浮竹は」
「ああ。だから、名前もポチとかタマとか」
『でも、ミミックを好きになって牧場まで経営して‥‥‥変わってるけど、素敵な生き方だと俺は思うぞ?』
「そ、そうか?」
浮竹は赤くなりながら、紅茶を飲む。
京楽も飲もうとして、ポチに飲まれたことを思いだしてカップを元に戻す。
『俺たちでよければ、Sランクになることへの助言やサポートをしよう』
「助かる。じゃあ、今日はこのへんで」
「きしきしきし」
「ポチが、紅茶おいしかったごちそうさまって」
『ふふ。ありがとう』
「浮竹、ポチは今度から連れてこないでね!」
「いいじゃないか。今度は、タマを連れてこようかな」
そんな会話をしながら、浮竹と京楽はヤトの町を後にして、王都アルカンシェルに戻っていくのであった。
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