ルキアを忘れた一護 里帰りと苺花
一護がルキアの記憶を思い出してから2年後、ルキアは待望の子を身籠った。
性別は女だと分かり、白哉が早速振袖を作った。
「兄様、あまりにも早すぎます・・・・・・」
身籠ったことで、ルキアは里帰りとして朽木家で生活していた。
何故か、一護も一緒だった。
何故かと聞くと「ルキアと離れたくない」と言われた。
子を身籠っているため、ルキアと睦み合えないが、そんなことはどうでもよさそうだった。
「おかわり」
一護は、朽木家でも自分の家にいるように過ごした。
食堂で、おかわりを所望する一護に、白哉は少し眉を寄せた。
「ここは、兄の家ではないのだぞ」
「いいじゃねぇか、白哉。ルキアの家は俺にとっても実家みたいなもんだ」
「黒崎家はどうなる」
「時折帰ってる。家人だけでなんとかやってけそうだけど」
10日一度くらいは、黒崎家の屋敷に一護は戻っていた。
それから数か月が過ぎて、ルキアは痛みを訴えた。
「陣痛だ!白哉、医者は?」
「すでに待機させてある。産婦人科が最近できた。そこから医師を派遣している」
「ルキア、頑張れ。産むまで相当痛いらしいが・・・・」
「この程度の痛み、貴様が私を忘れていたころの心の痛みに比べれば、いくらでも我慢できる」
ルキアは、初産で少し難産だったが、無事に女児を出産した。
名は、苺花と名付けられた。
一護の名前から、きていた。
初めての自分の子に、一護はメロメロだった。それは白哉もだった。
「なんで白哉が苺花を抱いてるんだ」
「私の義妹の娘だ。私が抱くことに問題があるのか?」
「苺花を独占しすぎだ!」
「そのゆうなこと、知らぬ」
白哉の手の中で、無邪気に苺花は微笑んでいた。
一護が抱き出すと、泣き出した。
「ええ、なんで!」
「ミルクの時間なのだろう。今作ってくる」
今では乳母でなく、粉ミルクが普及していた。昔は貴族の子は母親ではなく、よく乳母の乳で育てられたりしたが、今では乳母の存在はあっても、粉ミルクをあげるのが普通だった。
栄養バランスが高く、はじめはルキアも母乳をあげていたが、1週間が過ぎる頃には粉ミルクに切り替えていた。
粉ミルクを美味しいそうに飲む苺花。それを抱き上げるルキアの姿も、様になってきた。
始めは泣いただけで、おろおろしていたが、流石に慣れて、ミルクかおしめか、分かるようになてきていた。
ただ単に泣いてる時もあるが、そういう時はルキアは苺花をあやして子守唄を歌っていた。
「そんな歌、どこで覚えたんだ?」
「流魂街で。いつかは、覚えておらぬ。多分赤子の私を拾った者が、乳を与えながら歌ってくれたものだろう」
「ルキアは流魂街出身だもんな」
「そうだ。霊力もなく、兄様の義妹になれなかったら、今頃私は春を売って生き延びるか、のたれ死んでいたかのどっちかだ」
一護は、改めて白哉に礼を言った。
「白哉、ルキアを養子にしてくれてありがとう」
「全ては、緋真に言え。あれが、ルキアを妹にしてくれと遺言で残したのだ」
「緋真さんだっけ。今度、苺花も連れてお墓参りにでもいくか」
「私も行こう」
「当たり前だろ。あんたの奥さんだろうが」
今度、4人で緋真の墓参りにいくことになった。
その当日はよく晴れていた。
朽木家の立派な廟堂に、緋真は眠っていた。
「姉様・・・私は、今幸せです」
苺花を抱いて、緋真の墓の前で紹介する。
「私と一護の子です。姉様の血は、私の中に、そして苺花の中に引き継がれています」
「緋真、愛している。どうか、私がそちらにいくまで、見守っていてほしい」
「緋真さん、ありがとな。あんたのお陰で、ルキアと出会えた」
線香をあげ、菊の花と早くも開花した、緋真が好きだったという梅の花を供えた。
そして、みんなで、朽木家に戻った。
1か月が経ち、ルキアと苺花は黒崎家に戻ってきた。
まず恋次が顔出してきた。
「うわぁ、かわいいなぁ。なんとなく、俺に似てねぇか?髪の色とか」
「偶然だ、恋次。貴様の子の可能性はない」
「わーってるよ。言ってみただけだ」
苺花は、名前の通り紅色の髪をしていた。恋次と同じ髪の色だった。
もしも一護とルキアが結婚していなければ、恋次の子供かと疑ったことだろう。
次に、石田と茶虎が顔を見せた。
「苺花ちゃんか」
「いい名だな、一護」
「ああ、僕もお嫁さんもらおうかなぁ。現世では妻をもたなかったから」
「む、俺には奥さんがいたぞ。まだ他界していないから、こっちにくるのを待っているんだ」
茶虎の言葉に、一護が現実をつきつける。
「でも茶虎、普通の人は現世のこと覚えてないぞ」
「それでも、きっと巡り合う。そう信じている」
「そっか・・・・・また、巡り合うか。俺とルキアのようになれるといいな」
「うむ」
しまいに、苺花は石田の腕の中でぐずりだした。
「ああ、この時間だとおしめだ。ちょっと交換してくる」
「一護も、すっかりお父さんだな」
「まぁ、慣れだな」
「石田、茶虎、何もない家だがゆっくりしていってくれ」
ルキアが、料理人に頼んで4人分の食事を用意してもらい、4人はその日、苺花のことはちよに頼んで、食べて飲んで騒いだ。
「ああ、なんかいいなぁ、こういうの。現世にいた頃みたいだ」
ルキアが笑顔を見せていた。
一護は、もうこの笑顔を失うようなことはすまいと、強く決心する。
それから、けっこうな頻度で白哉、恋次、石田、茶虎は顔を見せにきた。
そこに井上の姿はなかったが、したことがしたことなので、仕方ないだろう。
ただ、井上も4番隊の男性と結婚し、子を産んだと聞いて、匿名で花束を贈った。
ルキアを忘れた一護は、ルキアを取り戻し、家庭を築き、13番隊副隊長であると同時に、貴族黒崎家の当主として、伴侶13番隊隊長であるルキアと共に、後世まで名を残すのであった。
ルキアを忘れた一護
fin
性別は女だと分かり、白哉が早速振袖を作った。
「兄様、あまりにも早すぎます・・・・・・」
身籠ったことで、ルキアは里帰りとして朽木家で生活していた。
何故か、一護も一緒だった。
何故かと聞くと「ルキアと離れたくない」と言われた。
子を身籠っているため、ルキアと睦み合えないが、そんなことはどうでもよさそうだった。
「おかわり」
一護は、朽木家でも自分の家にいるように過ごした。
食堂で、おかわりを所望する一護に、白哉は少し眉を寄せた。
「ここは、兄の家ではないのだぞ」
「いいじゃねぇか、白哉。ルキアの家は俺にとっても実家みたいなもんだ」
「黒崎家はどうなる」
「時折帰ってる。家人だけでなんとかやってけそうだけど」
10日一度くらいは、黒崎家の屋敷に一護は戻っていた。
それから数か月が過ぎて、ルキアは痛みを訴えた。
「陣痛だ!白哉、医者は?」
「すでに待機させてある。産婦人科が最近できた。そこから医師を派遣している」
「ルキア、頑張れ。産むまで相当痛いらしいが・・・・」
「この程度の痛み、貴様が私を忘れていたころの心の痛みに比べれば、いくらでも我慢できる」
ルキアは、初産で少し難産だったが、無事に女児を出産した。
名は、苺花と名付けられた。
一護の名前から、きていた。
初めての自分の子に、一護はメロメロだった。それは白哉もだった。
「なんで白哉が苺花を抱いてるんだ」
「私の義妹の娘だ。私が抱くことに問題があるのか?」
「苺花を独占しすぎだ!」
「そのゆうなこと、知らぬ」
白哉の手の中で、無邪気に苺花は微笑んでいた。
一護が抱き出すと、泣き出した。
「ええ、なんで!」
「ミルクの時間なのだろう。今作ってくる」
今では乳母でなく、粉ミルクが普及していた。昔は貴族の子は母親ではなく、よく乳母の乳で育てられたりしたが、今では乳母の存在はあっても、粉ミルクをあげるのが普通だった。
栄養バランスが高く、はじめはルキアも母乳をあげていたが、1週間が過ぎる頃には粉ミルクに切り替えていた。
粉ミルクを美味しいそうに飲む苺花。それを抱き上げるルキアの姿も、様になってきた。
始めは泣いただけで、おろおろしていたが、流石に慣れて、ミルクかおしめか、分かるようになてきていた。
ただ単に泣いてる時もあるが、そういう時はルキアは苺花をあやして子守唄を歌っていた。
「そんな歌、どこで覚えたんだ?」
「流魂街で。いつかは、覚えておらぬ。多分赤子の私を拾った者が、乳を与えながら歌ってくれたものだろう」
「ルキアは流魂街出身だもんな」
「そうだ。霊力もなく、兄様の義妹になれなかったら、今頃私は春を売って生き延びるか、のたれ死んでいたかのどっちかだ」
一護は、改めて白哉に礼を言った。
「白哉、ルキアを養子にしてくれてありがとう」
「全ては、緋真に言え。あれが、ルキアを妹にしてくれと遺言で残したのだ」
「緋真さんだっけ。今度、苺花も連れてお墓参りにでもいくか」
「私も行こう」
「当たり前だろ。あんたの奥さんだろうが」
今度、4人で緋真の墓参りにいくことになった。
その当日はよく晴れていた。
朽木家の立派な廟堂に、緋真は眠っていた。
「姉様・・・私は、今幸せです」
苺花を抱いて、緋真の墓の前で紹介する。
「私と一護の子です。姉様の血は、私の中に、そして苺花の中に引き継がれています」
「緋真、愛している。どうか、私がそちらにいくまで、見守っていてほしい」
「緋真さん、ありがとな。あんたのお陰で、ルキアと出会えた」
線香をあげ、菊の花と早くも開花した、緋真が好きだったという梅の花を供えた。
そして、みんなで、朽木家に戻った。
1か月が経ち、ルキアと苺花は黒崎家に戻ってきた。
まず恋次が顔出してきた。
「うわぁ、かわいいなぁ。なんとなく、俺に似てねぇか?髪の色とか」
「偶然だ、恋次。貴様の子の可能性はない」
「わーってるよ。言ってみただけだ」
苺花は、名前の通り紅色の髪をしていた。恋次と同じ髪の色だった。
もしも一護とルキアが結婚していなければ、恋次の子供かと疑ったことだろう。
次に、石田と茶虎が顔を見せた。
「苺花ちゃんか」
「いい名だな、一護」
「ああ、僕もお嫁さんもらおうかなぁ。現世では妻をもたなかったから」
「む、俺には奥さんがいたぞ。まだ他界していないから、こっちにくるのを待っているんだ」
茶虎の言葉に、一護が現実をつきつける。
「でも茶虎、普通の人は現世のこと覚えてないぞ」
「それでも、きっと巡り合う。そう信じている」
「そっか・・・・・また、巡り合うか。俺とルキアのようになれるといいな」
「うむ」
しまいに、苺花は石田の腕の中でぐずりだした。
「ああ、この時間だとおしめだ。ちょっと交換してくる」
「一護も、すっかりお父さんだな」
「まぁ、慣れだな」
「石田、茶虎、何もない家だがゆっくりしていってくれ」
ルキアが、料理人に頼んで4人分の食事を用意してもらい、4人はその日、苺花のことはちよに頼んで、食べて飲んで騒いだ。
「ああ、なんかいいなぁ、こういうの。現世にいた頃みたいだ」
ルキアが笑顔を見せていた。
一護は、もうこの笑顔を失うようなことはすまいと、強く決心する。
それから、けっこうな頻度で白哉、恋次、石田、茶虎は顔を見せにきた。
そこに井上の姿はなかったが、したことがしたことなので、仕方ないだろう。
ただ、井上も4番隊の男性と結婚し、子を産んだと聞いて、匿名で花束を贈った。
ルキアを忘れた一護は、ルキアを取り戻し、家庭を築き、13番隊副隊長であると同時に、貴族黒崎家の当主として、伴侶13番隊隊長であるルキアと共に、後世まで名を残すのであった。
ルキアを忘れた一護
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