二人のティエリア「NO6」
ロックオンは、しばらく自室から出なくなった。
だが、静かなティエリアの葬儀には出席した。 白い花で埋め尽くされた棺桶。そこに、綺麗な顔で微笑んだままのティエリアが横たわっていた。
皆涙を流しながら、思い思いに、花を棺桶に添えていく。
ロックオンは、白い百合の花をティエリアの棺に添える。ロックオンの指には、婚約指輪が光ったままだった。
もう、きっと誰も愛さないだろう。
ティエリア以外を愛することなどない。 断言できるほどに、ティエリアだけを愛していた。二人で描いた未来図は、描かれることのないまま終焉を迎えてしまった。
「お別れだ、ティエリア」
棺桶の棺が閉じられ、ティエリアは宇宙に流されていく。
その姿が見えなくなるまで、ロックオンはその場を動かなかった。 ロックオンは、しばらくの間暗かったが、1か月経つ頃には見かけはいつものロックオンに戻っていた。
ティエリアの遺品はそのままだ。ティエリアが大好きだったジャボテンダーの抱き枕は、棺桶には入れなかった。ティエリアの生きていた証が欲しかった。だから、置いたままだった。 緑のシャツも、ピンク色の明るいカーディガンも、まだロックオンの部屋のクローゼットにかけられたままだ。
戦闘は続いている。いつまでも、喪に服した気分のままでいられないのが現状。
そんなある日、スメラギ・李・ノリエガが新しいガンダムマイスターを紹介した。
「新しいヴァーチェのガンダムマイスター、ティエリア・アーデよ」
「ティエリア?」
「そう。ティエリアはデザイン・ベイビー。イノベイター。複数いるの。欠けて計画に支障がないように、人工の羊水の中で何人かが眠っている。以前死んだティエリアは、NO8。この子はNO6よ。名前はティエリア・アーデを継承させるわ」
「はじめましてというべきかな?久しぶりです、ロックオン」
以前と変わらぬ、けれど微笑みを浮かべた、ヴェーダに頼っていた頃とは違う、ロックオンと付き合っていた頃と変わらぬティエリアの笑顔がそこにあった。
「命を弄びやがって。だが、お前さんとは初対面だ」
「そんなことはありえない。僕は、NO8の記憶を継承している」
つまりは、新しいティエリアは、以前の亡くなってしまったティエリアの記憶があるティエリアということになる。
「ロックオン、部屋に遊びにいっても?」
「だめだ。お前さんは、どんなに同じ顔でも、記憶を継承していようが、俺が愛したティエリアじゃない。お前さんとは初対面だ。お前さんは俺の恋人じゃない」
「そうですか。では、そうふるまいます」
刹那とアレルヤは、以前のティエリアと同じように、新しいティエリアに馴染んでしまったが、ロックオンは頑なに拒否し続けた。
新しいティエリアがどんなに微笑んでも、微笑み返すことはなかった。 だが。 新しいティエリアのヴァーチェを庇って、ロックオンは利き目を負傷する。それをティエリアは気にかけて、ロックオンと過ごすようになった。
でも、ロックオンはNO6のティエリアを、以前のNO8のティエリアのようには扱わなかった。 遺品に触らせることは許したが、心を開くことはしなかった。
「お前さんは俺のティエリアじゃない。そのことは心に置いておいてくれ」
「了解です」
ティエリアは従順だった。
ロックオンの傷を気にかけて、部屋にやってくるが、ロックオンはNO6のティエリアと同じ部屋で寝ることはしなかった。
ロックオンが愛したティエリアは、NO8だけなのだから。 たとえ記憶を継承していようとも、同じティエリアでも、同じ顔、同じ体をしていても違うのだ。
存在が、違う。
「ティエリア・・・・・今頃、天国で俺を見てるか?俺は守る。お前だけを愛すると決めたんだ。例え同じティエリアがいても、それはお前さんじゃないから」
ロックオンは、NO6のティエリアに魅かれることはなかった。仲間は驚いていた。NO6のティエリアと恋人同士になるものだとばかり、皆考えていたのだ。
だが、静かなティエリアの葬儀には出席した。 白い花で埋め尽くされた棺桶。そこに、綺麗な顔で微笑んだままのティエリアが横たわっていた。
皆涙を流しながら、思い思いに、花を棺桶に添えていく。
ロックオンは、白い百合の花をティエリアの棺に添える。ロックオンの指には、婚約指輪が光ったままだった。
もう、きっと誰も愛さないだろう。
ティエリア以外を愛することなどない。 断言できるほどに、ティエリアだけを愛していた。二人で描いた未来図は、描かれることのないまま終焉を迎えてしまった。
「お別れだ、ティエリア」
棺桶の棺が閉じられ、ティエリアは宇宙に流されていく。
その姿が見えなくなるまで、ロックオンはその場を動かなかった。 ロックオンは、しばらくの間暗かったが、1か月経つ頃には見かけはいつものロックオンに戻っていた。
ティエリアの遺品はそのままだ。ティエリアが大好きだったジャボテンダーの抱き枕は、棺桶には入れなかった。ティエリアの生きていた証が欲しかった。だから、置いたままだった。 緑のシャツも、ピンク色の明るいカーディガンも、まだロックオンの部屋のクローゼットにかけられたままだ。
戦闘は続いている。いつまでも、喪に服した気分のままでいられないのが現状。
そんなある日、スメラギ・李・ノリエガが新しいガンダムマイスターを紹介した。
「新しいヴァーチェのガンダムマイスター、ティエリア・アーデよ」
「ティエリア?」
「そう。ティエリアはデザイン・ベイビー。イノベイター。複数いるの。欠けて計画に支障がないように、人工の羊水の中で何人かが眠っている。以前死んだティエリアは、NO8。この子はNO6よ。名前はティエリア・アーデを継承させるわ」
「はじめましてというべきかな?久しぶりです、ロックオン」
以前と変わらぬ、けれど微笑みを浮かべた、ヴェーダに頼っていた頃とは違う、ロックオンと付き合っていた頃と変わらぬティエリアの笑顔がそこにあった。
「命を弄びやがって。だが、お前さんとは初対面だ」
「そんなことはありえない。僕は、NO8の記憶を継承している」
つまりは、新しいティエリアは、以前の亡くなってしまったティエリアの記憶があるティエリアということになる。
「ロックオン、部屋に遊びにいっても?」
「だめだ。お前さんは、どんなに同じ顔でも、記憶を継承していようが、俺が愛したティエリアじゃない。お前さんとは初対面だ。お前さんは俺の恋人じゃない」
「そうですか。では、そうふるまいます」
刹那とアレルヤは、以前のティエリアと同じように、新しいティエリアに馴染んでしまったが、ロックオンは頑なに拒否し続けた。
新しいティエリアがどんなに微笑んでも、微笑み返すことはなかった。 だが。 新しいティエリアのヴァーチェを庇って、ロックオンは利き目を負傷する。それをティエリアは気にかけて、ロックオンと過ごすようになった。
でも、ロックオンはNO6のティエリアを、以前のNO8のティエリアのようには扱わなかった。 遺品に触らせることは許したが、心を開くことはしなかった。
「お前さんは俺のティエリアじゃない。そのことは心に置いておいてくれ」
「了解です」
ティエリアは従順だった。
ロックオンの傷を気にかけて、部屋にやってくるが、ロックオンはNO6のティエリアと同じ部屋で寝ることはしなかった。
ロックオンが愛したティエリアは、NO8だけなのだから。 たとえ記憶を継承していようとも、同じティエリアでも、同じ顔、同じ体をしていても違うのだ。
存在が、違う。
「ティエリア・・・・・今頃、天国で俺を見てるか?俺は守る。お前だけを愛すると決めたんだ。例え同じティエリアがいても、それはお前さんじゃないから」
ロックオンは、NO6のティエリアに魅かれることはなかった。仲間は驚いていた。NO6のティエリアと恋人同士になるものだとばかり、皆考えていたのだ。
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