好き。8
1月14日になった。
ルキアが正確に何歳なのかは分からないが、見た目は10代後半の少女のままだ。
「誕生日おめでとう、ルキア」
ルキアは、一護だけでなく一心、遊子、夏梨にも祝われて、学校では井上、茶渡、石田から祝福してもらってプレゼントをもらっていた。
一護の家族からのプレゼントは入浴剤やらバスタオルやらだった。
肝心の一護からのプレゼントは、チャッピー柄のリュックサックだった。
「おお、チャッピーのリュックサック。なんと愛らしい」
「もう1個あるんだ」
一護はちょっともったいつける。
「なんだ。早く渡さぬか」
「その‥‥みんなのいないとこで」
「何かスケベなものなのか?」
「ちげぇよ、アホ」
「アホとはなんだ。今日の主役は私だぞ」
「はいはい」
ルキアは、一護の妹たちに作ってもらったバースデーケーキを食べて終えてから、一護の部屋に二人で向かう。
「その、もうバイトしてないから貯金が限られてるから、あんまり豪華じゃないけど」
うなぎ屋のバイトはもうやめてしまった。
今は大学受験が控えているので、バイトそのものもしていない。貯金から、一護はルキアに渡したいものを買った。
「これ」
「ん?」
ホワイトゴールドの指輪だった。
「これは‥‥」
「その、婚約指輪、みたいな?」
一護は、目を泳がせる。
「貴様が、私の指にはめてくれ」
一護は、ルキアに指輪をはめる。
「次は貴様の分をよこせ。はめてやる」
ルキアの指輪には小さなサファイアがはめこまれていたが、一護につけた指輪には小さなルビーがはめこまれていた。デザインは一緒だった。
ルキアは、一護の分の指輪を手に取って、一護の指にはめる。
「ふふ。おそろいだな」
「ああ」
「兄様と恋次に見せたい」
「今度にしてくれ」
「う、うむ」
「じゃあ、俺は勉強する。来週には試験だから」
高校の期末はもうない。2月に卒業した後は自由登校で、4月の大学の入学式まで休みであった。
「その、さ。大学に受かって卒業したら、みんなと卒業旅行いって、その後二人きりで旅行する時に指輪、渡そうと思ってたんだけど、今日渡しちまった」
一護の耳は若干赤くなっていた。
「一護、私の指輪のサイズなど、どうやって測ったのだ?」
「お前が寝ている間に」
「ふむ。では、私は貴様が大学に受かるように大学側の人間を記憶置換で」
「おいおい」
「冗談だ」
「お前ならマジでやりそうで怖い」
「失礼な」
そんなことを言い合っている一護の部屋の窓を、叩く音がしたので開けると恋次が入ってきた。
「恋次?」
「よお、ルキア。一護もおまけで。誕生日おめでとう。隊長に聞いたらやっぱ現世にいるってんで、隊長からのプレゼントも一緒にもってきた」
「兄様から?恋次の分だけでなく?」
「ああ。隊長は現世にこれないから、俺がかわりに」
隊長格が現世にいくには、いろいろと制限がある。それは恋次とて同じなのだが。
「誕生日おめでとう、ルキア。あ、一護のやつとペアリングしてんのか」
「恋次、ありがとう」
「これは隊長から」
「兄様に、後で礼を言いにいくと伝えてくれ」
「おう」
恋次は、ルキアに誕生日プレゼントを渡して、一護に耳打ちする。
「俺は、まだ完全には諦めてねぇからな」
「しっしっ」
「うっせ」
そんなやりとりをしていると、ルキアが恋次からのプレゼントを開ける。チャッピー柄の冬服だった。
白哉の分は、チャッピー柄のリュックサックだった。
「うお、俺のとかぶるな」
「よいのだ。兄様のは、尸魂界でいる時に使う。一護からもらったものは、現世にいる時に使う」
完全に同じではなく、色が一護のが薄いピンクで、白哉のが白だった。
デザインも多少違う。
「では、貴様は受験勉強とやらに励め。私は、一度尸魂界に戻り、兄様にお礼を言いに行く。13番隊にも顔を出したいしな」
ルキアは、今はまだ13番隊の副隊長だが、隊長である浮竹の死後、密やかに噂されていた。次の隊長は、ルキアだと。
一護もそれを耳にしたことがあるが、当然だろうと思った。
ルキアは、卍解を会得している。何より、13番隊にずっといたので、他の隊士たちからの信頼も熱い。
数日が過ぎ、いよいよ一護の大学受験の日がやってきた。
模試では、B判定をもらっていた。何かミスをしない限り、まずは合格できるだろう。
大学へは、電車を使わずバスで向かった。
あろうことか、事故が起きて渋滞してしまう。
「くそ、まにあわねぇ」
一護はバスを降りて、瞬歩で大学まで向かう。
「ふう、ぎりぎりセーフ」
受験番号を見せて、席につく。けっこう多くの学生が受験に挑んでいた。
「冷静に、冷静に」
配られていく入試の試験用紙を手に、一護は高校生活の3年間の全てをかけて挑む。
3日後に、合格者の発表があった。
一護は、無事希望大学を合格していた。
「やったな、一護」
「ああ。ルキアも、ありがとな」
ルキアは高校卒業と同時に尸魂界に戻るので、受験はない。
石田は医大を、井上は看護系の大学を、茶虎はスポーツ推薦でそれぞれ大学を合格していた。
一護は、大学に受かったことで勉強しなくなった。
卒業まで時間があるので、古本市場でバイトをはじめた。
大学に入ったら、授業料はまだ一心に出してもらうが、アパートを借りて一人暮らしする予定だった。頭金とかは一心が出してくれるし、生活費も一心が出してくれる。
一護は、せめて暮らすアパート代くらいは自分で稼ごうと、バイトをする。
やがて、卒業式がやってきた。
ルキアは泣かなかったが、井上とたつきは泣いていた。井上の大学は一護の大学と近かった。
「黒崎君、大学近いからまた会う時もあると思うから、その時はよろしくね。朽木さんと、仲よくね?」
「ああ」
「一護、お前に会いたいという下級生が何人か来ているぞ」
ルキアがやってくる。
「あー。ルキア、帰るのちょっと待っててくれ」
「分かった」
「ふふ、黒崎君以外ともてるもんね」
「ん?」
ルキアには、ちんぷんかんぷんであった。
一護は、制服のボタンを全部下級生にあげて、ルキアの元に現れる。
「ボタンねだられて、告白が3件、ってとこだね?」
「おい、水色、なにどさくさに紛れて数えてやがんだ」
「いやぁ、意外ともてるねぇ」
「うっせ」
一護とルキアは、卒業までは取り上げられるのが嫌なので、ペアリングはしていなかった。
「じゃあ、井上、茶渡、石田。また卒業旅行で」
「朽木さんを困らせるなよ」
「石田、お前はおかんか」
「困らせるのは、いかん」
「茶渡まで。俺の信頼度はどうなってんだ」
ルキアと一護は、隠しもっていたペアリングを皆の前ではめた。
「く、黒崎君、やるね」
井上は少し悔しそうだった。だが、友人としてルキアのことが好きなので、それ以上は言わない。
「一護、それに皆。私は一度尸魂界に戻る。一護、夕飯までには戻ってくるので、遊子に私の分んの夕食も用意してくれるように言っておいてくれ」
「はいはい」
高校の卒業。
大学への入学。
いろんなことが待ち受けているだろうが、まずは6人で卒業旅行に出かけるのであった。
ルキアが正確に何歳なのかは分からないが、見た目は10代後半の少女のままだ。
「誕生日おめでとう、ルキア」
ルキアは、一護だけでなく一心、遊子、夏梨にも祝われて、学校では井上、茶渡、石田から祝福してもらってプレゼントをもらっていた。
一護の家族からのプレゼントは入浴剤やらバスタオルやらだった。
肝心の一護からのプレゼントは、チャッピー柄のリュックサックだった。
「おお、チャッピーのリュックサック。なんと愛らしい」
「もう1個あるんだ」
一護はちょっともったいつける。
「なんだ。早く渡さぬか」
「その‥‥みんなのいないとこで」
「何かスケベなものなのか?」
「ちげぇよ、アホ」
「アホとはなんだ。今日の主役は私だぞ」
「はいはい」
ルキアは、一護の妹たちに作ってもらったバースデーケーキを食べて終えてから、一護の部屋に二人で向かう。
「その、もうバイトしてないから貯金が限られてるから、あんまり豪華じゃないけど」
うなぎ屋のバイトはもうやめてしまった。
今は大学受験が控えているので、バイトそのものもしていない。貯金から、一護はルキアに渡したいものを買った。
「これ」
「ん?」
ホワイトゴールドの指輪だった。
「これは‥‥」
「その、婚約指輪、みたいな?」
一護は、目を泳がせる。
「貴様が、私の指にはめてくれ」
一護は、ルキアに指輪をはめる。
「次は貴様の分をよこせ。はめてやる」
ルキアの指輪には小さなサファイアがはめこまれていたが、一護につけた指輪には小さなルビーがはめこまれていた。デザインは一緒だった。
ルキアは、一護の分の指輪を手に取って、一護の指にはめる。
「ふふ。おそろいだな」
「ああ」
「兄様と恋次に見せたい」
「今度にしてくれ」
「う、うむ」
「じゃあ、俺は勉強する。来週には試験だから」
高校の期末はもうない。2月に卒業した後は自由登校で、4月の大学の入学式まで休みであった。
「その、さ。大学に受かって卒業したら、みんなと卒業旅行いって、その後二人きりで旅行する時に指輪、渡そうと思ってたんだけど、今日渡しちまった」
一護の耳は若干赤くなっていた。
「一護、私の指輪のサイズなど、どうやって測ったのだ?」
「お前が寝ている間に」
「ふむ。では、私は貴様が大学に受かるように大学側の人間を記憶置換で」
「おいおい」
「冗談だ」
「お前ならマジでやりそうで怖い」
「失礼な」
そんなことを言い合っている一護の部屋の窓を、叩く音がしたので開けると恋次が入ってきた。
「恋次?」
「よお、ルキア。一護もおまけで。誕生日おめでとう。隊長に聞いたらやっぱ現世にいるってんで、隊長からのプレゼントも一緒にもってきた」
「兄様から?恋次の分だけでなく?」
「ああ。隊長は現世にこれないから、俺がかわりに」
隊長格が現世にいくには、いろいろと制限がある。それは恋次とて同じなのだが。
「誕生日おめでとう、ルキア。あ、一護のやつとペアリングしてんのか」
「恋次、ありがとう」
「これは隊長から」
「兄様に、後で礼を言いにいくと伝えてくれ」
「おう」
恋次は、ルキアに誕生日プレゼントを渡して、一護に耳打ちする。
「俺は、まだ完全には諦めてねぇからな」
「しっしっ」
「うっせ」
そんなやりとりをしていると、ルキアが恋次からのプレゼントを開ける。チャッピー柄の冬服だった。
白哉の分は、チャッピー柄のリュックサックだった。
「うお、俺のとかぶるな」
「よいのだ。兄様のは、尸魂界でいる時に使う。一護からもらったものは、現世にいる時に使う」
完全に同じではなく、色が一護のが薄いピンクで、白哉のが白だった。
デザインも多少違う。
「では、貴様は受験勉強とやらに励め。私は、一度尸魂界に戻り、兄様にお礼を言いに行く。13番隊にも顔を出したいしな」
ルキアは、今はまだ13番隊の副隊長だが、隊長である浮竹の死後、密やかに噂されていた。次の隊長は、ルキアだと。
一護もそれを耳にしたことがあるが、当然だろうと思った。
ルキアは、卍解を会得している。何より、13番隊にずっといたので、他の隊士たちからの信頼も熱い。
数日が過ぎ、いよいよ一護の大学受験の日がやってきた。
模試では、B判定をもらっていた。何かミスをしない限り、まずは合格できるだろう。
大学へは、電車を使わずバスで向かった。
あろうことか、事故が起きて渋滞してしまう。
「くそ、まにあわねぇ」
一護はバスを降りて、瞬歩で大学まで向かう。
「ふう、ぎりぎりセーフ」
受験番号を見せて、席につく。けっこう多くの学生が受験に挑んでいた。
「冷静に、冷静に」
配られていく入試の試験用紙を手に、一護は高校生活の3年間の全てをかけて挑む。
3日後に、合格者の発表があった。
一護は、無事希望大学を合格していた。
「やったな、一護」
「ああ。ルキアも、ありがとな」
ルキアは高校卒業と同時に尸魂界に戻るので、受験はない。
石田は医大を、井上は看護系の大学を、茶虎はスポーツ推薦でそれぞれ大学を合格していた。
一護は、大学に受かったことで勉強しなくなった。
卒業まで時間があるので、古本市場でバイトをはじめた。
大学に入ったら、授業料はまだ一心に出してもらうが、アパートを借りて一人暮らしする予定だった。頭金とかは一心が出してくれるし、生活費も一心が出してくれる。
一護は、せめて暮らすアパート代くらいは自分で稼ごうと、バイトをする。
やがて、卒業式がやってきた。
ルキアは泣かなかったが、井上とたつきは泣いていた。井上の大学は一護の大学と近かった。
「黒崎君、大学近いからまた会う時もあると思うから、その時はよろしくね。朽木さんと、仲よくね?」
「ああ」
「一護、お前に会いたいという下級生が何人か来ているぞ」
ルキアがやってくる。
「あー。ルキア、帰るのちょっと待っててくれ」
「分かった」
「ふふ、黒崎君以外ともてるもんね」
「ん?」
ルキアには、ちんぷんかんぷんであった。
一護は、制服のボタンを全部下級生にあげて、ルキアの元に現れる。
「ボタンねだられて、告白が3件、ってとこだね?」
「おい、水色、なにどさくさに紛れて数えてやがんだ」
「いやぁ、意外ともてるねぇ」
「うっせ」
一護とルキアは、卒業までは取り上げられるのが嫌なので、ペアリングはしていなかった。
「じゃあ、井上、茶渡、石田。また卒業旅行で」
「朽木さんを困らせるなよ」
「石田、お前はおかんか」
「困らせるのは、いかん」
「茶渡まで。俺の信頼度はどうなってんだ」
ルキアと一護は、隠しもっていたペアリングを皆の前ではめた。
「く、黒崎君、やるね」
井上は少し悔しそうだった。だが、友人としてルキアのことが好きなので、それ以上は言わない。
「一護、それに皆。私は一度尸魂界に戻る。一護、夕飯までには戻ってくるので、遊子に私の分んの夕食も用意してくれるように言っておいてくれ」
「はいはい」
高校の卒業。
大学への入学。
いろんなことが待ち受けているだろうが、まずは6人で卒業旅行に出かけるのであった。
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