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好き3

9月も終わり近くになる。

けれど残暑は厳しく、まだ暑い日々が続いていた。

「ルキア」

「なんだ、一護」

「あちい。アイス買ってきてくれ」

「クーラーが壊れているから暑いのだ。涼しい部屋に移動しよう」

「ああ、修理の人明日じゃないとこれないっていうからなぁ。今日は、ルキアは別室で寝ていいぞ。俺も、居間で寝るから」

「私は、もともとクーラーなどない尸魂界で暮らしていた。暑さにはまだ強い」

「クーラーのない世界なんて考えられねぇ」

一護は、自分の部屋のベッドで、扇風機をまわしながら、あちぃとぼやいていた。

室温は32度。

そりゃ、暑いだろう。

「仕方ない。アイスを買ってきてやるから、生き返れ」

「あー、俺スーパーエッセルのバニラ」

細かい注文を言ってくるので、ルキアは悪戯っぽく笑った。

「ガリガリ君の面白い味のを買ってきてやろう」

「ぬおおお、やめてくれええええ。ガリガリ君のソーダ味でいい」

「分かった。行ってくる」

玄関からでなく、開け放たれた窓から、ルキアは靴だけはいてコンビニに瞬歩でいってしまった。

「あー、溶ける‥‥‥‥」

今日は祝日だった。

ルキアに聞いても、特に行きたいところはないそうだし、デートのプランも練っていなかったので、家でだらだらすることにした。

いつの間にか、一護は眠っていた。

「ん‥‥‥」

起きると、3時間経っていた。

「ルキア、アイスは」

「貴様の分は私が食べた」

「ルキアに食われたああああ」

「それより貴様、昼からこんなに寝て、夜寝れるのか?」

「あー。うーん、わかんねぇ。あちいしなぁ。でも、寝れるもんだな」

「そうだな。この暑い中、貴様はいびきをかいて寝ていた」

「それ、嘘だな。俺はいびきなんてかかねぇ」

「ぐ、ばれたか」

一護は、ルキアを背後から抱き寄せた。

「なんだ、暑苦しい」

「好きだぜ、ルキア」

ルキアの体温がどんどん上昇していく。真っ赤になったルキアは、一護を殴った。

「ぐへ」

「暑いのだ!」

「ごめんってば」

「全く、貴様は」

「ルキア、いい匂いがする」

一護が、またルキアを抱き寄せた。

「どうせ、シャンプーの香りだろうが。貴様も同じいい匂いがするぞ」

「そうだな。なぁ、キスしていいか?」

「いいぞ」

一護は、いつもの触れるだけのキスではなく、ルキアの唇を舌で舐めて割って入ると、舌と舌とを絡めあって、ディープキスを繰り返す。

「ふあっ」

「ルキア、すげぇエッチな顔してる」

「貴様がそうさせたのであろう!」

「二人きりの旅行の時、抱いていいか?」

「ん‥‥‥好きにせよ。お前も男というわけだな」

一護は、ルキアの頭に顔を埋める。

「それまでは、ちょっと手を出すかもしれねぇけど、抱かねぇ」

「ちょっと手を出すとはなんだ!」

「たとえば、こんなの」

少ない胸のふくらみを触られて、ルキアは赤くなるが、逃げない。

「貴様は、巨乳が好きなのではないのか」

「いや、俺ルキアが好きだからめっちゃ貧乳派」

「貧乳とかうるさい!」

ごん!

肘で頭を殴ると、一護は無言になった。

「い、一護!?」

「きいた。あいてててて」

「す、すまぬ」

「いや、俺も調子のってたから」

互いに謝りあって、夜になった。

クーラーは故障していたが、夕立で雨が降ったおかげか、気温は30度を下回った。

扇風機をかけながら、ルキアと一護はいつものように、一護がルキアを背後から抱きしめて、ルキアが一護の腕の中でいる形で眠る。

一緒に窓側を見て眠るので、眠っている互いの顔は見えなかった。

ルキアは、ふと一護のほうを向く。

オレンジの髪は大分伸びてきた。思ったよりも長い睫毛だなと思う。整った顔立ちは、懐かしい海燕によく似ていた。

「好きだ、一護」

一護の薄い色の唇を、指でなぞる。

「ん‥‥‥」

「はっ!わ、私は何をしておるのだ。おとなしく寝よう」

一護は、ぼんやりと覚醒しかかったが、眠気に負けてまたすぐに眠ってしまった。

次の日起きると、ルキアは寝不足なんか欠伸ばかりしていた。

「ほら、もたもたしてないで、学校行くぞ」

「う、うむ」

一護が好きだ。

ルキアの中の感情は、一護のことばかりを思っていた。



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