小さな発作
隊首会に浮竹は出ていた。
その日は微熱があり、副隊長の海燕から欠席するようにと言われていたが、ここ1か月ばかり寝込んだりで隊首会に出ていなかったので、久しぶりに出ようと思った。
微熱なので、大丈夫だと思っていたのだ。
隊首会も半ばを過ぎ、終わりに近づいたころ、浮竹は高熱を出していた。
誰も気づかない。
ただ、京楽だけは違った。
「山じい、浮竹は欠席で」
ふわりと京楽に抱き上げられて、浮竹は京楽の首に腕を回して、咳きこんだ。
「ごほっ、ごほっ」
ごぽりといやな音をたてて、鮮血を吐く。
「卯の花隊長」
「はい。回道を今かけますので」
その場に卯の花がいてくれて助かった。
高熱だけなら寝ていれば治るが、浮竹の肺の病はなるべく回道をかけて癒えるのを待つしかない。
「京楽隊長、今日は具合が悪かったのでは?」
卯の花に尋ねられて、ゆるゆると首を横に振る。
「少し微熱があっただけだ」
「それを、具合が悪いと言うのですよ」
卯の花は優しかったが、自分の体調を顧みず、隊首会に出席した浮竹をやんわりとたしなめる。
「まぁまぁ、浮竹も分かっているだろうから」
「京楽隊長、あなたは浮竹隊長に甘すぎます」
回道をかけ終えて、吐血の止まった浮竹を抱き上げて、京楽は立ち上がる。
「じゃあ、浮竹送っていくから」
「うむ」
山じいも慣れているので、浮竹に体を大事にするようにと言い聞かせた。
「京楽、俺は」
「はいはい、雨乾堂に行くよ」
「すまん」
「すまないと思うなら、体調が少しでもおかしい時は無理をしないこと」
「すまん‥‥」
浮竹は京楽の背に手を回した。
ほどなくして、雨乾堂につく。
「ああっ、隊長!おとなしくしておけっていったのに!」
勝手に部屋を抜け出して、隊首会に出席した浮竹のことを、副官の海燕が怒っていた。
京楽は、布団がしかれるを待って、その上に浮竹を寝かせる。
「もう、行くのか?」
「ああ、もうその目。仕方ないねぇ。ボクも隊首会欠席で」
地獄蝶を飛ばす。
うんと甘やかすように、浮竹の頭を撫でて、隣の畳の上に寝そべる。
「京楽」
「ん?」
「いつも、すまない」
「いいって。毎度のことじゃない」
「京楽隊長、浮竹隊長に薬を」
海燕が、肺の病の薬をもってくる。あと解熱剤も。
それを受け取って、京楽は口移しで浮竹に飲ませた。
「んっ」
舌が入ってきて、浮竹の口内を舐める。
「んあっ」
「ちょ、京楽隊長なにしてるんすか!」
「ん~?ちょっと、味見を」
「ばかやってないで、浮竹隊長を寝かせてやってください!」
海燕はぷりぷりと怒り出す。
「はいはい」
京楽は、笠をかぶり直して、浮竹に布団をかける。
薬はきつめの鎮静剤だったので、浮竹はすぐに眠ってしまった。
「あんた、隊長の体調がよくないって分かっててちょっと手出したでしょ」
「え~?キスくらい、いいじゃない」
「そもそも、薬を口移しでなくても、浮竹隊長は時間はかかるけど自分で飲めたはずです」
「もう、固いこと言わないでよ」
「そもそもあんたは‥‥‥」
長い海燕のお説教を適当に聞き流して、京楽は浮竹の隣で眠ってしまった。
「ん‥‥」
「あ、起きた?」
「俺は、何時間くらい眠っていた?」
「3時間くらいかな」
京楽は、浮竹のおでこにおでこを引っ付ける。
「うん、熱は下がっているようだね。肺の発作も収まているようだし、普通の食事していいよ」
「京楽、まさかお前まで隊首会を‥‥」
「うん、さぼっちゃった」
浮竹は大きなため息を零す。
「お前というやつは‥‥‥」
半病人であった浮竹にくどくどお説教されながらも、京楽はにこにこしていた。
浮竹が元気なことがうれしいのだ。
ここ数日、会うことさえな叶わなかった。
「浮竹、愛してるよ」
「ちょ、海燕がいる」
「ああ、気にしてないよ彼」
「俺は気にする!」
浮竹はため息をついて、また横になる。
「熱は下がったが、今日は一応おとなしくしておく」
海燕にお説教されたくないので、浮竹は眠ろうとする。
その隣に、京楽はまだいた。
「泊まっていくか?」
「もちろん」
京楽は、嬉しそうにほほ笑むのだった。
その日は微熱があり、副隊長の海燕から欠席するようにと言われていたが、ここ1か月ばかり寝込んだりで隊首会に出ていなかったので、久しぶりに出ようと思った。
微熱なので、大丈夫だと思っていたのだ。
隊首会も半ばを過ぎ、終わりに近づいたころ、浮竹は高熱を出していた。
誰も気づかない。
ただ、京楽だけは違った。
「山じい、浮竹は欠席で」
ふわりと京楽に抱き上げられて、浮竹は京楽の首に腕を回して、咳きこんだ。
「ごほっ、ごほっ」
ごぽりといやな音をたてて、鮮血を吐く。
「卯の花隊長」
「はい。回道を今かけますので」
その場に卯の花がいてくれて助かった。
高熱だけなら寝ていれば治るが、浮竹の肺の病はなるべく回道をかけて癒えるのを待つしかない。
「京楽隊長、今日は具合が悪かったのでは?」
卯の花に尋ねられて、ゆるゆると首を横に振る。
「少し微熱があっただけだ」
「それを、具合が悪いと言うのですよ」
卯の花は優しかったが、自分の体調を顧みず、隊首会に出席した浮竹をやんわりとたしなめる。
「まぁまぁ、浮竹も分かっているだろうから」
「京楽隊長、あなたは浮竹隊長に甘すぎます」
回道をかけ終えて、吐血の止まった浮竹を抱き上げて、京楽は立ち上がる。
「じゃあ、浮竹送っていくから」
「うむ」
山じいも慣れているので、浮竹に体を大事にするようにと言い聞かせた。
「京楽、俺は」
「はいはい、雨乾堂に行くよ」
「すまん」
「すまないと思うなら、体調が少しでもおかしい時は無理をしないこと」
「すまん‥‥」
浮竹は京楽の背に手を回した。
ほどなくして、雨乾堂につく。
「ああっ、隊長!おとなしくしておけっていったのに!」
勝手に部屋を抜け出して、隊首会に出席した浮竹のことを、副官の海燕が怒っていた。
京楽は、布団がしかれるを待って、その上に浮竹を寝かせる。
「もう、行くのか?」
「ああ、もうその目。仕方ないねぇ。ボクも隊首会欠席で」
地獄蝶を飛ばす。
うんと甘やかすように、浮竹の頭を撫でて、隣の畳の上に寝そべる。
「京楽」
「ん?」
「いつも、すまない」
「いいって。毎度のことじゃない」
「京楽隊長、浮竹隊長に薬を」
海燕が、肺の病の薬をもってくる。あと解熱剤も。
それを受け取って、京楽は口移しで浮竹に飲ませた。
「んっ」
舌が入ってきて、浮竹の口内を舐める。
「んあっ」
「ちょ、京楽隊長なにしてるんすか!」
「ん~?ちょっと、味見を」
「ばかやってないで、浮竹隊長を寝かせてやってください!」
海燕はぷりぷりと怒り出す。
「はいはい」
京楽は、笠をかぶり直して、浮竹に布団をかける。
薬はきつめの鎮静剤だったので、浮竹はすぐに眠ってしまった。
「あんた、隊長の体調がよくないって分かっててちょっと手出したでしょ」
「え~?キスくらい、いいじゃない」
「そもそも、薬を口移しでなくても、浮竹隊長は時間はかかるけど自分で飲めたはずです」
「もう、固いこと言わないでよ」
「そもそもあんたは‥‥‥」
長い海燕のお説教を適当に聞き流して、京楽は浮竹の隣で眠ってしまった。
「ん‥‥」
「あ、起きた?」
「俺は、何時間くらい眠っていた?」
「3時間くらいかな」
京楽は、浮竹のおでこにおでこを引っ付ける。
「うん、熱は下がっているようだね。肺の発作も収まているようだし、普通の食事していいよ」
「京楽、まさかお前まで隊首会を‥‥」
「うん、さぼっちゃった」
浮竹は大きなため息を零す。
「お前というやつは‥‥‥」
半病人であった浮竹にくどくどお説教されながらも、京楽はにこにこしていた。
浮竹が元気なことがうれしいのだ。
ここ数日、会うことさえな叶わなかった。
「浮竹、愛してるよ」
「ちょ、海燕がいる」
「ああ、気にしてないよ彼」
「俺は気にする!」
浮竹はため息をついて、また横になる。
「熱は下がったが、今日は一応おとなしくしておく」
海燕にお説教されたくないので、浮竹は眠ろうとする。
その隣に、京楽はまだいた。
「泊まっていくか?」
「もちろん」
京楽は、嬉しそうにほほ笑むのだった。
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