愛されないと消えてしまう
京楽春水は、ガイア帝国の皇帝だった。
たくさんの寵姫をもっており、子も5人いた。ただ、正妃はいなかった。妾としてたくさんの寵姫を後宮に入れていた、根っからの色事好きな皇帝だった。
ある日、預言者がこう予言した。
「皇帝は、異世界召喚で召喚した者を正妃とすれば、今のガイア帝国をもっと繁栄させ、領土も広がるだろう。ただ、その召喚した者を愛し1か月に一度肉体関係をもたさなければ、召喚した者は死んでしまう。抱かれず愛されない時間が1カ月近くなると、召喚された者の肉体は薄くなっていく」
皇帝である京楽は、預言者など怪しい者の言葉など信じなかったが、過去の皇帝に同じように異世界召喚で現れた美しい女生を正妃とした皇帝がおり、その皇帝が在位した時代は黄金期と呼ばれ、領土も広くなり、帝国も繁栄していた。ただ、正妃である女性の死後、帝国の黄金期は終わり、じわじわと領土は減っていき、帝国も衰退していった。
召喚された者は、1カ月以内に京楽に愛される必要があった。つまりは、抱かれなければならないのだ。
「異世界召喚の儀をとりおこなう!」
「京楽様、そのような必要などはないのでは?すでに御子は5人もおり、帝国も衰退はしておりません」
「ボクは、帝国を繁栄させたい」
「しかし‥‥‥‥」
「とにかく、異世界召喚の儀はとりおこなう」
こうして、京楽の正妃となる者を召喚すべく、召喚の儀がとりおこなわれた。
「‥‥‥‥。これが、ボクの正妃?」
「ブヒ?」
豚が一匹召喚された。
「な、なにかの間違いかと。もう一度、召喚の儀を」
ピチピチ。
大きな金色の鯉が召喚された。
「とりあえず、水のある場所へ。ちょっと、異世界召喚の儀って手品かなんかなの?ボクは豚や鯉を正妃するつもりはないよ?」
「し、失礼しました。おい、魔導士たち、ありったけの魔力をこめるんだ。次こそ、正妃となりえる異世界の者を召喚するのだ!」
魔導士たちは祈祷をはじめ、召喚のための魔法陣が輝いた。
まぶしすぎて、誰も目を開けれない。
「ここは‥‥‥‥?」
召喚されたのは、長い長い白髪に白い服を着て、肌も雪のように白く、瞳だけが深い緑色の人物だった。年の頃は17,8歳。
「おお、成功だ!」
「やればできるじゃない」
皇帝も、美しいその人の性別を女性だと思った。
「君は、今日からこのガイア帝国の皇帝の正妃だよ?」
「はぁ?俺は男だぞ。そもそも、神聖レオナ教の大司祭だ」
「へ?男?」
「どこをどう見ても男にしか見えないだろう」
どこをどう見ても、美しい美少女にしか見えなかった。
「また、そんな嘘を」
「俺は男だ!」
その美しい少年は、怒って京楽の手をとり、胸を触らせた。
「平だ。で、でも胸のない女性もいるし」
その人物は、ため息をついて下半身を触らせる。
「まじで男の子だった‥‥‥ボクは、この子を正妃にしないといけないの?」
「そもそも、ここはどこだ。お前は誰だ。俺はどうなったんだ」
たくさんの疑問を浮かべる人物の名前を、京楽は聞く。
「名前は?」
「浮竹十四郎。神聖レオナ帝国の、神聖レオナ教の8代目の大司祭だ」
「ボクの名前は京楽春水。ここはガイア帝国の帝都カサンドリア。ボクはこのガイア帝国の皇帝だよ」
「だからなんだ」
「えっとね‥‥‥」
京楽は、異世界召喚の儀のことを話した。
「はぁ?俺に、お前の正妃になれっていうのか?」
「いや、無理でしょ。同性だし」
「いえ、無理ではございません。少女めいた美貌をもっているのは嘘ではない。半陰陽ですな」
魔導士の一人が、浮竹の前で水晶を掲げてそう言った。
浮竹は、顔つきを変えた。
「確かに俺は半陰陽だが、男性として生きてきた。女として扱うな」
「両性具有かい。とりあえず、お風呂いれて着替えさせて。衣服は女性のもので」
「おい、聞いているのか。女として扱うなと言っている」
浮竹は、京楽に従っている女官たちに連れ去られて、無理やり風呂にいれられて、女性ものの衣服を着せられた。女性ものといっても、露出は極端に少なく、スカートになっているが、浮竹の希望でハーフパンツをはいていた。
ドレス姿だが、浮竹は勝手に他の布を改造して着こんで、ドレスとはまた異なる姿で京楽のところにやってきた。
「へえ。ドレスを着させるように言ったはずなのに、そんな風に着るんだね。悪くない」
「俺は、一刻も早く神聖レオナ帝国に戻りたい」
「無理だよ。異世界召喚の儀で召喚された者は、もう元の世界に帰れない」
浮竹は目を見開いて、京楽の頬をぶった。
「お前の正妃になれというのか!」
京楽は、口を切ってしまったが、そんなことどうでもいいように浮竹を見つめる。
「君に興味がわいた。半陰陽はこの国では崇めるべき対象であり、国の象徴でもある。そんな君を正妃にするのに誰も文句を言わないだろう」
「俺は嫌だぞ!」
「君は、ボクに抱かれなければ1か月で命が尽きてしまうんだよ?」
異世界召喚の儀の説明にも入れていたが、浮竹は眉を顰める。
「じゃあ、俺は死ぬ。1カ月、どこかで一人で過ごさせてくれ」
「ちょっと、自分から死を決意するの?それくらい、ボクとの結婚は嫌?」
「ああ、嫌だ。半陰陽だと知って、目の色を変える男の妻になんてなりたくないし、抱かれたくもない」
「ううむ。じゃあ、まずは友人から始めよう?」
「友人として接するなら、お前の傍にいてやってもいい」
浮竹は、運んでこられる豪華な食事を食べながら、京楽を見た。
見た目は悪くないが、好色家で寵姫を百人以上囲っているという。子もすでに5人はいるそうで、浮竹はますます京楽の正妃になるのが嫌になった。
浮竹は、不思議と異世界召喚されたのに、その世界の言葉が全て理解できた。文字も読めた。
どんな国の文字でも読めるし、聞き取り話すことも可能だった。
ただじっとしているのは暇なので、浮竹は後宮で大きな部屋をもたされてそこで寝起きしながら、ガイア帝国の通訳をした。
他の国の者の言葉をガイア帝国の言葉にして、政治などに口を出した。
浮竹が召喚されて2週間ばかり経った頃、ガイア帝国はイサナ公国を領土に入れた。浮竹のお陰で、イサナ公国は特殊な言語を話す民族で、交渉が進んでいなかったのだ。浮竹が通訳し、ガイア帝国の領土に加わるが、自治を許された。
「月の御子に乾杯!」
浮竹は、瞳以外白いので、月の御子と呼ばれるようになっていた。
京楽の隣で過ごすようになってから、京楽も変わった。
寵姫たちをきちんと整頓して、子のいない寵姫たちは故郷に戻された。子供たちには皇位継承権を与えないが、皇族としての暮らしを約束させた。
子を産んだ寵姫もだ。
「うーん」
浮竹は、だらしなかった京楽の変わりように、うなっていた。
「君のために身辺整理をしたよ。ボクの正妃になってよ」
「いやだ」
「そう言わず」
「はじめに召喚された豚とやらでも抱いておけ」
「じゃあ、その豚を調理しよう」
「好きにしろ」
「でも、もうこの世界にきて3週間だよ?そろそろボクに抱かれないと、本当に死んでしまうよ?」
「死しても魂は残る。俺は、そんな宗教の大司祭として過ごしてきた。男であっても女であっても、誰とも寝ない」
それから数日が経った。
浮竹は輪郭を薄くさせて、高熱を出して倒れた。
医者が言うには、原因は不明だという。もうすぐ、浮竹が召喚されて1か月になる。
京楽は、浮竹を失いたくなくて、浮竹に媚薬を盛った。
「んあ‥‥‥体が、熱い」
「ごめんね、浮竹。ほんとは同意がいいんだけど、このままじゃ君が死んでしまう。君を抱くよ」
浮竹が着ている衣服を全て脱がせると、虐待の痕があって、京楽は言葉を飲み込んだ。
半陰陽だが、見た目は男性だった。胸はなかったが、膣はあった。
京楽は、優しく浮竹を抱いた。
「あ、やぁ」
浮竹の秘所を舐めて、指を入れて濡らすと、京楽は己のものを浮竹の秘所に挿入する。
男性経験がないのか、秘所は処女膜を破られたことで血を流した。
「浮竹、大好きだよ」
「やああ」
浮竹は、高熱で意識を朦朧としていたが、誰かに同意もなく抱かれていることは分かった。
「んあっ」
「ああ、君の中すごい。このまま、子を孕んでくれたらいいのに」
「ああっ」
浮竹は、京楽に子種をたくさん幼い子宮に注ぎ込まれて、意識を失った。
次の日には、高熱で死にかけていたのが嘘のように元気になっていた。薄くなっていた体の輪郭もしっかりしていた。
「京楽」
「ん?」
「このドスケベがあああああ」
「うぎゃあああああああああ」
皇帝である京楽を、浮竹は蹴り転がす。
同意もなしに抱かれたことに、しかも女扱いされたことに浮竹は怒り、それを京楽にぶつけた。
「もぎゃああああ、ごめんなさいいいい」
京楽に思い切り八つ当たりしてすっきりする。
月日はあっという間に過ぎていく。
浮竹がこの世界にきて2か月目になろうとしていた。
京楽とは、それなりに仲のよい友人になれたが、愛されていたが、肉体関係がなかったせいで、また浮竹は体の輪郭を薄くさせて、京楽に抱かれる羽目になった。
「今回は、後ろを愛してあげる」
「ん‥‥‥」
浮竹は、またもや媚薬を盛られて、意識はあまりない。
京楽は、潤滑油を使い、浮竹の蕾を解した。
「あっ」
「やっぱり、男性でもあるから後ろでも感じるんだね。今日は、君の前もいかせてあげるから」
「やああああ」
浮竹に後ろの前立腺をすりあげられて、己のものをしごかれて、浮竹は少量であるが精液をはきだした。
「んあっ」
ぐちゅりと音をたてて、蕾を穿つ京楽は、浮竹の体の虜になっていた。
「ああ、甘い。君の精液ですら甘い。女の部分も男の部分も、感度はいいし」
くちゅっと音をたてて、浮竹の秘所の天井を指で刺激してやると、浮竹は女としていきながら、蕾の最奥に突き上げられて、また少量の精液を出していっていた。
京楽は、浮竹の胎の奥に子種を注ぎ込む。
「こっちにも、あげるね?」
まだ幼い子宮にも、子種を注いだ。
浮竹は、いつの間にか京楽に依存するようになっていた。
この世界に召喚されてから3か月目には、淫らになってしまった自分の体の火照りをどうすることもできなくて、自分の意思から居楽に抱かれた。
「おめでとうございます。ご懐妊です」
「え」
4カ月目になろうという頃、浮竹は京楽の子を身籠った。
浮竹はパニックになったが、京楽が抱きしめて安心させた。
「君を、正妃にする」
「ばかな」
「もう、前々から君を正妃にする準備は進めていたんだよ。それに、陰から他のボクの子をもつ寵姫から嫌がらせされてたでしょ?」
浮竹は黙り込む。
いない間に衣服を切り裂かれたり、京楽から贈られた小鳥を殺されたりしていた。
浮竹は騒がないし、京楽に言いつけもしないので、嫌がらせはエスカレートして、ついには浮竹の髪を切られることまでになっていた。
「正妃になって」
「俺は、元の世界に戻りたい‥‥‥‥」
「正妃になってほしい。君を、世界で一番愛している」
「俺、も。愛している」
浮竹も、京楽を好きになっていた。
何度も肉体関係をもっていて、好きでないのに抱かれるような人間ではなかった、浮竹は。
召喚されて半年が経つ頃、浮竹と京楽は結婚式を挙げた。
浮竹は正妃となたったが、後ろ盾がなく、脆い存在だった。
ある日、それまでの正妃候補だった寵姫が、浮竹を攫って、奴隷として売り飛ばした。
それを知った京楽は激怒し、その寵姫と自分の愛娘となる姫の首をはねた。2等身にあたる血族まで、処刑された。
浮竹の腹の中には京楽の子がいたが、処刑された寵姫の手によって流されていた。
やっとの思いで、奴隷から救出された浮竹は、他の貴族にあたる男に汚されていた。
「俺は汚れた。もう、お前の正妃ではいられない」
「たとえ、汚されていようと、ボクの正妃は君だけだよ、浮竹」
「京楽‥‥‥怖かった。怖かった‥‥‥」
浮竹は、京楽の胸の中で泣いた。
更に月日が経ち、再び浮竹は京楽の子を懐妊して、6カ月足らずで陣痛がきて、早産した。
早産したが、子は一命をとりとめ、男児だった。
皇太子の誕生だった。
「母様」
「父様と呼びなさい」
「えー、でも皇帝である父様と混じっちゃうよ?」
「それでもかまわない。俺を呼ぶ時は、父様と呼びなさい」
「はぁい。浮竹父様」
浮竹は不思議な力をもっていた。
それは、他者の怪我や病気を癒すというもの。
体力を消耗するので滅多に使わないが、その能力をいかして外交が進められたりして、ガイア帝国の領土は広がった。
そして、浮竹が提案した学校という施設のお陰と孤児院の設立、スラム街の住民の国民としての受け入れなど、様々なことが変革され、ガイア王国は二度目の黄金期を迎えようとしていた。
「浮竹、愛してるよ。恋夜(れんや)も」
恋夜とは、皇太子の名前だった。
「俺も、愛している、京楽」
京楽は、長寿なので200歳まで生きた。浮竹も、エルフの血を引いているので長く生きた。
最後、京楽が先に逝ってしまうのだが、国の象徴として、静かに過ごし、自分の血を継いだ子が国を統治していくのを、ゆっくりと見守るのあった。
たくさんの寵姫をもっており、子も5人いた。ただ、正妃はいなかった。妾としてたくさんの寵姫を後宮に入れていた、根っからの色事好きな皇帝だった。
ある日、預言者がこう予言した。
「皇帝は、異世界召喚で召喚した者を正妃とすれば、今のガイア帝国をもっと繁栄させ、領土も広がるだろう。ただ、その召喚した者を愛し1か月に一度肉体関係をもたさなければ、召喚した者は死んでしまう。抱かれず愛されない時間が1カ月近くなると、召喚された者の肉体は薄くなっていく」
皇帝である京楽は、預言者など怪しい者の言葉など信じなかったが、過去の皇帝に同じように異世界召喚で現れた美しい女生を正妃とした皇帝がおり、その皇帝が在位した時代は黄金期と呼ばれ、領土も広くなり、帝国も繁栄していた。ただ、正妃である女性の死後、帝国の黄金期は終わり、じわじわと領土は減っていき、帝国も衰退していった。
召喚された者は、1カ月以内に京楽に愛される必要があった。つまりは、抱かれなければならないのだ。
「異世界召喚の儀をとりおこなう!」
「京楽様、そのような必要などはないのでは?すでに御子は5人もおり、帝国も衰退はしておりません」
「ボクは、帝国を繁栄させたい」
「しかし‥‥‥‥」
「とにかく、異世界召喚の儀はとりおこなう」
こうして、京楽の正妃となる者を召喚すべく、召喚の儀がとりおこなわれた。
「‥‥‥‥。これが、ボクの正妃?」
「ブヒ?」
豚が一匹召喚された。
「な、なにかの間違いかと。もう一度、召喚の儀を」
ピチピチ。
大きな金色の鯉が召喚された。
「とりあえず、水のある場所へ。ちょっと、異世界召喚の儀って手品かなんかなの?ボクは豚や鯉を正妃するつもりはないよ?」
「し、失礼しました。おい、魔導士たち、ありったけの魔力をこめるんだ。次こそ、正妃となりえる異世界の者を召喚するのだ!」
魔導士たちは祈祷をはじめ、召喚のための魔法陣が輝いた。
まぶしすぎて、誰も目を開けれない。
「ここは‥‥‥‥?」
召喚されたのは、長い長い白髪に白い服を着て、肌も雪のように白く、瞳だけが深い緑色の人物だった。年の頃は17,8歳。
「おお、成功だ!」
「やればできるじゃない」
皇帝も、美しいその人の性別を女性だと思った。
「君は、今日からこのガイア帝国の皇帝の正妃だよ?」
「はぁ?俺は男だぞ。そもそも、神聖レオナ教の大司祭だ」
「へ?男?」
「どこをどう見ても男にしか見えないだろう」
どこをどう見ても、美しい美少女にしか見えなかった。
「また、そんな嘘を」
「俺は男だ!」
その美しい少年は、怒って京楽の手をとり、胸を触らせた。
「平だ。で、でも胸のない女性もいるし」
その人物は、ため息をついて下半身を触らせる。
「まじで男の子だった‥‥‥ボクは、この子を正妃にしないといけないの?」
「そもそも、ここはどこだ。お前は誰だ。俺はどうなったんだ」
たくさんの疑問を浮かべる人物の名前を、京楽は聞く。
「名前は?」
「浮竹十四郎。神聖レオナ帝国の、神聖レオナ教の8代目の大司祭だ」
「ボクの名前は京楽春水。ここはガイア帝国の帝都カサンドリア。ボクはこのガイア帝国の皇帝だよ」
「だからなんだ」
「えっとね‥‥‥」
京楽は、異世界召喚の儀のことを話した。
「はぁ?俺に、お前の正妃になれっていうのか?」
「いや、無理でしょ。同性だし」
「いえ、無理ではございません。少女めいた美貌をもっているのは嘘ではない。半陰陽ですな」
魔導士の一人が、浮竹の前で水晶を掲げてそう言った。
浮竹は、顔つきを変えた。
「確かに俺は半陰陽だが、男性として生きてきた。女として扱うな」
「両性具有かい。とりあえず、お風呂いれて着替えさせて。衣服は女性のもので」
「おい、聞いているのか。女として扱うなと言っている」
浮竹は、京楽に従っている女官たちに連れ去られて、無理やり風呂にいれられて、女性ものの衣服を着せられた。女性ものといっても、露出は極端に少なく、スカートになっているが、浮竹の希望でハーフパンツをはいていた。
ドレス姿だが、浮竹は勝手に他の布を改造して着こんで、ドレスとはまた異なる姿で京楽のところにやってきた。
「へえ。ドレスを着させるように言ったはずなのに、そんな風に着るんだね。悪くない」
「俺は、一刻も早く神聖レオナ帝国に戻りたい」
「無理だよ。異世界召喚の儀で召喚された者は、もう元の世界に帰れない」
浮竹は目を見開いて、京楽の頬をぶった。
「お前の正妃になれというのか!」
京楽は、口を切ってしまったが、そんなことどうでもいいように浮竹を見つめる。
「君に興味がわいた。半陰陽はこの国では崇めるべき対象であり、国の象徴でもある。そんな君を正妃にするのに誰も文句を言わないだろう」
「俺は嫌だぞ!」
「君は、ボクに抱かれなければ1か月で命が尽きてしまうんだよ?」
異世界召喚の儀の説明にも入れていたが、浮竹は眉を顰める。
「じゃあ、俺は死ぬ。1カ月、どこかで一人で過ごさせてくれ」
「ちょっと、自分から死を決意するの?それくらい、ボクとの結婚は嫌?」
「ああ、嫌だ。半陰陽だと知って、目の色を変える男の妻になんてなりたくないし、抱かれたくもない」
「ううむ。じゃあ、まずは友人から始めよう?」
「友人として接するなら、お前の傍にいてやってもいい」
浮竹は、運んでこられる豪華な食事を食べながら、京楽を見た。
見た目は悪くないが、好色家で寵姫を百人以上囲っているという。子もすでに5人はいるそうで、浮竹はますます京楽の正妃になるのが嫌になった。
浮竹は、不思議と異世界召喚されたのに、その世界の言葉が全て理解できた。文字も読めた。
どんな国の文字でも読めるし、聞き取り話すことも可能だった。
ただじっとしているのは暇なので、浮竹は後宮で大きな部屋をもたされてそこで寝起きしながら、ガイア帝国の通訳をした。
他の国の者の言葉をガイア帝国の言葉にして、政治などに口を出した。
浮竹が召喚されて2週間ばかり経った頃、ガイア帝国はイサナ公国を領土に入れた。浮竹のお陰で、イサナ公国は特殊な言語を話す民族で、交渉が進んでいなかったのだ。浮竹が通訳し、ガイア帝国の領土に加わるが、自治を許された。
「月の御子に乾杯!」
浮竹は、瞳以外白いので、月の御子と呼ばれるようになっていた。
京楽の隣で過ごすようになってから、京楽も変わった。
寵姫たちをきちんと整頓して、子のいない寵姫たちは故郷に戻された。子供たちには皇位継承権を与えないが、皇族としての暮らしを約束させた。
子を産んだ寵姫もだ。
「うーん」
浮竹は、だらしなかった京楽の変わりように、うなっていた。
「君のために身辺整理をしたよ。ボクの正妃になってよ」
「いやだ」
「そう言わず」
「はじめに召喚された豚とやらでも抱いておけ」
「じゃあ、その豚を調理しよう」
「好きにしろ」
「でも、もうこの世界にきて3週間だよ?そろそろボクに抱かれないと、本当に死んでしまうよ?」
「死しても魂は残る。俺は、そんな宗教の大司祭として過ごしてきた。男であっても女であっても、誰とも寝ない」
それから数日が経った。
浮竹は輪郭を薄くさせて、高熱を出して倒れた。
医者が言うには、原因は不明だという。もうすぐ、浮竹が召喚されて1か月になる。
京楽は、浮竹を失いたくなくて、浮竹に媚薬を盛った。
「んあ‥‥‥体が、熱い」
「ごめんね、浮竹。ほんとは同意がいいんだけど、このままじゃ君が死んでしまう。君を抱くよ」
浮竹が着ている衣服を全て脱がせると、虐待の痕があって、京楽は言葉を飲み込んだ。
半陰陽だが、見た目は男性だった。胸はなかったが、膣はあった。
京楽は、優しく浮竹を抱いた。
「あ、やぁ」
浮竹の秘所を舐めて、指を入れて濡らすと、京楽は己のものを浮竹の秘所に挿入する。
男性経験がないのか、秘所は処女膜を破られたことで血を流した。
「浮竹、大好きだよ」
「やああ」
浮竹は、高熱で意識を朦朧としていたが、誰かに同意もなく抱かれていることは分かった。
「んあっ」
「ああ、君の中すごい。このまま、子を孕んでくれたらいいのに」
「ああっ」
浮竹は、京楽に子種をたくさん幼い子宮に注ぎ込まれて、意識を失った。
次の日には、高熱で死にかけていたのが嘘のように元気になっていた。薄くなっていた体の輪郭もしっかりしていた。
「京楽」
「ん?」
「このドスケベがあああああ」
「うぎゃあああああああああ」
皇帝である京楽を、浮竹は蹴り転がす。
同意もなしに抱かれたことに、しかも女扱いされたことに浮竹は怒り、それを京楽にぶつけた。
「もぎゃああああ、ごめんなさいいいい」
京楽に思い切り八つ当たりしてすっきりする。
月日はあっという間に過ぎていく。
浮竹がこの世界にきて2か月目になろうとしていた。
京楽とは、それなりに仲のよい友人になれたが、愛されていたが、肉体関係がなかったせいで、また浮竹は体の輪郭を薄くさせて、京楽に抱かれる羽目になった。
「今回は、後ろを愛してあげる」
「ん‥‥‥」
浮竹は、またもや媚薬を盛られて、意識はあまりない。
京楽は、潤滑油を使い、浮竹の蕾を解した。
「あっ」
「やっぱり、男性でもあるから後ろでも感じるんだね。今日は、君の前もいかせてあげるから」
「やああああ」
浮竹に後ろの前立腺をすりあげられて、己のものをしごかれて、浮竹は少量であるが精液をはきだした。
「んあっ」
ぐちゅりと音をたてて、蕾を穿つ京楽は、浮竹の体の虜になっていた。
「ああ、甘い。君の精液ですら甘い。女の部分も男の部分も、感度はいいし」
くちゅっと音をたてて、浮竹の秘所の天井を指で刺激してやると、浮竹は女としていきながら、蕾の最奥に突き上げられて、また少量の精液を出していっていた。
京楽は、浮竹の胎の奥に子種を注ぎ込む。
「こっちにも、あげるね?」
まだ幼い子宮にも、子種を注いだ。
浮竹は、いつの間にか京楽に依存するようになっていた。
この世界に召喚されてから3か月目には、淫らになってしまった自分の体の火照りをどうすることもできなくて、自分の意思から居楽に抱かれた。
「おめでとうございます。ご懐妊です」
「え」
4カ月目になろうという頃、浮竹は京楽の子を身籠った。
浮竹はパニックになったが、京楽が抱きしめて安心させた。
「君を、正妃にする」
「ばかな」
「もう、前々から君を正妃にする準備は進めていたんだよ。それに、陰から他のボクの子をもつ寵姫から嫌がらせされてたでしょ?」
浮竹は黙り込む。
いない間に衣服を切り裂かれたり、京楽から贈られた小鳥を殺されたりしていた。
浮竹は騒がないし、京楽に言いつけもしないので、嫌がらせはエスカレートして、ついには浮竹の髪を切られることまでになっていた。
「正妃になって」
「俺は、元の世界に戻りたい‥‥‥‥」
「正妃になってほしい。君を、世界で一番愛している」
「俺、も。愛している」
浮竹も、京楽を好きになっていた。
何度も肉体関係をもっていて、好きでないのに抱かれるような人間ではなかった、浮竹は。
召喚されて半年が経つ頃、浮竹と京楽は結婚式を挙げた。
浮竹は正妃となたったが、後ろ盾がなく、脆い存在だった。
ある日、それまでの正妃候補だった寵姫が、浮竹を攫って、奴隷として売り飛ばした。
それを知った京楽は激怒し、その寵姫と自分の愛娘となる姫の首をはねた。2等身にあたる血族まで、処刑された。
浮竹の腹の中には京楽の子がいたが、処刑された寵姫の手によって流されていた。
やっとの思いで、奴隷から救出された浮竹は、他の貴族にあたる男に汚されていた。
「俺は汚れた。もう、お前の正妃ではいられない」
「たとえ、汚されていようと、ボクの正妃は君だけだよ、浮竹」
「京楽‥‥‥怖かった。怖かった‥‥‥」
浮竹は、京楽の胸の中で泣いた。
更に月日が経ち、再び浮竹は京楽の子を懐妊して、6カ月足らずで陣痛がきて、早産した。
早産したが、子は一命をとりとめ、男児だった。
皇太子の誕生だった。
「母様」
「父様と呼びなさい」
「えー、でも皇帝である父様と混じっちゃうよ?」
「それでもかまわない。俺を呼ぶ時は、父様と呼びなさい」
「はぁい。浮竹父様」
浮竹は不思議な力をもっていた。
それは、他者の怪我や病気を癒すというもの。
体力を消耗するので滅多に使わないが、その能力をいかして外交が進められたりして、ガイア帝国の領土は広がった。
そして、浮竹が提案した学校という施設のお陰と孤児院の設立、スラム街の住民の国民としての受け入れなど、様々なことが変革され、ガイア王国は二度目の黄金期を迎えようとしていた。
「浮竹、愛してるよ。恋夜(れんや)も」
恋夜とは、皇太子の名前だった。
「俺も、愛している、京楽」
京楽は、長寿なので200歳まで生きた。浮竹も、エルフの血を引いているので長く生きた。
最後、京楽が先に逝ってしまうのだが、国の象徴として、静かに過ごし、自分の血を継いだ子が国を統治していくのを、ゆっくりと見守るのあった。
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