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教師と式18

浮竹の屋敷は広く、庭には大きなプールがある。

今年は猛暑が激しく、干上がった川から浮竹の勤めている小学校のプールに居ついてしまった水虎に、今プールをかしていた。

「水虎、プールを使うがいいか?」

「もちろんだ。このプールはあんたさんのものだからな。わしはすみでおとなしくしておるよ」

浮竹と京楽は、あまりの暑さにプールで遊ぶことにした。

せっかくなので、鬼神の京楽と鬼の浮竹も呼んだ。

『広いプールだな』

『さすが金持ち‥‥‥』

鬼の浮竹と鬼神の京楽は、浮竹の所有するプールを見て、隅っこに水虎が本当にいるのを確認して、苦笑する。

『住処をなくした水虎に、プールをかしていたんだったな。だが、あまり怪異を呼ばないほうがいいぞ』

「今さらだな。水虎に、座敷童に天狗、猫又にこの前は使用人になった向日葵の花鬼の一護くんだ。あやかし絡みになると、どうにも俺は放置できなくてな」

『ほんと、今更だねぇ。怪異に首をつっこみすぎて、おかしなことにならないようにね』

鬼神の京楽の言葉に、浮竹が笑う。

「そもそも、俺は自分を人間だと思っていたが本当は雷神だった。あやかしだから、俺自体が怪異になる」

「浮竹が雷神だったなんて、このボクでもずっと気づかないくらいだったんだよ。強い封印で、人間になっていた」

「今は、俺の意思で雷神になったり人になったりできる。ただ、雷神になった後は虎の耳と尻尾が気をゆるめると出てしまう」

すでに、浮竹の頭には虎の耳があった。

『さ、触ってもいいか?』

「別にいいが」

鬼の浮竹は、浮竹の耳を触ってもふる。

『お持ち帰りしたい』

「だめ!浮竹はボクのだからね!」

浮竹は耳をひっこめるが、今度は虎の尻尾が出てしまった。

「まぁ、触ってもいいが、ほどほどにしてくれ。プールで泳ごう」

『ああ、そうするか』

『せっかく来たんだしね』

鬼神の京楽と鬼の浮竹は、水着姿になって泳ぎ始める。

浮竹と京楽も、泳いだ。

一人、白哉はプールサイドで4人が遊んでいるのを見ながら、足だけプールにつけて、パラソルを設置して涼んでいた。

「かき氷できました」

そこへ、使用人となった一護がかき氷をもって現れる。

「シロップは好きなのかけてください」

「俺はメロン。京楽は?」

「ボクはいちごかな」

『俺たちはブルーハワイで』

『浮竹、舌が青くなっちゃうよ?』

『だから、ブルーハワイを選んだんだ。青い舌っておもしろいじゃないか』

『ええ、そうかなぁ?』

鬼神の京楽は、ブルーハワイのかき氷を食べる。

『猛暑続きだからねぇ。ボクらの住んでるマンションにはかき氷をつくるのなかったから』

「なんなら、かき氷機持って帰るか?」

浮竹がそうすすめるが、鬼の浮竹が首を左右に振る。

『かき氷なんて、家では食べないからいい』

「そうか」

浮竹は、また虎の耳と尻尾を出していた、

へにゃりとなる耳を、鬼の浮竹が撫でる。

『気持ちだけ、ありがたくちょうだいしておく‥‥やっぱお持ち帰りしたい』

『浮竹、だめだよ』

「俺はお持ち帰り禁止だ」

『残念』

京楽が、浮竹を抱き寄せる。

「浮竹はボクの!」

「だ、そうだ」

『花喰いから桜の花神に戻れてよかったな』

鬼の浮竹は、京楽を見て、改めてそう思う。

「もう、ボクは隠し事してないから。藍染とも手をきったし」

「そうだ、鬼の俺。朝顔の花鬼退治の依頼があるんだが、数が多そうで少し困っていたんだ。この後、時間があいていたら手伝ってくれないか」

『ああ、いいぞ。教師の俺には、マンションを貸してもらったり、当分の生活費をもらったりしてお世話になっているからな』

4人はプールで遊び終えると、かき氷も食べ終えて、水着から普段着に着替える。



「ここが、朝顔の花鬼が出る場所だ」

『ふむ‥‥‥35体くらいか。確かに多いな』

「人に害をなすのだ。駆除してほしいと依頼がきている」

白哉が、現れだした朝顔の花鬼を、椿の刀で切り捨てながら説明する。

『じゃあ、京楽、いくぞ』

『うん、浮竹」

二人は、次々と朝顔の花鬼を倒していく。

反対方向では、浮竹が雷を落とし、京楽が桜の花びらで朝顔の花鬼たちを退治する。白哉は、花鬼の遺体を浄化してまわっていた。

『これで、全部か?』

「ああ、そうみたいだ。助かった」

『また、何か力を貸してほしい時は言ってくれ』

「ああ」

「浮竹、朝顔の花鬼のリーダーは、多分藍染の式の市丸ギンって子だよ」

「分かっている。だが、本体を攻撃しないと倒せない。倒しても、本体が無事だとそのうち再生する」

『本体の居場所、つきとめようか?』

「できるのか?」

『多分、できる。この花鬼たちについていた匂いをたどれば‥‥』

「罠の可能性が高いから、今はまだいい」

浮竹と京楽は、鬼の浮竹と鬼神の京楽を車でマンションまで送り届けた。

『朝顔の花鬼は乱れ咲きだ。数が多くなる。また、依頼があったら知らせてくれ。力になりたい』

「ああ、分かった」

4人はそれぞれ2人に別れて、別れの挨拶をすませて日常に戻っていく。

『さて、小説の続きでも執筆するかな』

『俺はガーデニングでもしよう』

一方、浮竹と京楽は。

「参ったな。朝顔の花鬼の子供だ」

朝顔の花鬼たちを退治し終えて、念のためもう一度きたら、一人の朝顔の花鬼の子供が仲間がいなくて泣いていた。

「行くあてもないだろう。俺の屋敷にこい」

「ちょっと、浮竹」

「こんな幼子に何ができる」

「それはそうだけど」

「向日葵の花鬼の一護くんに預けよう。同じ夏の植物のあやかし同士、仲良くやれるだろう」

子供の花鬼の本体の朝顔を、土ごとひっこぬいて、浮竹の屋敷にはまたあやかしが増えるのだった。




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