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「兄様が、高熱を出して臥せられておる。恋次、看病して元気を分けてさしあげろ」

ルキアの言葉は無茶苦茶だったが、白哉が熱を出して臥せっているのは放置できなかった。

「風邪か何かか?」

「分からぬ。風邪の症状はない。ただ熱が高いだけだ」

「分かった。隊長のところに行ってくる」

恋次は朽木家の白哉の寝室に行こうといして、ルキアに止められる。

「くれぐれも、兄様の体に負担になるようなことはするなよ」

それは、白哉を抱いたりするなということだが、恋次とて病の白哉を抱くつもりなど毛頭なかった。

「薬は、これとこれとこれだ。食事ができそうであれば、厨房で粥を頼め。明太子の入った兄様好みの粥を作ってもらえるだろう」

「ああ、分かった」



恋次は、ルキアに後押しされるかんじで、朽木家の白哉の寝室に向かう。

「‥‥‥恋次」

「隊長?」

白哉は熱にうなされながら、恋次の名を呼んでいた。

どうりで、ルキアが恋次に看病を頼むはずだ。

白哉は恋次の名を、よく口にしていたのだ。

「隊長、俺です。分かりますか?」

「ん‥‥恋次?本物か?」

「偽物でも幻でもありません。本物です」

「恋次、近くへ。寂しいのだ」

「隊長?」

白哉は、熱にうなされて自分が何を口走っているのか理解できていない。

「兄がおらぬと、寂しいのだ。恋次、傍にいてくれ」

「氷枕、新しいの作ってもらいにいってきますね。すぐに戻りますから」

「恋次、私から離れるな」

「隊長、ちょっとだけ席外します。すぐに戻ってきますから」

恋次は、すっかりぬるくなってしまった氷枕をもって、厨房にいき氷をもらって新しい氷枕を作って白哉の寝室に戻る。

白哉は、恋次の姿を求めて、半身を起こしていた。

「隊長!寝てなきゃだめじゃないっすか!」

「兄の姿が見えぬから‥‥‥‥」

「氷枕作り変えてきました。傍にいるんで、おとなしく寝ていてください」

「恋次、恋次、恋次‥‥‥‥」

白哉がこの状態では、ルキアが恋次を呼ぶのも仕方ない。

「傍に、いてくれるか」

「はい、傍にいます。安心して寝てください」

白哉は、瞼を閉じて少しだけ眠った。

2時間ほどして目を覚ます。

「恋次」

「ここにいますよ。早くよくなるために薬飲みましょう。厨房に行って、粥をもらってきますね」

「食欲がない」

「でも、薬のむには腹になにかいれないと」

「恋次が食べさせてくれるなら、食べてもいい」

白哉は、熱のせいで恋次に甘える。

「分かりましたから、取り合えず粥もらってきますね?それまでおとなしく寝ていてください」


厨房から明太子の入った粥をもらい、白哉の寝室に戻る。

白哉は恋次の言葉通り、おとなしく横になっていた。

「半身おきれますか」

「うむ」

「じゃあ、食べれますか」

「恋次が、食べさせてくれ」

普通の白哉なら絶対言わない言葉に、恋次はちょっとどきまぎしながら、粥を一口分すくい、白哉の口元にもっていく。それを、白哉は食べる。

「おいしい」

「よかった。食欲ないなら全部たべなくていいっすから、食べられるだけ食べてください」

白哉は、粥を半分たべたところでもういらないと言った。

「薬。飲めますか?」

「恋次が飲ませてくれ」

なんですとーーーーー!?

恋次は、白哉が正気に戻ったらきっと後でボコボコにされるだろうが、そう言われて解熱剤を含む薬を口にして、白湯を含み白哉に口移しで飲ませた。

「んっ」

熱のせいで火照った体と潤んだ瞳が艶めかしい。

白哉はわいてくる欲の衝動を押し殺して、白哉の頭を撫でた。

「早く、よくなってくださいね」

「恋次、傍にいてくれ。兄が傍にいると安心する」

「はい。ちゃんといますから、治すためにも寝てください」

白哉は、眠剤作用のある薬も飲んだので、直に眠りに落ちていった。

恋次は、白哉が眠ったことを確認すると、ごろりと畳に横になって、自分も眠りはじめる。

空腹を感じて厨房で適当におにぎりをもらい、また白哉の寝室で過ごした。

夜が終わり、朝が来る頃には白哉の熱は下がっていた。

「恋次?何故、兄が私の寝室にいる」

「隊長が俺を呼んだんでしょうが。傍にいてほしいって」

「わ、私がか?」

「熱のせいで、甘えたがりになってたんすよ」

「むう、一生の不覚‥‥‥‥」

白哉はやや赤くなって、目を伏せる。

「いや、そこまで言わなくても。でも、熱が下がってよかったっす」

「うむ。書類がたまっているであろう。仕事に‥‥」

「だめですよ、隊長。今日一日は、まだおとなしくしてもらいます」

恋次の言葉に、白哉はため息をつく。

「もう熱は下がったのだ。風邪でもないのだから、平気だ」

「それでもだめです。また熱がぶり返したらどうするんすか」

「むう。分かった。湯あみがしたい」

「分かりました。一緒に入りましょう」

白哉が赤くなる。

「な、なぜ一緒なのだ」

「途中で倒れられたりしたら困るからっす。じゃあ、湯あみしにいきますよ」

白哉は恋次に連れられて、湯殿にくる。

「あまり、見るな」

「隊長、抱かれる時は平気なのに、こういうのには弱いんすね」

「うるさい」

白哉は腰にちゃんとタオルを巻いて、湯に浸かる。恋次は裸だった。

鍛え上げられた体をおしげもなくさらし、白哉は目を背ける。

「今日は一日、隊長の傍にいますからね」

「なぜだ」

「隊長がそう望んだから」

「う‥‥‥‥熱があったのだぞ。その時の言葉だ」

「それでも、一緒にいます。俺がそうしたいから」

「むう‥‥‥もう、好きにせよ」

白哉は湯あみを終えて、普通の食事をとった。恋次と一緒に。

恋次は休暇をもぎとっていた。

「兄様、熱が下がったのですね。40度をこえていたから心配したのです」

ルキアが、朝食を食堂で食べる白哉と恋次を見て、喜ぶ。

「ルキア、すまぬ。心配をかけた」

「恋次は粗相はしませんでしたか。何かしでかしていたら、私がしばきます」

「ねぇよ!看病しただけだ!」

「本当か、恋次」

ルキアが恋次を睨む。

「あたりめーだろ。病気の隊長に手を出すほど飢えてねぇよ」

「兄様、大丈夫でしたか?」

「問題はない‥‥‥ただ、今日も一日傍にいると言ってきかぬのだ」

「まぁ、恋次は兄様の犬ですから」

「勝手に人を犬扱いすんな!」

白哉は、いろいろと言い争いあう二人を見て、クスリと小さく笑う。

とても綺麗で、ルキアも恋次も見惚れるのであった。







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