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教師と式17

白哉に想い人ができた。

それは知っていたが、白哉があまり話さないのでそっとしておいていた。

ある日、浮竹の住む洋館に訪ねてくるあやかしがいた。

白哉と同じ椿の花鬼であった。

赤い髪が印象的な、まだ年若い青年だった。

浮竹と出会うなり、青年は自分の名を告げる。

「俺は阿散井恋次っていいます。白哉さんの主ですよね。どうか、俺に息子さんをください!」

ぶばーーーー。

浮竹は飲みかけの紅茶をふいていた。

「れ、恋次、兄は何を言い出すのだ!」

白哉は真っ赤になって、取り乱す。

紅茶をかぶってしまった京楽は、タオルで顔と髪をぬぐいながら、にまにましていた。

「いやぁ、春だねぇ。白哉くんはお嫁にいくのかな?」

「京楽!私は主のものだ。嫁になどいかぬ」

「白哉さん、俺の嫁になるのいやっすか?」

「いやもなにも、婚姻する必要などない」

恋次がしょげる。

「べ、別に兄を嫌っているわけではない」

「じゃあ、俺のこと好きですよね?」

「‥‥‥」

沈黙する白哉の顔は赤い。

「何はともあれ、白哉をあげることはできない。俺の大切な式だからな。ただ、白哉と付き合うのは自由だ」

「ありがとうございます!」

恋次は顔を輝かせて、白哉に抱きつこうとして投げ飛ばされていた。

「白哉さん、照れなくても」

「だ、誰も照れてなどおらぬ」

白哉はこれ以上醜態を見せれないと、呪符に戻ってしまった。

すると、恋次も呪符になり白哉の呪符の上に重なる。

「ええい、呪符になったというのに追いかけてくるな!」

「だって、今日は白哉さんの誕生日っす。一緒に祝おうって約束したじゃないっすか」

「え、今日は白哉の誕生日なのか?」

再び現れた白哉と恋次のやりとりに、浮竹が驚く。

「そうみたいだねえ」

「ルキアと一護くんと海燕を呼んでくれ」

京楽はそう言われて、最近使用人になったばかりの一護も呼んだ。

「今日は白哉の誕生日だそうだ。皆で祝ってやろう」

「兄様、やっと祝わせてもらえるのですね。毎年祝おうとしたら、いらぬと言われるので」

ルキアが喜ぶ。

白哉は、恋次に手を繋がれて、ため息をもらす。

「もう、兄らの好きにせよ」

早速、誕生日ケーキを焼かれて、午前中はプレゼントの買い出しで皆動いて、午後から白哉の誕生日を祝った。

浮竹は楽しそうだった。

自分の式であれ、誰かの誕生日を祝うことはあまりなかったからだ。

「じゃあ、ろうそくをふきけしてくれ」

白哉は251歳になるのだが、さすがにそれだけのろうそくをたてることはできなくて、3本のろうそくがバースデーケーキにのっていた。

白哉は、仕方なくそれを吹き消す。そして皆でケーキを食べた。

ルキアと一護と海燕は、それぞれ贈り物を渡して、でも家事の仕事が残っているので、おめでとと言ってから去っていった。


「誕生日おめでとう、白哉。これは俺からの誕生日祝いだ。いつかやろうと思っていた、妖刀村正だ」

「これは‥‥‥これはもらっていいのか、主」

「ああ。前からあげようと思っていたんだ」

「大切に使わせていただく」

白哉はとても嬉しそうだった。

「じゃあ、ボクから‥‥‥」

「兄の誕生日プレゼントなど、いらぬ」

「ひどい!」

「どうせろくでもないものであろう」

「コンドームだよ」

浮竹は赤くなり、白哉も顔を赤くさせて早速もらった妖刀村正を抜き放つ。

「兄など、切り捨ててくれる」

「わああああ、白哉、まてまて!」

「主の顔をたてて、今回だけは許してやる」

「うへぁぁ、切り捨てられるかと思った」

京楽は胸をなでおろす。

「京楽、デリカシーというものを考えろ」

「浮竹‥‥じゃあ、このコンドームは浮竹と使う‥‥あべし!」

浮竹に勢いよく殴られて、京楽は壁に激突した。

「あいたたたた」

「じゃあ、俺からも。椿をかたどった髪飾りです」

「お、綺麗じゃないか」

「恋次、私は女子ではない。髪飾りは‥‥」

「いやっすか?」

大型犬がくーんくーんとしょげているように、みんな見えた。

「受け取ればいいのであろう」

「じゃあ、髪につけますね」

シャラリと音をたてて、椿をかたどったガーネットでできた髪飾りの、銀細工が揺れる。

「やっぱり似合ってます、白哉さん。白哉さんには、椿が一番似合う」

「私は椿の花神だしな」

「そういう意味じゃないです。それくらい綺麗だってことです」

白哉はまた赤くなる。

「白哉、今日と明日、休暇を与える。好きに行動しろ」

「しかし、主!主の身に危険が及べば!」

「俺は強くなったし大丈夫だ。いざとなったら京楽がいる」

その京楽は、白哉と恋次を見てにまにましていた。

「京楽、主の何かあったら、刀のさびにしてやるからな」

「おおこわ。恋次くん、白哉くん連れていっていいよ」

恋次は、白哉の手を握って歩き出す。

「白哉さん、この前言っていたホタル見にいきましょう」

「しかし‥‥」

「白哉、たまには羽を伸ばせ。いってこい」

「主‥‥‥仕方ない、行くぞ、恋次」

「いやぁ、春だねぇ」

「季節は夏だけどな」

京楽の独り言に、浮竹が軽くつっこみをいれるのであった。


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