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最後の冬 ルキアの目覚めと卒業

ルキアが仮死状態になって、半月が経とうとしていた。

恋次と一緒になって、戌吊を捜索しまくった。

白哉のほうも、人手を貸してくた。

「あった、この草だ!」

恋次の記憶が本当なら、腹を減らした子供の頃、その草は甘いということで、よくルキアと一緒になって食べていたそうだ。

4番隊の調査により、葉や茎の部分には何もないが、花びらに少量の毒を含んでいることが分かった。

少量を口にするだけならいい。だが、ルキアはよくその草の、特に甘い花を好んで食べていたという。

流魂街から瀞霊廷に来た者だけでなく、流魂街でもルキアと同じ病は密かに広がっていた。みんな、その甘いという毒草を、そうと知らずに口にし続けた者だった。

さっそく、流魂街でこの花は毒草であり、花びらを食べると死に至るという情報を流した。

すでに口にしていた者達の中から、大量に摂取しているのに、発病しない者を見つけて、その者の血を抜いて、検査に回された。

結果、毒に対しての血清があるとのことだった。

ますは、4番隊で同じ病にかかっているの者に、できあがったばかりの 抗毒血清を打ち、数日様子を見ると、病が癒え始めた。

流魂街でも同じ病気に苦しむ者たちに、4番隊は無料で抗毒血清を打ってやった。

皆、奇跡だと喜んだ。

朽木邸で仮死状態になっているルキアを、まずは仮死状態から脱する解毒剤を打った。

ルキアが息を吹き返した。

一護、恋次、白哉の見守る中、虎鉄勇音が、抗毒血清を注射した。

即効性ではないので、時間が必要だったが、数時間後には頬に赤みがさしていた。

「朽木副隊長は、危険な域を脱しました。あとは、この抗毒血清を固めた薬を飲ませ続けてください」

「すまぬ、虎鉄隊長。世話になった」

白哉が、心底安堵したように、礼を言った。

「いえ、私を含めた4番隊は怪我や病を癒す場所ですので」

一護にとって、虎鉄隊長は神様に見えた。

「ああ、そういえば涅マユリに、仮死状態にするとき金払えるのかと言ってたから、朽木家なら払ってくれるさっていってしまったんだが・・・・」

「ふ。ルキアがそのおかげで助かったのだ。いくらでも金を与えよう。とりあえず、1億環くらいでどうだ」

「いや、流石にそれは払いすぎだと思う。あと、俺は実験体になってやるって言ったんだけど、なりたくないからスルーでもいいよな」

そういう一護に、恋次が笑った。

「涅隊長のことなんざ気にするな!ルキアは助かったんだし、今日はぱーっと飲もうぜ」

「でも、それもこれも、恋次があの草を食べていたっていう発言から始まったんだよな」

一護の言葉に、恋次が頷く。

「おう。みんな草を食べていたっていうから、もしかして病の原因なんじゃねーかと半信半疑だったんだが、あの白い甘い花に毒があったなんてなぁ」

「何はともあれ、ありがとな恋次。ルキアの命の恩人だ」

「やめろやめろ。そんな大したことしてねーよ」

「恋次、おまえには特別休暇と、報酬金を支払おう」

「え、まじっすか!やった!」

そのまま、酒宴となった。

ルキアはまだ眠ったままだが、一護が定期的に薬を飲ませていた。もちろん、口移しだ。

酒にある程度酔って、酒宴は打ち切られた。

「んー、ルキア大好きだー。早く目を覚ましてくれ・・・・・」

「ん・・・・・」

「ルキア?」

「一護・・・・?ここはあの世ではないのか?」

ルキアの覚醒に、一護はルキアを思い切り抱き締めた。

「こら、一護、苦しい!」

「あ、ああすまねぇ。ルキア、良かった・・・一度、本当に死んだんだ。話は長くなるけど、涅マユリの電気ショックで息を吹き返して、その後仮死状態にする薬を打ってもたんだ。んで、ルキアが仮死状態になっている半月の間に、病の原因を突き止めて、抗毒血清打ってもらったんだ」

ルキアは、不思議そうに眼を瞬かせた。

「抗毒血清?私は、何か毒を口にしていたのか?」

「恋次も口にしてたけど、飢えた時に甘い草の葉や花を食べていただろう」

「ああ、あの白い花か。あれはまるで蜜を舐めているようで、美味かった」

「その花に、毒があったんだ。長年蓄積された毒が、病気の原因だったんだ」

「それでは・・・姉様も・・・・・・?」

「多分な。飢えて、同じ白い花を口にしていたんじゃねーかな」

ルキアは、一護を抱き締めていた。

「ルキア?」

「病気で諦ていた貴様との未来が、続いている」

「そうだな」

「兄様も、貴様との交際を認めて下さっている」

一護は、半月の間尸魂界にいたことになるのだが、大学の受験日にはちゃんと現世に戻り大学を合格していた。

井上も合格していたようだ。

ルキアは決まった時間に、病を完全に治すために、抗毒血清を固めた薬を飲んだ。

「まずいな、これは・・・」

「ああ、俺も思った。でもちゃんと飲まないと、病が完全に癒えるまで、時間がかかっちまう」

「なぜ、この薬の味が苦いと知っておるのだ」

「そりゃ、意識のない時に口に含んで飲ませてたから」

ルキアは、顔を真っ赤にさせた。

「なんだよ。今頃キス程度で赤くなるなよ」

「兄様や恋次がいる場所でもしたのか!?」

「ああ、そうだぜ」

ルキアは、一護を睨んだ。

「責任をもて」

「ああ。責任もって、嫁にもらってやる。っていっても。将来設計図だけどな」

「一護の嫁・・・・あああああ」

考えただけでも、幸せで、ルキアは布団に横になった。

「どうしたんだ?」

「な、なんでもない、たわけ!」

照れているからなど、口が裂けても言えなかった。


そのまま、ルキアは卒業式の数日前まで、療養していたが、やっと白哉の許しをもらって、現世に戻ってきた。

「朽木さーーーん!」

いいなりタックルをされて、ルキアがふっ飛ばさそうになった。

「い、井上、激しいからもっと優しくしてくれ」

「あ、ごめんなさい。私ったら・・・でも、朽木さんが無事で良かった!本当によかったよう!」

涙を零し、鼻水まで垂れだした井上に、ルキアはハンカチを渡した。

「ありがとう、朽木さん!」

鼻水を盛大にかんでいたが、ルキアは気にしなかった。そのまま、そのハンカチは井上のものになった。何気に金糸や銀糸で刺繍がされた、絹でできた高級品であったが、そんなのはどうでもよかった。

また、井上の友人として傍に居れることが、嬉しかった。

「朽木さん、病気治ったんだね。良かった」

石田は、医学部に合格していた。難関大学であったが、勉強のできる石田にはどうってことはなかった。

「うむ、良かった」

茶虎は、本格的にボクシングを始めるために、ボクシング部のある大学を受けて、受かっていた。そこそこ頭のいい大学だった。

そのまま、何事もなく数日が過ぎた。

いよいよ、卒業式の日がやってきた。

ルキアも井上も、盛大に泣いていた。

「うわーん、みんなと離れたくないよう」

「井上さんは、黒崎と同じ大学じゃあないか」

「でも、石田君も茶虎君も、朽木さんも、離れ離れになっちゃう・・・・・」

「井上、それは仕方のないことだ」

茶虎の言葉に、井上はますます泣いた。

「私は、月に数回は現世にくるから・・・・ぐすっ・・・寂しくなるが、会えなくなるわけfrはない」

ルキアも泣いていたが、井上ほどではなかった。

「朽木さん、約束だよ!卒業しても会いにきてね!」

「ああ。一護に会いくるついでに、大学とやらにも顔を出す」

「そういえば、黒崎君は?」

「ああ、下級生に呼ばれていたみたいだ」

そこへ、一護がやってきた。

ボタンは全部むしられていた。

「次、石田だってよ」

「ええ、なんで僕が!」

「いいから、行って来い!」

一護に押しやられて、石田は下級生にもみくちゃにされて、制服のボタンを全部奪われた。

「茶虎にも、来てるぜ」

「ああ、あの子は問題ない。今交際中だ」

「え、まじかよ茶虎」

「うむ」

最後に、みんなで卒業旅行に出かけることになった。またになるが、北海道だった。




-------------------------------------------二人の最後の冬は終わった。春になろうと、していた。





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