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最後の冬 卒業旅行

梅の花が咲く季節。

一護、ルキア、井上、石田、茶虎は高校を卒業した。

そして、卒業旅行に出かけた。

沖縄方面という意見もあったが、飯が不味いということで、一護とルキアは訪れたことがあるが、北海道になった。

まだ、雪が積もっていて、井上やルキアは、雪玉を作って投げ合ったりしていた。

一護と訪れえた時も雪が積もっていたが、病気のせいで無理はできなかったのだ。

みんなで雪ダルマとかまくらをつくり、個人個人で雪うさぎを作った。

ルキアだけ、なぜかチャッピーになっていたが、まぁかわいいのでよしと、みんな思った。

「ここのラーメンが美味いのだ!」

札幌の本格的なラーメンの老舗で、昼食をとった。

夕食は、温泉ホテルでカニ鍋を食べた。他にも海の幸を堪能した。

「北海道って、冬は寒いけど、美味しい物多いよね」

「そうだな。石田、茶虎、井上。おみやげは白い恋人と、夕張メロンキャンディがお勧めだ。金に余裕があるなら、カニや新巻鮭もありだ」

石田は家が病院で金持ちだから、知り合いという知り合いに、カ二と新巻鮭を送っていた。

井上はいつもお世話になっている親戚のおばさんに。

茶虎は自宅に自分用に。

温泉に入るとき、浴衣が安く売っていた。

ルキアと井上は、互いにこの浴衣がいい、いやこっちがいいと、見せあっていた。

「ルキア、気に入ったのあるか?買ってやるから」

「む。この浴衣がいいのだ!」

萌黄色の、紅葉をの柄を散らしてある浴衣だった。

「いいなぁ、朽木さん」

「井上さん、良ければ僕が買ってあげるよ」

「え、石田君!?いいの?」

「黒崎のやつ、鈍感だから井上さんの心に気づかないんだろう」

そんな石田に、井上は首を横に振った。

「ううん。ずっと前に告白したの。でも、朽木さんが好きだって言われて、断られちゃった」

「そっか・・・・その浴衣でいいのかい?」

「うん。これがいいの」

瑠璃色で、蝶の柄の浴衣を、井上は選んだ。

浴衣は3千円だった。

男3人は、ホテルの備え付けの浴衣を着ていた。

ルキアと、井上は、きゃっきゃとはしゃぎながら、女湯に入っていく。

「うーむ。覗きたい・・・・」

一護の言葉に、石田が頭を叩く。

「不謹慎なこと言うな、黒崎!」

「いや、だって自分の彼女が温泉でアハハウフフなんだぜ?そういう石田も、実は井上の巨乳が見たいんじゃねーのか!」

「お前と一緒にするな、黒崎!」

「男湯、なんか賑やかそうだね」

「賑やかというか・・・ただ、バカなだけだ」

茶虎は、無言で温泉にすでに浸かっていた。

「茶虎君を見習え!」

「へいへい」

そんなこんなで、夜も更けていく。

寝る部屋は、一護と石田と茶虎の男トリオと、井上とルキアの女ペアに別れていた。

だが、いざ皆が寝静まった頃、ルキアと一護は部屋を抜け出して、ホテルの外にある梅の花を見上げていた。

「梅の花は・・・緋真姉様が好きだったのだ」

「そっか・・・・」

「緋真姉様も、もっと早くにあの病気が毒からきていると分かれば、生きていたかもしれないのに・・・・」

「ルキア。今生きてお前は俺の隣にいる。幸せか?」

「当たり前であろう!幸せでなければ、貴様などと付き合わぬ!」

「そっか・・・・・」

ルキアは、一護が送ったアメジストのネックレスをしてくれていた。

「あのさ、これ・・・・」

「ん?」

ホワイトゴールドの、アメジストがあしらわれた、指輪だった。

「これの何が?」

「裏、名前彫ってあるだろ」

「うむ。ICHIGOと彫ってある」

「そ。これ、エンゲージリング。婚約指輪だ」

「え・・・・」

ルキアの大きな瞳が、更に大きく見開かれた。

「かしてくれ」

「ん・・・」

一護に渡すと、一護はそれをルキアの指にはめた。

「こっちの指輪、裏にRUKIAって彫ってあるんだ。お前の手で、俺の指にはめてくれるか?」

「うむ・・・」

ルキアは真っ赤になりながら、一護の指の指輪をはめた。

「いつか・・・・結婚しよう」

「一護・・・・・・・」

ぽろりと、アメジストの瞳から涙が零れ落ちた。

「貴様は、私を置いていく・・・」

「だけど、魂魄は尸魂界にたどりつくんだろ?俺は絶対に現世のこと忘れない。本物の死神になって、ルキアとまた一から尸魂界で、始めるのも悪くねーだろ?」

「貴様という男は・・・・結婚、する。絶対に」

「白哉にはもう妹さん下さいって言った後だしな」

「貴様は、することすることで、私を驚かせるつもりか」

ルキアは、潤んだ瞳で一護を見つめていた。

「ルキア・・・・」

自然と唇が重なった。

「ん・・・んん・・・・」

何度かされたことのある、ディープキスだった。

梅の花を見上げて、しばらく無言で寄り添い合った後、眠気に負けてお互いの部屋に引き上げていった。

次の日も同じホテルに泊まったので、ルキアと一護は寝れるだけ寝ていた。夜更かししたせいで、昼前に起きてきた。

「黒崎君も、朽木さんも寝すぎ!」

「いや、ちょっとな・・・・」

「う、うむ・・・・・・」

「何、二人で・・・・・あ、指輪!」

目敏い井上に、すぐにばれてしまった。

「一護から・・・いつか結婚しようと、もらったのだ。エンゲージリングだそうだ」

「黒崎君、卒業旅行でプロポーズだなんてやるなー」

井上が驚いていた。

「尸魂界か現世か分からぬが、いずれ式を挙げると、思う」

「うわぁ!その時は絶対に呼んでね、朽木さん!」

「おいルキア、まだ日取りも決まってないんだ。場所もだ。そんなに、ほいほいばらすな」

一護が、ルキアに注意する。

「しかし、このエンゲージリングをしている限り、ばれてしまうであろう!」

「う、それは・・・・」

一護が言葉に詰まった。

「まぁ、朽木さんは一度死にかけたんだ。結婚して、末永く幸せに暮らすといいさ」

石田の言葉に、茶虎も頷く。

「一護、幸せにしてやれよ」

「だー、だからまだ俺ら高校を卒業したばかりだっつの!」

「でも、黒崎君もう18だよね。法律的には結婚できるよね」

井上の言葉に、一護もそうだなと思うが、まだ早い。

付き合いはじめて、まだ5か月なのだ。

せめて、後数年してから・・・・そう一護は思っていた。

そのまま、卒業旅行は終わった。



―-----------------------------------------------------------最後の冬が終わり、春がくる。

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