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最後の冬 大学生活とルキア

桜舞う季節、一護は大学生になった。

予定通り、高校卒業までに貯めていたお金で、生活を始めた。

大学の入学費や授業料は、一心が出してくれた。アパートを借りる金もだ。

いずれ独立すれば返すつもりであった。

そういう約束で、金を借りた。

「はぁ・・・ルキアと離れ離れになるって、けっこう辛いな」

伝令神機で、メールのやりとりをする。、

(今何してる?)

(呆けた面をしている貴様の後ろにいる)

「え、ルキア!?」

後ろを振り向くと、悪戯を思いついたような微笑みを浮かべたルキアがいた。

「どしたんだよ、いきなり!」

「何、急に非番になってな。今日1日だけだが、現世へいく許可をもらったのだ」

二人のことを知っている白哉と、京楽が、穿界門をルキアのためだけに開けることに許可を出してくれて、これからも非番の・・・土日の休みには、現世にくることにしていた。

でも、土日だけじゃな足りなくて、伝令神機でルキアとやりとりをしていた。

「今日は、授業があるのであろう?私も一緒に受ける」

「ああ、いいぜ。でもドイツ語だぞ。人数制だから・・・」

「ふふふ。私にはこれがある!」

記憶置換を取り出す。

それで、ドイツ語の授業を教師と生徒の記憶を改竄して受けた。

こんなことに、記憶置換を使ってもいいものかと思ったが、ルキアと一緒にいたいので、まぁ見ないふりをした。

「あ、朽木さんだ!やっほー!」

井上は、一護を同じ大学に進んでいた。

「井上、数週間ぶりだな!元気にしておったか!」

「うん!朽木さんは?」

「私は、13番隊の隊長を欠いておるので、隊長代理も含めて多忙だ。瀞霊廷の復興が本格的に始まっているしな」

ルキアの話では、壊れてしまった一番隊隊舎などはもう完成したらしい。

雨乾堂は、そのまま浮竹の墓となり、取り潰された。

新しく建築された13番隊の建物で、ルキアは復興活動と、死神の業務に追われていた。

「まぁ、3席の小椿殿が私がいない間も、隊を纏めあげてくれていたし、私のサポートを色々としてくれるので、寝不足になって倒れる、まではいかぬよ」

「そんなことになったら、俺が 尸魂界にまで怒鳴り込む」

「一護のことだから、しかねぬな」

「もうお昼だし、食堂に昼食食べにいこうよ!ここの大学の食堂、安い上にボリュームあって美味しいんだよ!」

井上に引っ張られて、一護もルキアも食堂にやってきた。

「ふむ・・・では、私はカレーランチ定食を」

「ああ、俺もそれでいいわ」

お金を払い、チケットを手にカレーランチ定食を受け取る。

カレーの上にエビフライが2つあって、サラダと福神漬けがついていた。

「むむ。カレーとは、やはり美味いな。復興に伴い、現世の食料も普及してきて、カレーを食す日もあるが、なかなかお目にかかれぬ。やはり現世は美味い食べ物の宝庫だな」

「今日は何時までこっちにいられるんだ?」

一護は、ルキアを優しい瞳で見つめていた。

「夜の10時には、戻らねば」

「そっか。土日もこっちこれるか?」

「ああ、大丈夫だ」

ルキアと一護の会話を聞いていた井上が、羨ましそうに二人をみた。

「いいなぁ、朽木さんと黒崎君。私も彼氏、作ろうかな・・・」

「石田なんてどうだよ。けっこう狙い目だと思うぜ。実家は病院で金持ちだし」

「石田君かぁ。何かにつけて、私に優しくしてくれるし・・・一度、アタックしてみようかな」

「その調子だぞ、井上!当たって砕けろだ!」

「砕けたらいけねぇだろ」

一護の冷静な突っ込みに、ルキアが頬を朱くする。

「と、とにかくだ。私は今日は一護と一緒にいるから、何かあったら井上も来てくれ」

「うん、ありがとう朽木さん!」

その日、一護はバイトがあったが、ルキアがバイト先まで来てくれたので、休まずに済んだ。

うなぎ屋のなんでも屋のバイトを辞めから、駅前のラーメン店でバイトを始めた。

一護の作るラーメンは人気で、その顔みたさに女性客が来るほどだった。

大学が終わり、そのまま一護はバイト先にルキアと一緒に直行した。

店長に彼女で婚約者であることを伝えると、ルキアは店長直々のラーメン定食をおごってもらえた。

「一護君には、もう婚約者がいるのか。俺なんて、三十路の終わりなのに恋人一人できやしない」

「いや、店長ちゃんと婚活すれば彼女できますって!」

一護のフォローに、店長は涙を滲ませながら、婚活しようかなぁと、呟いていた。

8時になって、バイトを切り上げる。

ルキアが帰る時間まで後2時間。ほんとはもっと一緒に過ごしたいのだが、現世と 尸魂界に生きる者では隔たりが大きすぎる。

「帰ったら、白玉餡蜜作ってやるよ」

「本当か!?」

その日の夕食を買い出しして、8時半に自宅につき、料理をしていると9時を回ってしまった。

「あと1時間しかないな。早く食べねば・・・」

一護は、天丼を作ってくれた。

それを早めに食べて、白玉餡蜜を食べる。

残り時間は30分になっていた。

「一護・・・キス、してくれ」

「ああ、いいぜ」

とろけるほどに甘いキスを何度か繰り返した。

10時になって、タイムオーバーになる。

「 尸魂界へ帰らねば・・・・土日にまた来るから、それまで待っていてくれ!」

ルキアが穿界門をくぐって消えたのを確認してから、一護は風呂に入り、課題をして寝た。

その週の土日、ルキアは現世にこなかった。

心配で、伝令神機に連絡をいれるが、一向に連絡は返ってこなかった。

まさか、またルキアの身に何か起きたのか?

そう思った一護は、浦原に頼んで穿界門を開けてもらった。

流魂街に出たが、瞬歩で朽木邸に向かう。

「ルキア!」

勝手にあがりこんできた客に、白哉が声をかける。

「ルキアは、眠っている。熱を出したのだ」

「まさか、また病気か何かか!?」

「病気は病気だが、ただの風邪だ」

「よかった・・・・」

一護は、ルキアの眠る寝室に入ることを許された。

見知った霊圧を感じて、ルキアがうっすらと目を開ける。

「一護・・・・週末はそちらに行くと言っていたのに、すまない・・・」

「いいんだ、ルキア。今は風邪を治すことだけを考えてくれ。伝令神機にも反応がなかったから、思わず浦原さんに頼んで、 尸魂界にきちまった。今日の予定はないし、お前の傍にいるよ」

「こほこほ・・・風邪が、うつるぞ」

「多分、大丈夫だ」

翌日には熱も下がり、動けるようになったルキアと、朽木邸でいろいろ話し合った。

ルキアと一護の今後のことについてだ。

白哉の姿もあった。

「兄は人間だ。それでも、ルキアを娶ると?」

「ああ。ルキアを置いていっちまうだろうが、どうせ他界したら魂魄は 尸魂界につくんだ。記憶はきっと残ると思うし霊圧も残ると思う。死んだら、またルキアと結婚する」

「一護・・・・」

ルキアは、涙を滲ませていた。

「よかろう。式は兄が20になった時に、現世で行うものとする」

「白哉、ありがとう!」

白哉は、優しい瞳でルキアを見た。

「ルキアを・・・幸せに、してやってくれ」

「勿論だ!」

「兄様・・・私は、緋真姉様の分まで、生きます。兄様を、一人にはさせません」

 尸魂界と現世をいったりきたりの生活になるだろうが、それでもよかった。

ルキアと結婚できるならば。


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