最後の冬 終章 二人だけの物語
大学2年になり、二十歳になった。
ルキアとの現世での婚礼をが執り行われることになった。 尸魂界の主だった隊長副隊長も参加してくれて、総隊長の京楽の姿もあった。
みんな、ルキアと一護の結婚式を心から喜んでくれた。
現世の式場で、一護は正装して落ち着かない様子だった。
「黒崎君、落ち着いて!新郎がそんなに緊張してどうするの!」
振袖姿の井上が、そわそわしている一護に声をかける。
井上は、正式に石田と付き合いだしていた。
「だって、結婚式だぞ?一生に一度あるかないかの・・・・あああああ」
一護は軽いパニック状態になっていた。
「おい、しっかりしやがれ!」
ばしっと背中を叩かれて、一護が恋次を見る。
「恋次・・・」
「ルキアを幸せにするんだろう?本当なら、その位置に俺がいたかったんだ。まぁ、ルキアが選んだのがお前だったから、仕方ねーけどな」
恋次は、嬉しさの中にもどこか悲しさを見せていた。
「ああ、すまねぇ。気合い入れ直すわ」
自分の頬をぴしゃりと叩いた。
「黒崎、朽木さんを幸せにしろよ!」
「そうだぞ、一護」
石田と茶虎の言葉に、一護は頷く。
一護は、式場に入場する。父親である一心と遊子、夏梨もきていた。
「新郎、新婦の登場です」
一護が先を歩き、後ろから同じく和装の正装をした、白哉に連れられて、純白のウェディングドレスを着た、ルキアが歩いてくる。
「ルキア・・・・綺麗だ」
「ありがとう、一護」
長いウェディングヴェールを被ったルキアは、綺麗だった。
流石に、朽木家が金を出しただけある。
黒崎家も金を出そうとしたのだが、白哉が出すといってくれたのだ。普通の式場よりも何ランクも高い式場を予約してくれた。
「汝、黒崎一護、病める時も健やかなる時も、黒崎ルキアを妻として迎えることを誓いますか?」
「誓います」
「汝、黒崎ルキア、病める時も健やかなる時も、黒崎一護を夫として迎えることを誓いますか?」
「誓います」
「では、誓いの口づけを」
ルキアのヴェールをとって、一護はゆっくりとルキアに口づけた。
その後、一護がバイト代を貯めて買った、小ぶりのダイヤモンドがあしらわれた、結婚指輪を互いにはめあった。
「ルキア、幸せに・・・・」
「はい、兄様!」
朽木家の名で借りた式場で出されたメニューは、豪華だった。
「朽木、幸せにね!」
松本が、手を振っていた。
「ブーケを投げます!」
わっと、その場にいた女性死神から一護の友人たちまで、群がってくる。
投げたブーケは、井上の手に落ちた。
「ふふ・・・石田君、結婚してっていったら、してくれる?」
井上が冗談でそういうと、石田は顔を真っ赤にさせながらこう言う。
「大学を卒業したら・・・・・」
「え」
「え」
お互い、顔を見合わせた。
ルキアとの挙式は、これないと思っていた死神たちも顔を出してくれて、残りを任さた数名の隊長副隊長は、反乱が起きたらどうしようと考えていたが、何もおこらなかった。
「いや、いいねぇ。ルキアちゃん、ウェディングドレス似合ってるよ。ああ、浮竹にも見せてやりたかったなぁ」
京楽は、ここに浮竹がいたら、きっと泣き出すだろうなと思っていた。
2次会は、ホテルのロビーを貸し切って行われた。
酒が振る舞われて、松本などは早くもできあがっていた。
隊長である日番谷は、年齢を未成年と間違われて、飲酒を禁じられた。
「ったく、こっち世界はいつまで経っても、俺をガキ扱いだ」
「冬獅郎もありがとな。わざわざ来てくれて」
「仕方ねーだろ。尸魂界の恩人が結婚するんだ。出るしかねーだろ」
「恩人とか、そんなんじゃねーよ」
一護も二十歳になったので、酒を飲んでいた。
アルコール度の低いカクテルを飲んでいた。隣には、振袖に着替えたルキアが、同じカクテルを口にしていた。
ルキアの髪は、少し伸びた。
一護は、身長がまた少しだけ伸びた。
ルキアと一護の結婚式は無事終わり、二人はヨーロッパへ7泊八日新婚旅行に出かけた。
それも終わり、白哉の出してくれた金で、一軒家を買った。
そこで、ルキアは昼は尸魂界に、夜は現世にと、2重の生活を送っていた。
結婚したのだからと、京楽がそれを認めてくれたのだ。
「ルキアー。帰ってるかー?」
「あ、一護、晩飯はまだだぞ。先に風呂に入っていてくれ」
大学を卒業した一護は、翻訳家になった。ドイツ語の翻訳家だ。在宅で仕事をしながら、家事のほとんどをこなしていた。
今日は、ルキアが夕飯を作ることになっていた。ルキア専用の穿界門が作られていた。
夜の7時に現世にきたルキアは、自分の自宅でもある一護との新居に入り、まずは夕飯にシチューを作った。ご飯は一護が炊いてくれていた。サラダも作り、自分の好物の白玉餡蜜も作った。
「ルキア、あがったぞー」
「あ、分かった。夕飯ができたのだ。食事にしよう」
二人は食卓についた。
「また白玉餡蜜か・・・」
一護の呆れた声に、ルキアが言う。
「べ、別にいいであろう!嫌ならん食さねばいいのだ!」
「誰も嫌だなんて、言ってないだろ?」
ルキアにキスをすると、ルキアはとろんとした目で見つめてきた。明日は休日なのだ。
久し振りに睦み合う予定だった。
食事を終えて、一護が後片付けをしている間に、ルキアが風呂に入った。
「一護・・・その、するのか?」
「する」
いつもは二重の生活をしているルキアを思い、手を出さないが、一護だって男だ。愛しい妻がいれば、抱きたくもなる。
「あ・・・・」
ルキアの白い肌に、キスマークの花びらを散らせていく、
「んんっ・・・」
ルキアの胸をいじっていた一護は、ルキアに急かされた。
「あ、前戯などいいから、早く・・・・」
ルキアも久しぶりで、飢えていた。
すでに濡れている秘所に指をいれて、天井部分をいじってやる。
「ああああ!」
ルキアは、あっけなくいってしまった。
「い、一護・・・・」
「ルキア、入れるぞ」
「うむ・・・・・あああ・・・・!」
一護に貫かれて、ルキアはその快感に涙を零していた。
「痛いのか?」
涙を吸い取って、一護の動きが止まる。
「違う。もっとだ、もっとお前をくれ。一つに溶けあうくらいに、してくれ」
一護は、そう言われて少し激し目に、ルキアを抱いた。
次の日は、ルキアの非番の日だったので、一日中一護と一緒にいた。
周囲の家の人間には、記憶置換でこの館の住人が年をとらぬことを、不思議がる心を消していた。
死神と人間であるので、子はできなかったが、二人とも愛し合い、最後の時まで一緒にいた。
やがて、自宅で最期の時を迎えることに決めた一護の体から、魂魄が滲み出す。
「行こう。尸魂界へ・・・」
ルキアが、若い少年時代の、17歳くらいの姿になった一護の魂を、魂葬した。
魂魄は尸魂界にやってきた。一護は、久し振りに懐かしい姿に戻って、体を存分に動かせることが嬉しかった。
享年80歳。
ルキアが、息を引き取る間際まで傍に居てくれた。
尸魂界にきた一護には、前世の記憶もあったし、霊圧もちゃんとあった。死神の姿になると、斬月を所持していた。
「迎えに来た」
「おう、ルキア!」
「第二の人生だ。また、結婚しよう。今度は、子が欲しい」
一護とルキアの冬は終わり、また春がくる。冬が終わる度に何度でも春を迎えた。
やがて一護は、尸魂界の正式な死神になり、ルキアの副官になった。ルキアは一護と結婚して数年後には、13番隊の隊長になっていた。
「また、はじめようか。俺たちの物語を」
「ああ、一護、愛しているぞ」
「俺もだ。愛してる、ルキア」
もう、最後の冬はこない。
一護の死も、最後の冬にならなかった。
また、巡り合った。
運命のように。
二人は紡ぎ出す。二人だけの物語を。
------------------------------------------最後の冬は、もう永遠にこない。
最後の冬
fin
ルキアとの現世での婚礼をが執り行われることになった。 尸魂界の主だった隊長副隊長も参加してくれて、総隊長の京楽の姿もあった。
みんな、ルキアと一護の結婚式を心から喜んでくれた。
現世の式場で、一護は正装して落ち着かない様子だった。
「黒崎君、落ち着いて!新郎がそんなに緊張してどうするの!」
振袖姿の井上が、そわそわしている一護に声をかける。
井上は、正式に石田と付き合いだしていた。
「だって、結婚式だぞ?一生に一度あるかないかの・・・・あああああ」
一護は軽いパニック状態になっていた。
「おい、しっかりしやがれ!」
ばしっと背中を叩かれて、一護が恋次を見る。
「恋次・・・」
「ルキアを幸せにするんだろう?本当なら、その位置に俺がいたかったんだ。まぁ、ルキアが選んだのがお前だったから、仕方ねーけどな」
恋次は、嬉しさの中にもどこか悲しさを見せていた。
「ああ、すまねぇ。気合い入れ直すわ」
自分の頬をぴしゃりと叩いた。
「黒崎、朽木さんを幸せにしろよ!」
「そうだぞ、一護」
石田と茶虎の言葉に、一護は頷く。
一護は、式場に入場する。父親である一心と遊子、夏梨もきていた。
「新郎、新婦の登場です」
一護が先を歩き、後ろから同じく和装の正装をした、白哉に連れられて、純白のウェディングドレスを着た、ルキアが歩いてくる。
「ルキア・・・・綺麗だ」
「ありがとう、一護」
長いウェディングヴェールを被ったルキアは、綺麗だった。
流石に、朽木家が金を出しただけある。
黒崎家も金を出そうとしたのだが、白哉が出すといってくれたのだ。普通の式場よりも何ランクも高い式場を予約してくれた。
「汝、黒崎一護、病める時も健やかなる時も、黒崎ルキアを妻として迎えることを誓いますか?」
「誓います」
「汝、黒崎ルキア、病める時も健やかなる時も、黒崎一護を夫として迎えることを誓いますか?」
「誓います」
「では、誓いの口づけを」
ルキアのヴェールをとって、一護はゆっくりとルキアに口づけた。
その後、一護がバイト代を貯めて買った、小ぶりのダイヤモンドがあしらわれた、結婚指輪を互いにはめあった。
「ルキア、幸せに・・・・」
「はい、兄様!」
朽木家の名で借りた式場で出されたメニューは、豪華だった。
「朽木、幸せにね!」
松本が、手を振っていた。
「ブーケを投げます!」
わっと、その場にいた女性死神から一護の友人たちまで、群がってくる。
投げたブーケは、井上の手に落ちた。
「ふふ・・・石田君、結婚してっていったら、してくれる?」
井上が冗談でそういうと、石田は顔を真っ赤にさせながらこう言う。
「大学を卒業したら・・・・・」
「え」
「え」
お互い、顔を見合わせた。
ルキアとの挙式は、これないと思っていた死神たちも顔を出してくれて、残りを任さた数名の隊長副隊長は、反乱が起きたらどうしようと考えていたが、何もおこらなかった。
「いや、いいねぇ。ルキアちゃん、ウェディングドレス似合ってるよ。ああ、浮竹にも見せてやりたかったなぁ」
京楽は、ここに浮竹がいたら、きっと泣き出すだろうなと思っていた。
2次会は、ホテルのロビーを貸し切って行われた。
酒が振る舞われて、松本などは早くもできあがっていた。
隊長である日番谷は、年齢を未成年と間違われて、飲酒を禁じられた。
「ったく、こっち世界はいつまで経っても、俺をガキ扱いだ」
「冬獅郎もありがとな。わざわざ来てくれて」
「仕方ねーだろ。尸魂界の恩人が結婚するんだ。出るしかねーだろ」
「恩人とか、そんなんじゃねーよ」
一護も二十歳になったので、酒を飲んでいた。
アルコール度の低いカクテルを飲んでいた。隣には、振袖に着替えたルキアが、同じカクテルを口にしていた。
ルキアの髪は、少し伸びた。
一護は、身長がまた少しだけ伸びた。
ルキアと一護の結婚式は無事終わり、二人はヨーロッパへ7泊八日新婚旅行に出かけた。
それも終わり、白哉の出してくれた金で、一軒家を買った。
そこで、ルキアは昼は尸魂界に、夜は現世にと、2重の生活を送っていた。
結婚したのだからと、京楽がそれを認めてくれたのだ。
「ルキアー。帰ってるかー?」
「あ、一護、晩飯はまだだぞ。先に風呂に入っていてくれ」
大学を卒業した一護は、翻訳家になった。ドイツ語の翻訳家だ。在宅で仕事をしながら、家事のほとんどをこなしていた。
今日は、ルキアが夕飯を作ることになっていた。ルキア専用の穿界門が作られていた。
夜の7時に現世にきたルキアは、自分の自宅でもある一護との新居に入り、まずは夕飯にシチューを作った。ご飯は一護が炊いてくれていた。サラダも作り、自分の好物の白玉餡蜜も作った。
「ルキア、あがったぞー」
「あ、分かった。夕飯ができたのだ。食事にしよう」
二人は食卓についた。
「また白玉餡蜜か・・・」
一護の呆れた声に、ルキアが言う。
「べ、別にいいであろう!嫌ならん食さねばいいのだ!」
「誰も嫌だなんて、言ってないだろ?」
ルキアにキスをすると、ルキアはとろんとした目で見つめてきた。明日は休日なのだ。
久し振りに睦み合う予定だった。
食事を終えて、一護が後片付けをしている間に、ルキアが風呂に入った。
「一護・・・その、するのか?」
「する」
いつもは二重の生活をしているルキアを思い、手を出さないが、一護だって男だ。愛しい妻がいれば、抱きたくもなる。
「あ・・・・」
ルキアの白い肌に、キスマークの花びらを散らせていく、
「んんっ・・・」
ルキアの胸をいじっていた一護は、ルキアに急かされた。
「あ、前戯などいいから、早く・・・・」
ルキアも久しぶりで、飢えていた。
すでに濡れている秘所に指をいれて、天井部分をいじってやる。
「ああああ!」
ルキアは、あっけなくいってしまった。
「い、一護・・・・」
「ルキア、入れるぞ」
「うむ・・・・・あああ・・・・!」
一護に貫かれて、ルキアはその快感に涙を零していた。
「痛いのか?」
涙を吸い取って、一護の動きが止まる。
「違う。もっとだ、もっとお前をくれ。一つに溶けあうくらいに、してくれ」
一護は、そう言われて少し激し目に、ルキアを抱いた。
次の日は、ルキアの非番の日だったので、一日中一護と一緒にいた。
周囲の家の人間には、記憶置換でこの館の住人が年をとらぬことを、不思議がる心を消していた。
死神と人間であるので、子はできなかったが、二人とも愛し合い、最後の時まで一緒にいた。
やがて、自宅で最期の時を迎えることに決めた一護の体から、魂魄が滲み出す。
「行こう。尸魂界へ・・・」
ルキアが、若い少年時代の、17歳くらいの姿になった一護の魂を、魂葬した。
魂魄は尸魂界にやってきた。一護は、久し振りに懐かしい姿に戻って、体を存分に動かせることが嬉しかった。
享年80歳。
ルキアが、息を引き取る間際まで傍に居てくれた。
尸魂界にきた一護には、前世の記憶もあったし、霊圧もちゃんとあった。死神の姿になると、斬月を所持していた。
「迎えに来た」
「おう、ルキア!」
「第二の人生だ。また、結婚しよう。今度は、子が欲しい」
一護とルキアの冬は終わり、また春がくる。冬が終わる度に何度でも春を迎えた。
やがて一護は、尸魂界の正式な死神になり、ルキアの副官になった。ルキアは一護と結婚して数年後には、13番隊の隊長になっていた。
「また、はじめようか。俺たちの物語を」
「ああ、一護、愛しているぞ」
「俺もだ。愛してる、ルキア」
もう、最後の冬はこない。
一護の死も、最後の冬にならなかった。
また、巡り合った。
運命のように。
二人は紡ぎ出す。二人だけの物語を。
------------------------------------------最後の冬は、もう永遠にこない。
最後の冬
fin
PR
- トラックバックURLはこちら