桜のあやかしと共に外伝 白哉と恋次
白哉には、恋人がいた。
恋人は、人間だった。しかも、あやかし退治をする術者で、いわゆる天敵だった。
だが、恋次が亡き妻であった緋真の生まれ変わりと知って、白哉は恋次を好きになり、恋次も前世の記憶を少し残していて、白哉のことが好きだった。
恋次は、阿散井家の一族の中でも特に優れた術者であった。
同時にに式神を50体ほど操れる技量の持ち主であった。
そんな恋次と、白哉は契約を結び、同じ時間を生きると誓いあった。桜の精霊である浮竹は今200歳を少しこしたくらいで、まだまだあやかしの中では若いほうだった。
人間は100年生きることもできない者がほとんどだ。医療の発達により、平均寿命は80歳をこしているが、それでもあやかしから見れば短命であった。
白哉には、兄がいた。
苗字が違うが、浮竹十四郎といって、春の桜の王であり、四季の王でもあった。浮竹は5千歳を生きている、古いあやかしであった。
異界にある桜の大樹の本体から株分けされた桜が、白夜だった。
本体の桜は、浮竹と同じように異界にある。
現世にも、桜のあやかしとして生きるために、公園の仮初の桜が白哉であった。同じ公園に、浮竹の桜もあった。
浮竹は自慢の兄であったが、過保護すぎて、かなりのブラコンであった。
浮竹は、恋次のことをハエがたかってるとか、かさかさしてるとか、ゴキブリのようにたとえて、好きでなかった。
浮竹いわく。
「白哉には清いままでいてほしかった」
だそうだ。
すでに恋次と何度も肉体関係を結んでいるので、もうとっくに清くなどないが、浮竹はそれでも白哉は清いといって、譲らなかった。
「白哉、恋次くんとはうまくいっているのか?俺としては破局してほしい」
そんなことを言う浮竹には、京楽という愛する者がいる。「春」という昔浮竹の恋人であった者の生まれ変わりで、反魂で蘇った「春」と京楽は一つになり、今に至る。
あやかしに落ちてまで、京楽は浮竹を愛した。
はたして、自分にはそれほどの愛はあるのだろうか。
考えてみても、分からなかった。
「恋次」
「どうしたんすか」
「愛している」
「俺も愛してます、白哉さん。その今日いいっすか?」
「何がだ」
「だから、抱いていいっすかって聞いてるんです」
「恋次の好きなようにすればよい」
そう答えると、恋次は顔を輝かせて、白哉を抱きしめた。
「絶対に、幸せにしてみせます」
「私にはそなたがいる。それだけで、十分幸せだ」
白哉は、阿散井一門の者からは恋次の式神として見られていた。
恋次の恋人であるあやかしだと知れれば、祓われかねない。そんな危険をおかしてまでも、白夜は恋次の恋人でありたかった。
「はああ!!!」
恋次に突き上げられて、いつもは静かで穏やかな白哉は乱れた。
「あああ!」
奥をごりごりと抉られて、いってしまっていた。
「白哉さん、中に出しますよ」
「うあ、あ」
いつも冷静でクールビューティーの白哉は、恋次に抱かれると煽情的になる。
淫らで、美しかった。
「恋次、キスを」
ねだられて、恋次は白哉にディープキスをする。
互いの舌を絡ませあいながら、上や下になったりした。
「これで最後です」
「はああああ。あ、もう、私も限界だ」
恋次に子種を胎の奥に注がれて、白哉は意識を手放した。
白夜が起きると、そこは恋次の家でなく、ホームにしている京楽のマンションの自分の部屋だった。
「まったく、恋次くんは白哉の意識がなくなるまで抱くなんて。いっそ、消し炭にしてやろうか」
物騒なことを言う浮竹に、白哉がつっこむ。
「そんなことをしたら、浮竹、兄を嫌いになるぞ」
「嘘です。消し炭になんてしません。だから嫌わないで~~~」
クスクスと、白哉は笑った。
あまり表情を表に出さない白哉は、恋次と出会って変わった。
いい意味で。
「白哉、体は大丈夫か?」
「大丈夫だ。それより腹がすいた」
「い、今お前の好きな和食の夕飯作ってやるからな」
浮竹は腕まくりをして、キッチンに消えていく。
「やあ、白哉くん。恋次くんとはうまくいってる?」
京楽が、部屋に入ってくる。
「ああ。京楽、兄が浮竹を好きなように、私は恋次が好きだ。この体を許すほどに」
「浮竹には、そういうことはほどほどにね。恋次くんに白哉くんとられたって嫉妬してるから」
「ふむ‥‥」
白哉は、困ったように苦笑した。
「浮竹は、あれはあれで私のことを心配してくれているからな」
「うん。重度のブラコンになりつつあるけど、受け入れてやって」
「私が、浮竹を拒むことはない。兄に言われずとも、受け入れる」
そこへ、浮竹がやってきた。
「白哉ー和食の夕飯できたぞーーー」
「あれ、今日はオムライスじゃなかったの?」
「白哉のために和食に切り替えた。オムライスは明日の昼だ」
「まったく、浮竹は白哉君に甘いね」
「俺の自慢の弟だからな」
ドヤ顔をする浮竹を、白哉も京楽も、小さくクスクスと笑うのであった。
恋人は、人間だった。しかも、あやかし退治をする術者で、いわゆる天敵だった。
だが、恋次が亡き妻であった緋真の生まれ変わりと知って、白哉は恋次を好きになり、恋次も前世の記憶を少し残していて、白哉のことが好きだった。
恋次は、阿散井家の一族の中でも特に優れた術者であった。
同時にに式神を50体ほど操れる技量の持ち主であった。
そんな恋次と、白哉は契約を結び、同じ時間を生きると誓いあった。桜の精霊である浮竹は今200歳を少しこしたくらいで、まだまだあやかしの中では若いほうだった。
人間は100年生きることもできない者がほとんどだ。医療の発達により、平均寿命は80歳をこしているが、それでもあやかしから見れば短命であった。
白哉には、兄がいた。
苗字が違うが、浮竹十四郎といって、春の桜の王であり、四季の王でもあった。浮竹は5千歳を生きている、古いあやかしであった。
異界にある桜の大樹の本体から株分けされた桜が、白夜だった。
本体の桜は、浮竹と同じように異界にある。
現世にも、桜のあやかしとして生きるために、公園の仮初の桜が白哉であった。同じ公園に、浮竹の桜もあった。
浮竹は自慢の兄であったが、過保護すぎて、かなりのブラコンであった。
浮竹は、恋次のことをハエがたかってるとか、かさかさしてるとか、ゴキブリのようにたとえて、好きでなかった。
浮竹いわく。
「白哉には清いままでいてほしかった」
だそうだ。
すでに恋次と何度も肉体関係を結んでいるので、もうとっくに清くなどないが、浮竹はそれでも白哉は清いといって、譲らなかった。
「白哉、恋次くんとはうまくいっているのか?俺としては破局してほしい」
そんなことを言う浮竹には、京楽という愛する者がいる。「春」という昔浮竹の恋人であった者の生まれ変わりで、反魂で蘇った「春」と京楽は一つになり、今に至る。
あやかしに落ちてまで、京楽は浮竹を愛した。
はたして、自分にはそれほどの愛はあるのだろうか。
考えてみても、分からなかった。
「恋次」
「どうしたんすか」
「愛している」
「俺も愛してます、白哉さん。その今日いいっすか?」
「何がだ」
「だから、抱いていいっすかって聞いてるんです」
「恋次の好きなようにすればよい」
そう答えると、恋次は顔を輝かせて、白哉を抱きしめた。
「絶対に、幸せにしてみせます」
「私にはそなたがいる。それだけで、十分幸せだ」
白哉は、阿散井一門の者からは恋次の式神として見られていた。
恋次の恋人であるあやかしだと知れれば、祓われかねない。そんな危険をおかしてまでも、白夜は恋次の恋人でありたかった。
「はああ!!!」
恋次に突き上げられて、いつもは静かで穏やかな白哉は乱れた。
「あああ!」
奥をごりごりと抉られて、いってしまっていた。
「白哉さん、中に出しますよ」
「うあ、あ」
いつも冷静でクールビューティーの白哉は、恋次に抱かれると煽情的になる。
淫らで、美しかった。
「恋次、キスを」
ねだられて、恋次は白哉にディープキスをする。
互いの舌を絡ませあいながら、上や下になったりした。
「これで最後です」
「はああああ。あ、もう、私も限界だ」
恋次に子種を胎の奥に注がれて、白哉は意識を手放した。
白夜が起きると、そこは恋次の家でなく、ホームにしている京楽のマンションの自分の部屋だった。
「まったく、恋次くんは白哉の意識がなくなるまで抱くなんて。いっそ、消し炭にしてやろうか」
物騒なことを言う浮竹に、白哉がつっこむ。
「そんなことをしたら、浮竹、兄を嫌いになるぞ」
「嘘です。消し炭になんてしません。だから嫌わないで~~~」
クスクスと、白哉は笑った。
あまり表情を表に出さない白哉は、恋次と出会って変わった。
いい意味で。
「白哉、体は大丈夫か?」
「大丈夫だ。それより腹がすいた」
「い、今お前の好きな和食の夕飯作ってやるからな」
浮竹は腕まくりをして、キッチンに消えていく。
「やあ、白哉くん。恋次くんとはうまくいってる?」
京楽が、部屋に入ってくる。
「ああ。京楽、兄が浮竹を好きなように、私は恋次が好きだ。この体を許すほどに」
「浮竹には、そういうことはほどほどにね。恋次くんに白哉くんとられたって嫉妬してるから」
「ふむ‥‥」
白哉は、困ったように苦笑した。
「浮竹は、あれはあれで私のことを心配してくれているからな」
「うん。重度のブラコンになりつつあるけど、受け入れてやって」
「私が、浮竹を拒むことはない。兄に言われずとも、受け入れる」
そこへ、浮竹がやってきた。
「白哉ー和食の夕飯できたぞーーー」
「あれ、今日はオムライスじゃなかったの?」
「白哉のために和食に切り替えた。オムライスは明日の昼だ」
「まったく、浮竹は白哉君に甘いね」
「俺の自慢の弟だからな」
ドヤ顔をする浮竹を、白哉も京楽も、小さくクスクスと笑うのであった。
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