忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
02 2025/03 3 14 1516 17 18 19 20 21 2223 24 25 26 27 28 2930 31 04

桜のあやかしと共に外伝 白哉と恋次

白哉には、恋人がいた。

恋人は、人間だった。しかも、あやかし退治をする術者で、いわゆる天敵だった。

だが、恋次が亡き妻であった緋真の生まれ変わりと知って、白哉は恋次を好きになり、恋次も前世の記憶を少し残していて、白哉のことが好きだった。

恋次は、阿散井家の一族の中でも特に優れた術者であった。

同時にに式神を50体ほど操れる技量の持ち主であった。

そんな恋次と、白哉は契約を結び、同じ時間を生きると誓いあった。桜の精霊である浮竹は今200歳を少しこしたくらいで、まだまだあやかしの中では若いほうだった。

人間は100年生きることもできない者がほとんどだ。医療の発達により、平均寿命は80歳をこしているが、それでもあやかしから見れば短命であった。

白哉には、兄がいた。

苗字が違うが、浮竹十四郎といって、春の桜の王であり、四季の王でもあった。浮竹は5千歳を生きている、古いあやかしであった。

異界にある桜の大樹の本体から株分けされた桜が、白夜だった。

本体の桜は、浮竹と同じように異界にある。

現世にも、桜のあやかしとして生きるために、公園の仮初の桜が白哉であった。同じ公園に、浮竹の桜もあった。

浮竹は自慢の兄であったが、過保護すぎて、かなりのブラコンであった。

浮竹は、恋次のことをハエがたかってるとか、かさかさしてるとか、ゴキブリのようにたとえて、好きでなかった。

浮竹いわく。

「白哉には清いままでいてほしかった」

だそうだ。

すでに恋次と何度も肉体関係を結んでいるので、もうとっくに清くなどないが、浮竹はそれでも白哉は清いといって、譲らなかった。

「白哉、恋次くんとはうまくいっているのか?俺としては破局してほしい」

そんなことを言う浮竹には、京楽という愛する者がいる。「春」という昔浮竹の恋人であった者の生まれ変わりで、反魂で蘇った「春」と京楽は一つになり、今に至る。

あやかしに落ちてまで、京楽は浮竹を愛した。

はたして、自分にはそれほどの愛はあるのだろうか。

考えてみても、分からなかった。

「恋次」

「どうしたんすか」

「愛している」

「俺も愛してます、白哉さん。その今日いいっすか?」

「何がだ」

「だから、抱いていいっすかって聞いてるんです」

「恋次の好きなようにすればよい」

そう答えると、恋次は顔を輝かせて、白哉を抱きしめた。

「絶対に、幸せにしてみせます」

「私にはそなたがいる。それだけで、十分幸せだ」

白哉は、阿散井一門の者からは恋次の式神として見られていた。

恋次の恋人であるあやかしだと知れれば、祓われかねない。そんな危険をおかしてまでも、白夜は恋次の恋人でありたかった。


「はああ!!!」

恋次に突き上げられて、いつもは静かで穏やかな白哉は乱れた。

「あああ!」

奥をごりごりと抉られて、いってしまっていた。

「白哉さん、中に出しますよ」

「うあ、あ」

いつも冷静でクールビューティーの白哉は、恋次に抱かれると煽情的になる。

淫らで、美しかった。

「恋次、キスを」

ねだられて、恋次は白哉にディープキスをする。

互いの舌を絡ませあいながら、上や下になったりした。

「これで最後です」

「はああああ。あ、もう、私も限界だ」

恋次に子種を胎の奥に注がれて、白哉は意識を手放した。

白夜が起きると、そこは恋次の家でなく、ホームにしている京楽のマンションの自分の部屋だった。

「まったく、恋次くんは白哉の意識がなくなるまで抱くなんて。いっそ、消し炭にしてやろうか」

物騒なことを言う浮竹に、白哉がつっこむ。

「そんなことをしたら、浮竹、兄を嫌いになるぞ」

「嘘です。消し炭になんてしません。だから嫌わないで~~~」

クスクスと、白哉は笑った。

あまり表情を表に出さない白哉は、恋次と出会って変わった。

いい意味で。

「白哉、体は大丈夫か?」

「大丈夫だ。それより腹がすいた」

「い、今お前の好きな和食の夕飯作ってやるからな」

浮竹は腕まくりをして、キッチンに消えていく。

「やあ、白哉くん。恋次くんとはうまくいってる?」

京楽が、部屋に入ってくる。

「ああ。京楽、兄が浮竹を好きなように、私は恋次が好きだ。この体を許すほどに」

「浮竹には、そういうことはほどほどにね。恋次くんに白哉くんとられたって嫉妬してるから」

「ふむ‥‥」

白哉は、困ったように苦笑した。

「浮竹は、あれはあれで私のことを心配してくれているからな」

「うん。重度のブラコンになりつつあるけど、受け入れてやって」

「私が、浮竹を拒むことはない。兄に言われずとも、受け入れる」

そこへ、浮竹がやってきた。

「白哉ー和食の夕飯できたぞーーー」

「あれ、今日はオムライスじゃなかったの?」

「白哉のために和食に切り替えた。オムライスは明日の昼だ」

「まったく、浮竹は白哉君に甘いね」

「俺の自慢の弟だからな」

ドヤ顔をする浮竹を、白哉も京楽も、小さくクスクスと笑うのであった。







拍手[0回]

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(03/13)
(03/13)
(03/13)
(03/12)
(03/12)
"ココはカウンター設置場所"