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小説掲載プログ
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死神の一護

一護は、荷物をまとめて尸魂界にやってきた。

「お、一護じゃねーか」

「おう、恋次久しぶりだな。4年ぶりくらいか?」

「おう、そんなもんだな。ルキア、一護を連れて帰ってきたってことは、ルキアが人間になるんじゃなくって、一護が死神化するのか?」

紅い髪の恋次は、風に髪を揺らせていた。

「ああ、俺が死神になるんだ」

一護がそう答える。

「なんでも、5年の猶予を与えたって隊長がいってたけど、早かったな。2週間ちょいか?考えると、早すぎねーか?」

「いいんだよ。俺ももう21だ。5年後には26になってる。年をとればとるほど、ルキアとの距離は広がっちまう。だからといって、ルキアが人間になって白哉や恋次と会えないのはかわいそうだしな」

その言葉に、恋次が笑った。

「ルキアは、本気で人間になるつもりだったんだぜ?俺に、伝令神機で「人間になる、許してくれ」ってメール送ってきてた」

「まじかよ、ルキア」

「そ、それはだな・・・・」

ルキアが視線を彷徨わせる。

「あ、兄様!」

「白哉」

「隊長」

三者三様に名を呼ばれて、白哉は頷いた。

「黒崎一護。死神になるのだな?」

「ああ」

「現世の全てを捨てることになる。いいのだな?」

「ああ」

「分かった。ついてこい」

皆で、ぞろそろと移動した。ついた場所は、12番隊の技術開発局だった。

「恋次はここで待て」

「分かりました、隊長」

中に入ると、涅マユリがいた。

「てめぇ!」

「おっと、怒らないでほしいネ。君の記憶を操作してくれと言ったのは、井上織姫という人間の女であって、私がしたかったわけではないのだからネ」

「涅マユリ。例の薬を」

「ほう。死神化するというのかネ。まぁ、死神代行が本物の死神になるだけで、それほど変わりはないと思うだがネ」

「大ありだよ、バカ野郎」

どろどろとした、きつい匂いの紫の液体を渡された。

「死神化した今の状態で飲め」

白哉に言われて、そのまま一気飲みした。

「アレ・・・・意外とうまい。オレンジの味が・・・・ううう」

ばたりと、一護は倒れた。

「おい、一護!兄様、一護が呼吸していません!」

ルキアがおろおろしだすが、白哉は冷静だった。

「今、黒崎一護の人間が死んだのだ。直だ」

ゆらりと。

肉体から、魂魄が滲み出てきた。

それは、また肉体に戻った。

「ん・・・あれ、もう終わりか?」

「そうだ。たった今、人間としての黒崎一護は死んだ。もう、尸魂界の住人だ」

「そうか・・・・俺、一応死神として食って行こうと思ってるんだけど、泊まるとことかないんだけど、どうすればいいんだ?」」

「しばしの間、朽木家で過ごすがよい。我が義妹の想い人だ。特別に許可をやろう」

「お、白哉、すまねーな」

「いいのですか、兄様!」

「構わぬ」

12番隊の外で恋次と落ち合って、白哉は恋次を連れて去ってしまった。

「今日は、もうすることがねーな。そういえば、ルキアは13番隊副隊長やめたんだっけ?」

「そうだな・・・私も、することがない。力も戻ってきているようだし、副隊長に復帰するか」

二人で、京楽春水のところへ行った。

「何、一護君が死神化しただってーーーーーー!?」

結局、隊首会が開かれることになった。

尸魂界を二度にもわたって救った英雄が死神になった。それを置いておくにはあまりにも勿体なさすぎると。

ルキアの復帰願いもあり、ルキアは13番隊の副隊長として復帰し、しばらくの間は13番隊の席官と形で一護は落ちついた。

朽木家にずっと泊まっているのもなんなので、隊舎で部屋を借りることになった。

だが、ルキアまで朽木家を飛び出して、隊首室で寝て一護を毎朝迎えにいくことに、義妹を溺愛している白哉が折れて、一護を正式に朽木家に迎えることになった。

いわゆる、婿入りだろうか

「まじかよ・・・・」

朽木家の広い寝室の一つをルキアと一緒に与えられて、一護は自分の頬をつねっていた。

「痛い」

「何をしているのだ、一護」

「いや、なんかルキアと一緒に朽木家でずっと住めるなんて、夢かと思って」

「夢などではない、たわけが!」

ルキアの蹴りが、一護に炸裂した。

「うお、この感触・・・・・・実に3年ぶりくらい」

一護は、ルキアに蹴られて喜んでいた。

「ええい、喜ぶな・・・・一護の死を、現世に知らせねばならぬな」

「それならば、もう済ませた」

白哉が、いつの間にか部屋の中に来ていた。

「うお、何処からわいてきやがった」

瞬歩でやってきたらしい白哉であったが、物音一つ立てなかった。

「本日の夜8時に、黒崎一護はトラックと事故を起こして死亡した。そう、あの井上という哀れな女も含めて、貴様の家族にも記憶を書き換えた」

「わー。白哉毒舌」

井上については、もうどうしよもないので、庇うような言い分もしなかった。

「私の義妹をあれほど悲しませたのだ。許せぬ」

「ルキア、白哉に愛されてるなー」

ルキアは真っ赤になって、わたわたしだした。

「兄様は、いつも通りだ!」

「うわーブラコンもここまでくるとすげーな。まぁ白哉のシスコンに比べたらましか?」

「何か言ったか?」

「いえいえ、なんでもございません」

ぎろりと白哉に睨まれて、一護は首を横に振った。

「何はともあれ、これからも世話になるぜ、白哉」

「仕方あるまい。ルキアが家を出ていくよりましだ」

白哉は、本当にルキアを愛していた。

義妹であるが、実の妹のように見ている。

ルキアは幸せだな。そう思った。

やっぱり、俺が死神になって正解だ。そうも思った。

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