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小説掲載プログ
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本当の一護

「なんだよ。また来たのかよ」

一度、一護は自分の部屋に荷物を取りに帰った。その時は、ルキアは浦原商店にいっていいて、いなかったのだ。

井上の家にいくと、冷たい声の一護がいた。

「一護。井上に何をされた。涅マユリに、何をされた!」

その言葉に、それ見たことかと高をくくっていた井上が、真っ青になる。

「何言ってるの、朽木さん」

「この部屋には、昨日確かに涅マユリの霊圧の名残があった。残念だったな、井上。完璧にことを起こすには、涅マユリに霊圧を消して来いというべきだったな」

「黒崎君は渡さない!」

ルキアは、記憶置換を一護に使った。

「ルキア?俺はなんで・・・・・・・」

「一護、どうだ?」

「どうだってなんだよ。さっさと消えろよ」

「やはり、無理か・・・・・兄様・・・・・」

ふわりと。

朽木白哉が、室内に現れた。

「朽木白哉・・・・・・」

ひっと、井上は息を飲んだ。

「兄は・・・一護に。一護、しっかりせぬか。涅マユリがすぐに白状した。お前に、強力な記憶置換を使ったと」

「嫌よ、黒崎君は私のものなんだから!」

「哀れな、女だ・・・・・・」

白哉は、黒い記憶置換を、一護に向けた。

「だめえええええええ!」

井上が、白哉にを押しのけようとする。それをさっと避けて、白哉はその記憶置換を使った。

「あれ。俺、どうしたんだ?」

「一護、私が分かるか?」

「何言ってるんだよ、ルキア」

「一護!」

ルキアは顔を輝かせて、一護を抱きしめた。

けれど、一護の表情が変わる。

「なんだよ、白哉まで呼んで。そんなに、俺が恋しいのか、ルキア?」

「いち・・・・ご・・・・・もう、元には戻らぬのか?」

「元々こうなんだよ。さっさと帰れ、このアバズレ!」

「兄は・・・・・」

義妹を侮辱されて、白哉は怒った。

「止めてください、兄様!」

「兄は、その程度の男なのか!涅マユリ程度に記憶を操作されて、愛しい者のことも忘れる程度の・・・・・・」

白哉が抜き放った千本桜の刃を、一護は自分の太ももに突き刺していた。

「兄は・・・・・?」

「いってぇええええ。でも、これでまともに思考できる。白哉、もう1回あの記憶置換を使ってくれ。それで、元に戻るはずだ。ルキア、愛してるからな。たとえ、記憶を歪まされても、俺が心の底から想っているはお前だけだ」

白哉は、一護に言われた通り、記憶置換を使おうとした。

三天結盾、私は拒絶する!」

「井上、そこまで・・・・・」

「黒崎君は渡さない!」

「この程度の結界。笑止」

ずっと、結界の中に白哉は踏み込む。千本桜を始解させて、結界を粉々にして、一護にもう一度記憶置換を使った。

「井上。もうやめろ」

「黒崎君・・・・・うわああああああああああああん」

泣きだした井上を抱き締めて、太ももから血を流しながら、一護はその頭を撫でた。

「ごめん。お前を選んでやれなくて、ごめんな」

「うわああああん」

井上は大泣きした。

「一護、太ももの怪我を見せろ!」

「ああ、これくらい大丈夫だ。ごめんな、ルキア。ルキアにも辛い想いをさせて」

「兄は・・・・もう、元に戻ったようだな。私の出番はここまでだ」

ふっと、瞬歩で白哉は去ってしまった。

「ルキア、帰ろう。俺たちの家に」

「うああああん、黒崎君、黒崎君、黒崎君、いかないでえええええ」

「井上。今回ばかりは、お前に幻滅したよ。さようなら」

「いやあああああああああ」

泣き叫び、暴れ出す井上を放置して、ルキアを連れて一護は自分の家に戻った。一度まとめてもっていった荷物は、ルキアが持った。

「はぁ。疲れた」

一護の家についた。

「まずは、傷の手当てせねば」

井上には、治す余裕もないだろう。

ルキアの回道で血止めをしてから、傷口を消毒して、ぐるぐると包帯を巻いた。

「俺、決めた」

「何をだ?」

「俺が、死神になる」

「それは!」

まだ、答えを出すには早すぎると思ったが、ルキアはその言葉を受け入れた。

「そうだ、ちょっと待っててくれ」

「?」

一護は、たんすをごそごそと探りだした。

それから、小さな箱を取り出した。

「手、出してくれ」

「うむ」

素直に手をだすと、ルキアの細い指に、指輪がはめられた。

「貴様、これは?」

「3年前・・・・お前が、出ていく前に買っておいた、エンゲージリングだ」

ルキアは目を見開いた。

それから、アメジストの瞳から涙を零した。

「一護、貴様は、3年間ずっとこれを・・・・」

「ああ。高かったから、処分に困ってて、売ろかとも思ったんだけど、それだけは残しておいたんだ。受け取ってくれ、俺の想いを。結婚してくれ、ルキア」

「いちご・・・・・・・」

ルキアの指にはまったエンゲージリングは、中央に花形にカットされたアメジストがあしらわれていた。

「一護、大好きだ。愛している」

「俺も好きだ。愛してる。俺が、死神になる。ルキアに、寂しい思いはさせない」

「まだ、5年も猶予があるのだぞ?」

「社会人になって、あれこれ柵(しがらみ)ができちまったら、いろいろと大変だろ。もういいんだ。家族には後で別れを言うし。尸魂界に行こう」

「今日は、このまま、この部屋で眠ろう。明日、尸魂界に共に戻ろう」

その日の夜は、お互いを抱きしめあう形で眠った。

夜、途中でルキアが起きて、泣いていた。

「ルキア?」

「いちご・・・私は、井上に、なんといえばよいのであろうか」

「井上のことは、もう忘れろ」

「いちご・・・・・私は、こんなに幸せで、よいのだろうか?」

「ああ、いいんだ。お前は散々悲しい目にあってきた。例え俺以外の男に抱かれて子供がいようと、俺が許す。俺を信じろ。俺は、お前だけを愛しぬく」

「一護・・・・・・・」

唇が重なった。

そのまま、体を重ねた。




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